艦隊これくしょん とある鎮守府のお話   作:順風

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艦これやっているのでノリで書いてみました。


Episode1

艦娘。海外から『日本人はイッちゃっているよ。あいつらは未来に生きてんな』でお馴染み? の日本人が国防費節約をしようといろいろ頑張っていた際、ほぼ偶発的に生まれたものである。

 

艦娘が生まれる数年前から世界はとある現象に頭を悩まされていた。突如世界中の海から現れた正体不明の物体。その正体はいまだに謎に包まれており一説には沈んだ船の怨霊とも言われているが詳しいことはすでに十年ほどが経った今も全くと言ってもいいほどわかっていない。

 

この正体不明の物は各国でさまざまな呼ばれ方をしたが海に面している島国である日本では民間人がこれを目撃することも多々あった。そしてそれを見た者たちは口をそろえて言うことがあった。

 

「海から船が沸き出てきた」と。

 

そのことから日本ではこの正体不明のこれらを海の底である深海を棲みかにしていると考えたため深海棲艦と呼ぶようになった。

 

艦娘が製作された背景にはそういった世界情勢の変化と島国故に深海棲艦の出現数が他国と違い段違いに多かったことも一因にあった。深海棲艦を放っておくわけにはいかないが倒せば倒すほど予算がかさむという状態になっていた以上、いかに低コストで深海棲艦を倒すか……ここが焦点になっていた。

 

深海棲艦の出現から1年ほどが経ったある日、とある研究者が逮捕される事件が起きた。容疑自体は研究費の使い込みだったのだがその捜査をするためにその研究者の研究室に入った捜査官たちは目を疑った。

 

中には少女をかたどった人造人間が多数いた。このときのことを若い捜査官の一人は『この世にいるような気がしなかった』と語っている。研究者は鉄の塊であり維持費や製造費、そして時間がかかる船に代わるものとして人造人間に専用に力を上げる特殊な武装を装着させることで深海棲艦と戦わせることを考えたのだった。

 

……ちなみになぜ少女及び女性型しか作られていなかったのかは未だに明らかになってはいない。

 

この計画に目を付けたのが何を隠そう国防費の増大に困っていた日本政府だった。政府は秘密裏に開発チームを発足させるもののそこは現代社会。ある週刊誌にスクープとしてすっぱ抜かれ国民及び国際社会の反発に見舞われる羽目になった。

 

そのために当時の内閣は総辞職に追い込まれ開発チームも解散。開発費の減少で艦娘の研究はもう進むことはないと思われた。

 

しかしそれから二年ほどが経ち、当時の開発チームのメンバーが研究を続けていたことや艦娘の完成を公表。艦娘の本当の始まりとも言える日となった。

 

二年前と同様に反発はあったものの政府が関知していなかったことや度重なる深海棲艦の襲撃やその大型化による被害に日本以外の国々も頭を痛めるようになっており政府レベルではそこまでおおきな反発はなく、むしろ『どんなものを作ったのかみてみよう』というムードになっていた。それだけどこの国も打開策を求めていたともいえる。

 

数日後に東京のとあるホテルにて会見が開かれた。世界中から多数の記者が集まる中で登場した世界初の艦娘(そう呼ばれるのはしばらくたってからのことだが)。

 

「特型駆逐艦「吹雪」です! よろしくお願いします!」

 

 

特I型駆逐艦、1番艦である吹雪をモデルに制作された初の艦娘。意志を持ち、感情があるという人造人間とは思えないその姿に記者たちは

 

(日本ってやっぱりなんかおかしい)

 

ただでさえ変人と思われているイメージがまた世界に広まった瞬間でもあった。

 

 

結論から言うと艦娘はなんだかんだで受け入れられていた。製作者が意志を持つことや一般的な人間ほどには寿命があることなど記者の矢継ぎ早の質問に対して丁寧に答えたことや駆逐艦本人の回答を得られたのも受け入れられる要因になっていた。

 

この国際世論の変化に伴い日本政府も再び艦娘を国防に加える政策に乗り出した。まだ完成したばかりということもあり当分は政府直轄の組織とするものの製作に安定が見られれば一般に解放することになっていた。同時に横須賀に艦娘専用の鎮守府を開設し深海棲艦との戦いに備えることとなった。

 

……余談だが会見の際に艦娘の名前に第二次世界大戦当時の艦の名前を付けたことで某国の記者が反発したりもしたがあまりに場違いな質問に場が白けたというのは別の話であったりもする。

 

 

           ○

艦娘の使用は深海棲艦との戦いに限るという法律が制定されて以降、艦娘は次々と建造されていった。建造というのは艦娘の生産という意味であるが生産では印象が悪いとの理由のため現在は建造と呼ばれている。横須賀のほかにもいくつか基地が作られ佐世保と呉にも鎮守府が作られ日夜深海棲艦との戦いを繰り広げている。

 

そしてこの日、舞鶴に新たな鎮守府が作られ、そこに向かう一台の車の中に舞鶴鎮守府の提督に任じられた平塚雄輝がいた。

 

外を見ると舞鶴鎮守府の敷地がみえてきており、もうすぐ目的地に到着することが理解できた。車は舞鶴鎮守府の正門に差し掛かりスピードを落として右折する。

 

(やっぱりいるなこういう奴ら。平日なのに。相当な暇人なんだろうな)

 

鎮守府に入るために右折する車から見えたのは『憲法を守れ!』や『戦争反対』といったプラカードを掲げた人たち。……雄輝としてはそのようなことを言った覚えもないしするつもりもないのだが艦娘の登場から7年たった現在でもこんな状態が続いていた。

 

しばらく走ると鎮守府の建物が見える。雄輝自身はまだ20代半ばという若い人物であるがこうした人物が抜擢されたのは異例のことだった。舞鶴近海は深海棲艦の出没があまりないため経験を積ませるのによいからなのではという話もあったが雄輝自身もよくわからないし、気にしてもしょうがないとこの件に関しては基本考えないことにしている。

 

車が鎮守府の建物の前に着く。元々自衛隊の設備だったからか少々使い込まれた感がみられる物のそこまで気にするほどのことではない。基本ここで暮らすことになるのですでに荷物等は送ってあるがそれ以外にも多少荷物はあったのでトランクからスーツケースを取り出す。

 

中に入ってみると中は改装されていたようできれいになっていた。新築作ると周りがうるさいからせめて中だけは……という思いであった。なんだかんだで人造人間でも生活環境は大事なのでその辺の配慮はしっかり行われているようだ。

 

「舞鶴鎮守府に着任した平塚雄輝です」

「はい、確認しました」

 

受付に名を名乗り指令室の場所を教えてもらう。途中何人か職員と顔を合わせ挨拶するが、いきなり上官になったことからか妙に挨拶が固く見えた。

 

上司になったことに戸惑いつつ自身の仕事場である指令室に着いた。すでに先客がいるとのことなので軽くノックをしてドアを開ける。

 

「あ、司令官さんですね! 特Ⅲ型駆逐艦、電です。どうかよろしくお願いします!」

 

そう頭を下げる電。この舞鶴鎮守府の初めての艦娘となる小動物のような印象を受ける少女だった。




登場する鎮守府は舞鶴ですが私がプレイしているのはリンガです。

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