機動戦士ガンダム00@―lost・of・AGE― 作:アニュー・リターン
爽快という言葉がピッタリと当てはまるほどの青空の下を、新ヨーロッパ連合―――AEUの最新鋭可変モビルスーツ『イナクト』が縦横無尽に翔けていた。
乗っているパイロット、パトリック・コーラサワーは大声で、『自身はAEUのエースパイロット様だ!!』と宣っている。
そんな光景を見て機体能力を評価しているアメ リカを中心とした世界経済連合―――ユニオンの MS開発技術顧問であるビリー・カタギリ。
そんな彼に一人の少女が声を掛けた。
「AEUは軌道エレベーター開発で遅れをとっている…せめてMSだけでも、って所でしょうね」
カタギリは苦笑交じりに、彼女に顔を向ける。
「おや、いいのかい?MSWADのエースがこんな所にいて」
「勿論、言い訳がない」
そう答えたのは、田中琴葉という少女。 階級は小尉。赤みがかった茶色の長い髪とカチューシャが特徴で、『美しい』と『凛々しい』いう言葉が似合う。 が、カタギリの発言の通り、彼女は16という若さでユニオン軍のトップファイター入りを果たした実力を持っている。おまけに彼女専用のモビルスーツまで与えられている。ちなみに彼女は『騎士道を重んじる少女』と言われている。現在18歳の彼女は大空に恋している。
「…AEUも剛毅ね。人革の10周年記念式典に新型の発表をぶつけてくるあたり……カタギリさんはどう見ます?あの新型」
「どうもこうも、ウチのフラッグの猿真似だよ。まあ、唯一違うのは、独創的なデザインだけかな」
実際、このイナクト。ユニオンのモビルスーツ『ユニオンフラッグ』を参考にしている。 と、そこに突然大声が響いた。
『そこ、聞こえてっゾォ!!今なんつった?え、おい!!』
それは、イナクトの外部スピーカーから発せられた、自称エース様(笑)のパトリック・コーラサワーのものだ。
「集音性は高いようだね」
「フフッ、確かにそうですね………ん?」
苦笑を放っていた琴葉は、何かの異変に気付いたのか、上空を見上げ、そのまま動きを止めた。
「空に何かあるにかい?」
彼女の視線に気付き、カタギリも同じように空を見る。
そこには、軌道エレベーターに沿って降下してくる、緑色の光の粒子を放出する、青と白のモビルスーツ。
「なんだ、あれは?」
「モビルスーツ……?」
カタギリは、イナクトと一緒に、もう一機の演習も行うのかと思ったが、隣のグラハムが異論を唱える。
「いえ、あれはどう見てもイナクトやフラッグ、 ましてや人革のティエレンとも開発コンセプトが違います…」
グラハムが冷静に考察する中、一人だけ勢い込んでその機体と戦おうとする者がいた。 言わずもがな、パトリック・コーラサワーである。
『他人様の領土に土足で入ってきたんだ……ただで済む訳ねえよ なァッ!!』
青と白のMSと対峙するイナクト。
『貴様ァ、俺が誰だかわかってるのか!?AEUの パトリック・コーラサワーだ!!模擬戦でも負けなしのこのスペシャル様だ!!知らねえとは言わせねぇゾ!!』
イナクトの武装、ソニックブレイドを構えて敵に向かって突進する。 絶対の自信のもとに、目の前のMSに武器を突き刺す。そして、
ゴウンッ。
重たい金属音と共に、イナクトの左手が地面に落ちた。
「なんと!?」
琴葉がそれに絶句する。
「!?」
どうやらパトリック自身が何が起きたか分かっていないようだったが、直に思考を復活させる。
『ふざけるなっ、ふざけるなよっ!』
なりふり構わずにイナクトを敵機に突撃させるコーラサワー。 しかし、目の前のMSの圧倒的な斬撃が直に飛ぶ。
『俺はっ!』
『スペシャルでっ!』
『二千回でっ!』
『模擬戦なんだよォ!』
一言放つたびに機体の一部が削り取られていくイナクト。 最終的に胴体と足だけになった機体はバランスを崩して地面に倒れた。
「失礼。」
「え!?お嬢さん…」
「失礼すると言っています。」
琴葉は自分のそばに居た人物に双眼鏡を借り(奪い)、例のモビルスーツを注視し、探していたものを見つけ、声に出して読んだ。
「………GUNDAM………?あの機体の名前………?」
琴葉が呟く中、そのモビルスーツは飛び去った。
「あの光…」
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