勇者ヨシヒコと魔王カズマ   作:カイバーマン。

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参ノ三

再び現れたダンジョーと共にまさかのムラサキまでもが竜王軍の幹部に

 

しかしそんな事よりも今大事なのは、ジャイアントトードの集団に囲まれてしまった事である。

 

メレブとアクアもまた、後ろからピョンピョン跳ねて徐々に近づいて来る巨大カエルから必死に逃げていた。

 

「いやぁ~アンタちょっと囮になりなさいよ! 役立たずのアンタがこの私の身代わりになれるのよ! 光栄に思いながら食べられなさい!」

「ほざいてろ! 待ってろあんなのすぐに俺がやっつけてやる!」

「はぁ冗談でしょ!? ウィザード(笑)のクセに何が出来るって言うのよ!」

「いいから待て! あ~走りながら選ぶのむずい~……」

 

逃げている途中でメレブは焦りつつも冒険者カードを取り出して指でサッサと何かを選択すると、「よし!」と意を決し方の様にサッとカエルの方へ振り返った。

 

「待たせたな異世界の魔物……ジャイアントトード! 我々の世界の魔法の恐ろしさを……その身に刻め~……」

「どうしたのアンタ、いきなり好戦的になっちゃって、まさかあのソゲブとかいうしょうもない魔法でコイツ倒すつもりなの」

「フフ、俺は今冒険者カードからある呪文を会得したのだ」

 

得意げにそう言うとメレブはジャイアントトード相手に杖を構える。

向こうもまた空気を読んで立ち止まってくれて、ギョロギョロと目を動かしながらメレブをジッと見つめるが

 

メレブは余裕気に不敵な笑みを浮かべる。

 

「教えてしんぜよう、実は私の冒険者カードには、どうやら俺の過去の経験を反映し……今まで過去に覚えていた呪文が全て書かれていたのだ!」

「……ふ~ん、で?」

「おバカ、アクアさんホントおバカ。俺は先程その中から呪文を一つ選び、そして覚え直す事に成功した」

 

全く期待してない様子で隣で突っ立っているアクアに、メレブは懇切丁寧に教えてあげる。

 

「コレはかつて俺が魔王を倒す際に使った究極の恐ろしい呪文だ、とくとそこで拝むがいい、そして跪け」

「ああいいからいいから、早くやってほら、向こう待ってるから、ちゃんと向こうの事も考えてあげて」

「あ、すみませんカエルさん……え~それでは参ります」

 

律儀にちゃんと会話が終わるのを待ってくれているジャイアントトードに一礼した後、メレブは彼に向かって杖を軽く振って

 

「せい!」

 

呪文を掛けたみたいだ、しかし相手には一見何の変化も見当たらない。

 

「ねぇちょっと……何も起きてないんですけど?」

「いや、気付かんかアクア、今このカエルは猛烈に……」

 

顔をしかめるアクアに首を軽く振りながらメレブはニヤリと笑って

 

「甘い物が食べたいと思っている」

「はぁ!?」

「この呪文に掛けられた者はとてつもなく「甘い物が食べたい! 甘い物が食べたいよ~! シュガープリーズ!!」と思考全てをとにかく甘いモノ食べたいという激しい欲求に変えてしまう恐ろしい力なのだ、そして私はこれをかつて……」

 

笑みを浮かべたままメレブはサッと髪をなびかせ

 

「『スイーツ』、と名付けたんだよ」

「お、おぉ……マジでくだらない呪文しか覚えてなかったのねアンタ……なんかメレブさんが超可哀想に見えて来たんですけど」

「フン、素人が」

 

あまりにも使い勝手の悪い呪文に驚きつつ哀れみの視線を送って来るアクアにメレブは鼻で笑って見せる。

 

「いいか甘い物を食べたいという欲求に駆られて大きな隙が出た所を叩く、呪文自体にダメージは無いけれど相手の動きを止めるには抜群の呪文なのだぞスイーツは」

「……じゃあ今コイツは隙だらけって訳?」

「うむ、その通りだ」

 

そう言ってメレブは止まっているカエルを見上げる

 

確かに隙だらけだ、さっきから自分をジッと見つめていて動こうとしない

 

だが

 

「……で? 誰が攻撃するのよ、攻撃役のヨシヒコとダクネスいないわよ」

「……みたいだね」

「それじゃあ私逃げるわ」

「うん、気を付けて」

 

ようやく攻撃できる仲間が傍にいない事を知ったメレブを置いて、アクアは脇目も振らずに颯爽とその場を後にした。

 

残されたメレブはダラダラと涎を垂らし始めたジャイアントトードを見上げながらフッと笑い

 

「言っておくけど俺は……そんなに甘い男じゃないぜ! あぁ~~~!!!」

 

この場で一番相応しい決め台詞を言い放った直後、メレブは長い舌で巻かれてそのままヒョイッと口の中に呑み込まれてしまうのであった。

 

「あぁ! 凄く気持ち悪い! マジでホントヌルヌル! どんどん奥深くに入っていくのを感じながら食べられてるよ俺! うへぇ全身ベタベタして来たよもうイヤ~!!!」

 

口の中で実況しながらあまりの気持ち悪さにメレブが悲鳴を上げ始める、すると……

 

「はぁ!!」

「ふん!!」

 

ジャイアントトードに突然二振りの剣が華麗に決められた。

 

そのダメージに悶絶しながら、んべぇっと口から粘液ベトベトのメレブが港に打ち上げられたマグロの様に滑りながら出て来た。

 

「マジ気持ち悪ぃ……もう何もかもどうでもいいからさっさとお風呂入りたい……」

「大丈夫ですかメレブさん」

「おお、来てくれたのかヨシヒコ」

 

倒したジャイアントトードの口から出てきたメレブにヨシヒコがすぐに駆け寄る。

 

どうやら魔物に一撃を与えたのはやはり彼だったみたいだ、そして

 

「ったくお前は本当に相変わらずだなぁメレブよ」

「うおダンジョー!? なんでヨシヒコと一緒にいんの!? あれ!? もしかして元に戻った!?」

「勘違いするな、一時休戦を敷いて手を組んでるだけだ、今の俺達はな」

「俺……達?」

 

全身ベトベトのままメレブが立ち上がりつつ、ダンジョーの言葉に疑問を覚えていると

 

すぐ様先程倒したのとは別の、ジャイアントトードCが三人の前に現れる。

 

「うわ! また来た!」

「ここは私が隙を作る!」

「え?」

 

焦るメレブをよそに三人の前に颯爽とムラサキが躍り出た。

 

そして一回目をつぶると……

 

「大きな目!!」

 

カット目を大きく見開いたムラサキに魔物は驚いたかの様に後ずさり。

 

そしてその隙を突いて

 

「やぁ!」

「せい!」

 

ヨシヒコとダンジョーの見事なコンビプレイであっという間に打ち倒してしまう。

 

「ありがとうムラサキ」

「へ、勘違いすんじゃねぇよ。私はただお前を利用してるだけなんだからな」

「ええムラサキ!? おおその平らな胸はまごう事無きムラサキ! 貧乳のムラサキ!! 乳無しムラサキ!!!」

「お前は相変わらず貧乳貧乳うるせぇんだよ!」

 

素直に礼を言って来たヨシヒコに顔を背けながらツンデレな台詞を吐いてるムラサキを見て

 

メレブも初めて彼女の存在に気付いて指を差すが、言ってる事にムカッと来た彼女は躊躇なく彼の膝に蹴りをかますも

 

「ってうわきったねぇ! 全身ベトベトじゃんコイツ!」

「フ、引っ掛かったな、今俺は全身に聖なるバリアを纏っているのだ、これぞ異世界で手に入れた俺の新たな力……名付けて聖なるバリアミラーフォース!!」

「いやただカエルに食われて粘液まみれになってるだけだろうが!」

「聖なるバリアミラーフォース……なんでしょう、やけに頭に残る素晴らしい響きです……!」

「頭には残る、だがメレブは明らかに強がりを言ってるだけで実際はそんなモノは無いぞヨシヒコよ」

 

昔と変わらない掛け合いをし終えると、ヨシヒコ達はすぐに互いの背中を守るかのような陣形を取った。

 

「まさかお前達とまたこうして一緒に戦う事になるとはな」

「言っておくけど私とダンジョーは竜王様の配下だからな、カエルを始末したら次はお前達をやっつけてやる」

「ふ~、久しぶりに初代ヨシヒコパーティが揃ったな~」

「皆さん、力を合わせて巨大ガエルを倒しましょう」

 

シャキーン!という音が鳴り響くぐらいバッチリ決めた4人組であったが

 

程無くしてその空気をぶち壊す女神が現れる。

 

「うわ~ん! 助けてヨシヒコさ~ん!!」

「は! 何てことだ! 女神が襲われている!」

「ま~た襲われてるよ、カエルに好かれてるなぁアイツ」

 

後ろからジャイアントードを連れて来ながらヨシヒコ達の方へ泣きながら駆け寄って来るアクア。

 

それにヨシヒコが驚きメレブが呆れていると

 

「わ~~~ん!!」

「ってオイ! なんで私の方へ来るんだよ! いや~~!!」

 

がむしゃに走りつつムラサキの方へ走って来たアクアと共に、後ろのジャイアントトードもセットで付いて来た。

 

慌ててムラサキもアクアと共に魔物から逃げ始める。

 

「コラ水色頭! なんで私まで巻き込んでんだよ!」

「知らないわよそんな事! てか誰よアンタ!」

「私は竜王軍の幹部のムラサキ……じゃなくて私から離れろよ! アイツが追ってるのお前だろ!」

「い~や~よ! 魔王の手下なら丁度良いわ! アンタがアイツに食われてベタベタになっちゃいなさいよ! エリスと競えるぐらいペチャパイのクセに!」

「あぁ~? テメェ誰がペチャパイだコラァ! その乳寄越せぇ!」

 

そう言い合いながら互いに掴み合って取っ組み合いを始めようとする二人。

 

だがそこへ追いつて来たジャイアントトードがベロリと舌を出し

 

「「あ、あ~~~~~!!」」

「しまった! 女神とムラサキが!!」

 

マヌケな声を上げながら簡単に食べられてしまうアクアとムラサキ

 

カエルの口からはみ出したまま二人は両手を振って

 

「いやぁぁぁぁ!! やっぱ気持ち悪い! 久しぶりだけどやっぱりヌルヌルしててホントやだぁぁぁぁ!!」

「あ~もうなにこの感触マジ最悪! あと暴れんなお前! カエルの粘液が飛び散って来るんだよ!」

 

口に入れられてもなおまだ揉めている様子の二人にヨシヒコがすぐに剣を構えて駆け寄ろうとする、だが

 

「あひ~!! また俺食べられちゃいました~~!」

「メレブさん!!」

 

今度は別のジャイアントトードに襲われてメレブがまたもや口に入れられてしまう。

 

「ヨシヒコー! ダンジョー! また俺全身聖なるバリア張られちゃう! 早く助けて~!」

「ちょっとアンタなにでしゃばってんのよ! 先に助けられるのは女神である私よ!」

「うわコイツ自分の事女神だと言っちゃってるよ……ヨシヒコこんなヤバい奴を仲間にしたの……?」

「私は正真正銘本物の女神よ! ヨシヒコさんヘルプ~! ヘルプ女神~!」

 

2匹の魔物に食されながら助けを求めて来る彼等に、ヨシヒコがどちらを先に助けるべきかと迷っていると

 

「一体どっちを先に……あ!」

 

するとここでタイミング良く

 

何食わぬ顔で魔物に襲われずにスタスタと通りすがりの様に歩いていたダクネスを発見した。

 

「ダクネス! 私とダンジョーさんで女神とムラサキを助ける! お前はメレブさんの方を助けてくれ!」

「……何故だ」

「え?」

 

アレだけのデカい的であればノーコンのダクネスだろうと攻撃を当てる事は出来る筈

 

そう思ってヨシヒコはダクネスに援護を求めるが、彼女は突如沈んだ表情を浮かべるや否や、すぐにバッと顔を上げて

 

「こんなにもたくさんのジャイアントトードがいるというのに! どうして誰も私を襲わないんだァァァァ!!」

 

魔物の中心で本能のままに叫ぶダクネスだが、残念ながらジャイアントトードは皆ガン無視である。

 

「聞いてくれヨシヒコ! さっきからずっと私は無防備の状態で一人でウロウロしているというのに! 襲ってみろと堂々と己を晒しているのに! コイツ等は一向に私を襲ってこないんだ!」

「なんだと! それは一体……」

 

もはや自ら襲って欲しいとカミングアウトしているダクネスだが、どうやら魔物達は彼女だけ一度も襲っていなかったらしい。

 

どういう事だとヨシヒコがそんな彼女を見ながら疑問を持っていると

 

「う~むそれは恐らく、お前が着ている鎧のせいじゃないか? ダクネスよ」

「ダンジョーさん!」

「こ、この私の鎧が原因だと!?」

 

不意にダンジョーがダクネスの着ている鎧を眺めながら年長者らしい考察を述べて来た。

 

「見ろ、あのカエルが口に入れた連中はどれも装備が薄い、しかし体の半分を金属の防具で固めてる俺と、全身を金属の鎧に身を包んでるお前には無関心だ、きっとあ奴等は金属は口に入れようとしないのだ!」

「なんだと! よし! じゃあ鎧を脱ごう!」

「なんでそうなる! 鎧を脱げばあのカエルに襲われるとさっき言っただろうが!」

 

話を聞いて急いで鎧を脱ごうとし始めるダクネスに一喝すると、ダンジョーは呆れながら腕を組む。

 

「何なんだお前、前に戦った時もブンブン振ってるだけでロクに攻撃があたらなかったり……めぐみんの奴からお前の話は色々聞かされたが、お前だけはどうにも理解出来ん……ってあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

「しまった! ダンジョーさんが食べられた!」

「おい! 鎧を着ていれば大丈夫だったんじゃないのか!」

 

ダクネスの不審な行動にいまいち理解に苦しんでいるダンジョーの隙を突いて

 

まさかの後ろから奇襲をかけてダンジョーをパクリと食べてしまうジャイアントード

 

どうやら鎧を着ていようがお構いなしに食べるという悪食の変わり者がいたらしい。

 

「いやぁぁぁぁぁん!! らめぇぇぇぇぇぇぇぇ!! とろけちゃぁぁぁぁぁぁう!!」

「うぉいダンジョー! それは本来私が使うべき台詞だぞ! オッサンの貴様が使うなぁ!!」

「オッサン言うな!! はぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!」

 

巨大な口の中でダンジョーは激しく抵抗しようと身悶えするも

 

彼の屈強に鍛えられた肉体は少しずつ魔物の長い舌でかき回され

 

自慢のもみあげを含む全身を余すことなく液体まみれになってしまう。

 

魔物の激しい責めに必死に抵抗しようとしていた彼も次第に成すがままの状態となり、このままでは身体だけでなく心も……

 

「な、なんでこの男の時にだけやけに描写が詳しく説明されているんだぁ!! ズルい! ズルいぞ貴様!」

「ダクネス! 今はそんな事より早く皆を助けあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ってヨシヒコォォォォォォォ!!!」

 

己が望んでいた事をたっぷり堪能しまっているダンジョーにダクネスが激しい対抗意識を燃やしていると

 

その背後で今度はヨシヒコもジャイアントードに食べられてしまった。

 

「く! 私とした事が油断してしまった!」

「ああ次から次へと私以外みんな粘液塗れに……というかこのままだと私以外全滅ではないか!」

「だ、大丈夫だ! 私には女神が授けて下さった技がある!」

 

そう、実はちょっと前にアクアは自分の冒険者カードを見せて、どんなスキルを覚えればいいのか指導してもらっていたのだ。

 

そして体中ヌメヌメのヨシヒコは必死に口から這い出て来ると、突如天に向かって口を尖らせて

 

「アーアアーッ!!!」

「な! ヨシヒコどうした急に遠吠えを上げて!」

「コレが私が覚えた技「なかまをよぶ」だ! アーアアーッ!!!」

 

ターザンの如く遠くまで木霊しそうな声を上げるヨシヒコに何事かと魔物の足下でダクネスが困惑していると

 

『ヨシヒコはなかまをよんだ』

 

「ん? どこからともなく誰かがこちらに近づいてくる気配がするぞ……あ!」

 

背後からドタドタと何かが急いで駆け寄って来る足音が聞こえたので

 

ダクネスが咄嗟に振り返るとそこにいたのは……

 

「お前は私が仲間に入る前に改心してヨシヒコの仲間に加わったという死体!」

 

涎と目玉を垂らした青色の魔物がひょいと軽く手を挙げ

 

「そしてお前はここに来る前に仲間になったばかりのミイラ!」

 

ついちょっと前の場所で倒した時に、手を貸してくれると誓ってくれた包帯グルグルの魔物がこちらに親指を立てて颯爽と現れた。

 

『どこからともなく くさったしたい と ミイラおとこ があらわれた』

 

「ヨシヒコが覚えた技は仲間にした魔物を呼び寄せる効果があったのか、よし、頼むぞお前達!」

 

一人では心細かったダクネスにコクリと頷く死体とミイラ

 

そして二匹はすぐにヨシヒコを見つけると、ダッシュで駆け寄って

 

 

 

 

 

 

死体は渾身の蹴りを、ミイラは会心の拳を正面から堂々とジャイアントードに特大の一撃をかました。

 

 

 

 

 

 

と思いきや

 

プルンといった様な柔らかいクッションに当たったかのように

 

二体の攻撃は魔物に全く効かずに弾かれてしまった。

 

「ど、どうやらジャイアントードの柔らかい皮膚は殴打攻撃を受け流すみたいだな……」

 

コテンと尻もち突いて首を傾げている死体とミイラに、先程の様子を見て察したダクネスが怪訝な表情で歩み寄ると

 

死体はダクネスに手と首をブンブン横に振って「んじゃ無理っす」といった感じで、ミイラは両手を合わせて彼女に軽く頭を下げて謝って来た、そして

 

ヨシヒコを咥えたままのジャイアントトードが、ダクネスの目の前で瞬く間に二匹も食べてしまった。

 

「死体とミイラァァァァァァ!!」

 

為す術無く普通に食べられた死体とミイラにダクネスは絶叫を上げる。

 

今回ばかりは相性が悪すぎた、彼らの活躍は今後に期待しよう

 

「クソ何てことだ……まさか私一人だけ残されてしまうなんて……」

「ダクネ~ス!! そ、そろそろ私限界なんですけど~!!」

「いや~! こんな頭の悪そうな女と一緒に死ぬとかマジで無理!!」

「なんだろう、俺この感触に徐々に慣れつつある……悪くないかも」

「あぁ~~ん! 頭の中まで痺れちゃうぅ~!!」

「く! 私はこんな所で死ぬ訳にはいかない! 死体にミイラよ! 何とか協力して脱出するぞ!」

 

5人と2匹が目の前で魔物達に食されていく様を見ながらどうしたらいいんだと頭を抱えて混乱するダクネス。

 

彼女一人だけではこの絶望的な状況を打破する事は出来ない、そう彼女一人だけでは……

 

「もう私一人しか残っていない……! ならばここは聖騎士として己の身を犠牲にしてでも皆を助けねば!!」

 

もはや迷っていられないとダクネスが大剣を構えてとにかく一人でも救出せねばと

 

目の前で群がっているジャイアントトードに、無謀にも単身で勝負を挑もうとする。

 

だがその時。

 

「やれやれ、久しぶりに顔見に来たら相変わらずですね二人共」

「!」

 

ダクネスの背後から

 

突如マントを靡かせながら颯爽と現れた人物が、サッと大きな杖を魔物達に突き付け……

 

 

 

 

 

 

 

 

「エクスプロージョン!!!」

 

聞き慣れたその叫び声と激しい大爆発が

 

ダクネスの前で華麗なる爆音と共に鳴り響き、ジャイアントードに豪快に炸裂したのだ。

 

 

 

 

 

 

当然ジャイアントトードが飲み込んでいたヨシヒコ達も爆発に巻き込んで

 

「あ、すみません味方ごと吹っ飛ばしてしまいました」

「ヨシヒコォォォォォォォ!!!」

 

果たしてヨシヒコ達の運命は……

 

 


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