ハイスクールD×D ~龍の兄と鬼の弟~ 作:ショタ専用○ンダム
俺のバイト先であるアンティークショップ「Myth Fantasy」は町の外れにひっそりと佇んでいる。
滅多に人が訪れる事は無く毎日閑古鳥が鳴いている程の寂れた店だけど内装は綺麗で置いてある商品も綺麗に手入れされている。
何時も何故客も来ないこの店が俺というバイトを雇いながらも経営を続けられるのかと思っているのだけど店長曰く趣味的なもので経営しているらしく店の収入は雀の涙ほどとか。
その店長だけど美人のお姉さんだ。
青みがかった銀色の髪をサイドポニーで結い何時も真紅の服を着たおっとりとした優しい人。
実は俺も本名を教えてもらってない。
何でも「いい女は謎が多いものらしいわ」等といって聞いても教えてくれないので店長と呼んでる。
それでいいのか?とも思うけど本人が知られたくないみたいだし余り深く突っ込んで店長に嫌な思いさせるのもどうかと思うのでそのまま。
程々に仲良く、程々に親身に。
俺と店長はそんな不思議な関係だった。
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・・
・・・
「店長ー、置時計の移動終わりましたよ」
2mもある振り子式の古い置時計の移動を負え俺は店長を呼んだ。
普通は2,3人で運ぶんだけど無駄に力のある俺はこれを一人で運べた。
店長からの依頼で奥にしまわれてたこの時計を店内に展示する事になったけどこれを買う人はきっと現れないだろう。
何せここ数週間、客は着ていない上に俺がこの店でバイトを始めてから店内のものが買われた事は数えるほどしか無い。
「あ~、ありがとうアキラちゃん。どう?一緒にティータイムなんて」
「店長~、仕事中ですよ。何時も言ってるように店のど真ん中でティーセットを広げないで下さい」
「いいのよ、お客さんなんて滅多に来ないんだから」
それでいいのか店長。
せっせとティータイムの支度をしながら店長はニコニコと笑う。
既に店のど真ん中の机の上には色とりどりの茶菓子と熱いティーポットとカップが二つ。
準備万端だった。
「給料もらっててこう言うのもなんですけど仕事らしい仕事って無い店ですよね、ここって」
「あら、それは違うわ。アキラちゃんの仕事は私と一緒におしゃべりする事。一緒にティータイムを楽しみながら私と一緒に楽しい時間を過ごす事」
「それは仕事に分別されません。給料もらう身として申し訳ないんで仕事させてください」
「アキラちゃんは真面目ね。あんまり真面目すぎると若い内から肩こりになっちゃうわよ」
「店長が不真面目すぎるんです。何ですかそのモテない男集が喜びそうな仕事内容。「美人店長と一緒に優雅なティータイムを過ごすだけの簡単なお仕事です」みたいな謳い文句で新人でも募集するつもりですか?」
兄ちゃんだったら飛びつくぞ。その仕事。
「いやん、美人なんてアキラちゃんったら。でも新人は考えてないわ。アキラちゃんだから私はこの店に雇ったのよ。アキラちゃん以外なんて考えた事もないわ」
はぁ、何で俺はこの店で働いているんだろうか?
確か1年位前にこの店に入ったのが始まりだったはず。
当時の俺は何故かこの店に釣られる様にやってきて店長に出会った。
そして何故かそこでお茶会をしてその時、店長がバイトが欲しいと話を切り出して成り行きでそのまま1年もこの店でバイトを続けている。
一度、余りの仕事の無さに心苦しくなって辞めようとしたら店長に泣かれるわ終いには「私を捨てるのっ!?」等と誤解を招きそうな発言までして結局そのまま済崩し的にこの店で世話になり続けてる。
「ほらほら、アキラちゃん。準備できたから座って座って」
ニコニコと綺麗な笑顔で手招きする店長。
本当に仕事する気無いな、この人。
仕方ないので今日もまた店長に誘われるがままに座る。
それを見て店長は花の咲いたような笑顔を見せてくれた。
「ふふふ、今日も楽しいお茶会の始まりね」
「ええ、今日もまた仕事もせずにお茶会です」
「いいじゃない、たまには休息も必要よ?」
「仕事と休息の比率が逆なのにたまにも何も無いでしょうに」
店長の入れてくれた紅茶に口をつける。
相変わらずお茶を入れるのが上手い。
この人と会って俺は紅茶の美味しさを知ったし紅茶の入れ方を教えてもらったりもした。
なんだかんだで俺はこの店で行われるお茶会を結構楽しんでいた。
「あ、そうだアキラちゃん。昨日面白いものを創ってみたの」
「また趣味の工作ですか?で、今度は何を作ったんですか?この前は何処かで見た事あるような七つ集めると願いが叶う七つの玉でしたけど」
「あ~アレは失敗だったわ。試しに使ってみても出来る事に沢山制限ができちゃって本物には遠く及ばないのよね」
「はいはい、妄想はいいですから自慢したいならさっさとものを出して下さい」
店長は趣味で様々なものを工作で作っている。
妙に完成度が高く売ればかなりの高値になるだろう作品の数々は今は全てこの店の物置で眠っている。
しかも店長、中二病を発祥しているらしくできてきた物品には一つ一つに設定が存在している。
今回もそんな物品の一つなんだろう。
「ほら見て~。
取り出したのは細長い箱。
そこに入った漆黒に染まった赤いラインの入った剣。
「で、これにはどんな設定を?」
「もう~、設定じゃなくって全部本当なのよ」
「あ~、悪かったです。店長の作ったものは凄いですから拗ねないで下さい」
拗ねるとご機嫌とるの大変なんだよ。
この人って子供っぽいからな~。
「えっ、本当、アキラちゃん本当に凄いと思ってる?」
「はい、凄く綺麗に出来てて完成度高いと思ってます」
「えへへ、じゃあ、許してあげる」
結構単純だった。
中二設定に関しては全く触れていない事には気づいていない。
「でね、この呪邪の聖剣だけど全部私が創ったって訳じゃないの。まず、
「へぇ、その破片はどうやって手に入れたんですか?」
「残った破片は
どんな設定だ。
しかも悪い神父ってあの
「
「どんな物にも正の部分と負の部分は存在する。これは陰陽道の太極図にも現れてる事ね。つまり
あいも変わらず細かい設定。
・・・本当だったりしないよな。この前の一件から不思議な事ってあるって知っちゃったし。
「この
「それは聖剣というより魔剣ですね」
「さらに削り取り蓄積された神の力を解放して砲撃を放つ事もできる。正に対神兵器ね」
店長は
こうやって時々店長の趣味で作ったものを説明されながら紅茶を楽しむのが俺の日常の一部とかしていた。
「さぁ、楽しいお茶会を続けましょう?」
「本当にこれでバイト代をもらっていいのかなぁ?」
何時ものようにちょっと後ろめたい感情を抱きながらも店長の気のすむまでお茶会は続いた。
・
・・
・・・
「封印、解けかけてたわね」
アキラちゃんが帰った一人だけの店で私はぼやく。
あの封印を施してから既に8年もたっている。
何時解けても可笑しくはなかったけど遂にこの時が来てしまった。
早ければ一週間もしない内に完全に封印が解けてアキラちゃんは封じた力と記憶を呼び覚ますだろう。
その時、あの子はどうするだろう。
あの子の意思を聞かず封印を施してしまった事に私は負い目を感じ続けていた。
だからこそ一年前、本体の私は分霊である私を人間界へと送り出した。
私はここで結構上手くやれている。
天使や堕天使、この土地を管轄する悪魔さえも欺いて私は人としてこの世界に溶け込めた。
そこでアキラちゃんに再会してバイトとしてこの店に置けている。
監視という名目は有るけど私自身はアキラちゃん過ごす時間を楽しく思ってもいる。
アキラちゃんには娘を救ってもらった恩も有るし個人的には凄く気に入ってる。
もし無理やり封印をした事に怒って嫌われたらきっと年単位で立ち直れない。
メンタル面で私が弱いのは自分でも熟知してる。
目覚めの切欠は先の一件、悪魔と堕天使の抗争だ。
本来関係の無いアキラちゃんを巻き込んでの争い。
巻き込んだ堕天使共は消してやろうとも思ったけど私の存在が各陣営に露見するのは非常に不味い。
怒りを抑えながらも手出しできないもどかしさを感じながら廃教会での一部始終を見ていた。
もしアキラちゃんが本当に危ないなら危険を犯してでも出張ったけど悪魔達のお陰でそれは免れた。
アキラちゃんは少しだけ封印せずに残す必要があった『鬼』の力を持っている。
魂に悪影響を出さないように最小限に留めた力でもあの場で生き残るには十分すぎた力。
けどその力は絶対の力ではない。
最小限に留めているのだから出力は圧倒的に足りてないし現にあの堕天使にも殺されかけた。
封印がされていないときだったら瞬殺できただろう。
そんな堕天使に遅れをとってしまう今のアキラちゃんは私から見れば非常に危うい。
もしこのままアキラちゃんが裏の世界の抗争に巻き込まれるなら封印は解けていたほうが圧倒的に有利。
でも私としては再封印を施してこのまま二人で平穏にお茶会でも楽しみたいと思ってしまっている。
長い間過ごしてきて世界を一つ丸ごと創ったりもしたけれど一人の人間にここまで心を乱されるなんて思っても見なかった。
長生きはしてみるものね。
最初に会ったときは娘の恩人で次は望みもしない封印を施してしまって負い目を感じ続けてた子。
そこから数年立って再開してこの一年で私は彼を友人みたいに思ってた。
何時の間に入れ込んじゃったのかしら。
もしアキラちゃんが記憶を取り戻して私の事を許してくれたら彼の使い魔になるって言うのもありかも。
アキラちゃんのことだからきっとこの先、あの悪魔達の手伝いをして巻き込まれるのだろうし私が使い魔なら安全対策もバッチリ。
分霊と言っても本体の方が圧倒的なのでたとえ分霊でも非常に高い力を私は持っている。
それこそ封印を完全に解かれたアキラちゃんと同等なくらいに。
でも私の存在が悪魔や天使、堕天使に知られるとちょっと厄介か。
『別魔界』なんて新勢力が入れば旧勢力たちは何らかのアクションを起こす。
ヘタうって全面戦争なんて私としては全く望んでない。
平和で平穏。
お茶会でもして楽しく過ごす事が出来れば私としては満足なのだ。
そこにアキラちゃんや私の娘達を交えればきっと凄く楽しい。
アキラちゃんに助けられたあの子もきっと喜んでくれる。
そうね、もしアキラちゃんが私を嫌わないでいてくれたら私の魔界に招待しよう。
そんな未来が訪れてくれる事を願っていよう。