ハイスクールD×D ~龍の兄と鬼の弟~ 作:ショタ専用○ンダム
「・・・先手は貰います」
俺が声を掛ける間もなく塔城さんが飛び出し天野に向かっていく。
すぐさま天野も反応し光の槍を塔城さんに向かい投擲する。
しかし塔城さんは向かってくる光の槍をあろう事にそのまま光の槍に突っ込んで防御もせずに受け弾き返した。
塔城さんの左肩に直撃したその槍は弾かれた勢いでクルクルと回転しながら舞い上がる。
えっ?何かあの光の槍って刃みたいに鋭く見えるけど実は刃抜とかして実際は唯の鈍器なの?
だとしてもあの槍をあのスピードで受けてよろめく所か全く突撃のスピードを落とさない塔城さんって実は本当に強い?
俺がそんな事態に驚いている間に塔城さんは既に天野との距離をゼロにしており握った拳を放とうとしていた。
腰の入った右ストレートが天野の腹へ向かって放たれるが天野は何時の間に持っていたのか光の槍でそれを防ぐ。
空を見れば先程の光の槍はまだ回転を続けながら地面に落下している最中だった。
つまり何処に隠し持っていたのか天野は二本目の槍で塔城さんの攻撃を防いだのだ。
しかし防がれても一切動揺せずに二撃目の蹴りを左足から繰り出す。
横凪ぎになった蹴りを天野はまたも槍の柄で防ぐが何処にそんな力があるのか塔城さんは槍ごと天野を蹴りの勢いでそのまま空中へと吹き飛ばす。
吹き飛んだ天野は7~8m程吹き飛び落下を・・・始めなかった。
天野が空中で静止している。
「ねぇ、塔城さん。天野の奴、飛んでないか?」
「・・・相手は堕天使です。飛ぶに決まっています」
・・・どうやら飛んで当然の相手らしい。
考えるのは面倒くさいし聞く時間も無さそうだから保留、そういう相手と言う事で今は納得しておこう。
「どうやら二人とも馬鹿力が自慢のようね。どっちもチビの癖して」
「「チビ?」」
塔城さんと俺の声が重なる。
塔城も気にしていた事らしく妙な親近感が沸いた。
互いに頷き合い二人の思いが重なった。
「今度は俺の番だ!」
「・・・先輩、余り前に出ないで下さい」
塔城さんの静止を聞かずに俺は飛んでいる天野に突撃する。
途中、塔城さんの弾き地面に突き刺さっていた槍を拾う。
・・・指で槍の部分を確認してみたけど普通に切れるんですけど。
塔城さんがどうやってこれを弾いたかは気になるけど俺はこれ当たっちゃ不味いな。
逆にこれで天野を攻撃しても殺してしまう可能性がある。
結論、この槍は天野の槍との打ち合いか牽制程度にしか使えない。
そもそも俺は武器とか使った事ないから天野と槍の腕で競い合っても元々の槍の持ち主である天野とは打ち負ける可能性のほうが高い。
なら、
「きちんと避けるか弾くかしろよっ!」
叫んでから槍を天野に向かって投擲。
俺はそのまま加速し飛んでいる天野の下を潜り抜ける。
槍は天野に回避され天野の後方3m位にある壁へと突き刺さる。
そう俺が天野の下を潜り抜け到達した丁度真上に槍は突き刺さっている。
「まずは地面に落とすっ!!」
壁を蹴り突き刺さった槍に手が届いた。
槍を鉄棒のように使い大車輪を一回転、その勢いで槍を引き抜き天井へ飛び移る。
落ちないように天井に槍を突き立て槍を支えに天井へと足を着け今度はまだ俺に背を向けている天野に向かい突撃、槍を引き抜くのも忘れずに俺は自身の脚力と重力によって加速し天野に接近した。
「まるで猿ねっ!でもその程度で私の不意が突けると思ったのかしらっ!」
まるで最初から俺の狙いが分かっていたように天野は反転、槍を突き出してきた。
空中で回避行動の取れない俺はその槍の柄を掴み軌道変更。
「速さが足りないな!槍の柄を掴まれるってのは槍使いにとって屈辱らしいぜっ!!」
天野の槍を支えに蹴りを・・・
―ガクンッ
支えにした槍が俺の手の中から消失していた。
一瞬で支えをなくしバランスを崩した俺に対し天野は槍を突き出し・・・
「私の槍を支えにって馬鹿じゃないの?堕天使の槍は出すのも消すのも術者の意思次第なのよ!!」
向かってくる槍を手にした槍で受け、
俺の槍が消失した。
「なっ!?」
「言ったでしょ!その槍は私の槍だから消すのは私の意思でできるのよ!!」
槍が消える直前で突き出された槍は逸らす事ができたが次に攻撃されたら回避はできないっ!!
俺の思惑も読み通りと言うように天野は再度俺に槍を突き刺そうとし、
「・・・先輩ばかりに気を取られすぎです」
いつの間にか背後に迫っていた塔城さんに背中を蹴られて地面に叩きつけられる。
無様に地を這う天野を眺めながら俺も塔城さんも落下し危なげなく着地した。
「ありがとう、塔城さん。助かったよ」
「・・・無茶しすぎです。危うく死んじゃうところでした」
「あー、うん、ちょっと油断した。まさかあの槍にあんな機能があったなんて」
まただ。
また俺の常識を真正面からブチ破ってくれるような現象だ。
槍を生身で弾いたり空を飛んだりするのも驚いたけど・・・さっきのはヤバかった。
あんな不意打ちのような出来事で死に掛けた。
そう思うと次に何が起こるかを警戒するしかない。
死に直結するような不可思議な現象、これに対応するには速攻で決めるしかないか?
変な出来事が起きる間もなくカタをつけたい。
でも横で変に警戒してる塔城さんがいるからなぁ。
俺が突っ込んだら首根っこ掴んで止めてきそうな雰囲気だ。
「・・・私が相手を引き付けます。アキラ先輩は隙を突いて私を援護してください」
「ちょっと、塔城さんっ!?」
立ち上がろうとする天野に突貫する塔城さん。
容赦なくよろめいて弱っている天野に殴りかかった。
容赦ない連続攻撃で天野は反抗も出来ず打撃の嵐をその身に受けるしかない。
塔城さん、援護って言っても援護させる暇も無く倒す気だ。
しかし、天野もそれでやられているだけじゃなかった。
攻撃を受けながらも天野は光の槍で一槍報いようと塔城さんに向かって槍を突き出そうとする。
「がぁぁぁぁっ!嘗めるな、下級悪魔風情がぁぁ!」
「っ!?」
塔城さんもその行動は予想外だったのか一瞬だけ硬直してしまった。
けどそれは余りに大きすぎる隙、槍が塔城さんを捕らえるのには十分だった。
「はい、隙ありっ!相手は塔城さんだけじゃないんだよ!!」
けど塔城さんだけに意識が向いていて俺に対しての注意が散漫になっていた。
だからだろう既に知覚まで接近していた俺に気付かなかった。
槍を持った右腕を俺に掴まれ目を見開く天野だが俺は容赦なくその右腕を掴んだまま飛び上がり肘に向かって膝蹴りを叩き込む。
「ああぁぁぁぁぁぁぁああぁっ!!」
―メキッ
と嫌な音が響き天野の腕があらぬ方向を向いている。
それを構うことなく掴んだままの右腕を力任せに振り抜いた。
天野はそれに抗う事もできず俺の狙い通りバランスを崩し前へと倒れこみそうになる。
そう、塔城さんが構える前方へと。
「・・・アキラ先輩、ナイスフォローです」
塔城さんが倒れこむ天野に一撃を叩き込み、
「ははっ、じゃあ、もう一撃頼むよ!!」
右腕を振り抜いた反動で空中にいた俺は丁度天野に手を向けるよう回転していた。
その勢いを殺さず体を捻りながらの回し蹴り。
天野の後頭部に直撃したそれは天野を再度前方へと押し戻し。
「・・・人使いが荒いです」
塔城さんの二撃目の餌食となった。
「がぁぁぁぁぁあっ!!」
声を上げ吹き飛ぶ天野。
それで終わらす気は無い。
刹那の間に吹き飛ぶ天野の足首と捕らえ、
「このまま叩きつけるっ!!」
地面に向かい叩き付けた。
「あ・・・ぁ・ぁぁぁ!」
「まだ、半殺しって程じゃないな」
そう判断すると俺は足首を掴んだままの腕に力を入れ、
「さぁ、フルボッコだ!!」
天野の体を振り上げ再度、地面へとたたきつける。
まだだ、三回、四回、五回と何度も何度も天野を叩き付けた。
「さてっ、そろそろ終わりにしてやる!!」
何度叩き付けたかは分からないが天野は既にボロボロだ。
その天野を今度は叩きつけずに壁へ向かって投げ飛ばす。
抵抗する気力も無いのかなすがままに壁に激突、衝撃で壁が崩れ瓦礫と煙で天野の姿が見えなくなった。
「あー、やりすぎかな?」
「そうでもないと思うよ?あのレベルの堕天使なら結構なダメージは有るけど死んではいないと思うから」
何時の間に寄ってきたのか木場が声をかけてきた。
「・・・祐斗先輩、神父たちの相手ご苦労様です」
「ははっ、二人の邪魔をしないように戦うのはちょっと骨が折れたよ」
見るとそこら中には倒れた神父の団体さん。
木場の奴、こいつ等全員倒したってのかよ。
「アキラ君もご苦労様。小猫ちゃんと二人でとは言え堕天使を倒しちゃうなんてね」
「いや、塔城さんがいなかったら負けてたよ。とはいえ宣言どおり半殺しは出来たから俺的には満足かな?ありがとな、塔城さん」
「・・・お役に立てたようで何よりです」
塔城さんがそっぽを向く。
これは一種の照れ隠しかな?
「さてと、俺はもう用は済んだし、兄ちゃんも心配だから帰るけど・・・っ!?」
―ザクッ
音と共に走る激痛が俺の体を襲う。
なんだ、これ?
これって・・・天野の使っていた光の槍?
それが・・・俺の脇腹を貫通してる。
「がはっ」
「アキラ君!?」
「アキラ先輩!?」
口から鮮血を吐き出し、俺は槍が飛んできた方向・・・、俺が天野を投げつけた場所を見た。
「人間と下級悪魔風情がっ!よくも私をこんな目に合わせてくれたわねっ!!」
馬鹿な、無傷だと?
天野は全く怪我というものをしていなかった。
折ったはずの腕もちゃんと着いてるしボロボロだった体も綺麗な状態だ。
「本当に・・・素敵な贈り物だわコレは。あれだけのダメージをすぐに回復してくれるんですもの」
「くっ、よくもっ!!」
「あら、そこ子を放って置いていいのかしら?そのままじゃ確実に死ぬわよ?」
天野が光の槍を出し牽制するように構える。
狙いは・・・俺だ。
「一人が治療に専念するにしてももう一人は私の攻撃からその子と治療している方を護る必要がある。それじゃあ私を逃がす以外にないわよね?」
こちらに注意を向けながら扉に向かいニヤリと嫌な笑顔を見せる。
まるで自分の勝利を確信したかのような笑みだ。
「最後に一つ、いいことを教えてあげる。この地下室は元々私達の計画が終わったとき証拠隠滅の為に私の意思一つで天井が崩落するようになってるの。三人仲良く生き埋めにでもなりなさい」
パチンッと天野が指を鳴らすと同時に天井が崩れる。
大量の瓦礫と土砂が俺と木場と塔城さんを飲み込んだ。