ハイスクールD×D ~龍の兄と鬼の弟~   作:ショタ専用○ンダム

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五話 兄ちゃんの彼女は最低だった

「レイナーレェェェェェェェェッッ!!」

 

 

な、んだ?

 

兄ちゃんの、声?叫んでるのか?

 

くっそ、体中が痛いな。

 

どういう状況だ?俺、背負われてる。

 

しかも・・・女の子に?

 

この子って・・・塔城さん?

 

周りには神父っぽい人が光の剣っぽいのを持って群れを成してる。

 

そして俺と塔城さんを護るようにウチの学園の制服を着た男の背中。

 

剣を持って戦ってる?

 

 

「アキラもアーシアもお前なんかに踏みにじらていい道理なんて無いはずだろうがぁぁぁぁぁっっ!!」

 

 

兄ちゃん?

 

顔を上げ視線を上へと向ける。

 

塔城さんが驚いたように顔をこちらに向けたが気にせず俺は兄ちゃんに視線を向ける。

 

泣いていた。

 

叫びながら兄ちゃんは泣いていた。

 

 

「だれ・・・だよ。兄ちゃん泣かせるの」

 

 

足に力を入れ自分の力で立つ。

 

少しふらつくけど・・・大丈夫だ。この程度ならアイツを半殺しにするくらい出来る。

 

そう、現在進行形で兄ちゃんと退治している兄ちゃんを悲しませた元凶と思わしきクソ女。

 

天野夕真を半殺しにする程度は。

 

 

「・・・ダメです、アキラ先輩。動かないでください」

 

 

塔城さんが兄ちゃんの所へ向かおうとする俺の手を握り俺の歩みを止めてくる。

 

 

「離してくれ、塔城さん。俺はあの女を殴らなきゃいけないんだ」

 

「小猫ちゃんの言うとおりだよ、アキラ君」

 

 

剣を持った男・・・木場がさらに俺に静止を掛ける。

 

と言っても神父集団と戦いながらだから声だけでだが。

 

 

「そんなに血塗れじゃないか、そうして立っているのが不思議なのにこれ以上君を危険な目に合わせられないよ」

 

「この程度、一日ぐっすりと休んでれば完治する程度の怪我だ。つまり、あのクズ女を殴るのに何の支障もないって事だろうが」

 

「・・・やめてください、本当に死んじゃいます」

 

 

塔城さんが握る手に更に力がこもる。

 

これは離してくれそうにないな。いっその事塔城さんを抱えたままクソ女の所まで行って殴り飛ばすか?

 

 

「うん、それがいいな。ちょっと失礼するよ、塔城さん」

 

「えっ?」

 

 

思い立ったが吉日、早速塔城さんの背中と足に素早く手を回し抱きかかえる。

 

所謂お姫様抱っこって奴だ。

 

 

「は、離してくださいっ。何でこんな事・・・」

 

「いや、塔城さん俺の手を離してくれそうに無いからさ。なら塔城ごとあそこに行けば万事解決という結論に達した」

 

「だからって・・・」

 

 

さてと、行きますか。

 

 

―タンッ

 

 

小気味良い音が響き俺は疾走していた。

 

神父達の間を潜り抜ける。

 

 

「くっ、堕天使様の邪魔をするか!!」

 

「どけよ!じゃねぇと蹴り飛ばすぞ!!」

 

 

神父の一人が叫ぶのを皮切りに神父集団が俺に襲い掛かってくる。

 

そのうちの一人が光の剣で突きを放つ。

 

塔城さんごと俺を貫けるような軌道で放たれたそれを俺は相手の握りを蹴り飛ばす事で機動を逸らす。

 

さらに背後からの気配、

 

愚直に振り下ろされた光の剣、

 

それを俺は半歩だけ横に移動する事で回避。

 

さらに回し蹴りの要領で相手の胴を凪ぎ吹き飛ばす。

 

俺の身体能力ははっきり言えば化物クラスだ。

 

俺自身、それが人に知られれば厄介事しか起こらないと理解していたため身体能力をフルで使った事なんてない。

 

だからもちろん記憶にある限り本気で蹴りを放つという経験なんて無い。

 

でもこの回し蹴りは本気ではなった。

 

そもそも如何にも殺傷能力の高そうな剣で斬り付けて来る奴に手加減なんて必要ない。

 

ただ、俺自身が自分の能力を把握できていなかったんだろう。

 

・・・まさか蹴りで人が10m以上吹き飛ぶとは。

 

しかも周りの神父を巻き込みながらそれでも勢いはとまらない。

 

けど、そんな事に驚く暇もなく神父は襲ってくる。

 

おいおい、剣の次は銃かよ。

 

考える暇も泣く銃を持った神父が引き金を引き弾丸を放つ。

 

けど身体能力よりも異常な俺の動体視力は弾丸すら見切る事ができた。

 

まさかの事態に自分でも吃驚だ。

 

弾丸を見切れるって明らかに人外の所業だろ。

 

銃を撃った神父を今度は踵落しで沈めながら俺は更に前へと進む。

 

相手の動きが緩やかに見える。

 

さらに進路上にいた神父を2,3人蹴り飛ばしながらも俺は兄ちゃんの下へと辿り着く。

 

 

「よぉ、兄ちゃん。どうしたんだ?そんな呆けた顔してさ」

 

「あ、アキラ、お前」

 

 

呆然としてる兄ちゃんを脇に置きとりあえず抱えていた塔城さんを下ろす。

 

塔城さんも目をぱちくりさせながら俺を見つめていた。

 

 

「・・・アキラ先輩、貴方はいったい」

 

「まぁ、それは後に置いて」

 

 

天野夕麻。

 

兄ちゃんが悲しむ原因と思われる女。

 

俺は天野を睨み付けながら敵意をこめて言う。

 

 

「おい、クズ女。取りあえず兄ちゃん泣かせたのってお前でいいんだよな?」

 

「アナタ、誰に向かって口を聞いているのかしら?」

 

「お前が誰かなんてどうでもいいんだよ。大事なのは兄ちゃんを泣かせた奴がお前でいいのかって事だけだ」

 

「・・・ええ、そうよ。ちょっと苛めてあげたらいい声で泣いてくれるんだもの、傑作でしょ?」

 

 

腐りきった笑みを浮かべながら楽しそうに語る。

 

なるほど、ならつまり俺にはこいつを半殺しにする理由ができたって訳だ。

 

 

「でもだから何?まさか本当に私を殴るつもり?少しはやるようだけど人間でしかないアナタが?笑い話にもならないわよ、ソレ」

 

「俺はさ、嘘を吐いた事がないんだ」

 

 

嘘が嫌いだ。

 

吐くのも吐かれるのもだ。

 

何時からか分からないけど俺は嘘と言うものを僻してきた。

 

 

「へぇ、そうなの。とんだ聖人ね、キモチ悪い」

 

「お前にどう思われようが何とも思わねぇよ」

 

 

さぁ、断罪の時間だ。

 

兄ちゃんを泣かせた事を後悔させてやる。

 

 

「言ったよな、兄ちゃんを悲しませたら半殺しって。嘘を吐かない俺がそう言ったんだ、約束どおり半殺しにしてやるよ!!」

 

「生意気なクソガキが!!」

 

 

今度は光の槍か!

 

けど遅いんだよ!!

 

俺は天野の懐に突っ込み槍の柄を押さえ込む。

 

 

「なっ、貴様!!」

 

「見えてんだよ!」

 

 

銃弾見切れる動体視力を嘗めるな!

 

 

「くっ、離せ!」

 

「テメェがな!」

 

 

無理やりに俺を槍から引き剥がそうとするがそれは大きすぎる隙だ。

 

天野の鳩尾に全力で拳を放つ。

 

人を吹き飛ばす程の力を持った俺の全力のパンチを受けて天野はそのまま吹き飛んでいく。

 

 

「がぁぁぁぁっ!!」

 

 

そのまま壁に激突し天野はよろよろと立ち上がる。

 

 

「き、貴様ぁぁぁぁっ!!」

 

「ほらテメェの槍だ。返すぞ!!」

 

 

天野が吹き飛んでも俺の手元に残っていた光の槍を天野に向かって投げつける。

 

狙いは天野の顔のスレスレ。

 

狙い通りに槍は天野の頬を掠め壁に突き刺さる。

 

 

「俺は半殺しって言ったからな。殺さないできっちり半分で許してやるよ!」

 

「巫山戯るなぁぁっ!人間風情がぁぁっ!!」

 

 

まるで自分が人間よりも上の存在であるみたいな言い草だな。

 

その珍妙なコスプレも羽の飾りもはっきり言って趣味が悪い。

 

こんな妄想危険人物はサクッと半殺しにして終わらせるに限る。

 

けど、その前に。

 

 

「兄ちゃん、いろいろ事情があるみたいだけどここは俺に任せろ。その子、アーシアも随分弱ってるみたいだし」

 

 

ってここは任せろって死亡フラグみたいだな。

 

 

「あ、あぁ、けどアキラ、お前大丈夫なのか?」

 

「さっき死亡フラグ立てた気もしたけど大丈夫だろ?あの女程度なら楽に潰せそうだ」

 

「いや、そうじゃなくって。お前怪我してるだろ」

 

「んー、体中痛いけど大丈夫だ。多分見た目よりも軽症だと思う」

 

 

確かに今の俺って血塗れだな。

 

でも不思議と激痛って言うのは無いんだよな。

 

確かに痛いけど我慢できる痛みだ。

 

我慢できるから問題ない。完璧な理論。

 

 

「兄ちゃん、ついでに塔城さんも任せていいか?」

 

「・・・ダメです」

 

 

・・・なんで塔城さんの方からダメ出し?

 

 

「・・・アキラ先輩は強いかもしれません。でも堕天使と1対1なんて許容できません」

 

「え~と、堕天使?」

 

「・・・なので申し訳ないですがイッセー先輩には一人で離脱してもらいたいです。祐斗先輩!」

 

「わかったよ!イッセー君、僕が援護するから離脱するんだ!!」

 

「木場、でも!!」

 

「アキラ君は小猫ちゃんが護ってくれてる!君はその子を護るんだ!!」

 

 

ハッとしたように兄ちゃんがアーシアを強く抱きしめる。

 

そして決意したように立ち上がり走り出す。

 

兄ちゃん、漢の顔をしてたな。

 

それでこそ俺の大好きな兄ちゃんだぜ。

 

 

「・・・アキラ先輩、呆けないで下さい。来ます」

 

 

見ると天野が光の槍を構え敵意を放っている。

 

 

「へぇ、意外と空気読めるんだ。少しは見直したよ」

 

「・・・もうお前は人間だと思わないわ、本気で殺してあげるっ!!」

 

 

何だ?コイツ・・・ダメージが抜けてる?

 

頬につけた傷も見当たらず思いっきり殴って結構なダメージを与えたと思ったのに今は余裕の表情で立っている。

 

 

「何だか知らないけど回復してるみたいだな」

 

「えぇ、アナタ達が悠長に話してる間に使わせてもらったわ。聖母の微笑をね」

 

 

聖母の微笑?

 

また良く分からない用語を出しやがって。

 

 

「珍妙な出来事の連発で少し混乱してきたな」

 

「・・・後で説明します。今は目の前の敵に集中してください」

 

「まるで塔城さんも一緒に戦うような言い草だね」

 

「・・・戦います、一緒に」

 

 

塔城さんはボクシングみたいな構えを取りやる気満々ですと全身で表現してきた。

 

えっ、マジで?

 

人の子と言えないけど見た目小学生を戦わせていいの?

 

 

「・・・何か変な事考えてませんか?」

 

「・・・」

 

「・・・嘘を吐かないというアキラ先輩が沈黙するという事は考えてたんですね」

 

 

鋭い。

 

嘘は吐かないけど沈黙はありってすぐに見破られたよ。

 

 

「・・・大丈夫です。少なくともアキラ先輩よりも強いです」

 

「・・・言ってくれるね。そこまで言うなら証明してもらおうじゃないか」

 

 

互いに肩を並べ天野と対峙する。

 

2対1っていうのは気が進まないけど塔城さんは引いてくれそうにないし俺が引いたら半殺しを実行できなくなる。

 

塔城さんとの共闘は互いにとっての妥協点。

 

一人で戦いたい俺と俺に戦って欲しくない塔城さんが互いに納得できる選択。

 

 

「さて、覚悟はいいか天野夕麻!半殺しにしてやるぜ!!」

 

「・・・あまりカッコいい台詞とはいえませんね」

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