何回も転生した奴がありふれた世界に転生しました。   作:オット
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光輝編『根元から解決しよう。』

「秋月!」

 

勇者は凱旋したか。

 

「よく来たな、今は休め、あとは俺達がやる。」

 

「でもお前でさえそんな怪我をしてるんだぞ!?」

 

「安心しな、剣技だけで戦ったからこうなったんだ、今度は正真正銘、魔術師としての戦いだ、それに、仕込みもそろそろ発動する。」

 

「仕込み?」

 

天之川は目を見開いた。

 

『ティオ、シア、一旦撤退、分かったな?』

 

「「了解!」」

 

そして二人が結界の中に戻って来ると王都の前の砂漠が光り輝いた。

 

其処には先ほどまで王都を包囲していた数の何倍もの暗き者達がいた。

 

「なるほど、総数約一億ってとこか、流石に世界中の暗き者達を集めると違うな。」

 

「いちっ!?そんな数がこんな所に!?」

 

「たったの億か、吹き飛ばせばいいんだな?」

 

「そういうこった、全員、準備は良いな?」

 

「いつでもいける。」

 

俺は嗤う。

 

「フハハハハハハ!!!神を殺した者の力を今此処で見せてやろう!」

 

魔法陣を展開する。

 

それは空を覆い尽くし、上から一億の暗き者達を削り始めた。

 

「落ちろ。」

 

空から巨大な隕石がいくつも降り注ぐ。

 

「チリと化すですぅ!」

 

シアのハンマーが地面ごとなぎ払い、砂の一粒一粒が即死級の散弾となり横から薙ぎ払われる。

 

「眷属よ!」

 

ティオが龍神化し眷属の黒竜達を呼び出す。

 

「ユエの名において命ずる、死になさい。」

 

ユエの神言によって暗き者達が自殺していく。

 

「ミナ、行くぞ。」

 

「ええ!」

 

ミナとアッシュはドラゴンに乗り、上から大量の爆撃を加えていく。

 

「さぁさぁ!どんどん行くぞ!フハハハハハハ!!!!」

 

未だに暗き者の総数は百万ほどしか減っていない、そして相手は物量で挑んでくる癖に質が伴っていない。

 

「グリムリーパー!」

 

「お前ら!仕事だ!」

 

エヒト戦のようにこちらも物量で対抗するとしよう。

 

一人一人が一騎討千どころではない程の実力者なのだ、相手がどれほどの者であれ、簡単には殺せない。

 

「全員無双しろ、出来ない奴は雑魚の烙印が押されると思えよ!」

 

『応!』

 

音速すら生温い速さで殲滅を開始した。

 

砂漠は瞬く間に死体と血で溢れ、味方の死体など1つとして無く、その圧倒的な戦力差が露わになる。

 

その様子をクーネとモアナ王女は信じられないものを見るような目で見ていた。

 

実際に信じることなど出来ない、本来ならばありえないそれを成したのが今までどこにいるかも把握出来なかった俺なのだから。

 

厳密には俺を含めた魔王様御一行だが。

 

「どうだ?勝機くらいはできただろう?」

 

地平線の向こうでは大災害が起こりまくっている、俺も暫くしたら向かわないと怒られるだろう。

 

「勝機?勝利の間違いではないですか?」

 

「こりゃ一本取られたな、それでだ、クーネ、君の願いは叶った、その代償は・・・。」

 

わざと時間を延ばして焦らす、クーネは真剣な顔で聞こうと耳を澄ませている。

 

「王女として、なんて言わねぇよ、まだ子供なんだ、笑え、明日の悲劇なんて知らないとでも言うように、良いことがあったのなら笑え、悲しいことがあったのなら泣け、イラつく事があったら怒れ、誰かを好きになったらそいつを愛せ、ただの人として一生を過ごせ、それが一番の代償だ。」

 

「・・・は?」

 

「それでも自分が我慢できないっていうんならお前自身が俺らのいる世界に来て色々と手伝ってくれるとありがたいな、仕事の合間にでいい、此処以外でも笑えるようにしてやるよ。」

 

『おい風魔!さっさと来い!』

 

「分かった!」

 

城壁の上に立っている桜に近付く。

 

桜は振り向いて微笑んだ。

 

「行ってらっしゃい。」

 

「・・・行ってきます。」

 

桜の横から飛び出して戦場へと近付く。

 

『火力支援するよー!』

 

遠くで爆撃の音がする。

 

「相変わらずの容赦無さで。」

 

『聞こえてるからね。』

 

「すまん、秋月風魔、戦闘に参加する、一気に削るぞ。」

 

『了解!』

 

紅黒龍を鞘に収めて魔術を発動する。

 

「制限全開放、全てを斬り裂け、紅黒龍。」

 

昔々、ある世界の鍛治の神二柱が数年の年月をかけて作り上げた刀は使用者が軽く振るっただけで山を切った、それが何の制約も無しに、本気で振るわれるとどうなるか、答えは簡単だ、全てがスッパリと切れる。

 

それは観測出来るようなものではなく、認識出来るものでもなく、結果だけがそこに訪れる。

 

文字どおり、時間も、空間も、その魂までも、一切合切一太刀の元に斬り伏せる。

 

まず最初に音が無くなった、次に空間が切れた、時間が切れた、そして何もかもが切れたと認識した瞬間、彼らの運命は決まった。

 

大地が抉れる、衝撃波が遠い海にまで届き、砂の大地は一瞬にして溶解したドロドロの溶岩の塊に変わる。

 

塊の正体は全てが暗き者だ、今の一振りだけで1億のうち半分程の暗き者が犠牲になった、そうでない暗き者は目の前で起こった以上に対して恐怖すること以外できなかった。

 

「一刀両断。」

 

何とも普通のネーミングである、もう少し捻ろうとしてもこれしか思い浮かばなかったのだ、仕方ない。

 

「本当に出鱈目だなぁ!畜生め!天使モードになったらもっと威力上がるんだろ!?やっぱりバケモンじゃねぇかよ!」

 

「ハジメてめぇ!密かに気にしてること言ってんじゃねぇよ!」

 

「そんな威力あるんならエヒト戦の時にやって欲しかったです〜!」

 

「それしたらユエの体が死ぬんだよいい加減にしろよ!」

 

「やったら殺すから覚悟しとけよ。」

 

「するかボケェ!」

 

覇王と魔王のふざけた会話の途中にも暗き者達は瞬く間に消えていく。

 

そして数は暗き者の方が数千倍程も多いのに既に掃討戦の様相を呈している。

 

アッシュが外周の暗き者達を掃討し、逃げようとする者達を阻むようにユエと桜の複合結界が展開されているため、逃げ場もない。

 

時間にして約10時間、それが世界中の暗き者、数にして約1億体の生存時間であった。

 

王都の城門で全員で勝利の咆哮を上げる、眷属達も背伸びしたりお互いに話しながら帰って行った。

 

今回は非戦闘員は来ていないのでカイやリィンフォースは来ていない、きっと呼び出せば文句を言ってくるだろう。

 

「さてさて、最後の最後に置き土産と行こうか!」

 

俺の一振りで砂漠には潤沢な海水が流れ込み始めている、コレのせいで魔法陣がかき消されているんじゃと不安だったが心配など要らなかったようだ。

 

「召喚、浄化樹。」

 

暗き者達の死体を供物に別の世界から世界樹の若葉を持って来た。

 

若葉とはいえ世界中なのでそれなりに大きい、ただ、かき消されてはいなかったが狂ってはいたようだ、世界樹の出現場所が王城だった。

 

そのせいで城に木が侵食する結果となり、色々と絵面がやばいことになっていた。

 

人を吸収するなどは無いので全員ビビりながら這い出てきた、そして俺は怒られた。

 

一応弁明したのだが完全に無視されて怒られた。

 

話を戻して世界樹だ、この世界は恩恵術という独自の術式があり、その恩恵術で使うのは龍脈などから引き出した恩恵力というものだ、世界樹はそれ単体で龍脈の役割を果たせるような特別なもので若葉ともなれば周囲の環境を作る為に溢れんばかりの力を発揮する。

 

その為、王都を中心に瞬く間に土屋草が生えてきた。

 

砂漠は残るだろうが恩恵力が欠片も無いなんてことにはならない、元々地球の砂漠にもサソリやコブラなどの生物がいるのだから。

 

ただ。

 

それの効果が現れるまでは数十年かかる、暗き者をほぼ根絶できたので恩恵力は戻るだろうが何事も直すのは簡単じゃない、その辺りはクーネに頑張ってもらわねばならない。

 

この世界で俺が出来ることは終わりだ、なのであとはゆっくりしようと思う。




出来ることのほとんどが世界を救うレベルな件について。




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