ルドラサウムはランス君がお気に入りのようです   作:ヌヌハラ・レタス

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LP7年 9月後半 作戦(2)

◇ マジノラインの機能故障 (???)

 

 

40年以上もの間、人間と魔物の領土を二分にしていたマジノライン(魔路埜要塞)。

 

複数の塔が連携して周囲に電撃を放ち、魔物たちを焼き払う、電撃塔。

巨石を連続して魔物たちが固まっているところに投げつける、投石機アンゴルモア。

白色破壊光線相当の強力な魔法を放つ、破壊光線砲。などなど。

 

マジノラインの攻略は、どのようにしても面倒極まるものになるはずであった。

しかし、そのマジノラインは、突如として、夜でも眩いほどの輝きを放つ電撃塔の連携が鈍らせる。より顕著であったのは破壊光線砲のほうだ。なんと完全に機能を停止してしまったのである。

 

困惑する魔人メディウサと、その使徒のアレフガルド。

人間たちが勝手に潰れる展開は、カミーラダークのときと同じである。罠であれば図太く、そうでないなら呆れるしかない展開だ。変な話になるが、警戒心を抱いて当然であった。

 

魔物将軍らは、自分たちを誘い込んでから一気に殲滅する人間たちの罠だと上申した。

カミーラダーク時は、再起動したマジノラインの迎撃システムによって、大きな被害をうけた苦い経験から、まだ数年の年月しか経ていないのだ。痛みからの上申であった。

 

しかし、魔物将軍の進言の一方で、マジノラインのエネルギー源たるマナバッテリーが、人間のテロによって機能を停止している、というバカみたいな情報も入ってきた。(マナバッテリーの存在は、カミーラダーク以前は秘匿されていたが、ゼスが新体制になって以降、公のものとしている)

なんにせよ、このときは両軍共に、混乱を極めていた。

 

――その後の展開は次のとおり。

ゼスは、新四天王チョチョマン・パブリの指示で、即座に人類総統たるランスの意思確認がなされ、現在は総統自らがマジノラインの対処に急行している。

 

対してマジノライン方面の魔軍指揮・魔人メディウサは、総攻撃の指示を出すか出すまいか、半日以上決定を保留していた。たまたま、やる気がでない気分だったからだ。

事態の流れによっては、もっと楽に攻略できるのではないか(なんなら勝手に自滅してくれ)、という怠惰な性格からくる保留でもあった。

 

結果、人類総統のランスは、マジノラインのもとへと急行でき、魔人メディウサは、総攻撃を仕掛ける最大の好機をふいにしてしまったのだった。

 

 

 

 

◇ マジノライン (マジック)

 

 

 

「今回の作戦は――これだーー!!」

 

今回のゼスの危機にランスの採った作戦は、精鋭軍による夜間の“浸透突破”だった。

なんと、大胆にも敵陣をかい潜って魔人メディウサを直接討ちとってしまうという、奇襲作戦というわけ。

 

精鋭部隊(ランス、イージス、パステル、クルックー、サテラ、リズナ、かなみ)と、マジノラインからの後方支援部隊(シィル、マジック)をランスが選抜。敵との交戦を避け、魔人に接近。そして、ささっと討伐する。

 

なるほど、難易度に目をつむれば単純明快な作戦ね。冒険者らしい発想とも思う。

ああ、前回のカミーラダークと似たような感じかも。あのときは、親父も作戦に参加していたけど……今回はおもりは居ない、と。上等よ。

 

といって、気持ちを奮い立たせてみたものの……ランス以外の発案だったなら絶対に採用されないだろうな。うん。

 

「あーもう! やるっていったら聞かないんだから! 失敗したら許さないからね!」

「がははははは! わかっているなら、キリキリ働け」

 

マジノラインに到着すると、魔物の領土は、もう目と鼻の先。

地の利があるマジノラインからは見下ろす形で、魔人メディウサの駐屯地が見える。

圧倒的な敵の物量を目の当たりにすると、冷たい手で心臓を握られる気持ち悪さを覚えたけど、胸の内でランスの名前を呼べば不思議と悪寒が和らいだ。

 

(……そういえば、私って前の時もマジノラインで困ったとき、ランスの名前を呼んでた気がするな。ランス、スシヌ……私、頑張るからね)

 

――ちなみに、そのときは、マジックとの関係を諦めきれずにがんばっていたゼスが誇る四将軍がひとり、光の魔法団体長アレックス・ヴァルスが彼女のそばにいた。(そして、重たい精神ダメージを負った)今回は、マジックの補佐にはシィルがつくことになっている。

 

「がんばりましょうね、マジックさん」

「ええ。よろしくね」

 

私たちは、魔法電話をつかって攻撃部隊の後方支援を担当することになった。

それで、なぜかランス達が討伐に成功した後は、魔法テレビの現地中継の準備も必要らしい。なんにしても大急ぎで手配を進めないといけない。

 

マジノライン方面を守備するゼス部隊と合流。

そこで、マジノラインの異常の原因も把握した。どうやら、マナバッテリーの一部に異常が発生していたようだ。どうやら、末端の配線に軽微な……とはいえ、修復に数日を要するくらいの損傷があるようだった。

 

(なにこれ? ……中途半端すぎるわ……なんなのよ、これ)

 

薄気味悪い。

なんで、マナバッテリーにダメージを与えることに成功しておきながら、魔軍は即座に侵攻を開始してこないの。こんな損傷、時間との勝負になる“一時的な”異常にすぎないはずなのに。

 

「はい、ランス様……マナバッテリーの守備隊の人に犠牲があったみたいです、はい。えっと、ファイヤーレーザーのような魔法で胸のあたりを撃たれて……はい。亡くなられていま……え? は、はい! わかりました。マジックさん、ランス様が――」

「え? どうしたの」

 

このときすでにランスは、マジノラインに残る私たちと別れて、魔物の領土へと出発していた。

電話ごしに聞くランスの声は、たっぷりの自信の裏側に、わずかな緊張と……怒りを感じた。おそらく、シィルさんもわかったと思う。

 

電話の内容にも驚いた。

ただでさえ少数の奇襲部隊から、かなみさんとAL教法王(クルックー)を、こっちに寄こすというのだ。

 

かなみさん……忍者を下げる?

今は一刻も早く浸透突破の奇襲作戦を成し遂げ、魔人メディウサを打ち取る作戦の途中のはずなのに。

 

(いったいランスには、何が見えてるっていうのよ……?)

 

 

 

 

――その後、マジノラインには、かなみとクルックーが編入された。

さらには、法王の身を守るため精鋭のテンプルナイト騎士隊(バッティング・センターズの隊であった)を追加。徹底した防御態勢となった。

 

その一方で、マジノラインを抜けて、魔物の領土内に潜む魔人討伐隊は……わずか5名。

 

空は鈍重な鉛を思わせる黒い雲で覆われ、やがて、雨が降り始めた。季節外れにも雹が混じっていた。

雨音があたりに響く。

 

夜が訪れ、魔軍の前線駐屯地の明かりを残して、あたりは暗闇に包まれた。

 

(ランス……)

(ランス様……)

 

マジックとシィルは、愛する男の無事を強く祈った。

 

 




途中まで書いて公開し忘れてたのを思い出した。

うーんって感じだと思うのですが公開します。
許してわん。金色の折り紙もつかっていいよ。本作を覚えていてくれた方に感謝。

最近は、ランス小説も更新されてて、まことありがたし。安心してサボry
私も感想欄に「おもしろいのれす」って書くお仕事ができるってものですな。
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