勇者ヨシヒコと魔王カズマ   作:カイバーマン。

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玖ノ三

この世界に来てからメレブは攻撃系の呪文を手に入れた

 

それは奇しくも今目の前で歯がゆそうにしている少女、めぐみんが十八番として(というよりそれしか使えない)用いているとっておきの切り札

 

 

爆裂魔法

 

「お前の爆裂魔法に対抗できる力を欲していた俺は遂に手に入れたぞ……お前と同じ爆裂魔法をな!」

 

「きー認めません! 認めませんよそんなの! あなたみたいな見た目も中身もヘッポコな魔法使いが私と同じ爆裂魔法の使い手になるなんて!」

 

「フフフ、見た目も名前も珍妙な貴様に……何を言われても俺は全くのノーダメージ!」

 

「んがぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

めぐみんと同じく爆裂魔法を覚えたことでメレブはすっかり調子に乗った様子でヘラヘラと笑いかけてくる。

 

オマケに自分の名前だけでなく厨二スタイルの見た目までもバカにされたので、彼女の怒りは有頂天に

 

「そこまで言うならやってやろうじゃないですか! 爆裂魔法対決です! 私と一騎打ちで勝負して下さい!」

 

「おいめぐみん、そんな熱くならなくて良いって。だって相手がメレブだぜ?」

 

「うむ、爆裂魔法を覚えたと言っていたが……どうせなんの役にも立たない使えない呪文に決まってる」

 

「それならそれで腹が立ちます! 使えない呪文を爆裂魔法と称されては爆裂魔法の担い手である私を侮辱してるのも同じです!!」

 

地団駄を踏みながら決闘を申し込もうとする彼女に、メレブとは長い付き合いであったムラサキとダンジョーがすぐになだめに入る。

 

しかし頭に血が上っているめぐみんは是が是非にでもここでメレブを仕留めなければ気が済まないみたいだ。

 

「止めないで下さいダンジョーさんにムラサキさん! これは私個人がどうしてもやらなきゃいけない戦いなんです! さあ! 自信があるのであれば自ら前に出て下さい!」

 

「おいホクロとっとと謝れって、めぐみんの爆裂魔法本当に凄いんだぞ」

 

「魔力の消費量が多いので1日1回しか撃てん代物だが、お前如きが止められるモノではない恐ろしい威力を持っている、早い所この娘に土下座なりして許してもらえ」

 

杖を突き出しながらダンジョー達より前に出るめぐみん、どうやら本気の様だ。

 

しかしメレブの力量を知っている二人はすぐに彼に対して無理だから止めておけと意外にも親切にアドバイス。

 

するとメレブは不敵な笑みを浮かべながらめぐみんと同じくそっと一歩前に出て

 

「面白い、受けて立とうではないか」

 

「ちょっとメレブよしなさいって! アンタじゃ絶対無理! 100パー死ぬから!」

 

「考え直せメレブ! めぐみんの爆裂魔法は本当に凄まじい威力だぞ! 私が保証するから素直に降参しろ!」

 

「うーわ、誰一人俺が勝つと思ってくれない、超アウェーなんだけど」

 

ダンジョーとムラサキだけでなく仲間のアクアやダクネスにまでバカな真似は止せと言われ

 

敵味方両方に信用されていない完全アウェーな立場に立たされて少し寂しげな顔をするメレブだが

 

そんな彼に一人だけ自信を持った強い眼差しを向ける一人の男が

 

「大丈夫です、メレブさんなら絶対に彼女に勝ちます、勝ってこの状況を切り開いてくれると私は強く信じています」

 

「ヨシヒコ~! ホントお前だけだよ俺を信じてくれるの~!」

 

「仮に負けたとしても、あのめぐみんという少女がこんなにも皆さんに評価されている程の凄い爆裂魔法を見せてくれるのであれば、私はそれで満足です」

 

「そして上げて落とす~! なになに!? それはつまり、俺が死んでもめぐみんの爆裂魔法が見れればそれでいいって事!?」

 

「勝ってほしいとも思ってます、ですが負けてもいいとも思ってます」

 

「いやだからそういう事なんでしょ! てか止めておけと言っているアクアやダクネスの方がまだマシだよ? ヨシヒの場合、負けてもいいから戦って来いってすげぇ酷い事言ってるよ俺に?」

 

なんだかんだで長く苦楽を共にしてくれているヨシヒコなら期待してくれると信じていたが

 

どうやら彼はメレブが負けようがめぐみんが勝とうがそれはそれで構わないらしい。

 

爆裂魔法の存在よりヨシヒコの天然が一番怖いわ……と思いながら彼に向かって一瞥した後

 

キリッとした表情を取り繕いながらメレブはめぐみんと改めて対峙する。

 

「待たせたな、ではいくぞ、アークウィザード・めぐみん!」

「かかってきなさい、ウィザード(笑)・メレブ!」

 

互いの視線が交差した時、それが決闘開始の合図だったかの様に杖を構えた。

 

別々の世界に住んでいる魔法使い同士による夢の対決が今……

 

 

 

 

 

「よっと」

「ってえ!? 私がまだ詠唱してる途中に呪文掛けて……!」

 

切って落とされたのだが、メレブは開始2秒も経たない内にパッと杖を振ってめぐみんに呪文を掛ける。

 

ここで最大級の爆裂魔法を拝ませてやろうと意気込んで詠唱を始めようとしていた彼女は、流石に面食らった表情を浮かべた。

 

「爆裂魔法なのになんで詠唱が無いんですかあなた! やっぱり本当は爆裂魔法なんか覚えてないんでしょ!」

 

「フ、呪文を掛けるのに詠唱が必要な魔法使いなど! この俺にとってはまだまだ半人前の領域!」

 

「な!」

 

「俺の呪文は全てがノー詠唱!! 呪文1発撃つのに長々と念仏みたいな言葉なんて言ってられるか! てか覚えれないわ俺! 台本に書かれても絶対に途中で噛むという自信ある!」

 

「なんという男でしょう……詠唱を使わずに魔法を行使できるとは……素直に驚きです……!」

 

カッコいい事言ってるのかカッコ悪い事言ってるのかよくわからないが

 

少なくとも同じ魔法使いであるめぐみんにとっては、詠唱無しで魔法を使えるというのはとんでもなく凄い事らしい。

 

しかしめぐみんはふと自分の身体を確認する。

 

メレブに呪文を掛けられたというのになんら変化は見当たらない。

 

「まあ詠唱無しで魔法が使えるというのは恐ろしいと認めます、ですが今、私は今なんの変化もありません、なんの効果がある魔法を使ったのかは知りませんが、このまま私は爆裂魔法を唱えさせていただきます、それで私の勝ちですお疲れさまでした」

 

「……何勘違いしているんだ?」

 

「……ひょ?」

 

「まだ俺のバトルフェイズ、いや……この戦いはもうとっくに終了しているんだぜ?」

 

「は? 何を言って……う!」

 

こちらに対して何故かほくそ笑むメレブであるが、やはり爆裂魔法を覚えたというのはハッタリだったかと、めぐみんがこの勝負貰ったと確信した瞬間

 

急に体の内部から今までに感じた事のない強烈なナニかを感じ始め、グラリと上体を前に傾ける

 

「あ、あれ? なんですかコレ……急にウソ……冗談ですよね……! こんな時にウソですよね!?」

 

「ど、どうしためぐみん! 急にお腹を押さえてそんなに慌てて!」

 

「おいおいアイツに何かされたのかよめぐみん!」

 

「うが! ち、近寄らないで下さい! お願いだですから誰も私に近寄らないで下さい!!」

 

杖を握ってない方の手で必死にお腹を押さえながら、切羽詰った表情で駆け寄って来たダンジョーとムラサキに叫ぶめぐみん

 

次第に額から大量の汗を流しながら、苦しそうな呼吸を繰り返し始めた彼女に二人は目をまん丸と見開いていると

 

「フフフ、どうやら俺の爆裂魔法は見事にお前に掛かったみたいだね、ミス・変な名前ランキングチャンピオン、めぐみんよ」

 

「あ、あなた……! 一体私になんの魔法を……!」

 

「お前は~今、こう思っているのではないか?」

 

苦悶の表情を浮かべ何かを我慢している様子のめぐみんに対し、メレブは勝ち誇ったドヤ顔を浮かべながら愉快そうに尋ねた。

 

「あ、めっちゃ凄いオナラ出そう、と」

 

「!!」

 

「先に言っておくがそのオナラは物凄く音がデカい! 爆弾音並にマジでデカい! そして臭い! えげつない程臭い! 一般の人なら嗅いだ瞬間卒倒するであろうぐらい臭い!!」

 

「な、な、なんですってぇぇぇ!?」

 

「それ出したらお前……ここにいる全員から絶対にドン引きされちゃうだろうな~」

 

彼の言葉を聞いてめぐみんは一気に青ざめ始めた。

 

確かに彼の言う通り彼女は物凄くこの場で1発とんでもないモノが出てきそうだという悪い予感を覚えている。

 

しかしその威力が自分が今思ってるモノより到底想像できない程の1発だとしたら……

 

「俺の覚えた俺流爆裂魔法は、お前が覚えている”相手を爆裂する”呪文ではない、”相手が爆裂する”呪文なのだよ」

 

「はぁ!? ま、まさかあなたが覚えた新しい呪文というのは! あ、ちょ! ちょっと待ってください今ホントヤバい……!」

 

メレブの話を聞いてめぐみんは自分が置かれた状況に気付き始めるも、会話の途中でヤバいのが来たと感じたのか、一旦言葉を区切るって懸命に抑え込む。

 

「ハァハァ……! まさかあなたは……物理的に破壊するのではなく、人体の内部に変化を起こさせ……こんなえげつない真似をする呪文を……!」

 

「そう、コイツを掛けられた相手は、それはもうドラゴン! ドラゴンのブレスに匹敵するぐらいヤバい放屁を爆裂させてしまうのだ! 私はこの呪文を!」

 

 

 

 

 

 

「「ドラマタ」! と名付けさせて頂きやした!!!」

「あぁぁぁぁぁぁぁぁ~!!!」

「ん~? どうしたのめぐみん~?」

 

対象が爆裂する魔法ではなく、対象を爆裂させる魔法、「ドラマタ」

 

それを掛けられた事にめぐみんは血走った目を剥かせながら本気で危機感を覚え始め

 

遂には持っていた大事な杖を床に落とし、両手でお尻を押さえ出す。

 

「ヤバいですヤバいですヤバいです~!」

 

「あれれ~? 爆裂魔法撃たないのめぐみ~ん? 俺、めぐみんの爆裂魔法みたいな~?」

 

「そんな事出来る場合じゃないのわかってるでしょコンチクショォォォォォォォ!!!」

 

こっちが必死なのをいい事に、杖の上に顎を置いて左右に首を動かして挑発してくるメレブ

 

しかし今のめぐみんはもうそれに応える余裕は無かった。

 

「すびばせん……! 私一度撤退しますぅ……! すぐにどこか誰もいない場所に行きたいんです私……!」

 

「お、おう! 俺達の事はいいから早く行け! 一人で行けるな!?」

 

「はいぃ……! ていうか一人じゃないとダメなんです……! 爆発するのであれば遠い所でひっそりとぉ……!」

 

「い、いいからここは私達に任せて行けって!」

 

乙女のプライドとして公然の場所で放屁だなんて絶対に出来ない。

 

撤退を余儀なくされためぐみんは、涙目でダンジョーとムラサキに訴え出ると、彼らに見送られながら出来るだけ体に刺激を与えない様に注意を払いながら小走りで逃走。

 

「メレブ……絶対に倒します……! 私の人生全てを賭けてでもあの男だけはなんとしてでも仕留めてみせます……!」

 

「おやおや~? 俺ひょっとして何かやっちゃいました~?」

 

これ程の屈辱を味わった事でメレブに対して強い殺意が芽生えためぐみん。

 

しかしヨロヨロと逃げていく彼女を見送りながら、メレブは完全勝利と言わんばかりに満面の笑みを浮かべて仲間達の方へ振り返る。

 

だが

 

「「……」」

 

「あれ、なんでかな、俺勝ったのに、みんなに称賛されると思ったのに、何故か女性陣から今までにない軽蔑の眼差しを向けられている気がする」

 

「アンタ……いくら裏切りめぐみんが相手とはいえ……女の子相手にアレは無いわよ流石に、マジドン引き」

 

「やっていい事とやって悪い事があるんじゃないか……?」

 

出迎えてくれた仲間、ヨシヒコを除くアクアとダクネスから

 

嫌悪感を一切隠すつもりなくこちらを刺すような視線を向けられるメレブであった。

 

「あのさ、アンタもうあの呪文二度と使わないで、いい?」

「いやいやいや、見たでしょ俺のドラマタ、これ絶対魔王に効くぜ?」

「いいから今後一切その呪文を使うな、さもないともう二度と口を利かんぞ」

「……やっぱダメだった?」

「「ダメ」」

「だよね……薄々自分でもちょっと……これは使っちゃダメな奴じゃないかと自覚してました、はい」

 

女性陣から物凄く非難の的にされるメレブも軽く項垂れて素直に認めるしかなかった。

 

背後からもムラサキが「女の子泣かすなんてマジサイテー……」と睨んでいるのを背中で感じてちょっと居心地悪そうにしょんぼりするメレブ。

 

「どうしてだろう……勝ったのにすげぇ周りから嫌われちゃった俺……」

「メレブさん今の呪文凄いです! アレなら魔王も倒せますね!」

「いやヨシヒコ……もうドラマタの事は忘れて、これ以上俺の好感度下げたくない」

「私にも是非! ドラマタを掛けて下さい!」

「ヨシヒコ……正気?」

 

かなり精神的にダメージを負ったメレブに対して一人だけキラキラとした笑顔を浮かべながら、自分にドラマタを掛けてくれと志願するヨシヒコだが

 

流石にこの状況に耐えられないのでメレブは静かに首を横に振って断るのであった。

 

「めぐみんがやられてしまったが……構わん、ならば俺達のみで貴様等を叩きってやる」

 

メレブのせいで空気が悪くなったのを感じたのか、雰囲気を変える為に自ら話題を切り出して一歩前に出るダンジョー。

 

「ここからは俺達が相手してやる、来い」

「私達の仲間のめぐみんに、あんな酷い目に遭わせた事ぜってぇ後悔させてやる」

「うわムラサキこっち凄い睨んでる……完全に俺オンリーを狙う気だよ」

 

どうやらめぐみんがいなくなった後も戦う気満々の様子だ、しかもムラサキに至ってはメレブを完全にロックオンしている。

 

そして味方であるアクアとダクネスからも

 

「アンタが攻撃されても今回は私、回復させてやんないから」

「私もお前の事を庇う事はしない、身を持って己の行いを反省しろ」

「おお、これぞ正に……四面楚歌……」

 

仲間からの補助もされないとわかったメレブは本気で落ち込み始めるも

 

そんな事関係なしに、ヨシヒコはいつもと変わらずキリッとした表情でダンジョー達の方へ前に出る。

 

「ダンジョーさん、私は先程めぐみんに対してこう答えました、ダンジョーさんとムラサキを元に戻す切り札を用意していると」

 

「ほう、そういえばそんな事を言っていたな、どうせ下らんハッタリだろ?」

 

「いえ、本当に持って来ました、お二人を救うアイテムを」

 

そんなモノがある訳ないと嘲笑を浮かべるダンジョーに、ヨシヒコはスッと懐からあるモノを取り出した。

 

それは黒と白の2色で構成された縦笛、俗にいうリコーダー

 

「この導きの笛を吹けば、例え魔王の呪いであろうと打ち消す事が出来るんです」

「ヨシヒコ、遂にその笛を使うのか、出来ればもっと早めに使って欲しかったなぁ……」

「魔王の呪いを打ち消すだと? そんなモンが俺に効く訳ないだろ」

「もともと私達は呪いなんて受けてないっつうの」

「ならば試して見せましょう」

 

二人は呪いに掛かっている自覚は無いのか、ヨシヒコの話を聞いても全く信じていない様子。

 

それ早く使ってれば自分がめぐみんに対してドラマタ掛ける必要も無かったんじゃね?と目で訴えて来るメレブをよそに、ヨシヒコはすぐに両手で導きの笛を持ったまま口に当てる。

 

そして

 

「ピ~ピピ、ピ~ピピ、ピッピピピピ~♪」

「……ん? ヨシヒコ?」

「ピ~ピピ、ピ~ピピ、ピピピッピピピ~♪」

「なんでここで……踊るポンポコリンをチョイス?」

 

微妙にズレてはいるがその曲をどこかで聞いた覚えのあるメレブ。

 

こんな歌で魔王の呪いが解けるのかと不安げな表情でチラリとダンジョーの方へ目を向けると

 

「ぐわぁぁぁ~~!!! な、なんだ!! 頭が! 頭が急に割れそうだ~!!」

「その笛を吹くなヨシヒコ~! 頭の中ですんごい響くんだよ~!」

「うわ効いてる! マジで!? ポンポコリンで呪い解けそうになってるよあの二人!」

 

二人揃って頭を抱えて本気で苦しんでいるではないか。

 

どうやらヨシヒコの謎チョイスした笛の音色を聞いて、魔王の呪いが解けかかってるみたいだ。

 

「これなら行けるぞヨシヒコ!」

「ピ~ピピ、ピ~ピピ、ピ~ピピピピピ~♪」

「流石はヨシヒコね! 変態メレブと違ってまともな方法であの二人の呪いを解く気だわ!」

「いいぞヨシヒコ! なんの歌なのかは知らんがそのまま奏でろ! 解呪までもうちょっとだ!」

「ピッピピピピピ♪」

 

意外と笛を吹けたヨシヒコによってダンジョーとムラサキは先程のめぐみんの様に苦悶の表情を浮かべて苦しがっている。

 

このまま吹き続ければ彼等をきっと元に戻せる、仲間達もそう強く確信した。

 

 

 

 

が、その瞬間であった

 

 

 

 

 

「スティーーーーーール!!!」

 

どこからともなく聞こえて来たその叫び声と共に

 

ヨシヒコが吹いていた導きの笛が突然フッと消えたのだ。

 

「なに! 導きの笛が!」

「どうしたヨシヒコ、急に笛を吹くのを止め……あれ? 導きの笛無くなってんじゃん!」

「アクア! さっきの叫び声聞いたか!?」

「ええ……どうやらここに来て一番相手したくない奴が来ちゃったみたいね」

 

持っていた筈の導きの笛が消えた事に動揺するヨシヒコとメレブ

 

そしてダクネスもまた先程の叫び声の主を見つける為に慌ててキョロキョロと周りを伺う。

 

一人だけ落ち着いた様子でいるアクアは、腕を組んだまま面白くなさそうにダンジョーとムラサキの背後の方へチラリと目をやる。

 

「相変わらず正面から挑まずコソコソと……ほらさっさと出て来なさいよヒキニート」

 

呆れた調子でアクアが言葉を投げかけると、ダンジョー達の後ろに隠れていた人物がヒョコッと顔を出した。

 

その姿は一見極々平凡な一般人の少年……

 

 

 

 

 

「誰がヒキニートじゃい、今は魔王だよ駄女神」

 

そう、舌をベッと出して悪態を突くこの少年こそ

 

 

 

 

アクアとダクネスが探し回っていためぐみんと同じくもう一人の仲間

 

 

佐藤カズマ、またの名を魔王カズマである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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