勇者ヨシヒコと魔王カズマ   作:カイバーマン。

43 / 50
拾壱ノ三

 

池速人、北村裕作、薫拓哉、桐洞一成、志村新八

 

五人の眼鏡少年を余所の作品から引き抜きに成功したメレブによって

 

ヨシヒコパーティーは破竹の勢いで魔王の城を攻め込んでいく。

 

「うおぉぉぉぉぉ!!」

「負けるかぁぁぁぁぁ!!!」

 

鋼鉄製のドラゴン目掛けて二人でタックルを決めて強引に押し倒す池速人と北村裕作

 

「新八さん、スイッチです!」

「よし!え? スイッチってなに!?」

 

六本の腕で剣を構えた骸骨の剣士に対し、拾った剣を構えて果敢に挑む薫拓哉と志村新八

 

「よし、お前達は向こうの方の援護を頼む、お前達はヨシヒコさん達の護衛、お前はその場で待機、お前はみんなの為に食事を作ってくれ」

 

 

複数の魔物と対峙しても、圧倒的カリスマで従えさせ、強面の魔物に臆することなくテキパキと指示を送る桐洞一成。

 

そのまま五人のおかげでどんどん進んで行き、ヨシヒコ達はおかげでかなりスムーズに攻略出来ていた。

 

「ウソだろおい! メガネンジャーが! メガネンジャーがここまで出来る子達だったなんて!」

 

「私が支援魔法と回復魔法掛けてるおかげよ! 毎回ボロボロになりながらモンスターに突っ込むから目を離すと簡単に死にかけるし!」

 

まるでわが子の成長っぷりを見守っているかの様に感動しているメレブをよそに、アクアは必死に五人組にステータスアップと回復の魔法を掛けまくっていた。

 

「ヒールヒール! 筋力強化! 速度強化! 花鳥風月! 防御力強化! ブレッシング! もういっちょ花鳥風月!」

 

とどのつまり、五人組がこんな危険地帯で暴れられるのはアクアの支援あってこそなのである。

 

ドサクサに水芸を披露しながらも、余所様の作品のキャラを死なせたらヤバいと、アクアは必死に彼等の補助に回り続けている。

 

そしてヨシヒコもまた勇者として単身で複数の魔物相手に戦いを挑む。

 

「道を妨げるのであれば……容赦はせん!」

 

新たに手に入れた聖剣、エクスカリヴァーンを抜いたヨシヒコが、金色に輝く刃で次々と圧倒していく。

 

「でやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

剣を握ってその場でヨシヒコがグルグルと回り出すと、周りにいた魔物達が一斉に後ろにバタリと倒れてしまった。

 

「凄い、これが聖剣の力……これさえあれば魔王にも勝てる……!」

 

キレ味抜群の剣の攻撃力にヨシヒコが感動していると、そこへまた新手が

 

顔に頭巾を被っただけで後はパンツ一丁の斧を手に持った変態チックな魔物が現れた

 

「うおぉォぉォ!!そいつだけは! そいつの相手だけはお前に譲らんぞヨシヒコォ!」

「ダクネス!」

 

ヨシヒコを庇う様に現れたのは聖騎士・ダクネス。半狂乱の声を上げながら斧を振り上げた魔物の前に立ち塞がる。

 

「こんな! こんな欲情に塗れたモンスターは見た事が無い! 間違いなく変態だ! 捕まえた女冒険者にあんなことこんな事する変態に決まってる! さあ~かかってこい変態め! 言っておくが私はお前に打ち負かされても決して屈しないぞ! 何をされても! 何をされても絶対に!」

「……」

 

魔物に向かってハァハァ言いながら恍惚の表情で思いきり何かを期待している様子のダクネスが、剣を構えながらジリジリとその魔物に攻撃して来いと誘うかのように近づいて行くも

 

コイツはヤバいと感じたのか、魔物の方からゆっくりと後退を始めた。

 

「おいなんで私から離れる! こっちに来い変態! この私に攻撃して来るんだ! いやして下さいお願いします!」

「……」

 

ついでに彼女の背後にヨシヒコも無言で彼女から距離を取る。

 

「ヨシヒコが引いてる! すっげぇレアなの見れた!」

「ヨシヒコにさえ引かせるなんて、流石はダクネスね……」

「変態カムバァ~~~~ク!!!」

 

基本的には仲間の行動に対して特に動じる事が無いヨシヒコでさえ、今のダクネスの行動には引いている様子。

 

それを見ていたメレブとアクアが彼女に対し感心しながらも共にドン引きしていると

 

遂にダクネスから遠ざかっていた魔物もまたダッシュで逃げ出した。

 

「おのれ根性なしめ! 魔王の城を拠点としているのに女騎士を前にして逃げ出すとは! あの変態ボディは見掛け倒しか!」

 

「皆さん、先を急ぎましょう」

 

「よし、メガネンジャー! 全員集合!」

 

「置いてくわよダクネス」

 

 

去って言った魔物に対して失望を感じながら絶叫を上げるダクネスを尻目に

 

ヨシヒコ達は更に上へと昇って行くのであった。

 

 

 

 

 

 

その頃、ヨシヒコ一行が確実にこちらに向かって来ている事を知ったカズマ一行の方はというと

 

「あークソ! まさか一度負かしたのに更にパワーアップして復活するなんて! 本物の勇者じゃねぇかよ!」

 

「落ち着いて下さいカズマ、それよりも連中がそろそろこっちにやってくる頃ですよ、地味眼鏡戦隊・メガネンジャーを連れて」

 

「だからそのメガネンジャーってなんだよ! 得体が知れなさ過ぎて勇者と同じぐらい怖い!」

 

猛烈にカズマは焦っていた、まさかヨシヒコ達があの強大な魔物の群れを押しのけて、一直線でここまで辿り着けるほどの力を手にしていたなんて……

 

隣でめぐみんが戦いの準備をしながら杖を構えていると、傍にいたダンジョーやムラサキも得物を構え

 

「だから言っただろう、ヨシヒコは真の勇者、必ずやもう一度我々に挑みに来るとな」

「なんだかんだで絶対に諦めないからな、ヨシヒコの奴」

「くそ! このままだと俺の計画が台無しに……! こうなったら……!」

 

元仲間であるヨシヒコの事を高く評価している二人に、カズマの方は悔しそうに地団駄を踏みながら、ヨシヒコから奪ったいざないの剣を手に取る。

 

「俺だってやってるよ! どんな力があろうと俺達には竜王のオッサンの力がある! なにかあったら竜王のオッサン頼りにしよう! そんでもう何やっても勝てないと悟ったら全力で逃げる! はい作戦決定!」

 

「カズマ、それカッコよく言ってるみたいですけど結局他人任せですからね。しかも負けそうになったら逃げるって……」

 

「俺の中には竜王が住んでる、つまり俺さえ逃げればいくらでもやり直せるチャンスがあるんだぜ? そん時は今度こそ勇者を暗殺とか正攻法じゃない手段を用いても倒してやるよ」

 

「……」

 

顎に手を当てキランと歯を輝かせながら物凄くカッコい悪い事を言ってのけるカズマ。

 

それを見てめぐみんは呆れた様子で黙り込む。

 

確かに魔王に体を乗っ取られる前からこんな図太くて卑怯な性格はしていたが、あの頃よりもずっと悪に染まりきている、ていうか完全に調子乗っている。

 

(そろそろ潮時ですかねぇ……)

 

大方、ダンジョーやムラサキと同じくカズマもまた竜王によって心を邪悪に操られてしまっているのだろう。

 

それを知った上で今までこうして彼の傍を離れず見守ってやっていた、しかしろそろそろ頃合いだ……

 

(いやまだですね、もうちょっと……あの予想も付かない勇者達が、カズマの中にいる竜王をも倒せる実力があると証明するまで……)

 

横にいるカズマ、そしてダンジョーやムラサキの方にもチラリと横目をやりながら

 

めぐみんはふと扉の方から数人の足音を聞き付けすぐに前に向き直る。

 

(この魔王軍の幹部・めぐみんというおいしいポジションを楽しませてもらいましょう)

 

彼女が一人静かにそう心に決めていると

 

 

 

 

 

 

四人の前にある扉がバーン!と勢いよく開かれた。

 

「私は戻って来たぞ! サトウカズマ!」

「チッ、戻って来なくて良かったのに……」

 

扉が開いた先に立っていたのはやはり勇者ヨシヒコの姿だった。

 

遂にここまで来たのかとカズマがしかめっ面を浮かべて明らかに不機嫌になっていると

 

ヨシヒコの後ろからゾロゾロと他の連中も中に入って来る。

 

「待たせたな、ダンジョー、そして胸平さん、ここいらでお前達の呪い、解かせて頂く」

 

「今度こそ容赦しないわよカズマ! もう泣いたって許してやんないんだから!」

 

「めぐみん! お前にも少々頭を冷やしてもらうぞ! 仲間としてお前の根性を叩き直してやる!」

 

メレブ、アクア、ダクネス、ここに来るまで誰一人欠ける事無くやって来たみたいだ。

 

現れた勇者の一行に対し、ダンジョー達も一歩前に出て

 

「ハッハッハ、よくぞ来たな勇者達よ、今度こそ、今度こそお前達を倒してやる!」

 

「コレでお前等ともおさらばだ! 父の仇を取らせてもらう!」

 

「やれやれ、私達にはもう敵わないとあの時気付いておけば、こんな所に無駄足を運ぶ必要も無かったというのに……」

 

 

ダンジョー、ムラサキ、めぐみんもまた得物を構えせて戦闘態勢に

 

そして大将であるヨシヒコとカズマもまた真っ向から視線を合わせて対峙する。

 

「返してもらうぞ、ダンジョーさん達を元に戻すことが出来る導きの笛と、お前が持っているいざないの剣を」

 

「笛はともかく剣はもう必要ないんじゃないか? なんだそのすげぇ金ピカな剣は、ミツルギが持ってる奴みたいなチート武器か?」

 

ヨシヒコが手に持つ聖剣エクスカリヴァーンに、カズマが嫌味ったらしく呟くと、めぐみんはそっと彼と同じくヨシヒコが持つ剣に目をやる。

 

「……」

 

「どうしためぐみん? ヨシヒコの持ってる剣がそんなに珍しいの?」

 

「いえ、なんでも無いですよムラサキさん」

 

不意に尋ねて来たムラサキにめぐみんは悟られない様にポツリと呟くのであった。

 

そうしていると、ヨシヒコ達の方は決戦前の作戦会議を始めている。

 

「メレブさんはいつもみたいに最高の呪文を使って我々を援護して下さい、女神は前衛で盾になってくれるダクネスに回復魔法と支援をお願いします」

 

「「無理」」

 

「え!?」

 

メレブとアクアに大事な役目を与えるヨシヒコだが、それを二人にすかさず出来ないと首を横に振られて拒否されてしまい驚きの表情。

 

「どうしてですか!? もしかして何かあったんですか!?」

 

「うん、俺はコノスバ!を使ってMP切れてます、もうなんの呪文も使えません」

 

「私もここに来る前にメガネンジャーに対して散々支援魔法を掛けていたから、残り魔力が無くなっちゃった」

 

「マジですか!?」

 

「「うんマジ」」

 

「何てことだ! まさか、ここに来てメレブさんと女神が戦えない状態になるなんて……!」

 

二人揃ってもう呪文を使える力は残ってないらしく、コレでは圧倒的にこちらが不利じゃないかとヨシヒコが愕然としていると

 

「大丈夫ですよヨシヒコさん!」

 

「メレブさんとアクアの代わりに俺達がフォローします!」

 

「魔王を倒す為に、僕等はいくらでもヨシヒコさん達の盾になります!」

 

「ここいらで衛宮への土産話を持ち帰らないといけないしな」

 

「僕のクラスに自慢してやりますよ、ちゃらんぽらんの担任の先生にも。僕は勇者と一緒に勇敢に戦ったって」

 

「メガネンジャー……!」

 

そう二人分の戦力は減ったが、今のヨシヒコには新たに五人の助っ人がいるのだ。

 

眼鏡を掛け、制服に身を包んだ五人の戦士が……

 

「いや待て待て待て! まさかそこの五人組もこの場で戦うつもりなのか!? おい勇者! こっちは四人でそっちは九人! 数的にはそっちの方が有利なのにその上で俺達と戦うって、それが勇者のやり方なのか!?」

 

「勇者だからこそだ!」

 

「あーそういやRPGのゲームでも大体魔王一人に集団で襲い掛かるもんな勇者って……考えてみたら血の涙も無い奴だな……」

 

例え相手が一人であろうと集団で取り囲み袋叩きにする。常に全力で戦う事を義務付けられた勇者ならではの常識に、カズマは頭に手を置いてたじろぐもそこへダンジョーが口を挟み

 

「心配するなカズマ、いくら五人増えたといっても所詮はただの一般人だ。烏合の衆など魔王軍の幹部である俺達の敵じゃない」

 

「そうだよカズマ、それにあそこの水色頭はもうまともに戦えないんだろ? 回復が出来ない今こそヨシヒコ達をぶっ倒すチャンスだろ」

 

「ああ、言われて見れば確かに……」  

 

ダンジョーだけでなくムラサキにも指摘されてカズマはふと気付いた。あの五人組は所詮なんの力も持たない一般人だと

 

メレブはともかく回復&支援担当のアクアが魔力ゼロの状態、そしてダクネスは言わずもがな役立たず。

 

「唯一の攻撃要因である勇者ヨシヒコだけを倒せば……ひょっとしてあっさり勝てるんじゃないか?」

 

「その通りだカズマ! ここはまずヨシヒコを集中攻撃し! 奴を倒した後に他の奴等も倒せばいい!」

 

「よし、それならイケそうだ。よっしゃあ行くぞ勇者共!」

 

ダンジョーの作戦通りに行けば絶対に勝てると確信したカズマは、頭の中でどうやってヨシヒコを倒すべきかと思案しながら一歩前に出た。

 

「魔王の力をとくと見せてやる!」

「勇者の力をとくと見るがいい!」

 

ヨシヒコも負けじと一歩前に出て互いに睨み合いながら火花をぶつけ合う。

 

主人公対決第二弾、間もなく開始。

 

 

 

 

 

Bパート

 

 

 

 

 

 

ヨシヒコパーティーvsカズマパーティー

 

二つの陣営が遂に真正面からぶつかり合い、熱いバトル展開が始まった。

 

「それじゃあ、いっちょ私が爆裂魔法で全滅させるんで、私の詠唱が終わるまで守ってください」

「よ~しめぐみん! その役目、このダンジョーが承った!」

 

 

最初に動き出したのはめぐみんだった、彼女の持つ爆裂魔法は一日一回しか使えないが、広大な範囲を強力な一撃で焦土と化すほどの恐ろしい魔法。

 

「おい誰か! あのロリっ娘魔法使いのめぐみん(笑)さんを止めるんだ!」

「あのホクロだけは絶対に肉片も残さずこの世から抹消させてやります……」

 

それを使わせてはマズいとめぐみんに睨まれながらもメレブが反応すると

 

「よし、めぐみんに爆裂魔法をさせたら私達の負けだ! ここは私がなんとしてでも止める!」

 

「させるか! 貴様の相手はこの俺だ! 聖騎士ダクネス!」

 

「く! やはり私の相手は貴様か戦士ダンジョー!」

 

颯爽とダクネスが詠唱を始める彼女の方へ駆け寄ろうとするも、そこへ彼女の護衛役であるダンジョーが通せんぼ。

 

すかさずダクネスは両手に持った剣を思いきり彼に振るうが、予想通りスカッと外れ

 

「フフフ、相変わらず攻撃は当たらんようだな……だが前の様に俺は油断はせん、斬り落とされたもみあげの仇! 今ここで晴ら……!」

 

「とぉ! せい! どりゃぁ!」

 

「人の話を聞けぇ!」

 

自分の台詞を聞かずに一心不乱に攻撃を当てようとして来るダクネスに一喝しながら、ダンジョーもまた剣を抜いて応戦。

 

やがて二つの剣が激しくぶつかり、鍔迫り合いとなる。

 

「お前のそのヘッポコ剣術を見るのもこれで見納めだ!」

 

「ヘッポコ言うな! 見ていろダンジョー! 私だってここに来るまで成長したんだ!」

 

「ぐ! なるほど、この力、確かに相当鍛えているなこれは……」

 

「そうだ! ダクネスは凄い筋肉モリモリなんだぞ! ムキムキだよムキムキ!」

 

「ダンジョーの前にお前を先に切り捨てるぞメレブ!!」

 

背後から応援しているのであろうが、自分としてはかなり気にしている事を堂々と言うメレブに

 

ダクネスは目の前のダンジョーよりも背後にいる彼に対して強い殺意を滾らせた。

 

そしてそんな事をしている間に

 

「いいですよダンジョーさん、そのままダクネスを止めておいてください、爆裂魔法の準備が整いそうです」

 

「ってヤバいぞメレブ! めぐみんがそろそろ詠唱を終えるらしい! 急いで彼女を止めてくれ!」

 

「えー! いや俺無理だって! もうMP切れてるから呪文使えないし!」

 

「いいからどんな事をしてでも止めてくれ! 私はもうダンジョーの相手で手一杯なんだ!」

 

「えぇ~……あ、そうだ」

 

MPゼロの状態の魔法使い(笑)に飛んだ無茶振りだとダクネスに顔をしかめるも、メレブはすぐにハッと気付いて

 

「ならば俺は! 自分フィールドにメガネンジャー・池速人と! メガネンジャー・北村裕作を召喚するぜ!」

 

「はい!」

 

「任してください!」

 

「召喚するって、元から召喚してたじゃないですかあなた……」

 

急いで自分の下に二人の助っ人を馳せ参じさせると、メレブは得意げにめぐみんを指差して

 

「いくぜ! 俺は二体の眼鏡でめぐみんに攻撃!」

 

「フン、今更メガネンジャーの攻撃などで私の昂るテンションと共に紡がれる詠唱を止められる訳……」

 

「この瞬間、俺は二体の眼鏡の効果発動!」

 

「え? 効果ってなんです?」

 

いまいちノリノリで叫んでいるメレブについていけないめぐみんに対し

 

二人の助っ人は特に彼女に対して攻撃する事も無くスッと静かに歩み寄ると直利不動の構えで

 

真顔で見つめ始める。

 

「攻撃宣言時! その自分自身の攻撃を無効にする代わりに! 相手をただジッと無言で見つめ続けることが出来る!」

 

「「……」」

 

「な、なんですかそれ? やはりあなたはポンコツですね、そんなジロジロと見られただけで私が怯む訳ないじゃないですか……」

 

「「……」」

 

「いやあの、だから無駄ですってば……」

 

「「……」」

 

「もういいですって、そんなに見られても私の精神が揺らぐはず……」

 

「「……」」

 

「や、やり辛い……!」

 

何もせずに無言で近づいてきてただずっとこっちを見つめてくる二人の眼鏡。

 

何とも言えない不気味さにめぐみんは顔を強張らせていると、そこへ畳みかける様にメレブが

 

「まだ俺のバトルフェイズは終了してないぜ! 自分の場のメガネンジャーが効果を発動した時! 手札から好きなだけメガネンジャーを特殊召喚することが出来る!」

 

「よ、よくわからないですけどそれって更に人数増やすって事ですか!?」

 

「現れろ! メガネンジャー薫拓哉! 桐洞一成!! 阪口大助!!!」

 

「新八じゃボケェェェェェェ!!!」

 

慣れた感じで勢いよくメレブにツッコミを入れながら現れた志村新八と共に

 

他の二人も現れ、そして同じ様にめぐみんに歩み寄って、彼女を中心に囲い込む形で

 

「「「「「……」」」」」

 

「ひぃ~! な、なんでここまで動じずに真顔でこっち見てこれるんですかこの人達は!」

 

「「「「「……」」」」」

 

「お、恐るべしメガネンジャー……しかしそんな風に注目されても私にも策はあります!」

 

 

小柄な女の子を囲んで何もせずにただ見つめ続ける眼鏡少年達という、傍から見ればホラーでしかない構図。

 

そこでめぐみんはすぐにこの窮地を脱する為に大きな声で叫んだ。

 

「ムラサキさん! 助けて下さい! ダンジョーさんがいない今私を護ってくれるのはあなただけです!」

 

「……」

 

「あ、あれ? ムラサキさん?」

 

「フフフ、ここでムラサキを呼ぶのも想定の内だめぐみんよ」

 

「!?」

 

「しかしムラサキは今、お前にかまける余裕は無いのだ」

 

ここでもう一人の仲間であるムラサキを呼ぼうとするが、返事は無い。

 

どうしたのかと思いきや彼女ではなくメレブが代わりに不敵な笑みを浮かべて答える。

 

「アイツは今……ウチのアホ(真)ととっ掴み合ってる真っ最中です」

 

「はぁ!?」

 

「テメェ調子乗ってんじゃねぇぞコラ! 乳がデカければ偉いとか思ってんじゃねぇだろうな!」

 

「乳は関係ないわよ! 私はね、女神だから偉いの! いった! なにすんのよエリス並みの貧乳のクセに!」

 

「あーオメェやっぱ貧乳の事下に見てんじゃねぇか! 謝れ! 私とそのエリスって子に謝れ!」

 

めぐみんが素っ頓狂な声を上げてる中、ムラサキとアクアはいつの間にか取っ組み合ってお互いを素手で叩き合っていた。

 

喚き合いながら相手のスネを蹴ったり、頭を叩いたり、頬を引っ張ったり

 

とても勇者の一行と魔王の一行が繰り広げる死闘とは程遠い醜い争いをさっきからずっと続けている。

 

「大きな目!」

 

「わあビックリ! ならこっちは花鳥風月!」

 

「うぇ! お前ぇ……目思いきり開いてる時に水ぶっかけるなよぉ! 父の仇!」

 

「いた! だからそれ地味に痛いから止めてよ! それ引っ込む剣でも先尖ってるんだからね! この!」

 

「ぐに~、ほっへた引っはるなぁ~!」

 

「あんふぁこそ~!」

 

終いには相手の両頬を強く引っ張り合いながら、どっちが負けを認めるか勝負する始末。

 

「醜い……! とてもラスボスのいる城でやるバトルには見えない……!」

 

互いに涙目になりながらもひたすら相手のほっぺをつねり合うムラサキとアクア。

 

そんな光景に目も当てられないとメレブが顔を逸らしたその頃。

 

援軍も来れないという状況が分かっためぐみんはというと

 

「ぬわぁぁぁぁぁぁ!!! そんな見つめられると詠唱に集中できないんですって! お願いだからあっち行ってくださいメガネンジャー!」

 

「そしてこっちもまた、酷い! こうなるよう仕向けた俺が言うのもなんだけど! 物凄く酷い!」

 

「「「「「……」」」」」

 

「あ、行動が変わった、めぐみんを囲んだままグルグルと回り始め……あ、そこで逆回転を決めると」

 

相変わらず五人の眼鏡男子に囲まれながらも、今度は見つめられたまま無言で周囲を回り始める彼等に、精神的に疲労して心が折れかけてる模様。

 

そんな彼女を離れた場所からメレブが「あ~可哀想」と言いながらもニヤニヤ笑いつつ

 

「なあヨシヒコ、これもしかしたら楽勝かもしれないぞ、俺達が恐れる爆裂魔法が不発になった今なら、カズマ君から導きの笛を取り返すのも簡単……」

 

思ったよりチョロい連中だとすっかり価値を確信したメレブが、ヨシヒコとカズマの方へと振り返ると……

 

「フリーズ!!!」

 

カズマがヨシヒコに向かって手の平を突き出しながら叫ぶと、彼の手からとてつもない冷気が放たれた。

 

ただの人間であればあっという間に全身を氷漬けに凍てつかせてしまう程の氷魔法、本来な等これ程までの威力を発揮しない筈なのだが

 

「はぁ!」

 

それに対しヨシヒコは身体を凍らされる前に両手に持った聖剣・エクスカリヴァーンを振り下ろす。

 

放たれた冷気は両側に割れ、なんとかカズマの魔法を凌ぐ。

 

「これで終わりか!」

「な訳ねぇだろ! ティンダー!!」

 

まだカズマの攻撃は続いていた、今度は手の平から巨大な紅蓮の炎の塊を出現させ、それを容赦なくヨシヒコ目掛けてぶっ放す。

 

全てを凍てつかせる氷の次は全てを焼き尽くす炎、しかしヨシヒコは驚きもせずになんと真っ向からその炎に突っ込む

 

「とぉ!」

 

当たるギリギリのタイミングで、まるで天井に吊るされたかのような不自然なジャンプで難なく避ける。

 

それによってカズマとの距離がさらに縮まる……と思いきや

 

「ウインドブレス!!」

「ぐわ!」

 

天井に吊るされ……否、高く飛翔しているヨシヒコに対してカズマは容赦なく突風の魔法で弾き飛ばす。

 

凄まじい風圧でそのまま背後にあった壁に叩き付けられたヨシヒコは、なおも強風によって身動きが取れなくなってしまう。

 

「ぐ、ぐう! なんて奴だサトウカズマ! これほどまでに強力な呪文をいくつも覚えているとは……!」

 

「その状態なら避ける事も出来ないよな? クリエイトウォーター!」

 

「うわぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

風が一瞬止んだと思いきや、代わりばんこに今度はカズマの手の平から螺旋に回転する巨大な水柱が打ち放たれる壁に打ち付けられたままのヨシヒコに直撃する。

 

激流の如く水圧で、身体がバラバラになるのではないかという激痛に耐え切ると、カズマの魔法は一旦終わり、ヨシヒコはガクッと壁から落ちて床に倒れる。

 

「まだだ、まだ私が倒れる訳には……!」

 

「まだ元気があるみたいだな勇者様、だがこれなんかどうだ?」

 

ヨロヨロと剣を支えに起き上がろうしながらまだ戦おうとするヨシヒコに、ニヤリと笑いながらカズマは再び手の平を突き出し

 

「クリエイト・アース!!」

「!?」

 

突如ヨシヒコの周りに膨大な量の土が生成、視界一面が茶色に覆われたと思いきや次の瞬間

 

「俺、あの忍者の漫画好きでさ、一度やってみたかったんだよ……まあ向こうは土じゃなくて砂なんだけど」

 

ボソッとカズマが独り言を呟いた時、ヨシヒコを覆う大量の土が瞬く間にヨシヒコを捕らえるように覆い尽くす。

 

そして土の塊に閉じ込められ完全に手も足も出ない状況のヨシヒコの方へ手を伸ばしながら、ガッと強く握ると

 

「土の中で眠りやがれ!」

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

その手の動きに合わせるかのようにヨシヒコを覆う土が一気に圧縮。

 

哀れヨシヒコは断末魔の雄叫びを上げながらグシャリと押し潰され、ようやく土の中から解放されたのはいいがボロボロの状態に陥ってしまい、そのままバタリと前のめりに倒れてしまう。

 

そして自分の前で無様に倒れてしまったヨシヒコを見下ろしながら、カズマは得意げにしてやったりの表情で

 

「あれ? 俺もしかしてなにかやっちゃいました?」

「ム、ムカつく~! てかそのセリフみんなで使い過ぎ~!」

 

後頭部を掻きながら鼻に付く台詞を皮肉たっぷりに使って見せるカズマに対し

 

二人の戦いをしばし呆然と見つめていたメレブがやっと喉から声を出す。

 

「な、なんだ今のすっごい金のかかってそうな戦いは! ワイヤーアクションとCGが凄……! いやそうじゃなくて! どういう事よ一体! ヨシヒコを完全に打ち負かすなんて滅茶苦茶強いぞカズマ君!」

 

「あのな、俺の中には魔王がいんだぞ、こんぐらいの力出すの当たり前じゃないか」

 

「ええー!?」

 

「いやちょっとは考えろよ……魔王に体を預けてるんだから力を借りるぐらい王道中の王道だぞ?」

 

ここに至るまでこうなる事は全く予想できなかった。ヨシヒコがカズマに後れを取るなど

 

どうやらカズマは、魔王の力を得た事により体得した魔法やスキルを超絶強化してしまっているらしい。

 

つまり今のカズマは正に無敵、見かけは極々普通の小市民にしか見えないが、聖剣を手に入れたヨシヒコでさえ手も足も出ない強さを得てしまったのだ。

 

「はい勇者様はコレにて脱落、お疲れさん」

 

「まさか……一応そっち側の主人公のクセにロクに出番も無かった奴がここまで強くなっていたとは……」

 

「はいという事で! 次はそこの人が気にしてる事を言いやがったホクロ仕留めまーす!」

 

「あーごめんごめん! 気にしてたんだやっぱり!」

 

内心ずっと気にしてて胃が痛む毎日だったカズマに対しメレブがつい失言。

 

それをキッカケにカズマの手の平は迷いなく彼に向かって標準を定める。

 

「あーそうだよ! 終盤に来てやっと出番とかふざけてんのか! 序盤に出れためぐみんはまだいい! ダンジョーさんとムラサキさんは合間合間に出られた! けど俺は本当に最後の最後になってやっとだぞ!」

 

「いやそうだけどさ、立場的に最初から出すのは難しいでしょ……それに考え方を良い方向に変えればさ、トリだよトリ、目立つし美味しいじゃん」

 

「うるせぇ! こうなったらアンタを徹底的に屈辱を与えて憂さ晴らししてやる!」

 

「そして俺とばっちりー!」

 

半ば八つ当たり気味にカズマは楽には殺さんと宣言して、MP0状態の無力なメレブに攻撃を仕掛けようとする。

 

「まずは俺の十八番、スティールの魔法でアンタから大切なモンをぶん捕ってやる、今の俺は魔王の力のおかげでスティールも強化され、望めだけでどんなモノでも手に入るのさ……」

 

「ひえ~堪忍して~!」

 

「さあ行くぜ!」

 

容赦なくカズマはメレブが今最も大切に所持しているモノを奪う事に

 

怯えるメレブに対し彼はニヤリと下卑た笑みを浮かべながら

 

 

 

 

 

「スティーーーール!!!」

 

 

 

 

 

力強くカズマがメレブに向かってそう叫んだと同時に

 

彼の伸ばした右手にはあるモノが強く握られていた。

 

「へっへっへ、さて、おたくは一体何を一番大事にしていたのかな、と」

 

やはりあっさりと成功したみたいだ、早速奪ったモノを見てみようと手を広げてみるカズマ。

 

すると彼の右手の上にあったのは

 

 

 

 

黒のボクサーパンツ

 

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!! パンツ返して~~~~!!!」

「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

カズマがスティールに成功したのはまさかのメレブの下着

 

男性の下着などをガッチリ手に取ってしまった事にカズマはゾワッと腕に鳥肌を浮かせながら絶叫を上げだすが

 

そこへメレブも恥ずかしそうに下半身を押さえながら悲鳴を上げる。

 

「みんな! もう敵味方関係なく俺の話を聞いて! カズマ君がね! パンツ! 俺のパンツ奪った!」

 

「え……ウソでしょカズマさん……オーマイゴッド……そんな性癖あったなんて……」

 

「うわ……よりにもよってメレブなんかのパンツをお前……」

 

「違う違う! 待てお前等変に誤解すんな! スティールしたらたまたまパンツ奪っちまったんだよ! クリスの時みたいに!」

 

「「俺は魔王の力で強化されたから好きなモノを奪えるんだ、まずはお前の大切なモノを奪ってやるぜ!」とかなんとか言っておいてこの子がチョイスしたのが、まさかの俺のパンツです」

 

「「うわぁ……」」

 

「余計な事言うな! てかなんで一番大切なモノがパンツなんだよ! 勇者一行ならそこは武器とかアイテムだろ普通!」

 

 

 

必死そうにメレブが叫ぶと、掴み合いをしていたアクアとムラサキも思わず争うのを止めて両者仲良くカズマに向かってドン引き

 

そしてダクネスとダンジョーもまた戦うのを止めてゆっくりとカズマから後ずさり

 

「まあその、偏見するつもりは無いが……」

 

「カズマ、頼むからこれ以上失望させないでくれ……」

 

「うおぅヤッバイ方向に勘違いされ始めてる!」

 

ちょっと特殊な趣味を持った方という感じでこちらに対して距離を置こうとする一面。

 

なんだかとても居心地悪いと感じたカズマが頑張って訳を説明しようとするも

 

そこへめぐみんを囲んでいたメガネンジャーの面々も思わず彼の方へ振り返って

 

「あ~……まあ別に良いんじゃないですかね? 個人の自由ですし」

 

「俺もそんなの全く偏見持たないぞ!」

 

「でも好きな人の下着を奪うのは……ちょっと危ないんで今後気を付けて下さい」

 

「最初から完成形の人などいない、長い人生の中で多くの過ちを繰り返して成長していく生き物だ」

 

「大丈夫ですよ、僕の世界の連中なんか変人揃いだからそれぐらいじゃもう引かないんで」

 

「なんでコイツ等だけ妙に優しいんだよ! 違うんだメガネンジャー! 俺の話を聞いてくれ!」

 

池速人、北村裕作、薫拓哉、桐洞一成、志村新八の順番で各々優しくカズマを励まし始める。

 

拒絶されるのも嫌だが、優しく受け入れられるのも結構なダメージになる。

 

そして、悲痛な思いでカズマが訴える中で、メガネンジャーに囲まれていためぐみんがひょっこりと顔を出し

 

「カズマ超気持ち悪いです……なんですかそれ? 私はこんな奴なんかの為にあの手この手を使って頑張ってたんですか……? もはや己自身が嫌になります……」

 

「止めろー! 見るな! そんな目で俺を見ないでくれめぐみーん!!」

 

ゴミを見るような蔑んだ目をこちらに向けながらブツブツと呟き始める彼女に、カズマが慌てて駆け寄ろうとしたその時……

 

 

 

 

 

「今だ!」

「うお!」

 

めぐみんの方へ向かおうとしたカズマに向かって

 

彼の前で倒れていたヨシヒコが突然起き上がって下から上に剣を振るう。

 

間一髪体をのけ反らして回避するカズマだが、立ち上がったヨシヒコは体はボロボロになってなお、目はまだメラメラと熱く燃え盛っていた。

 

「油断したな、これが私とメレブさんの連携攻撃だ……」

 

「ウソを付けウソを! ホクロに至ってはただの俺の自爆だし! お前はただ死んだフリしてただけじゃねぇか!」

 

「死んだフリじゃない! 私は、倒れている間にお前が身に着けているあるモノを狙っていたんだ」

 

「あるモノ……は!」

 

ヨシヒコの言葉にカズマは思わず自分の身体をバッと見下ろす。

 

よく見ると腰元にぶら下げていたあるモノが包まれていた袋が、パックリと斬られて中身が無くなってるではないか。

 

「まさか!」

 

もしやと思いカズマが顔を上げてヨシヒコの方へ目をやると

 

彼の手にはかつて自分が奪った「導きの笛」が収まっていた。

 

「これが私のスティールだ」

 

「!?」

 

「ええ! やだちょっと今のヨシヒコのドヤ顔超カッコいい!! ちょっと腹立つ顔だけど!」

 

 

先程ヨシヒコが攻撃を仕掛けたのはカズマを狙ったのではない。

 

彼の腰元にぶら下がっているアイテム袋を斬ったのだ。

 

重傷を負いながらも、その状態で袋の大きさ的に笛のサイズとピッタリだと確認したヨシヒコは、なんとか隙を見て奪取しようとずっと目を光らせていたのである。

 

そして彼にパンツを奪われたメレブのおかげで、そのタイミングを見計らうことが出来たのだ。

 

「さあこれでダンジョーさん達を元に戻させてもらうぞ、そうすれば逆転……く!」

 

「へ、笛は取り返せたからってあまり調子に乗るなよ勇者様。HPがすっかり真っ赤になっているアンタじゃ何も出来ねぇよ」

 

「例えHPが一桁になろうと立ち上がる、そして魔王に奪われた仲間は絶対に取り返す、ダンジョーさんやムラサキ……そしてめぐみんやお前も!」

 

さっき残っていた体力を振り絞って攻撃を仕掛けたおかげで、今のヨシヒコはもう足取りもフラフラで立ってる事すらキツイ状況。

 

しかし勇者として、ヨシヒコにはまだやるべき事が残っている。だからこそここで絶対に倒れてはいけないのだ。

 

「決着を着けるぞ、サトウカズマ!」

 

「マジかよこれだけボロボロなのにまだ立ち向かうのかよ……まさかコレが本当の勇者って奴なのか……?」

 

熱き勇者の想いが、魔王によって支配され氷ついたカズマの心をゆっくりと溶かし始める。

 

次回、主人公対決・完全決着。

 

 

 

 

 

 

「あ、それはそうとカズマ君、いい加減俺のパンツ返して? そろそろノーパン状態はキツイのこっち」

「え? うわぁ!! ずっと握ってたの忘れてたぁ!」

 

 

 

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。