何回も転生した奴がありふれた世界に転生しました。   作:オット
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トータス

俺たちはある大きな空間に転移していた。

 

教会に似ている、いつも朝に祈る事を強要されるからな、どんな建物かは嫌でも覚える。

 

「・・・隠れられそうな場所は・・・無いか。」

 

「ふ、風魔。」

 

桜が不安そうに俺を見る、近くにハジメと白崎もいるようだ。

 

「全く、あいつらは一体何処にいるのかね。」

 

「あいつら?何のこと?」

 

「天界であっただろう?あの2人だ、近い内に探しに行かなきゃな。」

 

「そ、そうだね。」

 

小声で喋っていると不意に老人が出てきた。

 

・・・服は上等だが狂信者か、使えない・・・。

 

「ようこそ、トータスへ、勇者様、そしてご同胞の皆様、歓迎致しますぞ。私は聖教教会にて教皇の地位に就いておりますイシュタル・ランゴバルドと申す者、以後、よろしくお願いしますぞ。」

 

イシュタルはそう言った後笑った。

 

こいつには注意しておいた方がよさそうだ。

 

ーーーーーーーー

そう思いながら話を聞いていると神の意志がどうだの、貴方達は救世主だの何だのと、良くある三文芝居の様な謳い文句が出てくることになっていた。

 

途中で帰れないと聞いてギャーギャー言い始めたクラスメイトとそれを理想論で諌める阿呆とそれを信じようとするクラスメイトを見ていて気分が悪くなってきた。

 

コレだ、この阿呆は何故かカリスマだけは感じさせるからクラスメイトやその他の人間はすぐに従ってしまう、それが引き起こす思考停止と希望に縋るだけの愚か者になるのが一番なってはいけない事だというのに。

 

それに、さっきもイシュタルが言っていたが数倍から数十倍の力の差、コレは要するにその程度しか力を出せないという事でもある、成長率などの目に見えない力も数十倍だとしてもこの世界の人間が30年修行しなければいけない事が一年かそこらで出来てしまう、確かにすごい事だろう、だがそれだけだ、思考停止してしまえばその力を使えるだろうがそれを柔軟に対応させる事ができなくなる可能性が高い。

 

それが出来なくなれば阿呆という希望に縋り、自分は何もしない、出来ないなら出来ないなりに足掻いて見せれば良いだけだ。

 

火力が足りないのなら上げればいい、速さが足りないのなら速くなれば良い、それだけではダメなのだ、結果しか期待していないのなら脳筋だけで事足りる。

 

死にそうな状況でも何かできることはないかを必死に考え導き出し、抗う、それが人間というものだろう?

 

「だから嫌なんだ、必要以上の英雄なんて要らない。」

 

「風魔・・・。」

 

だからこそ、ゲームの様に考えているクラスメイトを見ると嫌になる。

 

「桜、いつかここから離れるぞ、こいつらの馬鹿に付き合ってられない。」

 

桜は依然として不安そうだ、ハジメも時々俺を見ては不安そうにしている。

 

俺はそれを完全に無視して静かについて行った。魔法が発動され、ロープウェイになっている台座が山を降りていく。

 

「雲海か・・・初めて見るな。」

 

「景色に見とれている時じゃないと思うんだけどね。」

 

「そういうなハジメ、コレは《ADW》に使えるぞ?」

 

「!!!」

 

《ADW》に使えると分かった瞬間にめに焼き付ける様に景色を見はじめるハジメを檜山などのいつもいじめをしている連中は気持ち悪そうな目で見ていた。

 

「そろそろだ、気を引き締めておけよ。」

 

白崎は八重樫と話している。声をかけることは出来ない、白崎の方を見るとクラスメイトが明らかにこちらを意識した動きで壁を作ってきたからだ。

 

だからコレは独白だ、何の問題もない。

 

「風魔?」

 

だから、俺の気の所為で済んでほしい、何か、何か嫌な予感がする、それも、取り返しのつかない事が起こる、そんな予感が。

 

「ふ、風魔?痛いから力緩めて?」

 

「!?・・・すまん。」

 

・・・後で白崎とハジメ、桜の4人で話し合うか・・・かなり嫌な予感がする。

 

ロープウェイは麓にあるハイリヒ王国に着いた。

 

その後は晩餐や一人一つの部屋を与えられたりした、ベッドに横たわると寝ようと目を瞑るが嫌な予感が消えなくてあまり眠れなかった。

 

翌日にステータスプレートが配られた。

 

あまり眠れなかったのもあり、集中力が落ちていたが少し興奮している桜達に無理矢理覚醒させられた。

 

「どんなのかな?」

 

「知るか、ハジメは意外とものづくりに特化してそうだな、生産職じゃないか?」

 

「じゃあ私はどうだろう?」

 

「分からんなぁ、想像も出来ないわ。」

 

「そういう風魔は安直に魔術師かもね?」

 

「魔法使いじゃなくてか?」

 

「魔術師、だよ。」

 

たまに桜は俺の本質を見てるんじゃないかと思う。

 

だが桜は戦闘なんかはあんまり出来なさそうな職だろう、根拠は夜月の戦力の偏りを無くすって一言だ。

 

支援に特化するものかも知れない。

 

そうこう言っているうちに全員にステータスプレートが配り終わり、クラスメイトは顔をしかめて血を垂らす。

 

そうして浮かび上がったのがこのステータスだ。

 

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秋月風魔 17歳 男 レベル:1

天職 魔術師

筋力 20

体力 600

耐性 860

敏捷 200

魔力 10000

魔耐 5000

技能 魔術作製[+複合魔術] [魔術書き換え] 魔法操作 魔力操作[+魔力放射][+魔力圧縮][+遠隔操作][+効率上昇]高速魔力回復[+回復量上昇]想像構成[+複数同時構成]同時思考[同時思考数増加]言語理解

 

ーーーーーーーーー

「・・・何だこれ。」

 

自分のステータスにドン引きした。

 

色々と突っ込みたい所が各所にあるが今は止めておこう。

 

「・・・桜は?」

 

桜は無言でステータスプレートを見せてきた。

 

ーーーーーーーー

結月桜 17歳 女 レベル 1

天職 支援者

筋力 10

体力 10

耐性 400

敏捷 200

魔力 300

魔耐 2000

技能 魔力支援 魔術支援 防御支援 攻撃支援

ーーーーーーーー

「「・・・。」」

 

俺ら二人とも特化型すぎねえ?

 

ただ俺よりはまだまともそうだ。

 

だってこのプラスとかが無いからな。

 

ハジメは堂々の一律10だったので俺らの武器製作に手を貸してもらう事になった。

 

「お前らの特化型ステータスが羨ましいよ。」

 

「俺だってドン引きだよ、でもハジメがなんだかんだ言って一番化けそう。」

 

「何でだよ、この中じゃ雑魚の中の雑魚だぞ。」

 

「錬成師って事はあの錬金術士みたいにできるんじゃね?」

 

「・・・その手があったか!」

 

一見ふざけてる様に見えるが割と真剣に考えてたりする、このままじゃハジメハブられたりするかも知れないからな。

 

一応後で俺の部屋に来てくれとは言った。

 

だが檜山達がハジメのステータスプレートを受け取って一律10ということを知ると笑い始めた。

 

騎士団長によると鍛治師の10人に一人は錬成師であるらしい。

 

それで檜山達がゲラゲラ笑っているのが少し気に食わなかった。

 

「ほう?では君達は武器が要らないと見える、それで良いのだな?モンク四人とは、喧嘩が好きな君達には正に天職だな?」

 

俺の言葉に檜山は俺を睨んでいる。

 

「何だ?皮肉すらも理解出来んか?いよいよ擁護しきれないぞ?」

 

「テメェ・・・。」

 

檜山は俺を見てはニヤリと笑う。

 

「そういうテメェはどうなんだよ?ハジメと同じならゆるさねぇからな?泣いて謝っても許してやらねぇぞ?」

 

「ああ、そうかい、どうぞ?よく見てみるといい。」

 

俺はステータスプレートを檜山に向かって投げる。

 

「ああ!勿論目を皿にしてみてやるぜ、今に見てろよ。」

 

檜山はそう言ったきり黙ってしまった。

 

うん、そうなると思ってたよ、俺でもそうなるわ、俺は魔王かなんかかよ。

 

周りの奴等が不思議に思ったのかステータスプレートを覗き見て自分のステータスプレートと見比べている。

 

「さて、分かってもらえたかね?」

 

「ああ、よく分かったぜ、お前が今の俺より弱いってことがな!」

 

「残念、それはハズレだ。」

 

俺にステータスプレートを返そうと見せかけて回し蹴りを放つ檜山は顔を俺から背けている。

 

大方筋力が俺より高いから勝てると思ったのだろう。

 

蹴りを上へと弾き飛ばし代わりに回し蹴りを檜山の顔の真横で止めた。

 

檜山は何が起こったか分からないといった顔をしている。

 

「分かっているのか?お前の負けだ、分かったらさっさとハジメと俺のステータスプレートを返せ。」

 

というかそもそも動きが丸見えだったし、こっち見てないし、回し蹴りも力が半分も乗って無いし、本当にこいつ喧嘩したことあんのか?

 

檜山は顔を赤くしながらステータスプレートをたたき返してもらった。

 

「これで一つ勉強になったな、今のお前は俺には勝てんよ。」

 

檜山はすでに俺を睨むだけだ。

 

桜と白崎がさりげなく喋っている。内容はスカッとしたとかかっこいいとかだった、状況とかけ離れたこと言いやがってこいつら。

 

「さてハジメ、少し付き合え、その錬成って奴で試してみたいことがある。」

 

そう言って桜と白崎を連れて四人で別の所へ移動した。

 

「ハジメ、その錬成で俺たちの武器を作るって事は話し合ったよな?」

 

「え、何それ。」

 

「ということでだ、まずはガワを作るぞ。まず型を取ろう、何を作る?」

 

「武器の形・・・剣とか?」

 

「それじゃ面白くない、刀とかはどうだ?」

 

「刀?ただの刀になると思うけど・・・。」

 

「コレはお前の錬成の練習でもあるんだ、気楽にやってこうぜ。」

 

その結果俺の魔術だったり刀の造形で一番形がいいのを魔術でコーティングして紅黒龍もどきを作ったりして俺の武器は完成した。

 

その後も訓練では無能扱いされているハジメが型を作り、それで一番気に入ったものを俺が魔術でコーティングしていくという流れ作業が出来つつあった。

 

その結果木を削り、鉱石に魔力を貯められるロッドを桜に渡し、護身用の短剣を作って白崎に渡したりしていた、その後も護身用とか戦闘に便利になる可能性があるという事で腕輪とかチョーカーをクラスメイトに渡して行った、勇者(笑)には何も渡していない、受け取りそうになかった為八重樫に預けるか否かを任せてある。

 

実はこの装備品は装備者が命の危険に陥ると俺に位置を知らせるという魔術を仕掛けてある。

 

後は装備者が絶望などを感じた時には俺を強制的に転移させる魔術も入れてあるので実はアーティファクトに似ているものだ。

 

そして俺とハジメだけが夜に二人で俺の魔術によってとか作れないかなという馬鹿みたいな思惑によってアニメやゲームの機械や兵器を作ろうとして寝不足になったりと割と楽しい日々を過ごしていた。

 

ただ騎士団長が俺たちを見てなんとも言えない顔になっているのは申し訳なく思う。

 

そしてそのゲームとかの機械の中で作ることに成功したのは魔術支援用のユニットだけだった、それ以上も作れそうではあったが素材が脆かったり耐久力が余り無かったりした。

 

畜生。

 

「こいつの命名はポッドで良いよな。」

 

「うん、それで良いと思う、ゲームの名称もそうだし。」

 

『当機の名前をポッドに設定、管理者は秋月風魔、南雲ハジメの両名である、間違いは無いか?』

 

「ああ、そうだよろしく頼む、ポッド。」

 

『スキャン開始、データの保存を完了、当機と同じアーティファクトを製作するのならナンバーを決めておいたほうが良いと具申する。』

 

「ああ、そういえばそこを考えてなかったな、1号機だし001で良いだろう。」

 

『了承、当機のナンバーは001である。』

 

ポッドを作るのに一週間もかかった、ハジメもかなり錬成が早くなったが土魔法のような威力は出ない事は想定内なのでポッドが支援するのはハジメの方になる。

 

『南雲ハジメ、ステータスプレートをスキャンしてもよろしいか?』

 

「あ、はい、どうぞ。」

 

ハジメのステータスプレートをスキャンしてポッドが出した結論はかなりハジメの心にぐさっとくるものだった。

 

『ハジメは戦闘が出来るほどの能力が著しく欠けている。ポッドを増やし、支援の数を増やすか、ハジメ本人が当機に指示を出し、戦闘を指揮する等の対処が必要。』

 

「グハッ・・・。」

 

ハジメは倒れてしまった。

 

笑いそうになるのを抑えながら俺はハジメの決断を待った。

 

ハジメが立ち直り、俺と相談して決めるのは両方という事だった、つまりポッドを増やして戦闘を指揮するという事だ、その為の装置も作らなければいけないので余計に面倒な事になったが楽しそうなのでやってみる事にした。

 

ポッドを訓練に出すと全員が驚いたのは面白かった。

 

ポッドは魔力リンクをハジメと俺の両方に繋いでいるので俺達の両方から100キロ位離れてなければポッド同士で通信が可能だ、だが俺は錬成が使えないのでポッドを作れるのはハジメだけだ。

 

初号機は俺の魔術だが、初号機さえいれば後の機体は自由に作れるのでもう俺が出来る事は無くなっているのだ。

 

だから・・・大丈夫、その筈だ。




筆が乗ったので5,000文字ほどの多さになった、作者にしては珍しい。







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