勇者ヨシヒコと魔王カズマ   作:カイバーマン。

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陸ノ二

前回のあらすじ

 

ヨシヒコ、魔王の幹部の巨乳リッチー・ウィズに一目惚れ

 

以上

 

「実はな、エリス様のお告げでお前が何か悪さをしているんじゃないかと調べる為にここへ来たんだ」

「うえぇ!? わ、私なんにもしてないですよ! 本当です!」

「いいから正直に吐きなさいよ、やってるんでしょ悪どい事、潔く浄化されなさい」

「だから何もしてませんよ!」

 

ウィズの店へとやってきたヨシヒコ一行は

 

エリスのお告げを聞いて果たして彼女が白か黒なのか取り調べを開始するも

 

ダクネスとアクアがウィズと話してる中、メレブは一人ヨシヒコをジッと見つめ

 

「完全に固まってるわコイツ……」

「メレブ、ヨシヒコはまだ治らないのか?」

「いやこればっかりは……一生治らない病気だからねぇ彼の」

 

さっきからヨシヒコはウィズを凝視したままピクリとも動かずに突っ立たままだ。

 

メレブが軽く肩パンしたり顔の前で手を振っても、依然真顔のまま微動だにしない。

 

「はい、という事で今回はヨシヒコ、使い物になりません」

「ちょっとウィズ! アンタウチのヨシヒコに魅了の魔法でも使ったんでしょ! 白状しなさいよこのビッチリッチー!」

「わ、私はそんな魔法なんて覚えてもいませんよ! このヨシヒコさんという方には本当に何もしてませんから!」

 

変な疑いを掛けられて慌てて否定するウィズだが、アクアはますます疑う様に目を細め

 

「ちょっと前にヨシヒコの股間がすんごい事になったのもアレ絶対アンタのせいでしょ、あっちが元気になる魔法でもかけたんでしょ」

「ななななんですかそれ!? 本当に知らないですから私!」

「まああっちを元気にするなんてわざわざ魔法使わんでも……ねぇダクネスさん」

「そうだな、今は年老いた人でも元気になる為の薬とかが開発されていて……って何言わすんだ貴様ぁ!」

「おお、まさか普通にツッコミでは飽き足らず、ノリツッコミまでしてきおったぞこの娘」

 

中々いいリアクションを取ってくれるダクネスにメレブがちょっと喜んでいる中で

 

アクアはずっとウィズに厳しい尋問を続けている

 

「ほら最近誰かに怪しいモン売り付けたとかしたんじゃないのアンタ? 有名芸能人に違法薬物渡すとか、チャゲ? アスカ? どっちに売ったのよ」

「アクア、チャゲはやってない、やったのアスカ」

「そんな事もしてません! ていうか有名芸能人ってなんですか!? そもそもここ最近ウチに来たお客さんはこの辺では見慣れない女性のお客様一人ですし……」

「見慣れない女性……?」

「実を言うと私の店の商品って基本的に売れないんですよホント……」

 

危険な事を口走るアクアをメレブが窘めていると、ウィズがここ最近はロクに商品が売れていない事を話し始めた。

 

「私、どうも商才が無くてですね、冒険者さんには役に立たないモノばかり仕入れてしまうんです……」

「それは前にカズマと来た時に聞いたわね、じゃあ不思議ね、なんでこんな流行りもしない上にリッチーなんかが経営してる店にお客が来るなんていう奇跡が起きたのかしら?」

「うう……まあ確かに不思議といえば不思議かもしれませんけど……」

 

いちいち悪態を吐かないと気が済まないアクアにウィズは泣きそうになりながらもそこはなんとか耐える。

 

「私なんかと違って身軽そうな恰好をした女性でした、名前は確かムラサキさんという方でしたね……」

「ムラサキ? ちょいとメレブさん、それってアンタの所の……」

「身軽そうな恰好のムラサキさん……うん、100パーあの胸平さんだ」

「なんだと!? どうして彼女がこの店に!?」

 

ウィズの口から出た最近店に来てくれたお客がムラサキだと聞いていち早く反応するアクア達(ヨシヒコ以外)

 

どうやら彼女はここへ来たみたいだが一体何故……

 

「理由は聞きませんでしたが、男性が寝てる時に貼ると夢の中で筋肉質な男達に言い寄られるお札を大量に買い取って下さったんです、いやームラサキさんのおかげでこっちも助かっちゃいました、執拗に乳を寄越せと言い寄られながら胸を引っ張られましたけど……」

「でしょうね、ってちょっと待って? え? あの忌々しい札が売られてた店ってここ? しかも買ったのがムラサキ?」

「はいそうですよ、個人的な趣味を持つ方なら買ってくれるかもと思って私が仕入れておいたんです」

 

念願の御客の来店に加えその上商品を大量に購入して下さった事にウィズが顔をほころばせている中

 

メレブはふと先日にあったあの時の悲劇を思い出す。

 

「あぁこれは~……やっちゃいましたねぇ、もう言い逃れ出来ませんわ奥さん、自首しよ」

「ええぇ!?」

「どういう事だメレブ」

「どういう事もこういう事も無い」

 

てっきり見た目からしてそんな悪い人には見えなかったのだが……

 

落胆した様子でウィズに自首を促すメレブにダクネスが尋ねると彼は慎重に言葉を選びながら答える。

 

「竜王軍の幹部になってしまっているムラサキがそんな嫌がらせにしか使えないモノを大量に買い取ったという時点で、ちょっと考えればわかる筈だぞ」

「まさか……男達にその、同性同士での卑猥な夢を見せる為に買い揃えたという訳なのか? 例えばこの街に住む男性の冒険者に貼り付けてトラウマを与えるとか」

「うむ、超正解、さすがダクネス。これはまさしく恐ろしいテロ行為だ」

「ううむ女の私でも男同士でそういう事をするというのは気色が悪いな……想像しただけで吐きそうだ」

「俺も思い出して超吐きそう……」

 

男同士でハッスルさせられる夢を見せるとは何と凄まじいトラウマ製造機であろう

 

自分で言って顔色を悪くしながらダクネスは、ムラサキがそんなアイテムを購入した理由をすぐに推測する。

 

「こんな鬼畜な事を企んだのはきっとカズマだな、アイツは誰もがドン引きする程の鬼畜行為を働く生粋の外道だ。ここに丁度いいアイテムが売られてると知って、ムラサキを遣いにして買わせたんだろう」

「そしてそれを売ったウィズさんは……」

「この世界を脅かす竜王に加担したという事で国家反逆罪、つまり死刑ね」

「え、えぇぇ~!? ていうかカズマさん今悪い事してるんですか!?」

 

話を整理し終えて上手くまとめたダクネスにメレブが頷くと、アクアは蔑むような視線をウィズに送りながらボソッと死刑宣告

 

これには泣くのを我慢していたウィズも涙目に

 

「だ、だって私知らなかったんです! ムラサキさんがその竜王?とかいう方ですか? その人の手先でウチの商品を悪用する為に買っていったなんて!」

「しらばっくれんじゃないわよ! アンタ魔王軍の幹部なんでしょ! 魔王繋がりでカズマに人を貶める為に使うアイテム流してたって不思議じゃないわ!」

「誤解です~!」

 

アクアにしがみ付いて抗議しようとするウィズだが、彼女に触ると身体がピリピリと痺れてしまうので迂闊に近寄れないまま、ちょっと距離を置いた状態で両膝を床に突けたまま祈る様に両手を合わせながら首を横に振る。

 

「前にも言いましたけど幹部って言っても私なんてほんの名ばかりですから! 魔王さんも竜王さんの事情もホントに何も知らないんです! ただお店が儲かるのが嬉しくて売っちゃっただけなんです!」

「懺悔の言葉はそれで良いのかしら? へっへっへ、ようやくこれでアンタを浄化できる大義名分を手に入れたってモンよ……」

「アクア、今のお前完全に悪役だぞ……」

「うわぁ……絶対にコイツ女神じゃない」

 

両目から涙をこぼしながら話を聞いて欲しいと懇願するウィズだが

 

既にやる気満々のアクアは拳を鳴らしながら歪な笑みを浮かべて彼女を浄化せんと動こうとしている

 

これには流石にダクネスとメレブもドン引きしていると……

 

「彼女は無実です」

「おお! ここでまさかのヨシヒコ復活!」

 

サッと手を出して異議ありを唱えるのは先程まで固まっていたヨシヒコ、我に返るとすぐにウィズの弁護に立ち、アクアは面白くなさそうに鼻をフンと鳴らす。

 

「ちょっとどういう事よヨシヒコ、女神である私を差し置いてリッチーなんかを庇うなんて」

「女神、勇者の名にかけて私は断言します、彼女は決して悪くありません」

「ふ~ん、一応訳を聞かせて貰おうかしら」

 

腕を組んで話を聞くポーズをとるアクアに促されると、ヨシヒコはオドオドしているウィズを庇う様に前に立ち塞がりながら声高々に

 

「それは彼女がとんでもない巨乳だからです!」

「……は? ごめんヨシヒコ、もう一回言ってちょうだい」

「こんな美しい、かつ巨乳の彼女が! 悪い事なんてする訳がありません!」

「……」

 

力強くそう断言して見せるヨシヒコに対し

 

アクアは数秒顔に手を当てフゥ~と疲れたような息を漏らし、天井を見つめながら無表情で思考を巡らせた後

 

改めて彼の方へ再び振り向く。

 

「アンタ……本当にバカじゃないの?」

「ヨシヒコ、また巨乳に魅了されたか……」

「待てヨシヒコ、巨乳だから悪い事しないというのはおかしいぞ流石に」

「いや、巨乳の人に悪いモノは絶対にいない」

 

流石に仲間達にそれは無いと抗議されるヨシヒコだが、彼はキリッとした表情で真っ向から彼等に反論

 

「いいですか? 巨乳は本当に素晴らしいものなのです、巨乳があれば男達は喜ぶ、幸せになれる、そして世界が救われるんです、つまり巨乳こそ正義なんです」

「じゃあアンタ魔王が巨乳だったらどうすんのよ!」

「絶対に倒しません! 魔王が巨乳であれば! 私は喜んで世界を救う事を諦めます!」

「はぁ!? アンタそれでも勇者なの!?」

「いっそそんな巨乳の魔王がいる世界があるならば私はすぐにでも向かいたい!」

「ないだろそんな世界……」

 

アクアの問いに真っ向から正直にぶっちゃけるヨシヒコにメレブがボソリと呟く中で

 

ヨシヒコはやや混乱しているウィズの方へ手を挙げて仲間達に向かって

 

「という事で彼女は潔白です、彼女はただ相手の素性知らずに売ってしまっただけなんです」

「は、はいそうです、ちょっと複雑ですけど信じてくれる人がいて嬉しいです……」

「当たり前です、勇者はいつだって巨乳の味方ですから」

「う~ん……やっぱり複雑ですね……」

「ちょっとヨシヒコ! そんなアホな理由でコイツをお咎めなしにするなんて許さないわよ!」

 

キランと歯を輝かせながら振り向いて来たヨシヒコにウィズが苦笑していると、そんな事で無罪放免と断定できる訳ないだろとアクアがすかさず対抗する。

 

「いくら巨乳だからってそいつはアンデットの王のリッチーなの! 裏でコソコソとカズマ達と繋がっていても不思議じゃないわ! そいつを無実と証明したいのであればまずは私達を納得させてみせなさい!!」

「……わかりました、ではこれから私一人の力で彼女が良い方だと証明して見せます」

「言ったわね、男に二言は無いわよ?」

「はい、それで彼女が救われるのなら」

 

彼女の身の潔白を証明して見せろとアクアに言われヨシヒコは決意を固めた眼差しで力強く頷いて見せた。

 

「とりあえず三人は店の外で待っていてください、私はこれから皆さんに証明するために。彼女と段取りの手順を相談しようと思います」

「仕方ないわね……10分だけ待ってやるわ、行くわよ二人共」

「私も彼女の性格から見るにうっかり売ってしまっただけのような気がするんだがな……」

「まあここはとりあえず、アクアとヨシヒコに任せてみようではないか」

 

ヨシヒコに外で待っていてくれと言われ、アクアはしかめっ面を浮かべながらダクネスとメレブを連れて店の外へと出て行く

 

 

「あ、あの~ところで段取りの手順って一体なんなんでしょうか……」

「ウィズさん」

「は、はい?」

 

アクア達が出て行った後、二人だけにされてちょっと緊張した様子でかしこまっているウィズにヨシヒコがバッと振り返り

 

「少しお願いがあるんですけど良いですか?」

「?」

 

 

 

 

 

 

ヨシヒコとウィズが店の中で話をしている頃、店の外ではもう十分が経過している頃であった。

 

「もうすぐ時間ね……全くヨシヒコったら女神である私に逆らってリッチーなんかに着くなんて……」

「なあメレブ、ヨシヒコは前々からああいう事がよくあったのか? その、巨乳にぞっこんして惚れ込むとか……」

「うん、しょっちゅうある、だからウィズを初めて見た時俺はもうすぐわかった、あ、これヨシヒコのもろタイプだ、きっとめんどくさい事になるぞって」

「確かに少々めんどくさい事態になってるな……今回はエリス様のお告げだから早急に終わらせておきたかったのに……」

 

イライラと足踏みしながらヨシヒコを待つアクアの後ろで、ダクネスがメレブからヨシヒコについての話を聞いてため息を吐いていると

 

「皆さーん!!」

「あ、ヨシヒコ!」

 

ウィズの店からヨシヒコが勢いよくドアを開けて出て来た。

 

こちらの方へすぐに駆け寄ると、待っていたアクアが腕を組んでジッと彼を睨み付ける。

 

「私達にアイツがシロだという事を証明出来る準備は出来たのかしら?」

「もちろんです女神、これならきっとメレブさんやダクネスも彼女が本当に良い方だとわかってくれます」

「なら是非ここで聞かせて貰おうじゃない、また巨乳だから悪くないとか言うんならビンタ食らわすからね」

「任せて下さい、これなら絶対に彼女の事を信じてくれます」

 

自信ありげにそう言って頷くヨシヒコにアクアは挑戦的に真っ向から対峙していると

 

彼は真顔のまま彼女達に向かって

 

「先程思い切って聞いてみたんです、そしたらなんと彼女から了承を貰えました」

「……は? 了承ってなんの?」

「式です」

「式?」

 

彼が何を言っているのかいまいち読み取れずにアクアが首を傾げていると

 

ヨシヒコは嬉しそうに顔をほころばせて

 

 

 

 

 

 

「今日の晩、私と彼女で結婚式を挙げます!」

予想だにしない彼の言葉にアクア達は顔に手を当て黙り込み

 

空を見上げながら無表情で思考を巡らせた後

 

改めて彼の方へ再び振り向いて

 

 

 

 

 

 

「「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」」」

 

突拍子もない突然の告白に一同は最早叫ぶしかなかったのであった。

 

 

次回、ヨシヒコの結婚式

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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