ルドラサウムはランス君がお気に入りのようです 作:ヌヌハラ・レタス
◇ ランス城(変わったメイドを募集する その1)
ランス城のメイド集団のリーダーであるビスケッタ・ベルンズは、最近のランスの活躍ぶりからメイドの追加雇用を決定した。
今のランス城は、国際会議の後も、依然として人類存亡に関わる最重要拠点である。
日夜、人類の将来を大きく左右するだけの重大な作戦がいくつも練り上げられている。
特に、各国間での協力や連携が必要な作戦は、ランス城での取り決めが暗黙理とされていたといえる。もはや、各国が協調するための完全な中立地として機能していたのだ。
最初にランス城の賓客(新しいメイド)として白羽の矢が立てられたのは、朝倉義景の娘、雪姫であった。
雪姫は、(父の大陸出兵に同行するつもりが)留守番を言い渡されていた身……のはずだったのだが、天満橋のあたりでちょろちょろ大陸の様子を伺っているという噂を聞きつけたビスケッタが上手く取り計らった形であった。
(朝倉義景も、そのあたりは娘の気持ちをよくよく斟酌していたために、これを見て見ぬふりした)
「これが大陸のお城……」
雪姫にとっては、これがはじめての大陸、そして外国のお城であった。
JAPAN のお城の常識、曲輪や横矢といった当たり前の城郭装備が欠けているランス城は、すべてが目新しかった。
雪姫は JAPAN を代表する非常に美しい姫である。
ただ座っているだけでも目立ってしまう、そんな女性がまたひとりランス城に現れた。
「あの姫もまた、ランス殿の……おお、なんと美しいことか……」
ランス城に駐屯する(各国のエリートでもある)兵は、雪姫の可憐な姿に目を向けずにはいられなかったのだが、この雪姫もまた、ただ美しいだけのお姫様ではなかった。
彼女は、香姫と同じように、過去に JAPAN の戦場を経験している。
それどころか、 JAPAN の内戦(第四次戦国時代)の中で、浅井朝倉氏の滅亡を経験するなど並々ならぬ大変な苦労を経験している。(最終的には父の朝倉義景と織田家の部下となり、巫女の大部隊を率いる将として活躍)
「商売人」としてやっていけるだけの才能と、(内戦の間は)世界のヘイホーという不思議なアイテムを持たされていたこともあって、妙に兵法に長けている。そんな不思議な多才、雪姫は大陸でもその才を発揮する。
「お城の周りの防御ですが、これではいけないのではないかしら」
「そうなのれす。アテナも、そう思うのれす。もっと、まわりに落とし穴がいるのれす。敵を落とすのれす」
「いえ、アテナさん、落とし穴……ではなくて」
「ダメれす! 落とし穴がいいのれす!」
「……では、間をとって……そうですね」
ランス城の周囲の地形は、恵まれている。
周囲が山道となっているため、城に至る道が制限されている。自然の要害だ。雪姫の印象でも、長らく住まいとしていた朝倉家の山城の地形とよく似た印象を持っていた。
「使わない道は、お堀にしておきましょうか。そうね、弓と陰陽術で守りを固めるでしょうから……そうね、畝堀がよいかしら」
「わーい! 落とし穴!」
こうして、雪姫の発案によりランス城の周囲には、 JAPAN 流の堀(落とし穴)が作られた。
大陸の兵は、奇妙な形の落とし穴を作りたがる美しい姫を不思議に思ったが、ともかく力を貸す兵士は大勢いた。どこにいても、美しいは正義であった。
――後に、この畝堀によって魔軍の魔物は、地獄をみることになる。
◇リズナ(なんか上機嫌なランス)
あの日の夜。どういうわけか、私は、ランスさんを独占していました。
あのような決死の作戦を成功した夜。きっと盛大なハーレムになるかと思われたのだけど、意外も意外です。
ランスに頭をやさしくなでられる。
「どうしたんですか、ランスさん?」
「ん? なんでもない。仕返しは絶対にしてやるって言ったからな。今回“は”いつもより、たっぷりしてやったぞ。がはははは!!」
「???」
あれ? 数年前にも、このやりとりをした記憶が。うん。あった気がする。
あ、そうだ。アベルトとの決着がついたときにも言われたんだ。でも、どういう意味だったのでしょう。今日の意味は――
「あっ――」
でも、考えごとは、すぐにできなくなってしまいました。
この日のランスさんは――本当にすごかった。朝まで何度も何度も優しく蹂躙されてしまった。完全に溶かされました。
翌朝のベッドは、とんでもない有様で……お掃除された方には、悪いことをしてしまいました。
どれだけひどく犯されたとしても、ここまでの有様には、ならないと思います。
翌朝は、絶対に消えないこの躰の芯にある疼きのようなものが――驚くほどに満たされていました。体質が変わったわけじゃない。
ただただ、単純なこと。
ほんとうに、すごく気持ちのよい朝でした。……体も心も。
(でも、ちょっとやりすぎたせいで、あそこが擦過傷になってしまっていました)
――翌日、リズナは魔法バリアを唱えた。
「あれ?」
やけに……すこぶる調子がよかった。
◇ラグナロックアーク・スーパー・ガンジー(ランスの伝言)
「そうか……! ランス殿がやってくれたか……!」
「はい」
カオル・クインシー・神楽による、ランスが魔人メディウサを討伐した旨の報告であった。
いつもの簡潔で正確な報告であるが、ガンジーの疲れていた顔に、いっぱいの喜色が染まった。
魔人メディウサの討伐に際しては、リズナが精鋭の奇襲部隊に配属され、しかも、作戦成功に際して目覚しい功をあげたという。
ガンジーにとってリズナは、やはり頼りになる先輩であったと言える。
(後に、作戦の子細を知ったガンジーの命により、リズナの名刀景勝は、ゼスの国宝認定にされる。ゼスを何度も救った英雄であり、可愛い娘の夫を守った刀である。むしろ、当然のことと言えた)
――“魔人”が、ただの“人間”に討伐される。
絶対にあり得ないことが起こったのだ。魔軍に走った混乱は、極めて大きなものであったのは間違いない。
ゼスは、ランスに続いた。魔軍が最も動揺を覚えたそのタイミングで、各地のゼス守備隊が大規模な反撃を開始した。
反撃部隊を指揮していたのはもちろん、腰に小剣を携え、巧みなボウガン捌きでも知られるゼスの名将ウルザ・プラナアイスであった。
反撃作戦。それは、彼女にとっての“十八番”だ。
ゼスにおいて、(この世界においても)ウルザ以上の適任者は存在しないだろう。
彼女はランスとの電話のやり取りの後、以心伝心とも言うべき正確な読みで、この反撃作戦を準備してみせたのだった。
部隊を見事に操り、敵部隊の最も弱い部分をすぐさま見極め、的確な指揮を採る。それは、いままでの経験すべてが、今の彼女にそうさせている。
「ふっふっふ……」
決して自分は、褒められた王ではない。ガンジーはそれを自覚する。
ああ。無能だとも。ああ。身勝手だとも。なんと言われてもいい。だが、あのときの危機を乗り越えたゼスは今、強く逞しい力を身につけていることを証明してみせた。マジックは、娘は、己などよりも遥かによい王となるだろう。ゼスの未来はなんと明るいことか……!
異変の生じていたマジノラインの異常は、(マジックの目算よりもずっと速い)メディウサの討伐の1時間20分後に回復に成功。(魔法電話によって、マジノラインを知る自由都市出身のマリア、カスミ・K・香澄らの協力があった)
その結果、ゼスは残る魔人(魔人レッドアイ、魔人ガルディア)を領土の内に閉じ込めることにも成功している。
加えて、ゼス領土内で瓦解した魔軍は、魔軍領土内への逃亡を図ったが、マジノラインにて、これも見事に挟み撃ちの形で撃退している。
この一連の作戦は、ランスの存在しない部隊が計画し実施したものの中で、初めての大戦果、大成功を収めたと言えるものだった。
「名将ウルザ・プラナアイス」の名前は、電撃的に世界を駆け巡った。
ゼスの国民は皆が、聡明なマジック、そして、彼女を讃えた。
(そして、マジックにとっては、ウルザを別の意味で脅威として認めざるを得ない結果でもあった)
――なお、マジックの予想はあたった。
その後、魔法電話で交わしていたウルザと英雄ランスの仲睦まじい関係性の一部が発覚、ウルザは、ゼス国民から向けられる(想像を含んだ)生暖かい視線に困らせられることとなる。(ウルザは、これは戦時中のそれも一過性のものに過ぎないだろうとタカを括っていたが、この後、ランスの行動力を改めて思い知らされることになるのであった)
「あと、ガンジー様には、ランスさんから言伝も直接届いています」
「おお、ランス殿から? 珍しいこともあるものだ。どういったものか?」
「はい。……『スシヌが悲しむ真似すると怒るぞ』だそうです」
EVO見ながら書きました。その残り。
まとめて更新しておきやす。
ちょっと雑だったかも。1時だよ。眠くなってきたからね。ごめんね。
ぶっちゃけ、この食券は好き勝手に今書いた。
贔屓? ひ、贔屓してないよ? ほんとほんと。
この後は……ろくすっぽ予定表がない。どうしようか。困った。
これがどういう意味か分かるかね。
やっぱり、ヘルマンかなぁ?(大統領贔屓のため)