機動戦士ガンダム00@―lost・of・AGE―   作:アニュー・リターン

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十二話

スメラギは別荘の地下にある情報収集機器の前に座り、ユニオン、AEU、人革連の各軍の動き とそれに付随するデータなどが表示される大型 ディスプレイを苦い表情で見詰めていた。

 

ついに三国家軍による合同軍事演習が翌日に迫っていた。それと同時に、演習場であるタクラ マカン砂漠の濃縮ウラン埋設地にテロが仕掛けられるということも……。ソレスタルビーイング は、これを見逃すわけにはいかなかった。罠だと分かっていても…。 今回の軍事演習は以前にモラリアとAEUがおこなったものとは比べ物にならないほど大規模なものだ。

 

 

 

 

 

 

「スメラギさん…。」

 

「あら、レイじゃない。」

 

博士号を取っていた時の格好で僕はスメラギさんの前に立った。

 

「AGE-3の新ウェアはまだ完成しないのですか?」

 

「ええ…」

 

「そうですか…やはりまたしても僕は…ただ見ているだけ…ですか。」

 

「しじょ……」【不安】

 

「もし…あの新ウェアが完成したら…もしその時に他のマイスター達が鹵獲寸前だったら……フルバーストの使用許可を出すわ。」

 

「分かりました…。出来れば早く完成させてください……この闘いは…無茶が過ぎますから…それに……」

 

「分かってる…分かってるわよ…フルバーストの許可は私だって出したくないわ……でもヴェーダのその事態の時に使えと推奨しているから仕方ないわ…。」

 

スメラギさんはそう言うと、たかにゃにキングサイズのカップラーメンを手渡した。

 

「さ、お腹いっぱい御上がりなさい。」

 

「しじょっ!!」【らぁめん】

 

たかにゃは嬉しそうにそのカップを抱えた。

 

「可愛いわね…」

 

「はい…。では、僕はこれで…」

 

僕は私服である白衣をはためかせ、部屋を出た…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*************

 

 

 

 

三国合同軍事演習の準備段階が終了しようとしていた頃。 フランスの外人部隊基地で指揮官である小太りの大佐が極秘任務の指令書を赤毛の少尉に手渡していたその隣では同じく赤毛の準尉が座っている。

 

「我が隊に極秘任務ですか?」

 

指令書を受け取った赤毛の少尉は黒いスーツを纏い、背がスラリと高く全身から精悍な雰囲気を 漂わせていた。もう一人は同じく黒いスーツを纏い、こちらは好戦的な目付きをした少女だった。

 

「詳しくは指令書を読んでくれ。この私ですら内容は知らされていない。私に与えられた任務は、 キミにこの指令書を渡す事と――――アグリッサを預けることだ」

 

「アグリッサ?」

 

指令書に目を落としていた少女が顔を上げる。

 

「第五次太陽光紛争で使用したあの機体ですか?」

 

「機体の受け渡し場所も指令書に明記されている」

 

少尉は顎に手を当て、それから頷いて立ち上がった。襟元で結ばれた赤毛が揺れた。同じタイミングで少女も立ち上がった。

 

「了解しました。第四独立外人機兵連隊、ゲーリー・ビアッジ少尉」

 

「同じく第四独立外人機兵連隊、斎藤渚準尉」

 

「「ただいまをもって極秘任務の遂行に着手します」」

 

息ぴったりに言うと、アリー・アル・サーシェスは最近部下になったジュリアという少女を連れ、仮初めの上官に敬礼した。

 

基地から出たサーシェスは、コンクリートの上を歩きながら髪を束ねていた紐を解く。 クク……ククク……と、狂笑がもれる。

 

「楽しくなってきたじゃねぇか……!」

 

「…そうですね」

 

少女も男勝りな口調で微笑む。

 

 

 

戦場だ。ようやくだ。 あのクーデターを止めやがったクルジスのガキに受けた借りは返させてもらう。

 

たまらねぇ。たまらねえな。 俺は戦場でなけりゃ生きていけねぇ。

 

待ち遠しい。血が滾る。心が躍る。

 

「「こりゃぁ戦争だぜ! そりゃもう、とんでもねぇ規模のなァ――――!」」

 

 

 

 

 

「なんでハモるんだよ!!」

 

「考えてる事被ってんですよ!!サーシェスの旦那!!」

 

新しく見つけた捨て駒との付き合いは長くなりそうだ…。


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