ハイスクールD×D ~龍の兄と鬼の弟~   作:ショタ専用○ンダム

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十一話 俺はレーティングゲームに参加拒否された

「俺はキミの下僕を全部燃やし尽くしてでもキミを冥界に連れ帰るぞ」

 

部屋全体をライザーの殺気が包む。

 

グレモリー先輩が結婚を拒否し続けた結果、ライザーが遂に実力行使に出たようだ。

 

木場や塔城さんは最上級の警戒態勢に入ってるし兄ちゃんは震えてる、アーシアは兄ちゃんにしがみ付きながら震えてる。

 

グレモリー先輩は何やら赤いオーラを纏いながらライザーと対峙している。

 

一触即発という言葉が一番似合いそうな場面。

 

しかし、それをグレイフィアさんが止める。

 

 

「お嬢様、ライザー様、落ち着いてください。これ以上やるのでしたら私も黙ってみているわけにも行かなくなります」

 

 

ライザーが赤子に見えるほどのプレッシャー。

 

その迫力に当てられてライザーは殺気を収めた。

 

それを見てグレイフィアさんは

 

 

「こうなることは旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も重々承知でした。今回の話し合いで決着がつかない場合も予測し最終手段を取り入れる事にしました」

 

「最終手段?どういうこと、グレイフィア」

 

「お嬢様、ご自分の意思を押し通すのでしたらライザー様と『レーティングゲーム』にて決着をつけるのは如何でしょうか?」

 

 

それを聞いてグレモリー先輩が息を飲む。

 

レーティングゲーム?

 

聞いた事のない言葉だな。

 

 

「塔城さん、レーティングゲームって?」

 

「・・・爵位持ちの『王』である悪魔が下僕と共に戦うゲームです。レーティングゲームの戦績次第で悪魔の序列にも影響があるため非常に重要視されてます。けど・・・」

 

「けど?」

 

「・・・レーティングゲームは本来、成人した悪魔しか参加できません。非公式のゲームなら試合を行う事態は問題は無いと思いますが当然、部長はゲームの経験はありませんし全ての駒を使っていないので数の面でも不利です」

 

「・・・今回の場合、例えで言うと段位持ちの棋士が知識だけの初心者相手に金銀抜きで将棋で相手させるようなもの?」

 

「・・・状況的にはそれで合ってます。抜く駒は桂馬一個と飛車が妥当だと思いますが」

 

 

ありえねぇだろ。

 

それは勝負とはいえない。

 

こんな理不尽な勝負でるれもりー先輩の人生の今後を決められるのは絶対に納得できない。

 

遊びならいいがこれは真剣勝負。

 

そんな大事な勝負事でフェアじゃない勝負など絶対に認められない。

 

 

「いいわよ、ゲームで決着をつけましょう、ライザー」

 

「ちょい待ち、先輩」

 

 

勝負を受ける先輩を俺が制止すると全員が俺に注目した。

 

 

「・・・なんだ人間、今まで身分相応に黙っていたから見逃していたが俺たちは今、大事な話をしているんだ。あまり出娑張るなよ、燃やされたいのか?」

 

「・・・ライザーさん、貴方のレーティングゲームの腕前をお聞きしても?」

 

「なんだ、俺の強さが聞きたいのか?人間にしてはいい心がけだ。いいだろう教えてやる。俺はレーティングゲームで8勝2敗、勝ち星のほうが圧倒的に多い。リアスとやり合っても当然俺が勝つだろうな」

 

 

気に食わない笑みを浮かべライザーは笑う。

 

 

「成程、お強いようで。でもそれならもしグレモリー先輩と勝負して勝っても格好つかないですね」

 

「・・・何?」

 

「だってそうでしょう?聞けばグレモリー先輩はゲームをしたことがない初心者以前の対戦相手。しかも使用していない駒もあるため戦力も不足。そんな相手に婚姻を賭けた勝負を挑む時点ですごく格好悪いと思いません?」

 

 

この手の相手はプライド高いからプライドを揺さぶるような問答をすればすぐに乗ってくる。

 

下手に出てれば単純で扱いやすいタイプだが反面、相手が意固地になったら制御できなくなる。

 

 

「・・・成程、確かに貴様の言う事もわかる。ならばどうする?レーティングゲーム以外にこの問題を解決する方法を教えて欲しいものだな」

 

「いえ、この問題を解決するならばレーティングゲーム以外に解決する方法は無いでしょう。ならばゲームの際、お互いに対等になるように条件をつければいい」

 

「・・・はっ、つまりリアスにハンディをつけろって言いたいんだな」

 

「えぇ、まさか、断ったりはしないですよね?」

 

「ふんっ、当たり前だ。ここで断ったりすれば俺は初心者相手に怖気づいた臆病者になるからな」

 

 

もし、断ったらそんな事を言い出すつもりだったんだろ?とでも言いたげな目で俺を睨む。

 

成程、馬鹿じゃないらしい。

 

 

「俺はレーティングゲームの詳細は知らないのでハンディの匙加減についてはグレモリー先輩と話し合ってあくまで対等(・・)の条件になるようにお願いしますね」

 

 

俺はそう締めくくって下がる。

 

その後はグレイフィアさんが取り仕切りグレモリー先輩とライザーのレーティングゲームの詳細が決定した。

 

グレモリー先輩には準備期間に10日間が与えられた上、ライザーが行ったレーティングゲームの詳細なデータの公開と使用していない騎士、戦車の駒分の外部戦力の特別参入が許された。

 

 

・・

 

・・・

 

「ダメよ、許可できないわ」

 

「何でですか!俺じゃ戦力不足って事ですか!!」

 

 

あの後、ライザーが下僕を呼んで兄ちゃんと一悶着(その際、ブチ切れそうになったが俺が出娑張ると兄ちゃんの立場が悪くなりそうだったので何とか我慢した)あったりもしたが話し合いは問題なく終了。

 

早速、外部戦力として俺を入れて欲しいとグレモリー先輩に頼んだけど速攻却下された次第だ。

 

 

「えぇ、戦力不足ね。貴方の力はあくまで人間としては破格というだけよ。ある程度実力のある悪魔や堕天使相手に貴方の力は役に立たない。まして相手はライザー。殺されるのがオチよ」

 

「俺だってあの時から強くなってます!必ずグレモリー先輩の役にっ・・・」

 

「悪魔を甘く見ないでっ!レーティングゲームでは事故による死亡だってありえるの!!アキラの力が強くなってるのは分かっているけど現時点の力でもライザーを相手するには未熟すぎる!!」

 

 

一喝されて怯んだけど俺はそれで引くわけには行かない。

 

せっかく仲間になれたと思ったのに全然役に立ってないじゃないか。

 

 

「・・・分かっていないようだから体に教え込んであげるわ。祐斗、アキラと勝負しなさい。もし祐斗に勝てたならレーティングゲームの参加を認めてあげるわ」

 

 

呼ばれた木場が困った顔をしながら前に出る。

 

 

「部長、本気ですか?」

 

「えぇ、ちょっと力を持ってるだけで調子に乗ってるみたいだからここらで一旦その自身を折っておくのも必要でしょ?アーシアもいるし少しやりすぎても構わないわ」

 

 

室内でやりあうのは流石に問題があるためオカ研全員で体育館に移動する。

 

ここなら結界を張れば問題なく全力でやり合えると言うことで俺も全力でいく。

 

 

「アキラ君、正直気が乗らないんだけど手は抜かないよ。僕もアキラ君がレーティングゲームに参加するのは危ないと思うから」

 

「寧ろ手を抜いたら怒る。お前が滅茶苦茶強いのは分かってる。だからこそ本気のお前を倒せればグレモリー先輩には認めてもらえそうだし」

 

 

気を抜かずに構える。

 

本気を出すのは教会での一件以来だ。

 

あの時よりも大幅に力が上昇しているはずだから木場に対してだって戦えるっ・・・。

 

 

「残念だけどその認識は甘いよ!!」

 

「っ!早い!?」

 

 

反応は出来る、が対応が出来ない。

 

見えるけど体が追いつかない。

 

木場は神速と言える速度で俺に接近してその手にオレンジ色の剣を出現させる。

 

アーシアがいて回復できるから容赦なく刃物で攻撃か!!

 

 

―バンッ

 

 

突然の爆発。

 

木場の一撃を受けて剣が爆発した。

 

切れてはいないが・・・すさまじい衝撃が俺を襲う。

 

 

「がぁっ!!?」

 

 

容赦なく木場は更に一撃、そして爆発。

 

余りの衝撃に俺は正常な認識力を一時的に失ってしまう。

 

 

「アキラ君、君は確かに人としては破格の力を持ってるよ。それでも攻撃力や防御力では小猫ちゃんに劣るし速度では僕に劣る。こんな事を言いたくはないんだけどアキラ君の力は悪魔には通じない」

 

「まけ・・・るかっ」

 

 

爆発。

 

衝撃に怯む間に更にもう一度の爆発による衝撃。

 

 

「爆発の剣『エクスプロージョン』。殺傷能力が低くそれでいて高威力の剣だ。これならアキラ君の防御を抜きながら確実にダメージを与えられる。アキラ君の速さでは僕に攻撃があたらないしアキラ君は僕の攻撃を回避できない。・・・降参して欲しい。これ以上君を傷つけたくない」

 

「ふざけ・・・んな、俺はま・・・だ、戦えるっ」

 

 

ふらつく足を踏ん張り無理やりにでも木場に一撃を叩き込もうとする。

 

そんな状態ではなった攻撃があたるはずも無く木場は軽く攻撃を回避し、

 

 

「・・・なら、心苦しいけど」

 

 

速さを生かした三連撃。

 

三連続の爆発は俺の意識を吹き飛ばした。

 

 

・・

 

・・・

 

妙に頭がすっきりしている。

 

気絶・・・してたんだろうな。

 

俺は自室で寝かされていたみたいだ。

 

窓の外を見ればすっかり暗くなっていて今が夜だと分かる。

 

時間は・・・3時か。

 

また微妙な時間に起きてしまった。

 

 

「・・・なぁ、居るんだろ?出て来いよ」

 

 

誰も居ない部屋で俺の声だけが響く。

 

そう、彼女はここに居る。

 

 

『やれやれ、漸く思い出したのかい?随分待ったよ』

 

 

聞こえるのは教会で聞いたあの声。

 

この可愛らしい声を俺は昔から知っていた。

 

 

「・・・うん、思い出したよ。ずっと見守ってくれてたんだよな」

 

 

あぁ、思い出した。

 

俺は一部の記憶と力を封印されていたんだ。

 

木場との戦いで圧倒的な力の差を見せ付けられて負けたことによって俺は無意識に願った。

 

力が欲しいと。

 

俺が俺の意志を貫く事のできる力が欲しいと。

 

それが記憶を解放する最後のトリガー。

 

記憶の封印は俺が本当に力を求めたときに解放されるように設定されていた。

 

そして俺が気絶している最中に俺は全てを思い出せた。

 

 

『まぁ、退屈はしなかったよ。アキラは結構私好みに育ってくれたみたいだし』

 

「本当に?俺は兄ちゃんへの執着・・・赤龍帝の籠手への渇望を愛情だと偽ってきたようなものだし・・・嘘吐きと同じじゃないか」

 

 

この力は赤龍帝の籠手を失ったことによって補われた力。

 

力が封印されていたことによって俺は失った赤龍帝の籠手を無意識に求めてしまう。

 

力が蘇った今だからこそ分かる。

 

兄ちゃんに宿っている赤龍帝の籠手への渇望を俺は兄ちゃんへの愛情とずっと勘違いしていた。

 

 

『アキラ、それは違う。確かにアキラは赤龍帝の籠手を本能的に求めてしまう状態だった。でもアキラがイッセーを好きなのは嘘じゃないだろう?』

 

「だけど今の俺は兄ちゃんを前よりも好きじゃなくなってるっ!!」

 

『でもアキラはまだイッセーが好きだろう?ならいいじゃないか。アキラは嘘吐きなんかじゃない。ずっと私の好きなアキラのままだよ』

 

 

そう言われて俺は救われたような気がした。

 

不安だったんだ。

 

もしかして今も残っている兄ちゃんへの愛情が偽者じゃないかって。

 

だけど今も残っている兄ちゃんの愛情が偽りじゃないと言って貰えて俺は安心できた。

 

俺の嘘嫌いは他でもない彼女の影響。

 

彼女は絶対に嘘をつかないと俺は知っているから。

 

 

「・・・さて、全部思い出した以上、俺にはやる事ができた」

 

『やっぱり行くのかい?アイツの所に』

 

「うん、話したいことがあるから。聞いてもらいたい事があるから。伝えたい事があるから」

 

 

立ち上がり家を出る。

 

暗い夜道。

 

綺麗で不気味な満月が道を照らしまるで道標の様に思えてくる。

 

今、会わなきゃいけないんだ。

 

彼女もまた俺の事をずっと見守っていてくれた存在だから。

 

そこは良く知ってる場所。

 

町の外れにひっそりと佇む「神話幻想」の名を冠する場所。

 

俺はバイト先である「Myth Fantasy」の扉を叩いた。

 

 

「・・・そう、思い出したのね」

 

 

こんな時間だというのに店長は俺を迎えてくれる。

 

これから長い時間になる。

 

俺も店長もそれを理解していたから自然とお茶会の準備を始める

 

お互いに言葉を交わすことなく食器が触れ合う音だけが店内に響く。

 

漸く準備が終わり二人で椅子に腰掛け向かい合う。

 

 

「・・・まず始めに謝らないとだめよね。アキラちゃんに記憶と力を封じたのは他でもない私なんだから」

 

 

そう、この人が俺の記憶と力を封じた本人。

 

きっとこの人も凄く悩んでその結果封印したに違いない。

 

だって封印を施したときこの人は凄く悲しそうな顔をしていたから。

 

 

「謝らないで下さい。だって謝る必要なんて無い。俺のことを思ってしてくれた事だってわかってます。俺は貴女に感謝しているんです」

 

「私はアキラちゃんに感謝される資格なんて無い。だって無理やり封印したのよ。君の大事な記憶と大事な人を。私は・・・恨まれて当然のことをしたの」

 

「でも、そのお陰で俺はまだ人で居られた。あの時、貴女が言った事を俺は漸く理解できる。言ってくれましたよね俺が大人になったら俺自身の意思で決めろって。俺が鬼になるか人のままでいるか」

 

 

この力は鬼の力。

 

昔、この力に魂が浸食され俺は本物の鬼に成り掛けた。

 

けど当時子供だった俺にはその意味をちゃんと理解できなかった。

 

人を捨てるという本当の意味を。

 

きっとこの人はそれを知っていたからこそ俺の記憶と力を封印した。

 

 

「・・・決めたのね。あの時保留にした答えを」

 

「決めました。あの時からずっと変わりません。俺は・・・」

 

 

昔は理解してなかった。

 

人を捨てるって言う事は人の感性を捨てるという事。

 

妖怪である鬼は人に存在する幾つかの感情を持っていない。

 

妖怪はそもそも人の恐怖や畏怖の感情により生まれる人にとって負の存在。

 

妖怪は人を殺すのに躊躇しないし虫の様に踏みにじれる。

 

鬼になるという事は俺の感性がそんな妖怪に近しくなってしまうという事。

 

人として大事なナニカを失ってしまうこと。

 

今の俺はそれを理解できる。

 

その恐ろしさを理解できてしまう。

 

それでも、それでも俺は。

 

 

「俺は鬼になります。昔約束した人の心を持った鬼になります。だからもし俺が俺の理想とする鬼になれなかったら」

 

 

鬼になり人を踏みにじるような存在になってしまうくらいなら。

 

 

「俺を殺してください、店長・・・いえ」

 

 

彼女なら鬼の力を持った俺を屠るなど簡単だろう。

 

だから彼女に頼む。

 

 

「神綺さん」

 

 

優しい魔界神に酷く残酷なお願いをした。

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