ハイスクールD×D ~龍の兄と鬼の弟~ 作:ショタ専用○ンダム
「その力は人間には過ぎるものよ」
「子供の君には分からないかもしれないけど人は強すぎる力を恐れるの」
「誰も悪くない。君もその子も、そして君のお兄ちゃんも」
「君とお兄ちゃんの酷く残酷な運命をその子が変えたかった。それが空回りしてしまった結果なの」
「私なら確かに君の力を封じるのは簡単。でもそれは同時に君の力の源であるその子を封じる事になる」
「・・・そう、やっぱり君は断るわよね。でも駄目なの。君の力を封じないと君は人じゃなくなる」
「その子の魂は鬼の魂。人の魂より格段に上質な鬼の魂はたとえ少量でも君の魂を徐々に侵食していく」
「魂と肉体は密接な関係にある。いずれ君の魂は完全に侵食され肉体までも本物の鬼に成ってしまうの」
「いつか君が大人になって物事をちゃんと理解できるようになったら自分自身で決めて欲しいの」
「だから君の力は封じる。君は力を失いそしてその子とその子の記憶の全てを失う」
「恨んでくれて良いわ。だって私はそれだけの事をするのだから」
「君が強く願えばその封印は解かれる。そうすれば少しずつ君は力と記憶を取り戻せる」
「そうやって君が私の事を思い出したまたここに来なさい。その時は君の答えを聞いてあげる」
「人のままの一生を選ぶか人を捨てて鬼としての生を得るか」
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「なぁ、兄ちゃん。何か嬉しそうだけど学校でなんかあった?」
兵藤晶は気が進まないが自分の兄である兵藤一誠にそう尋ねた。
晶が家に帰るとリビングで妙にニヤニヤした一誠を見つけた。
当初はどうせエロい事でも考えているのだろうとスルーを決め込んで自分の好きなドラマの再放送を見ていた晶だったが小一時間も腑抜けたニヤけ顔を続けられると流石にウザいので適当に聞いて適当に流そうと考えた。
「ふふふ、アキラ!よく聞け。今日、彼女が出来たんだ!!」
一誠が声を張り上げて「良くぞ聞いてくれた!」とでも言いたそうな顔で宣言する。
とりあえず晶は双子の兄である一誠の性格を鑑みて一つの結論を導き出す。
「兄ちゃん、知ってるか?エイプリルフールはとっくに過ぎてんだぜ?」
「速攻で嘘断定かよ!?ちょっとくらい兄貴を信じろよ!」
「いや、だって兄ちゃんだぜ?学校の女子の九割以上から汚物のような目で見られる兄ちゃんだぜ?そんなんに彼女できったって嘘かギャグか病気の三択だろ?」
兵藤一誠はオブラートに包んだ表現で言うなら性的な知的好奇心が非常に旺盛な少年だ。
有体に言えば「スケベ」だ。
三日に一度は彼の通う駆王学園で女子更衣室の覗き疑惑を掛けられるし実際、その9割は本当に実行しているだろう。
だから晶はスケベという言葉を擬人化したような存在である一誠に対して女性関連では一切の信用を置いていない。
そこさえ直せば結構モテるんじゃないかと晶は思うがどうせ直らないので口にはしない。
無駄な事はしない主義だ。
「兄ちゃん、いい加減現実見ようぜ?目を目を逸らしたっていい事なんて何も無いって。俺が味方してやるから強く生きろよ」
「こいつ全力で俺の事否定しにかかってきてやがる!?本当だよ!本当に彼女が出来たんだよ!!」
「・・・マジで?」
その必死さ具合に晶は一誠が本当に彼女が出来たといっていると判断した。
そして頭の中で一誠の未来想像図をシミュレートし判断を下す。
「兄ちゃん・・・美人局って知ってるか?」
「俺の次は夕麻ちゃんまで否定するかぁぁぁぁぁあ!」
騙されてフラれる未来しか想像できなかったから本気で心配したが流石に言い過ぎたため一誠は晶に掴みかかる。
とりあえず晶は一誠の彼女とやらを一度見定めなければと思いながら見事なボディーブローを打ち込んだ。
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「天野夕麻です。よろしくね」
「兄ちゃん、これ美人局だ。すぐ別れろ」
「お前本当に容赦ないな!!」
「兄ちゃんの彼女がこんなに可愛いわけがない」
即決だった。
先程、晶と一誠が登校している途中で一誠の彼女を名乗る天野夕麻と言う少女を一目見ての判断だった。
正直、一誠と付き合う事になったのかが不思議でならない程に可愛らしい少女の出現。
速攻で美人局を疑うのは一誠の日頃の行いゆえに仕方が無いといえば仕方が無いが晶は晶で迷い無く美人局と判断する辺り外道である。
「冗談だよ。しかし本当に彼女が出来たんだ。しかも可愛いし」
「そ、そんな。可愛いだなんて」
晶がストレートに褒めると夕麻は恥ずかしそうに答える。
今までの人生において記憶にある限り晶は嘘というものを一度も吐いた事がない。
何故か晶は嘘というものを嫌悪し吐かれるのは当然だが自分自身が嘘を吐くのを最も許せないという心情がある。
それは晶の長所と同時に短所。
どんな場面でも晶は絶対に嘘は吐かないので弱点として突かれることも多々あるが友人たちにとってそれは非常に好意的に受け止められる。
人は大なり小なり嘘を吐くが晶に限って言えばそれが無い。
だからこそ晶を知る人は彼を好くことが多い。
嘘を吐かれないという事で信頼されていると感じられるから絶大な信頼を得られる。
それを知る一誠はとある危機感を抱く。
「こらアキラ、人の彼女誘惑すんじゃねぇ!」
「してないって。てか俺が兄ちゃんが悲しむような事するわけ無いだろ?」
晶に夕麻が取られるかもしれないと。
晶が夕麻に手を出す事はないと一誠は確信している。
なんだかんだで晶は自他共に認めるブラコンなのだ。
一誠に対し毒を吐いたりするがそれは所謂ツンデレの「ツン」の部分であり好意の裏返しなだけ。
晶の思考回路は常に一誠の事が第一なのだ。
そんな晶が一誠の彼女である夕麻には絶対に手を出さないだろう。
しかし夕麻の方が晶に対し行為を持たないとは限らない。
晶は人と長く付き合えば付き合うほど相手の信頼を得られる。
中学時代はその特性で何人か女子を堕としたりもしていた。
一誠には羨ましい限りの光景だったし結局告白されようと誰とも付き合わなかった晶を見ながら「あいつならその気になればハーレムとか作れるんじゃね?」などと思っていた。
だがその特性で夕麻を堕とされては一誠にとって血涙ものだ。
「まぁ、良かったよ。昨日は遂に兄ちゃんが性欲を持て余し過ぎて脳内彼女でも作ったかと本気で心配したんだけど」
晶は夕麻を見据える。
本当に一誠と付き合っているのが不思議なくらいの子だ。
こんな子が自分の兄の恋人なら文句をつける気など全く無いのにどうしても晶はこの少女に違和感を感じてしまう。
天野夕麻と言う少女は何処か根本的な部分で「ナニカ」が普通の人と違っているように晶は感じている。
「けど本当に兄ちゃんに彼女が出来たってなら安心だ。兄ちゃんの事よろしくな、天野さん」
しかし晶はその違和感を無視した。
せっかく出来た一誠の初彼女に「変な違和感を感じる」なんて言って二人の関係に変な亀裂でも走るのは喜ばしい事ではない。
「もし兄ちゃんの事を傷つけたら半殺しにするからな」
だから晶は予防線だけは張っておく。
この天野夕麻と言う少女が一誠を裏切れば晶は確実に半殺しにするだろう。
晶の問いに「まかせて」と言っている少女を完全には信用しない。
夕麻から感じる違和感がそれを許さない。
せめてその違和感が何なのか晶が理解するまでは。
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「頼むアキラ、お前の力を俺に貸してくれ!」
晶の目の前で一誠が土下座を決めてきいた。
プライドというものが欠片もない尊敬してしまう程の綺麗な土下座だ。
「で今度は何だよ兄ちゃん。たしかこの前土下座した時は『松田が持ってるエロDVDを借りてきてくれ』だったよな」
なおその時晶は一誠の秘蔵の大人の写真集を2冊(無断で)差し出してDVDを借りてきた。
後程、一誠は秘蔵のお宝が無くなっている事に気付き血涙を流していた。
「日曜に夕麻ちゃんとデートするんだ」
「へぇ、なんだかんだで上手く言ってるんだ?速攻エロがバレて振られると思ったから今日は持っても3日以内に別れるで5000円賭けてたんだけど・・・これは負けかなぁ?」
ついでに晶と一誠の友人である所の松田と浜元から吹っかけてきた賭けだった。
松田はその日のうちに別れると賭け元浜は3日は持つが1週間以内で別れると賭けた。
晶たちが一誠をどういう目で見ているのかが一発で分かるような内容だ。
「お前、俺の事嫌いだろ」
「何言ってるんだ。俺は兄ちゃんが大好きだぞ?ちょいと歪んだ愛の形をしてるだけだ」
「そ、そうか・・・。ってそんな事より夕麻ちゃんとのデートでどんな服着ていくとか何処へ行けばいいとか一緒に考えてくれよ!」
「なんだ、デートの計画を一緒に練って欲しいってこと?」
一誠が意外とまともな事で悩んでいる事に見直した。
どうせエロ関連で悩んでいると思っていた晶としては拍子抜けだった。
「それで初デートでおっぱい触るにはどうすればいいと思う!?」
「フラれてしまえ。そして俺の財布を潤せ」
と思っていたら結局一誠は一誠だった。
「で、でもさ、ようやく念願の彼女が出来たんだぜ!やっぱ触りたいだろ!!」
「だからって触ったらフラれるの分かってるよね?」
「そこを何とかフラれずに触れるよう一緒に考えてくれ!」
無茶振りが過ぎる要求だ。
キス辺りならまだ許容範囲だろうが胸を触りに行くあたり一誠は欲望に忠実な男である。
「悪い事は言わないから胸触るのは無しで。フラれて落ち込むのは嫌だろ?」
「やっぱり無理か・・・。じゃ、じゃあさ、せめて手をつなぐくらいならどうだ!?」
一誠も実際に触りに行ったらフラれかねないと理解しているのだろう。
難易度がハードモードからイージーモード位まで下がった。
「それ位なら問題ないだろ。さり気なく手をとれば天野さんだって普通に握り返してくれるんじゃないか?」
「ほ、本当か?夕麻ちゃん拒絶したりしないよな!?」
「仮にも付き合ってるんだし手を繋ぐなんて恋人じゃ普通じゃない?街中じゃ腕組んで夏だろうが関係なくくっ付いてる暑苦しいカップルも結構見かけるし」
なおこれは完全に晶の憶測と偏見から来ている。
そもそも晶は恋人など生まれてこの方できた事がない。
中学時代に何人かに告白されたりはしたが丁重に断り続けてきた。
女にかまけている暇があれば一誠にかまけている方がいいと本気で思っているからだ。
一歩間違えば腐った女性たちの絶好の獲物だ。
というか駆王学園内では既に一誠×晶のカップリングが成立していると思われている程に晶は一誠を最優先判断基準においている。
そんな一誠に一途な晶に対して女性関連の話など憶測とかでしか判断できない。
晶は夕麻が一誠の恋人になった事が嬉しくなった。
一誠がこんな風に嬉しそうにはしゃいでいるのを見るのは晶にとって最高の喜びだ。
あの違和感なんか捨て置いて晶は夕麻に感謝する。
「なんだよアキラ。急にニヤニヤして」
「いや、兄ちゃんが幸せそうで俺も嬉しいなって思ってさ」
晶は一誠を心から尊敬する。
昔、一誠に救ってもらった時から敬愛し憧れている。
「アキラ、俺に彼女が居るからって俺の秘蔵コレクションはやらないからな!」
だから天野夕麻から感じた違和感が悪いものでないと信じたい。
でないと天野夕麻の半殺しが確定なのだから。
ふざけた事を抜かした一誠にアイアンクローを決めながら晶はそう思った。