四神としてのお仕事?いや、仕事がなくて自由にしてます。 作:第三のケモナー
「で?あんたは紫とどういった関係なの?」
早速と言っていいほど展開が早い少女、名前を『博麗霊夢』。この神社の巫女をやっているらしい…
「まって…それしか説明してくれないの?面倒くさいからってあんまりじゃ…」
お互いのことを話た後、霊夢の方から質問が投げかけられる。
自分のことを話すと神様だったことに驚いてはいたものの…『こんなちっこいのが?』や『頭悪そう』など、散々な言われよう。しかもその後、霊夢からは『私はこの神社で巫女をやっている博麗霊夢よ。』だけである。
「質問に質問重ねるのは感心しないわね。いろいろと面倒だからよ」
(面倒で片づける巫女…祭ってある神も頭抱えてるだろうな…)
そう思いつつ、紫との関係を話していく。
「紫とは一緒に戦ったり旅みたいのをしてた仲だよ。まあ、なんでここに居るのかも分からないし、その理由を聞くためにここに来たって事。幻想郷の話は聞いてたからね。」
「ふーん。紫からは聞いたことないけど…」
(昔の話はしたがらないもんな…自分が煽ったせいで)
紫が話していないことに若干のショックを受けつつ、肆は昔の出会いを思い出し苦笑いする。すると霊夢は思い出したかのように手を叩き、肆の方へ顔が向いた。
若干嫌な予感がした肆であったが、頼まれ事の類いだと思い、耳を傾ける。
「そうだ!あんた神様なんでしょ。もう春だっていうのにこの寒さじゃ外に出るのも億劫なのよ。」
確かに冬にしては春の気配がし、春にしては寒すぎる。肆は前々から感じていた違和感を再認識する。
「これは『異変』よ。」
「『異変』?春にしては寒いけれど…こういう日ってあるんじゃないの?」
『異変』という言葉に疑問を持つも、そんなに気にする事ではないと考える肆。
「いいや、あたしの『勘』が言ってる。しかもこんな寒い日が続く訳がないし、誰かが異変を起こしているに違いないわ。」
(誰かが起こしてるって断定なのね…)
「…という訳で、あんたこの冬終わらせて。」
「…え?」
一瞬、何を言われたか理解出来ない肆。誰かが『異変』とやらを起こしてるならば止めなければならない。しかし、幻想郷に来て日が浅すぎる肆にとって場所も分からないため突き止めるまで困難を極めるだろう。とてもじゃないが終わる気配は無い。
「何呆けているのよ。忘れたとは言わせないわよ、鍋を勝手に食べたこと…」
「ひっ…で、でも場所も人物も分からないのに一体どうやって…」
霊夢は、確かにと呟いて考える。するとおもむろに陰陽玉を取り出す。
とっさに身構える肆…若干トラウマなのである。
「離れた所から陰陽玉で話せるから、これで案内するわよ。」
(陰陽玉ってそんな使い方あんの!?)
そういえば、昔に諏訪子達と神力で通信してたなと思い出す。霊力も同じような事が出来るんだろうと肆は考える。
「ちょっと待って。それって私が関わっていい問題なの?」
紫から幻想郷らしき事については聞いていたことがある。幻想郷では人間と妖怪が相互に関係しあって成り立っているもの。『人間は妖怪を恐れ退治し、妖怪は人間を襲い退治される』そのようなシステムで、肆のような神様が介入していいものかと心配する。
「大丈夫なんじゃないの?一緒なら。だいぶ前にあった異変を紫と解決したし。」
肆は苦笑いしつつも、それならばと準備を始める。すると霊夢から
「この異変の親玉見つけたら陰陽玉を経由して瞬間移動するから。じゃあお願いね~」
なんだか複雑な気持ちになりつつ、肆はスザクの姿となって博麗神社を後にする。
何分か飛んだ時、霊力で浮いている陰陽玉から声が聞こえてくる。
『あーあー…聞こえるかしら…』
「聞こえてるよ。それでどこへ行けばいいの?」
『まずは、あっちが怪しいわね…東へ行ってちょうだい。』
肆は東の方角へ翼を変え向かう。ふと、疑問に思っていたことを口にする。
「そういえば、原因の目星はついているの?」
『そんなものないわよ。勘よ勘。そもそも分かってたら直接ぶっ叩きに行くし、いつもそうして解決してきたし…』
「……」
ああ…神様、この寒空のもとでずっと飛ばなければならないのですね。
『前の異変だってそれで早期解決できたのよ。』
「前の異変…?どんなのだったの?」
『紅霧異変、あの異変も寒かったわね。』
夏、突如として紅い霧が幻想郷を包みこんだ。辺りは薄暗く、夏にしては肌寒い。その霧の正体は妖霧、人間にとっては害であり家の中での生活を余儀なくされた異変。
親玉は紅魔館に住む吸血鬼だという。太陽光に当たりたくないがために起こしたらしい。
(ほんとに居たんだ…吸血鬼)
『今回といい、前回といい…寒かったら美味しい野菜食べられないじゃないの。会ったらただじゃ置かないんだから!』
(食べ物の恨みすごい…)
「だいぶ飛んだけど…どこに行け…ば!?」
違和感を感じた肆は会話を中断して、辺りを見渡す。
『どうかしたの?』
「いや…春の気配が向こうからしてきて…桜の花びら?」
山の方角から春の気配がしたと思ったら桜の花びらが一枚舞っているのを発見する。ただ、辺りや山の方角を見ても桜どころか雪が積もっているだけである。
一瞬、雪でも降っているのかと思ったが、たしかにこの花びらからは春の気配がしてくる。
『花びら?まあいいわ。そこから山が見えるでしょ?そこに向かってちょうだい。』
(まあ、持っていくか)
~少女移動中~
白銀の春
「ところでさ…これ遭難してない?」
肆が居るところは山の近くのはずだが、霊夢の言う『勘』を頼りに行った結果…吹雪に見舞われている。
『…吹雪が悪いのよ。』
「えぇ…」
途中で小さな妖精を見たり、人魂を見たりして驚いてはいたが、いつの間にか遭難していたそうだ。
何を言っているか分から(ry
(久しぶりにあれ使うか…『指南車』)
指南車を使い、道を定める。たとえ吹雪や霧、闇の中であろうと標的を発見できるというスザクの『南』の能力だ。
「そっちか…」
指し示したところに近づき、人影を発見する。おおよそこの吹雪の原因だろうと肆は決定づける。
「あら、天敵かと思ったら鳥じゃないの。」
その人影が鮮明に見えた時、そこから声が聞こえる。
青のロングスカートに白いエプロンと長いマフラー、薄紫のような薄桜色をしたショートボブの髪、吹雪であまり見えないが胸にブローチをつけている少女。空をフヨフヨ浮きながらこちらを見ている。
「てっきり春と同時に夏がきたのかとひやひやしたわ。」
『あんた元々冷たいようなもんでしょ。』
「…」
霊夢はもうこの人物については見当がついているようだった。かくして肆も漂う冷気と妖気から冬の妖怪だと判断する。
(さしずめ雪女ってところか…?そういえば…)
肆は一度そういう存在と対峙し交戦したことがある。
あの時は、依頼で『冬を終わらせてくれ』と無茶苦茶なものだった気がする。なんやかんやあって春が来たが、その過程で似たような存在に邪魔された。結局最後は勘違いだということで退治はしなかったが…
「聞いたわ。冬を終わらせにきたのよね?残念だけど終わらせる訳にはいかないの。」
『あらそう?残念だけど今終わるわよ。あんたを倒せばちったぁ暖かくなるでしょ。』
どこから聞きつけたか分からないが、この少女はこちらの目的を知ってるようだった。霊夢が妙に好戦的なのはきっと寒いせいだからと肆は決め付ける。
他人事のように聞く肆だったが…
「覚悟しなさい。南に戻ったらどうかしら?春と夏の気配がする『鳥』!」
冬の忘れ物 レティ・ホワイトロック
(……ん?鳥?)
若干視界が悪くお互いの口元が見えていないせいか、いつの間にか肆が言っていることになっている。そのことに気が付くのに一瞬遅れた肆は向かってくる弾幕をギリギリ避ける。
「ちょっと待て!鳥じゃ…いや鳥だけれども!」
肆は弾幕を避けつつ、説得を試みるも…
「声を変えたって無駄よ。」
取り付く島もないご様子のレティ。
仕方ないと臨戦態勢に移行する肆。自分の周囲に炎を展開し、4つの玉にまとめる。そこから弾幕を繰り出して攻撃していく。
…心なしか段々と寒くなっている気がする。
(あの子の周囲に冬の冷気が集まっている…早く決着付けないと冷凍保存されちまうなこれ)
相手が飛んでる以上、スザクの姿で戦うしかない。『火』と『指南車』の能力は使えるが、今は夏ではないので『変える』能力は使えない。どうにかして『火』で対応しなくてはならない。
肆は炎を少しづつ出していき、仕掛ける。
翼符『フレームトランス』
道中弾幕ごっこなるものを霊夢から教わって作っておいたスペルカードというもの。『ルール』にのっとって用意した特別製だ。
このスペルカードは、自分や相手を含め周囲に伝達するように炎の結界を用意し、その結界と自分から弾幕が飛んでくるというもの。
「暑いのは勘弁してほしいな。」
怪符『テーブルターニング』
レティも負けじとスペルカード宣言する。周囲に冷気を円を描くように弾幕を展開させ、無作為に周りの炎の結界に当たる。
(おそらく冷気に混じって水分もあるはず…そうすると)
シューっと音を立てて水蒸気が発生。すると辺り一面が少女に冷やされた水蒸気によって霧が出現する。姿は見えなくなるが、『指南車』で…
「ええぇ!?」
目の前には驚いた様子のレティ。肆は炎を手に纏わせ…
「いらっしゃい」
「ッ…!」
(う…動かない?)
肆の体が止まったように動かなくなってしまった。完全に不意を突いたものかと思ったが、どうやらレティの策略にはまってたようだ。
「冷気や水気はいいけれど…妖気も忘れないであげてほしいわ。」
どうやら冷気に混ざって濃密な妖気を展開してこちらの動きを止めていたらしい。辺り一面霧だが、これは妖霧でありレティ思うがままにできる。
「冬ならばこっちは無敵よ。さて、近づいてきてくれたみたいだし、一回休んでおいてね。」
肆に向かって弾幕を撃とうとしたレティだが…
「休むのもいいけれど…周りの炎も忘れないであげてほしいな。」
肆の周りにあったはずの、炎で作った玉がいつの間にか無くなっていることに気が付くレティだったが、もうすでに遅かった。
すぐ背後にステンバイさせておいた玉を展開させ、レティに浴びせる。飛ぶ力がなくなっていくのか、ゆっくりと墜落していった。
「ふう、勘付かれるかと思ってヒヤヒヤした…」
『終わったかしら?』
こんな展開になった黒幕が話かけてくる。
「はぁ…次はどちらへ?」
『あの森の方に行ってちょうだい。…あんまり行きたくないけど』
肆がその方角をみると確かに森の方から春の気配を感じる。相変わらず桜は咲いていないし雪景色だが…
「この花びらも集めておいとくか。」
肆は森に向かって飛び立っていった。
また余裕があれば…
それでは次もまたよろしくお願いします。