魔法少女いろは☆マギカ 1部 Paradise Lost   作:hidon

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彼女に関わった人々の軌跡。


二葉さな エピローグ  「いま、ここにいるわたし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――side:二葉さな

 

 

 

 

 私は……今まで生きた中で最高に緊張していました。

 だって、こんなにバッチリ化粧したのも、こんなに素敵なドレスを着てオシャレをしたのも、初めてでしたから……。

 

 

『七海くん。君が連れてきた少女というのは、本当に“女神”なのかね……?』

 

『はい。私にはそうとしか、見えませんでした』

 

『はははは! 君以上の美しい()がいるなら正に伝説級だ! 是非とも、拝みたいものだねっ!!』

 

 

 少し前に表で、七海やちよさんと、モデル界の名物プロデューサー……? と呼ばれている程の方が話し合ってる内容を思い出し、余計に肩に力が入ってしまいます。

 七海やちよさんがモデル業を兼任されている方なのは知っていました。

 でも、まさか、何も知らない、素人の私を、ファッションショーに“サプライズ”として登場させるなんて……夢みたいです。

 まるで、シンデレラになったみたいな気持ちでした。

 鏡に映る自分が自分だと、未だに信じられません。七海さんは、彼女の知る最高のスタッフを用意してくれて、灰被りの私を、異世界のお姫様みたいに創り変えてくれたのでした

 もしかすると、彼女は、本当に魔法使いなのかもしれません。

 

「二葉さん」

 

「あっ……」

 

 思ってると、不意に。

 七海やちよさんが控室に入ってきて、私は思わず背筋を張ってしまいました。

 何か声を掛けなきゃ、と思うのですが、言葉が出てきません。心臓がバクバクして、息が上がってしまっていたからです。

 

「大丈夫?」

 

「…………」

 

「今ならまだ、時間があるわ」

 

「…………っ」

 

 嫌なら降りていい。

 と、七海さんは暗に私に言っているようでした。

 緊張で固まる私を見て、気持ちを察してくれたのかもしれません。

 

 ――――あの七海やちよさんがそう言うのなら、それが良いのかもしれない。

 

 ――――けど、本当にそれで良いのかな。

 

 迷う私の頭に“先生”の事が過りました。

 先生は難病に犯されていて、症状を抑えるために、麻薬を使用していた、と七海さんから聞いていました。

 ……とても、辛かったのだと思います。

 でも、普段の姿を知る私には、とてもそうは見えなくって……、最後まで自分から私に打ち明けなかったのは、大切に思っているからこその優しさだと、七海さんは教えてくれました。

 

 思えば、締め切りに間に合った時に、裸踊りするのも、無茶苦茶だなあ……って思ってたけど、私に病気を悟らせない為に、無理してくれていたのかな……?

 

 先生は今、病気であることを公表し、警察に出頭したそうです。

 彼がその決断をしたのは、七海やちよさんが居たから。

 自分に託す為に、先生は全てを懸けてくれたのだと、七海さんから教わりました。

 

 でも、私が英雄様の下で生活することなんて、できるのか、不安で不安で……。

 

 

『いい加減自立してくれなきゃ、こっちだって迷惑なんだよ!!』

 

 

 いつか言われた、漱也お兄ちゃんの厳しい言葉を思い出してしまい、つい、涙ながらに、零してしまうのです。

 「私は言われたことしかできないから、迷惑しか掛けられない」って……。

 でも、七海さんは笑顔でこう言ってくれました。

 

 

「貴女は言われたことを、精一杯やりとげようとする、意志の強さがある」

 

「それはつまり、自分の責任を最後まで背負える、ということよ。私はそこを買ったの」

 

「大人になればなるほど、当たり前の事が当たり前にできる人は少なくなる……。二葉さん、貴女が“人なら当たり前”だと思っているその()()()を、私が存分に活かしてあげる」

 

 

 言われた事を言われた通りにやる――――

 そんな当たり前のことが、私の才能なんだって、七海さんは教えてくれました。

 

 

(そうだ……)

 

 二人の事を思い出すと。

 自然と震えが止まりました。代わりに胸の中に熱いものが、じんと走ったのです。

 

(そうだよ……!)

 

 先生は自分の作家生命を懸けて、私を()()まで推し出してくれた。

 七海さんはこんな私の事を期待して、()()まで連れてきてくれた。

 

 二人は、私を『二葉さな』として、一人の人間として、認めてくれている。

 生きていいんだって。だから、自分が信じる道を進んでって、言われた気がした。

 

 そんな二人の思いを、私は、この体と心で背負っている――――

 

 だから。

 

 

「私、行きます!」

 

 

「よし! じゃあ、一緒に行こう」

 

 大丈夫、“言われた通りに”すればすぐ終わるから、と七海さんは笑顔で私に言ってくれました。

 だから私も、できる限り、頑張って笑顔を作って、返事します!

 

「はいっ!」

 

 自分で、自分の覚悟を決めて、私は差し出されたその手を握りました。

 できるだけ、強く。

 私の意志が、七海さんに伝わるように――――

 

 

 

 

 

 

 

☆ 

 

 

 

 

 

 

 

☆時は少し遡る…………。

 

 

 

 

 ――――side:七海やちよ

 

 

 ――――神浜市役所・治安維持部長室

 

 

 

 私は、悩んでいた。

 二葉さなの事が、まだ掴み切れていないからだ。

 そこで、私は、彼女の事をよく知るため、ある人物に連絡することにした。 

 

「…………もしもし」

 

『七海のねーさんッッ!! I LOVE YOU!!』

 

 繋がった途端に相手は、歓喜混じりの大音声でラブコールと来た。

 慣れっこなので、私は適当にあしらった。

 

「はいはい、ラヴユー」

 

『あーん! もーう(ねえ)さんったらノリ悪いーっ!? な~に~、あたしと姐さんとの愛ってさー、そんな味気ないもんだったっけー??』

 

 相変わらずな“彼女”の様子に、クスクスと笑いながらも、私はあえて意地悪に返した。

 

「はいはい、らびゅー」

 

 私が通話している相手は、水名女学園高等部の生徒会長――つまり、生徒の中で一番偉い人だ。このはしゃぎようからは、とてもそう思えないけど……。

 それもその筈で、彼女は神浜市内随一の名門校と名高い水名女学園の、歴代生徒会長の中で、唯一水名区の政治家系の出身ではない。参京区の生まれで庶民――とはいえ、家は老舗の料亭でそれなりの良家――だ。

 これはかつて、二葉青磁氏が市政と共に推し進めた、水名区改革の成果だ。

 彼女は、現生徒会の中で身分こそ一番低いが、実力と天性のカリスマでトップになった、叩き上げの女傑であった。

 ちなみに、私は“お稜さん”と愛称で呼んでいる。

 

「それはともかく、お稜さん。相談があるんだけど」

 

『OK、姐さんの頼みならこのお稜、なんだって聞いちゃいますよー? で、なにー?』

 

「二葉さな、という生徒の事なんだけど……」

 

 私は、かくかくじかじか、と説明した。

 要は、不登校に加え家出した中等部の生徒が発見された、という話だが、お稜さんは驚きも困惑もせず、ふむふむと冷静に話を聞いている。

 やはり、肝が据わっている人なので、私も安心して全容を打ち明けられる。

 

「なるほど、ねえ……。で、姐さん的にはどうしたいの?」

 

 そんなこと、決まっている。

 二葉さなを、身を懸けて託してくれた“彼”の意志を、無碍にする訳にはいかない。

 私には、義務がある。

 

「私の下で働かせるつもりよ」

 

『えー? やめといた方がいいんじゃない? 姐さんも同じ神浜大学なら知ってるでしょー? 今の二葉家の当主ってさー、青磁さんとは違って、すんげえ性格悪いって有名じゃーん? 面倒くさいことになるよー、絶対ー??』

 

 そんなことは百も承知だ。

 だが、相手が誰であろうと、私が動じる筈が無い。

 

「一人の少女の人生が懸かっている」

 

『ふ、姐さんならそういうと思ったよ……。分かった。で、何が聞きたい?」

 

「あの子の能力について」

 

 生徒の“一芸”を発掘するの、得意でしょ?――と私が言うと、『芸じゃないからね!?』と、ツッコまれた。

 

『オホン……。そうだねえ、結構前にその子が疎外されてるって話は、“魔法少女部”(ウチの精鋭)達から聞いてたよ。だから私が直接、本人に頼んで、中等部の生徒会で働かせることにしたんだ』

 

「生徒会に……?」

 

 その話は初耳だった。

 二葉さなは、そのことを彼に言わなかったのだろう。

 

『書記とか書類の整理とか、よくやってくれてたってよ。目立たなかったけど事務能力に関しちゃ、かなりの優等生だったみたい。ま、前任者がかなりテキトーな奴だったから、余計にそう見えたのかも……。このまま生徒会でのびのびやってくれりゃー良かったけど……、おじいさんが亡くなっちゃったからねえ』

 

 二葉青磁が亡くなってから、二葉家の格は落ちた。

 同時に二葉さなに近ず離れずだった一部の生徒達が、攻撃的に接してきた。

 

「やっぱり、立場による虐めは、無くなった訳じゃなかったのね?」

 

『大分減ってきたけど、“水名の生まれ無くば人に非ず”を生まれた頃から磨りこまれてる奴は、まだいるからねー。こればっかりは私じゃどうにも……』

 

 “二葉青磁という加護”が無くなったさなは、その手の連中にとって最早、“外様の人間”としか映らなかったのだろう。

 差別と排除――悪しき風土病の被害に晒されてしまった訳だ。

 

「対策は打ったの?」

 

『あんまり酷いようなら、二葉さんを生徒会室に匿うようにって……考えてはいたんだけどさー。それより前に、学校に来なくなっちゃいましたから……』

 

 あたしが知ってるのは、ここまでだよ、とお稜さんに締められて、私は頭を抱えてしまう。

 

「うーん……、他に彼女の特徴というか、特技というものは、何か無かったのかしら?」

 

『姐さんも、粘り強いなぁー。そうだねえ……ちょっと生徒会の連中と、ウチの精鋭(魔法少女)共使って、調べてみとくよ。それでOK』

 

「ありがとう、お稜さん」

 

『いやいや、代わりに――』

 

 ――何か驕ってね☆、と言い残して、お稜さんは通話を切った。

 

 

 

 

 

 

 ……後日。

 お稜さんの精鋭が、二葉さなについての調査資料を、私の下に持ってきてくれた。

 それらと、前に先生が教えてくれた、二葉さなに関する話を照らし合わせてみて――私は一つの結論に至る。

 

「事務能力は優秀。厳しい家庭で育ってるだけに礼儀作法も弁えてる。記憶力も高く、最終的な学業の成績だって悪くは無かった……。うん。あの子に一からの訓練は必要ないわ。一刻も早く、あの子が立って歩ける舞台を用意しないと……」

 

 ありがたいことに資料には、二葉さなと以前友人だった少女達の話も記載されていた。

 成る程、砂場遊びで……これは使える!

 私はすぐに、モデル界でお世話になっている『プロデューサー』に連絡した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【神浜市に女神が舞い降りた!】

 

 各メディアの注目は、ただ一人に集中された。

 七海やちよが“女神”と呼んだ少女――二葉さなのことで。

 

 元々、年相応の愛らしい相貌と容姿を持つさなだったが、やちよが呼んだ最高のスタッフ達の手により、その魅力はぐんと引き立たされた。

 抑え気味に施された白雪のメイクによって、美貌は硝子細工の繊細さの如く、純白のドレスを身に纏い堂々とステージ歩く姿は、良家の出を如実に語る優雅な身ごなし。スリットから除く足も美しく、腿のあたりは適度に豊かで、その美しさは独特の色香を伴っている。

 緩く巻いた、翡翠の髪と長い睫毛、同じ色のくりくりとした大きな瞳――彼女の生来の“愛嬌”を示すパーツと相まって、精工な西洋人形の如く端正だ。

 また、体にぴったりと合うドレスによって顕されたプロポーションも素晴らしい。ウエストがくびれており、全体に細身のように見えるが、胸部は既に女性的な魅力に溢れていた。

 

 完璧な美貌。

 その持ち主である少女が、ステージの上でポーズを取ると共に、笑顔を見せた時の破壊力は凄かった。

 一瞬、彼女の周囲が明るくなったように感じられたのだ。

 まるで、魔法を使っているようにさえ感じられた。

 

 その時、その場にいた者たちは、男女問わず、一斉に彼女をこう評価したという。

 『まさに、“女神”だ』、と――――

 

 しかし。

 

 ただ美しいだけの存在なら有り触れている。全てのメディアが注目する程にはならない。

 ここからが、二葉さなの、本当の見せ場であった。

 モデルの仕事は終わった。次にステージ上で行われたのは、“パフォーマンス”だ。

 二葉さなの存在を世界に知らしめる為に、七海やちよが企画した。純白のドレスを纏う二葉さな(女神)の前に、大きな砂場が用意される。

 こねこのゴロゴロのテーマソングが流れる。

 華やかなステージの雰囲気とはあまりに不釣り合いなその曲調に、周囲から失笑が聞こえた。

 しかし、二葉さなの表情は真剣そのもので――両手を砂場に突き入れて、動かす。一心不乱に、頭の中で創造した世界を、子供の頃から焦がれていたその世界を、創り上げていく。

 

 やがて、出来あがった。

 広大なサンドアート――【こねこのゴロゴロの世界】が。

 

 ものの一時間で、正確にその世界観を、キャラクター達を完全再現したその技量に、会場から拍手は鳴り止まなかった。

 この様子は、各動画サイトで配信もされていた事もあって、二葉さなは日本中の人々から、このように絶賛された。

 

【女神が新しい世界を創造なされた!】

 

 と―――

 

 

 こうして、二葉さなの初めてのモデル業は、大成功に終わった。

 二葉さなは『七海やちよを継ぐ者』として絶大な評価を世間から得た。

 

 実は、これは全て、やちよの作戦である。

 

 筋書きはこうだ。

 『名家の娘が、自ら七海やちよに師事し、モデルの世界に参加。大成功を収める』。

 つまり、『青磁が亡くなって以降、没落気味にあった二葉家の名誉は“皮肉にも”家出娘のさなによって、死守された』こととなった訳だ。

 さなの親族もまた、さなよりも、家の名誉を気にする者達ならば、『功労者のさな』に対して、余計な騒動を起こすはずがない、と踏んだ上での作戦だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――side:二葉家

 

 

『すみませ~ん!!』

 

『お宅の名誉を護ってくれたさなさんへ何かコメントを!!』

 

『さなさんの教育環境について詳しく教えてくださーい!』

 

『青磁さんがお亡くなりになられた後、落ちぶれてたってのは本当ですか~!?』

 

 

 当然、二葉邸の門前でもマスコミの群衆がごった返していた。

 仕事や学校の為に外に出れば大群に囲まれての質問攻め。内に籠ろうものなら、一日中インターホンが鳴りやまず、全員グロッキー寸前だ。

 

「くっ、あのバカ娘が……、俺の許可なく、勝手な真似を……!!」

 

「姉貴を追い出したのは俺らだろ。姉貴がどーしよーが、自由じゃね?」

 

 テーブルをドンと叩いて、忌々しく歯噛みする義和。

 篤志はどこ吹く風と言った様子で、スマホをいじりながら、冷ややかに突っ込む。

 

「あいつにそんな気概は無い! 全ては七海やちよ、奴のせいだ! 成り上がりの中央の民の分際で、うちの娘を売名に利用しやがってぇ……!!」

 

「それで、どうするおつもりなんですか?」

 

 マスコミ相手に隠れてばかりいるのは悪手だ。

 こちらから、何かアクションを起こさなければ、彼らは納得しない。その内有る事無い事を“事実”と誤認させるべく、騒ぎ立てるだろう。

 漱也が義和に確認すると、彼は迷いも無く言い放った。

 

「決まってる! マスコミに真実を伝える! 七海やちよが俺の娘を誘拐して、誑かしたんだとな!! そして、奴を訴えてやるっ!!」

 

「本気ですか? 裁判沙汰になったら……」

 

「英雄とか言われているが所詮庶民の小娘だ!! 二葉家との格の違いを思い知らせてやる、良い機会じゃないか!」

 

 ああ、これは駄目だな、と漱也は思った。

 義和は怒りと屈辱のあまり、理性を失っている。とてもマスコミの前に出せる精神状態ではない。

 

「相手は日本一有名と言われる魔法少女、“神浜の英雄”ですよ? そんな相手に訴訟を起こせば、うちは世間からの誹りは免れない。()()()()()()()()()家の名誉を再び地に堕とす結果にもなり兼ねませんし。裁判官の心証だって、彼女の方が有利な筈……」

 

「ええい、ぐだぐだ煩い! お前ならどうにかできるとでもいうのか!!」

 

「ここは……俺にまかせてください」

 

 

 

 暫くして――――

 

 二葉家の長男、二葉漱也は家の門を開放。

 スーツ姿の彼が玄関から現れる。同時になだれ込み、一斉に騒ぎ立てる報道陣の前に臆する様子も無く、寧ろ毅然とした態度で、こう伝えた。

 

 

『この度は、私の妹であるさなの勝手な行動により、今回のような騒動に発展し、世間の皆様に大変なご迷惑をお掛けしてしまったことに付きましては、大変申し訳無く存じます。

 

 ですが、一人の兄として、言わせてください。

 

 彼女が我が家の実情を憂い、名誉を守り抜く為に奔走したのは、事実です。

 これは、彼女が自分自身の努力で得た結果であり、“家族として”、とても誇らしいと思っております。

 “妹”の今後の精進と、幸福を心から祈るばかりです』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日、みかづき荘――――

 

 

「さっき、お兄様と、弟くん、それに、お母様が挨拶にいらっしゃったわよ。『さなのこと、よろしくおねがいします』って……」

 

 晴れて二葉さなは、みかづき荘に居住することになった。

 用意された個室の中で、七海やちよと話しあっている。

 

「そうですか……」

 

「会わなくて、本当に良かったの?」

 

 また、強がっているのだろうか。

 だが、二葉さなは、迷いの無い瞳を向けてこくりと頷いた。

 

「はい。今はまだ、その時じゃありませんから……けど」

 

「ん?」

 

「いつか、言いたいです」

 

 

 ――――【二葉さな】は、ここにいる。

 

 

「あの人達に、胸を張って、そう言える日が来るまで……私、頑張りたいです。最初は生まれたての子猫そのものだったゴロゴロが、最終回では大人になって、生まれた子供にそう言ったように……!」

 

 揺るぎない瞳を向けて、二葉さなは七海やちよに訴える。

 

「……うん! じゃ、一緒に行こうか」

 

 あの時のように。

 立ち上がって彼女は、手を伸ばした。

 

「はい!」

 

 差し出された手を、今度こそ離さないように。

 今まで以上に強く握り締めて、二葉さなは新たなステージを進んでいく。

 孤独で泣き虫で、夢見に逃げていた少女は、もういない。

 誰かと手を取り合って生きていく為に、強くなると決めたから――――

 

 

 

 ――――今日もやちよさんと一緒に、慌ただしい一日を過ごすのだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

fin




これにて、二葉さな魔法少女ストーリーは完結です。
プロット通りに進めてきましたが、後半かなり難産でした。

ちなみに、さなちゃんのサンドアートですが、
実は彼女の水着衣装ストーリーが元ネタです。
彼女は、天性の美術センスがあるようです。
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