ハイスクールD×D ~龍の兄と鬼の弟~   作:ショタ専用○ンダム

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二話 兄ちゃんが女の人を連れ込んでた

「私はさ、お前に生きて欲しかったんだよ」

 

「あのまま消えるはずだった私は最後に人の強さが見たかったんだ」

 

「鬼の性かな?私は人が大好きなんだ」

 

「でもさ、この世界に来て私が見たのは人の汚い部分ばっかだったよ」

 

「そんな時、お前に会ったんだ」

 

「何にも出来ない。ただの赤子で死ぬのを待つしか出来なかったお前を見て私は思っちゃったんだよ」

 

「この子に生きて欲しいってさ。必死に足掻いて生きようとする赤子を見て私は人の強さを見たんだ」

 

「嬉しかったよ。こんな世界でも私の大好きな人間はまだ強さを持ちえるんだって教えてもらった気がした」

 

「死んで欲しくなかった。惜しかったんだ。お前は私にとって希望だったんだよ」

 

「だから私はお前に私の全てを与えたんだ」

 

「たとえ五分の一の力しかない分身の私でも全ての力をお前に託せばお前に生を与える事が出来たから」

 

「でもまさかこんな事になるなんて思っても無かったな」

 

「さて、お別れだよ。私は正直、お前には人間のままで居て欲しい」

 

「出来る事なら私の事なんか忘れて人として生きて欲しい。その強さを魅せ続けてほしい」

 

「でも力が必要になったら全力で叫びなよ。そしたら力を貸してやるからさ」

 

 

・・

 

・・・

 

兄ちゃんと天野さんのデート翌日、俺と兄ちゃんは狐につままれたような状態だった。

 

 

「お前ら、本当に夕麻ちゃんの事覚えてないのか?」

 

 

兄ちゃんが聞くが二人は可哀想な目で兄ちゃんの質問に答える。

 

 

「だからそれはお前の妄想だイッセー。俺ならともかくお前や元浜に彼女が出来て堪るか」

 

「おい松田、それをお前に言われたくない!彼女が出来るならまず俺が最初に決まってるだろう!!」

 

 

この二人、兄ちゃんの恋人の天野夕麻を完全に記憶から消去していた。

 

そうか、そんなにも兄ちゃんに彼女が出来たって言う事実を受け止めるのに抵抗があったのか。

 

弟の俺が言うのもなんだけど『兄ちゃんだから仕方ない』のか?

 

でも暫くするとあの二人は本気で天野夕麻を覚えていないのだと理解する事になった。

 

天野夕麻が存在していた痕跡が全て消失している。

 

兄ちゃんの携帯からは天野夕麻の情報がなくなっていたし俺が記念に密かに撮影(盗撮)していた二人のツーショット写真のデータも消えている。

 

松田と元浜のように天野夕麻を覚えている人間は俺と兄ちゃん以外にはいない。

 

俺と兄ちゃんが可笑しいのか周り全てが可笑しいのかも分からない。

 

確かに俺は天野さんと幸せそうに笑う兄ちゃんを覚えてるし兄ちゃんも始めての彼女の事を忘れるはずが無い。

 

でも天野夕麻が存在していたという痕跡はそれだけだ。

 

兄ちゃんの幸せは訳の分からないまま消え去ってしまっていた。

 

 

「アキラ、お前は覚えてるんだよな」

 

 

兄ちゃんは不安そうに尋ねる。

 

兄ちゃんにとって天野さんが居たという認識を共有できる唯一の相手が俺だから兄ちゃんは縋る様な気持ちなんだろう。

 

俺は兄ちゃんを安心させるように

 

 

「当たり前だろ。俺が兄ちゃんの事で忘れる事なんてあるか」

 

 

兄ちゃんを肯定する。

 

あぁ、天野さん。もしこれが君が仕組んだ事だというなら俺は君を予告どおり半殺しにする。

 

兄ちゃんをこんなにも悲しませるなんて許容できない。

 

とそんな事を考えているうちに松田が

 

 

「アキラもイッセーに付き合わなくてもいいんだぜ。よし、今日の放課後は思春期が暴走して脳内彼女を作ってしまったイッセーのために俺の家で秘蔵のコレクションの鑑賞会をしようじゃないか」

 

 

なんてことを提案し

 

 

「松田君、素晴らしい!それは是非ともイッセーくんを連れて行くべきだよ」

 

 

浜本がそれに乗る。

 

あぁ、つまり二人の中では脳内彼女を作った兄ちゃんに俺が付き合っているという認識か。

 

まぁ、二人なりの慰め方だな。兄ちゃんはエロが絡むと元気になるからこの方法が一番効率的だし。

 

 

「わーったよ、こうなったらポテチと炭酸で祝杯あげながら鑑賞会だ!今日はアキラも付き合え、今日こそお前の趣味を白日の下にさらしてやるからな!」

 

「今日バイトなんだけど?」

 

 

盛り上がる松田と浜本、そして一旦、天野さんの事に区切りを付けたのか何時もの調子に戻ってる兄ちゃん。

 

本当にこの二人は兄ちゃんと相性抜群だな。

 

なんだか深く考えるのもバカらしい。

 

バイトまでは少し余裕あるし、たまには兄ちゃん達とバカやるのもいいかな?

 

 

「・・・」

 

「兄ちゃん?」

 

 

何処を見てるんだ。

 

突然兄ちゃんがじっと何かを見つめだした。

 

俺もその方向を向いて兄ちゃんが何を見てるのかを確かめる。

 

紅い・・・髪?

 

確か・・・リアス・グレモリー先輩だっけか?

 

屋内の窓から顔を覗かせ特徴的な紅い髪を靡かせる。

 

兄ちゃんの視線はその人に釘付けだった。

 

あれ?違う、釘付けなのは兄ちゃんだけじゃない。

 

グレモリー先輩もまた兄ちゃんを見つめてる。

 

 

-クスッ-

 

 

彼女は兄ちゃんを見つめ微笑む。

 

あの人、兄ちゃんと接点なんてあったのか?

 

俺が知る限り兄ちゃんとの接点なんて無かったはずなのに。

 

 

・・

 

・・・

 

「お、お、お、お、お、おおおおおお父さ~ん、アキラ~!!」

 

 

兄ちゃんの部屋から聞こえる母さんの叫びから一日が始まった。

 

 

「どうした母さん。イッセーが朝からエッチな事をしていたのか?」

 

「まったく兄ちゃんはエロの権化だからな。でも思春期なんだからそれ位許してやってよ、母さん」

 

 

慌てた母さんが父さんに詰め寄って「セッ○ス」だの「国際的」と叫ぶ。取りあえず朝から卑猥な言葉叫びすぎだろ。

 

でも兄ちゃんがエロい事してるのは何時もの事なのに母さんは慌てすぎだ。

 

まさか兄ちゃんの部屋で想像を絶する何かがあったか?

 

気になるので父さんに詰め寄る母さんを横目に階段を上がり兄ちゃんの部屋に直進する。

 

・・・中から兄ちゃんの声と「女」の声が聞こえる。

 

昨日、松田の家から帰って何かあったか?

 

バイト有るから先に松田の家を出たけどバイト終わって家に帰っても兄ちゃんは帰ってなかったはず。

 

 

「・・・兄ちゃん。入っていいか?」

 

「あ、アキラ!?待て、今は駄目だ!!入るなぁぁぁあ!!」

 

 

慌ててドタドタと騒ぐのが扉越しで分かる。

 

中から「服着てください」とか「私の裸は魅力無い?」とか意味深な話が聞こえてくるがここで扉を開けると見てはいけないものが目に入ってきそうなので待機。

 

暫く待つと漸く部屋から聞こえる物音が静かになり兄ちゃんと紅い髪の女・・・、リアス・グレモリーが出てきた。

 

 

「あ、アキラ、この人はな」

 

「大丈夫、分かってるから。兄ちゃんも大人になったんだな。天野さんの事で落ち込んでると思ったけど元気そうで何よりだ」

 

 

とそこでグレモリー先輩が俺を睨んでいるのに気付いた。

 

具体的に言うなら俺が「天野さん」と言った所で彼女は俺に対し鋭い視線を向けてきた。

 

この人、何か知ってそうだな。

 

 

「・・・俺に何か、グレモリー先輩?」

 

「へぇ、私の事を知っているのね?」

 

「俺も駒王学園の生徒ですから。有名ですよ、先輩は」

 

 

駆王学園の生徒で彼女を知らない人間は居ないだろう。

 

その紅い髪と目も眩む様な美貌を持ち合わせた彼女は学園のアイドル的存在だから。

 

 

「貴方、さっき「天野さん」って言ったわよね?」

 

「えぇ、現在行方不明の兄ちゃんの彼女です。グレモリー先輩は彼女をご存知で?」

 

「・・・」

 

 

答えない・・・か。

 

言いたくないのか答えられない理由が存在するのか。

 

分かるのは俺が警戒されまくってる事だ。

 

 

「・・・まぁ、良いです。それよりご一緒に朝食でも如何ですか?兄ちゃんも突っ立ってないでさっさとグレモリー先輩を案内して」

 

「と、父さんと母さんに何て説明すれば・・・」

 

「大丈夫よ。イッセーのお父様とお母様ならきっと分かってくれるわ」

 

 

目を怪しく輝かせグレモリー先輩は兄ちゃんと共にリビングへと向かった。

 

 

・・

 

・・・

 

「イッセーとはどういうご関係なのかしら?」

 

 

おぉ、ついに母さんが突っ込んだ。

 

現在、グレモリー先輩を加えて一家団欒・・・とは程遠い雰囲気での朝食風景。

 

母さんの証言によると裸で抱き合っていた兄ちゃんとグレモリー先輩の事をこれまでスルーしてきたわけだけど漸く母さんが切り込んでいった。

 

 

「仲の良い先輩と後輩ですわ」

 

「嘘よ!」

 

「そうだ!学園内の兄ちゃんの行動は四六時中俺が付回して把握してるけどグレモリー先輩と兄ちゃんの接点なんて無かったはずだ!!」

 

「おいアキラ!ちょっと聞き捨てならないんだけど!!」

 

 

一体何時の間に兄ちゃんと仲良くなったんだ?

 

休み時間はずっと付回してたはずだし授業はずっと同じクラスだからそんな隙は無かったはず。

 

だとすれば放課後か休日。

 

放課後は流石に俺もバイト等で全ては把握し切れなかったし休日は自重してたからその時か!!

 

 

「・・・聞いてた通りね。イッセーと兄弟で禁断の関係と噂されるだけはあるわ」

 

「先輩!それは誤解です!!アキラの奴酷いブラコンで」

 

「兄ちゃん、そんなストレートに褒められるとテレちまうぜ」

 

「褒めてねぇよ!」

 

 

先程の鋭い目から一転、グレモリー先輩は俺の事を呆れたように見つめる。

 

でも警戒は消えてない感じ。

 

一体俺の何を警戒するのか。

 

 

「あ、アキラだってこう言っているわ!この子はイッセーのことに関しては誰よりも知り尽くしてるのよ!!」

 

「母さんまで褒め殺しか!畜生、何て羞恥プレイだ」

 

「こ、この子はイッセー命でイッセー第一でイッセー馬鹿だけど嘘だけは言わないの!アキラがこう言う以上貴女の事は信じられないわ!!」

 

 

母さん自重してくれ。恥ずかしいだろ。

 

と、ここでグレモリー先輩が反撃に移った。

 

 

「確かにアキラ君はイッセーのことに関して右に出るものは居ないと思います。でもアキラ君でもイッセーの全ての行動を把握できるものではありませんわ。私は恐らくアキラ君が知らない僅かな所でイッセーと仲良くなったと考えます」

 

「ば、バカな!俺が兄ちゃんの事で察知できない事が有っただと!!た、確かに天野さんの事はノーマークだったけど学園内の出来事で見逃しがあったなんて!?」

 

「・・・リアスさん、この子は無視してください。この子のコレは一種の病気だから」

 

「・・・えぇ、そうさせてもらいますわ、お母様」

 

「で、どうしてリアスさんがイッセーのベットで抱き合っていたのかしら」

 

「イッセーが怖い夢を見るというので添い寝をしてあげたんです」

 

「そ、添い寝って。裸だったじゃない!」

 

「はい、最近の添い寝はそういうものです」

 

「そ、そうなの・・・。最近の添い寝はそういうものなの?」

 

 

母さん、目が空ろだ。空気だった父さんも同じ目してるし。

 

兄ちゃんはグレモリー先輩と内緒話しながら何か驚いてるみたいだし。

 

しかし、其れよりも

 

 

「最近の添い寝って過激なんだな」

 

「リアス先輩、アキラにも力ってやつを?」

 

「えぇ、でも効いてないみたいね。・・・この子は唯の天然だと思うわ」

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