ハイスクールD×D ~龍の兄と鬼の弟~   作:ショタ専用○ンダム

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四話 兄ちゃんが泣いてた

「ただいま~」

 

 

夜遅くの時間、兄ちゃんが帰ってくる。

 

最近は何時もこうだ。

 

何をしてるかは教えてくれないけど帰ってくるのは何時も深夜。

 

部活の一環って聞いてるけどこんな夜遅くに活動するのは学校として認められるのか?

 

 

「お帰り兄ちゃん。母さんが冷蔵庫にご飯あるから温めて食べろって」

 

「悪い、・・・あんま、食欲無いんだ」

 

「・・・兄ちゃん、何か有った?」

 

 

兄ちゃんの雰囲気がどんよりと暗くなっている。

 

かなり落ち込んでいるような感じだ。

 

ここまで落ち込んだ兄ちゃんは去年暮れの大喧嘩の末に兄ちゃんの秘蔵DVDを叩き割った時以来だ。

 

 

「・・・何にもねぇよ。ただ自分自身がかなり不甲斐ないって思ってさ」

 

「兄ちゃんは不甲斐なくなんてないぞ?兄ちゃんが不甲斐なかったら俺はこんなにも兄ちゃんを好きになんてなってないからな」

 

 

俺は昔、兄ちゃんに何度も助けてもらった。

 

クラス内で苛められてた俺は良く周囲の子供から暴力を受けていた。

 

兄ちゃんは何時もそんな時に身を挺して助けてくれた。

 

何人もの相手に向かって倒れても倒れても何度も立ち上がって俺を護ってくれたその姿を俺は今もまだ鮮明に覚えてる。

 

俺はあの時から兄ちゃんの持ってる「強さ」に魅せられ続けてるんだと思う。

 

 

「たまには頼ってくれよ兄ちゃん。最近なんか兄ちゃんと距離があるみたいで寂しいんだからな」

 

「あぁ、悪い。最近ちょっと色々あってさ。アキラを蔑ろにしてるわけじゃないんだ」

 

 

そう言って兄ちゃんは階段を上がり自分の部屋に戻っていった。

 

そして兄ちゃんは翌日学校を休んだ。

 

 

・・

 

・・・

 

兄ちゃんが休んだ日の放課後、俺はなんとなくアーシアの赴任した教会に足を運んでいた。

 

兄ちゃんは教会に行かなかったから会わなかったけどフリードさんと言う神父に会うためだ。

 

神父というには軽い態度だけど神父らしく俺の悩みを聞いてもらおうなどと思ったからだ。

 

そうして教会につき扉を叩く。

 

出てきたのはフリードさんではなく別の神父だ。

 

 

「迷える子羊よ。この教会に何か用かな?」

 

「あ、はい、実は悩みがあったので前にここで知り合ったフリード神父に悩みを聞いてもらおうと思いまして・・・」

 

「・・・申し訳ないが、今この教会は大切な儀式の準備がありまして貴方を迎える事が出来ないのです」

 

「そうですか・・・、すいません。何か邪魔しちゃったみたいで」

 

 

俺は踵を返し教会を背にする。

 

神父さんも頭を下げてくれて随分丁寧な対応だな。

 

 

「おや?おやおやおや~?アキラ君じゃあーりませんか」

 

「あ、フリードさん!」

 

「もしかしてアーシアたんに会いに来たの。ごめんねー、アーシアたんは今日の儀式の準備であえないんよよー。俺でよければ付き合うぜー」

 

 

あ、相変わらず軽い。

 

この人本当に神父かよ?

 

 

「いえ、今日はフリードさんに会いに来たんです」

 

「俺に?も、もしかしてアキラ君は俺の後ろの穴を狙う獣だったのかい?このままじゃ俺っち腐った天使様達のエロ妄想の餌食!」

 

「普通に悩みがあるので相談に来たんですが。アンタの尻など狙いません」

 

 

フリードさんは「なーんだ」等と軽く流しつつ教会の中に案内してくれた。

 

なんでも儀式というのは地下で行うそうで普通の懺悔室等は使えるらしい。

 

フリードさん自身に儀式の準備は無いらしく冗談で「やってきた悪魔を退治するのが俺っちの役目だぜ」と陽気な雰囲気で話してくれた。

 

 

「いやー、まさかアキラ君が俺を訪ねて来るなど思いませんでしたぞぉ」

 

「神父のフリードさんなら相談に乗ってくれるかなって思って」

 

「俺に相談ってアキラ君は勇気がありますなぁ。でも、おかげで手間が省けたってもんですよ」

 

「えっ?何のっ・・・!!」

 

 

フリードさんの拳が俺の鳩尾に綺麗に決まっていた。

 

俺がフリードさんの顔を見上げるとそこには何の感慨も無くただ当たり前のことを行ったという顔をしているフリードさんがいた。

 

 

「んーんー、今日の儀式をイッセー君達が邪魔しに来そうだから俺の上司が弟のアキラ君を人質にするって言い出したわけですよ」

 

 

に、兄ちゃんに、何、を?

 

 

「俺としては悪魔の弟なんて即ぶった斬りたいとこですが優しい俺はイッセー君ぶっ殺すまでアキラ君は生かしておいてあげるのでした」

 

 

ふ、ざける、な。

 

兄ちゃんを、ころす、なん、て・・・。

 

 

・・

 

・・・

 

俺は木場と小猫ちゃんと共にアーシアの救出へ向かった。

 

途中、あのクソ神父がいたけどプロモーション・ルークによって撃退。

 

逃がしたけど今はアーシアのほうが先だ。

 

裁断にあった地下への階段を降り奥へと続く道へ進む。

 

 

「たぶん・・・この道の奥に。あの人の匂いがします。あと・・・アキラ先輩の匂いも」

 

「アキラ君の?だとすれば彼、部長の予測どおり堕天使側の人間だったみたいだね」

 

「そ、そんな!ありえない、アキラが俺を裏切るわけが無い!!」

 

 

でも、小猫ちゃんの言う事が本当ならアキラはこの奥にいることになる。

 

もし、アキラが堕天使側の人間だったら・・・、俺はどうすればいい?

 

俺はアキラと戦えるのか?

 

 

「おそらく、奥には堕天使とエクソシスト達・・・、そしてアキラ君が居る。イッセー君覚悟はいい?」

 

 

木場の言葉に小猫ちゃんが頷く。

 

俺は・・・どうすればいい?

 

 

「イッセー君?」

 

「あぁ!もう、先の事は先の事だ!!木場、開けてくれ!!」

 

「わかった、じゃあ、扉を」

 

 

木場が扉を開けようとした瞬間、扉の方が勝手に開きだした。

 

 

「いらっしゃい。悪魔の皆さん」

 

 

レイナーレの声が部屋の置くから聞こえてきた。

 

部屋の中は神父だらけ。光の剣を掲げながら俺たちを凝視している。

 

そして俺はその奥に十字架に磔にされたアーシア。

 

 

「アーシアァァ!!」

 

「・・イッセーさん?」

 

「アーシア!助けに来たぞ!!」

 

 

俺が叫ぶと彼女は悲しそうな顔で俺を見つめる。

 

 

「ダメです!来ないでください!!」

 

「なっ!何でだよ、アーシア!!」

 

 

せっかく助けに来たのにどうして!!

 

 

「あははっ、振られちゃったわね、イッセー君。どうしてって顔してるわよ?」

 

「イッセーさん。お願いです。来ないでください。じゃないと」

 

「ふふっ、いいじゃない。助けを求めれば。きっとイッセー君は助けてくれるわ」

 

 

そうだ、アーシア。助けてって言ってくれ。

 

俺はアーシアのためにここまで来たんだから。

 

 

「でも」

 

 

レイナーレが足元にあるナニカを掴み上げる。

 

それは赤黒く染まり人の形をしている。

 

 

「この子の命は保障しない」

 

 

150cmに満たない小さな躯体に赤く染まった栗色の髪。

 

いつも俺の後を付けてきた、いつも俺のことを大事に思ってくれていた俺の弟。

 

 

「あ、アキラァァァア!!」

 

 

兵藤晶が血まみれでレイナーレに捕らえられていた。

 

 

「いい反応よ。さて、どうするのかしら?アーシアを助ければアキラ君は殺すわ。でも儀式が終わるまで手を出さないならアキラ君は助けてあげる」

 

「なっ、卑怯だぞ!!」

 

「・・・最低です」

 

 

これじゃあ俺も木場も小猫ちゃんも手を出せない!

 

木場も小猫ちゃんも苦虫を噛み潰したような顔をしている。

 

アキラに対する対処を間違ったツケがここに来て大きく響いてきているのが分かる。

 

二人とももうアキラが堕天使側じゃない事を痛感しているんだ。

 

そして俺たちの対応の不味さがアキラが人質になるという結果に出てきている。

 

 

「アキラを離せレイナーレ!!」

 

「・・・いいわ、ほら受け取りなさい」

 

 

レイナーレがアキラを高く放り投げる。

 

何故、と思う暇も無く俺は駆け出していた。

 

あんな高さから落下したらアキラが死んじまう!!

 

 

「イッセー君っ、危ない!!」

 

 

木場の声で神父の一人がアキラを抱きとめようと思っていた俺に襲い掛かってきているのに気付く。

 

 

「くそっ、どけよ!!」

 

 

神父を避けてアキラの元へたどり着こうとしてもまた新たな神父が俺を阻む。

 

木場も小猫ちゃんも同じような状況でアキラの下へたどり着けない。

 

そして

 

 

―――ゴッ

 

 

アキラはそのまま地面へと叩きつけられた。

 

夥しい量の出血で床は真紅色に染められ明らかに致死量の流血だ。

 

 

「あ、あき・・・ら?」

 

 

ウソ・・・だろ?

 

アキラが・・・死んだ?

 

 

「あははっ、酷いじゃないイッセー君。ちゃんと受け止めてあげなきゃ。っと儀式も終わりね。さぁ、アーシア。私に聖母の微笑を捧げるのよ!!」

 

「いやぁぁぁぁぁッッ・・・!!」

 

 

そして、俺が呆然としている間にアーシアの絶叫が響いた。

 

 

「なっ、アーシア!!」

 

「くっ、イッセー君、小猫ちゃん!僕が道を作る!!その間に二人を!!」

 

「・・・アキラ先輩は私が回収します。イッセー先輩はあの人を」

 

「わかった!小猫ちゃん、アキラは頼んだ!!」

 

 

俺は木場の作った道をたどり階段を駆け上がりアーシアの元へと辿り着く。

 

 

「・・・い、イッセーさん」

 

「アーシア、迎えに来たよ」

 

「ごめん・・・なさい。私のせいで・・・アキラさんが」

 

 

アキラの方を見ると小猫ちゃんがしっかりと回収しているのが見えた。

 

けど流石に人一人抱えたままでの離脱は困難らしく木場に護られる一方だ。

 

 

「アキラがそんな簡単に死ぬかよ。大丈夫だ、だからアーシアも一緒に帰ろう」

 

「無駄よ」

 

 

レイナーレが俺の心を否定するように失笑を浮かべる。

 

 

「神器を抜かれた人間は死ぬしかない。その子はもう死ぬわ」

 

「だったらアーシアの神器を返せっ!!」

 

「返すものですか。私は上を騙してまでこの計画を進めたのよ?貴方達を殺して証拠も残さないわ」

 

 

残酷な笑みを浮かべながらレイナーレは光の槍を構える。

 

 

「くそっ、夕麻ちゃんの姿が憎いぜ」

 

「ふふっ、イッセー君とのひと時はそれなりに楽しめたわ」

 

「・・・初めての彼女だったんだ。アキラもスッゲェ喜んでくれた」

 

「えぇ、女を知らない男はからかいがいがあったわ。でもアキラ君の私を半殺しにするって一言は頭に来たわね。だから逆に私がいたぶってあげたの」

 

「・・・大事にしようと思ったんだ」

 

「えぇ、大事にしてくれたわ。私が困ってると即座にフォロー入れてくれたわね?でも、あれ全部私がわざとそういう風にしてあげたのよあなたの慌てふためく顔がとっても可笑しいんですもの」

 

「・・・アキラも一緒にデートコース考えてくれたんだ。夜遅くまで俺に付き合ってくれてさ」

 

「アハハ、とっても王道なデートだったわ!おかげでとってもつまらなかった」

 

「・・・夕麻ちゃん」

 

「あなたを夕暮れに殺そうと思ったからその名前にしたの。素敵でしょ?」

 

 

コイツは俺の思いをアキラの思いを全て踏みにじりやがった。

 

もう我慢の限界だった。

 

 

「レイナーレェェェェェェェェッッ!!」

 

「腐ったガキが私の名前を気安く呼ぶんじゃないわよ!!」

 

 

コンナ奴に、コンナ奴にアキラもアーシアも苦しめられたってのかよ!!

 

 

「アキラもアーシアもお前なんかに踏みにじらていい道理なんて無いはずだろうがぁぁぁぁぁっっ!!」

 

「ダメだ、イッセー君!!」

 

 

木場が必死に俺を止めてくるけど関係ない!

 

俺はこいつをぶっ飛ばす!!

 

けどその時声が響いてきた。

 

 

「だれ・・・だよ。兄ちゃん泣かせるの」

 

 

そこに響くはずの無い声が響いてきた。

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