ルドラサウムはランス君がお気に入りのようです 作:ヌヌハラ・レタス
LP7年 9月後半――
City ランス城――(ランス)
「お、揃っているな。がはははは!! 俺様の到着だ!!」
「あーーー、ダーーリン!!」
「あ、ちょっとランス!」
「ランス様」
ここまでの会議でまったく意見がかみ合っていないらしいリア、マジック、シーラの喜色の声が重なって聞こえた。その証拠に、香ちゃんとコパンドン他が、苦笑している。
おー。香ちゃんは、まだちっちゃいなぁ。飯食べてるのか不安になるぞ。
あとで、成長具合を見てやらねばなるまい!
おお、そうだ。今回の俺様は、一番の年長者であり、大人でもあるのだ。
この大戦とは関係なく、俺様の女を幸せに導かねばなるまい。うむ。
(年々丸くなったとか言われてムカっとするのだが)俺様は、好きな女が悲しい顔をしているのが嫌なのだ。改めて言ったりはせんが、シィルの件で、吹っ切れたところがある。
もちろん、前だって幸せにしてやった自信はあるのだが、若いゆえに傷つけてしまったこと、後悔もあったのだ。
今の俺様は、世界一の実体験と時間をかけて、男女についてもよくよく学んだ人間だろう。
エロテクのほうもそこらの“ガキ”には負けないくらいには、覚えがある。ぐふふ。
そうだ。俺様も子供を持つ良さもちょっとくらいは、わかったのだ。
この大戦が終わったあとには、もっとたくさんの子供の顔が見れるように“仕込んで”おくか。これは、楽しみが増えたぞ! この戦い、絶対負けられんな。
「リア、マジック、シーラ。……ふっふっふ。実にグッドーだ!!」
リア、マジック、シーラ。
そうだ。俺様が、魔王から人間に戻ったころ、こいつらは30歳を過ぎていたはずだが、本当にいつまでたっても若い見た目のままだった。実際、いくつまでムラムラきて抱いたのか、わからん。
子供もポコポコできるしで、こいつらのせいで、俺様のハーレムは、30歳までというルールがどんどん緩和されてしまったのだ。
特にシーラは、無自覚に色っぽかったといえる。
胸が大きくなってるし、いろいろ“溜めこんでる”せいか水鉄砲みたいに母乳がよく出たなぁ。しかも、俺様に従順で、体の相性も抜群だったから、毎回事後のベッドがビチョビチョになって、翌朝シーラを赤らめさせるのが面白いのだ。
俺様と一緒にいるだけで、ずっと機嫌がよく、思わずめでたくなる愛らしさがある。
大統領をなかなか引退できずにいたが、後ができたあとは、俺様とずっと一緒に暮らした。細いくせに体が丈夫で、晩年、体を崩しがちだったシィルをよく支えてくれたのもシーラだ。
うむ。俺様にもっとメロメロにしてやろう。
◇(クリーム)
――このときほど、クリームは自身の頭の硬さを実感したことはない。
「よし、面倒だから結論から言うぞ。俺様が人類の代表をしてやる。全員ついてこい!」
ランスのあまりにもバカげた言葉を聞いた時、頭の中で、その話をにべもなく拒絶し、はぁ、と、ひとつため息をついた。話の中身を想像する以前に、唾棄すべき冗談だといわんばかりに一蹴してしまったのだ。
――しかし、なにかがおかしいわ。
我が愛する祖国、ヘルマンの大統領たるシーラ様のかわいらしいお尻に……わんわんの尻尾が幻視している。それもブンブンと振っているのが見える。
「はい。我がヘルマン共和国は、ランス様のお言葉に賛同します」
あああぁぁーー!!!! そうだった。この御方は、そういう御方だった。
本気で頭を抱えた。そうしているうちに、JAPANが、自由都市が、ゼスが、あのリーザスまでもが、最後にはおまけとばかりにAL教の法王までもが、ランスの意見に賛同。
ランスのたった一言で、即決してしまった。
ほんの一分前までは、不可能かと思われた人類総軍の結成が、こうもあっさりと。
「なんてことなの……」
ズレた眼鏡の位置を元に戻す。……と、自分と同じ立場で事態を見守っていただろう、ゼスのウルザとリーザスのアールコートに目をやって――心底驚いた。
二人共、お腹をかかえて面白そうに笑っていたのだ。
ああ、今度は、直感があった。
この人達は、“こうなることが想像できていた側”の人達だと。
むろん、この二人が会議にランスが現れるまで、全力で会議をまとめることに努めていたことに疑いは無い。しかし、今はっきりと軍師として見渡せている視野の狭さを思い知ったのだ。
そうだ。ランスが代表になる案は、なんら問題がないのだ。
問題どころか、魔軍の侵攻によって最も苦しい立場にあるヘルマンにとっては、最善の一手ではないか。ランスと友好関係のある国、つまり、ゼス、リーザス、自由都市、JAPAN。すべての国から支援を要請することだって叶う。なんなら、AL教からだって協力が得られる。
(なぜ私は、ランスの言葉を咀嚼する前に一蹴してしまったのでしょう)
彼がヘルマンを崩壊から救った英雄であることは疑いないし、冒険者としての腕前は一流だと理解している。
いえ、一流どころか、ヘルマンの女傑ミネバ、かつての人類最強トーマさえもがランスに破れている。彼の腕前が一流“程度”なら、武人にとって一流の壁は絶壁になることだろう。
(ヘルマンは、リーザスとの国交がちょっぴり改善されたことで、双方の視点から歴史の要所でなにがあったのか、整理が進んでいる最中である。特にリーザス女王からの意向もあり、あいまいになっていたランスの武勲が紐解かれつつあった)
また、ランスの大きな戦の流れを追う能力は、悔しいが絶賛せざるを得ない。
ヘルマンを崩壊から救うことができたのは、本当に奇跡としかいいようがない。後からステッセル・ロマノフの暗躍を整理してみると、一手遅れただけで滅亡へと向かう難解なパズルを美しいまでに解いている。(これを英雄の資質と認めてしまうと、軍師として情けないという気持ちもあるのだが)
ゼスのカミーラダークについて調べたときも同様だった。信頼する師透琳様から聞いたJAPANと言う独特の文化を持つ国においての話を聞いても、やはり評価は著しい。
この大事において、これほど己の未熟を痛感することになろうとは。
(私は……)
私は、リーザス、ゼスの参謀軍師と比べて、ランスという男を本当によく知っているのだろうか。視線の先のランスとシーラ様は、楽しそうに笑っていた。
未来設定については、各位さまざまな思いがあると思いますが、多少はね?
僕はシーラちゃんがだいすきです。あてなもだいすきなのれす。
贔屓していくスタイル。
(細かいところ語ってなさすぎるから、ええようにするんやで)