魔法少女いろは☆マギカ 1部 Paradise Lost 作:hidon
自分を殺そうとした、
深月フェリシアを、正式に治安維持部に雇用したやちよ。
当然、フェリシアの犯した罪は、全て免罪となった。
だが、騒動の後始末として、謝罪会見を開くことに……。
そこまでして、フェリシアを採りたかった理由。
それは治安維持部の将来を見据えてのことであった。
警察の“マル暴”的な、裏社会の情報網となるチームを作りたい。
また、『傭兵』の生きたノウハウを得たい、という考えから。
そんな考えのやちよの元に、一本の電話が。
株式会社蒼海グループ(通称:蒼海幇)代表:
そして、衝撃の事実。
なんと、『七海やちよ暗殺計画』は、海龍とななかの共謀だった!
二人は、フェリシアを使い、
マギウスの翼をも手駒として、利用したのであった。
だが、やちよは推理で、
2人の目的が『やちよの死』ではなく、
『やちよの実力が本物か確認したい』のだと看破。
そして、フェリシアを動かした“真の黒幕”は、別にいる、と……。
海龍は愉快に笑いながら、やちよに挑戦状を叩きつけるのだった。
FILE #69
晴れて神浜市役所に公務員として入職し、
治安維持部に配属されたいろは、鶴乃、フェリシア。
研修の日。
フェリシアはやちよの下で。
いろはと鶴乃は、明京町・工匠区に向かっていた。
※ここでざっくり解説!
治安維持部に所属した十代の少女……けど学校はどうするの?
当然出席できないけど授業は全部“公欠”扱いになるよ!
つまり、最後まで在学扱いだし、3月末には卒業できるよ!
※ここでざっくり解説! 工匠区ってどんなところ?
神浜市でも屈指の工業地区だよ!
世界で活躍する名工を輩出してるよ!
ここで造ってる
金属製品の精度に関しては、日本でも毎年ベスト3に入るよ!
『男尊女卑』という嫌な風習が昔からあるけど、
最近は無くなってきているよ! 女性市長のお陰だね!
そんな訳で、いろはと鶴乃は、
明京町役場の調整員、ロリババア八坂おけらの車で、
研修場所である、祭会場へと向かう。
そこでは、チーム・アメノハバキリのメンバー、
志伸あきらと、純 美雨(チュン=メイユイ)が、
会場の設営を手伝っていた。
夏目かこと常磐ななか? 人気俳優の推し活中
「部長はおばあさんが古武術をやってて、魔法少女になるまでは合気道の大会を何度も制覇したことがあるんだって。塩田剛三の生まれ変わりって呼ばれたとか……そりゃ、敵う筈無いよね」
いろはは、あきらから、七海やちよの武勇伝を聞かされ……
「ウチのリーダーが迷惑を掛けタ。悪気は無かたし、ああ言わなければならない理由も有っタ。どうか、常盤ななかと、蒼海幇を許してほしい」
鶴乃は、美雨から。
ななかが以前、鶴乃を強引に勧誘した件について、謝罪したのだった。
「そこにいたか、美雨!!」
と、そこへ。
新たな少女が姿を現すのだった。
(※八坂おけら イメージ図)
FILE #70
突然現れたのは、美雨と顔見知りの、
呉 豪杏(ウー=ハオジン)であった。
※ここでざっくり解説! 呉 豪杏って誰?
『蒼海幇』精鋭部隊・
純 美雨とは幼馴染で、ライバルだよ!
性格も見た目も、正反対だよ!
最高幹部衆・五強聖の一人、
ミー/ザンス子さん
(※ちなみに美雨は、宗師・王 海龍の門下生)
ライバル心メラメラ燃やしながら、
美雨を挑発しまくる豪杏。
しかし、美雨の態度は素っ気なく、
逆に邪魔と言わんばかりに、追い払われる始末。
いろはが、豪杏のことをおけらに尋ねると、
彼女は『赤竜隊』のリーダーだという。
※ここでざっくり解説! 『赤竜隊』って?
神浜市役所が、『蒼海幇』……もとい、
『㈱蒼海グループ』に、治安維持業務を一部委託したことで、
誕生した、町内警備隊だよ!
呉 豪杏(リーダー)
曹 美篶(ツァオ=メイイェン)
小 心蝶(シャン=シンディエ)
羅 子静(ルオ=ズージン)
伯 梓美(ボ=ズーメイ)
以上、五人の魔法少女で構成されているよ!
常磐ななかのチーム・アメノハバキリとは、
お互いに成果を競ってて、ライバル関係みたいだね!
結局、美雨に相手にされなかったので、
いろはと鶴乃に、詰め寄る豪杏。
実は、チームメンバーの梓美の行方が分からないので、
探して欲しいのだ、という。
……だが、梓美はすぐに見つかった。
大バカ大庭樹里率いる、チーム竜ヶ崎に引きづられて!
梓美は愚かにも、彼女らに喧嘩を売り、ボコボコにされてしまったのだった……。
怒りに燃える豪杏。
しかし、大ゴキブリ大庭樹里はそんな豪杏を無視して、
八坂おけらの方に対抗心メラメラ。
「あんだ? ゴキ?」
「ゴキブリ略すなっ!! ……八坂おけら、私、大庭樹里はお前らに」
――――“勝負”を申し込む!!
・呉 豪杏(ウー=ハオジン)
・洪 梅華(カウ=メイファ)
FILE #71
「つまり、二木の伝説と、工商区の伝説が食い違ってるのが問題で……“間違ってる方の伝説”を、お頭が祭りの度に大衆に流布してるのが問題だと……」
八坂おけらと、大庭樹里。
二人の因縁はそんな“すれ違い”から発生していた。
「だって、ご先祖様の巻物にそう書いてあったんだからしょうーがねーだろっ!?」
「信用できると思うか? そこにいる中国人共と組んで捏造したんじゃねーのか?」
大庭樹里は更に、蒼海幇にも因縁をつける。
工匠区でも影響力の強い蒼海幇。
だが、元々は、ウソと手抜きが当然(※樹里目線)の中国人集団。
それらが、日本の伝説を捏造(※樹里目線)し、伝統工業を取り仕切っているのが気に入らない様子。
「我らが老師を愚弄するナ!
「その名匠の座も、この町のじーさん共に腰振って手に入れたんじゃないのか?」
敬愛する老師を貶され、豪杏は激おこぷんぷん丸。
武術家と蒼海幇のプライドに懸けて、
チーム竜ヶ崎との勝負を引き受けるのだった。
こうして。
赤竜隊vsチーム竜ヶ崎との“試合”が、確定。
乗り気のおけらが、主催側に無理言ったことで、
急遽、祭りのメインイベントとして、捩じ込まれたのだった。
FILE #72
こうして、夜19時……
チーム赤竜隊(蒼海幇)vsチーム竜ケ崎の試合が始まった。
ちなみに。
監督役の大庭樹里含め、6人のチーム竜ケ崎に対し、
赤竜隊は、梓美が負傷したため、4人しかいなかったが、
天才カンフー少女・崙 明零(ロン=ミンリン)と、
門弟の中で最年長の一人であり、主席の実力者・洪 梅華(カウ=メイファ)が
代理としてチーム赤竜隊サイドに加わった。
そして、先鋒戦(一回戦)の火蓋がきって落とされる!
『曹 美篶 vs 緋華《ひばな》
火炎を纏った二槍で、豪快に攻める仙香。
対する美篶は『蒼碧拳』の源流の一つ、詠春拳の技で仙香を圧倒。
固有魔法で、灼熱地獄を創り上げる仙香だが、
修行で、『火行』を日常的に行なっていた、美篶には通用せず。
ならばと、必殺技『大車輪』で攻撃するも、あっさりと避けられ……
詠春拳の必殺技・『チェーンパンチ』で一網打尽にのされてしまうのだった。
結果は曹 美篶の勝利。
チーム赤竜隊、1勝!
FILE #73
次鋒戦。
『小 心蝶 vs
秘孔(ツボ)を突いて、体の動きを局所的に止める心蝶に対し、
剛速拳と、固有武器“包帯”を用いた固有魔法『リカバリー』能力、
またフェイントを駆使して、トリッキーに攻める百花。
攻防は、正に一進一退。
互いの骨や関節を破壊するほどの激しい攻防を繰り広げる両者。
心蝶のチェーンパンチが百花の全身に炸裂!
だが、百花がカウンターで放った剛速拳が、心蝶を吹き飛ばす!
擂台の端まで追い詰められた心蝶。
百花は留めを刺そうと、自分も擂台の端まで寄る。
そこで、百花の体がガクッと崩れ、擂台から転げ落ちる。
心蝶のチェーンパンチ……
それを打たれた際に、全身の秘孔も突かれていたせいで、
体の自由が失われていたのだった!
勝利を確信する心蝶。
直後、“誰か”に足を引っ張られ、心蝶も擂台から地面へと転げ落ちる。
その時、心蝶の目に見えたもの――
なんと、百花は落ちていなかった!
落ちたと見せかけて、
擂台の側面に包帯で体を固定していたのだった。
結果は繚蘭 百花の勝利。
チーム竜ケ崎、1勝!
FILE #74
中堅戦 1/4
『崙 明零 vs
崙 明零は蒼海幇きっての“天才”カンフー少女。
僅か10歳でありながら、その武術センスは非常に優れており、
美雨・豪杏といった、第一線で活躍する姉弟子達にも引けを取らない。
一方、相手の高菜舞桜も、
竜ケ崎の“秘密兵器”と呼ばれていた。
綽名は『虐殺魔獣(ジェノサイド・モンスター)』……!
しかし、内気で小柄な、どこにでもいる少女にしか見えないが……?
FILE #75
中堅戦 2/4
高菜舞桜の能力。
それは、グリーフシードをあえて孵化し、
生み出した魔女の力を、自らの肉体に取り込んでパワーアップすることであった。
舞桜は魔法少女の姿から、更に変身!
その姿は、異形の巨大生物……正に『怪獣』!
しかし、代償として。
怪獣になっている間は、
高菜舞桜としての理性を失ってしまう……。
審判の美雨は、危険すぎると判断し、試合中止を宣言。
しかし、明零は試合続行を美雨に要請する。
明零は天性の勘で分かっていた。
怪獣の意識は自分に集中している……。
つまり、怪獣の中に眠る『高菜舞桜の意識』は、自分との勝負を望んでいる筈だと……。
爆発音の如き大咆哮。
巨大な尻尾による振り回し攻撃。
巨大な足による踏みつけ。
掴まえて、口の中に放り込み、咀嚼……。
強大且つ凶悪な攻撃を高速で仕掛けてくる怪獣。
明零は、得意技の寸勁(ワンインチパンチ)で対抗するも、まるで歯が立たない!
そして、怪獣のハンマーパンチを諸に受けてしまい、
明零は、意識を失うのだった……。
FILE #76
中堅戦 3/4
暗闇の中で、自らの過去を振り返る明零。
物心付いた頃から、並外れた運動神経を身に付けていた。
武術を学んでからは、その天賦の才能を開花させていく……。
だが、近所で起きた強盗事件に巻き込まれてしまう。
強盗相手に勇敢に立ち向かい、一人ひとり倒していく明零だが……
強盗団のボスは魔法少女であり、武術の達人だった。
明零は為す術もなく、全身の骨を叩き折られ重症を負ってしまう。
もっと強くなりたい……。
誰よりも強く……。
病院のベッドの上で、強く願う明零。
そこへキュゥべえが現れ、彼女は“願う”。
『私の“願い”を、最高の師に届けさせて』
強くなりたい……
その願いは、遠く離れた王 海龍の下へ届いたのであった。
「…………魔法少女になった時、何を得たのか、よく思い出してみなさい」
そして、修行の記憶。
息もできず、体も動かすことさえできない、過酷な修行の最中で、
明零は、師・海龍に言われた言葉を思い出す。
『こわいか。死の恐怖を感じているか』
『それを与えた私を“憎い”と思うか』
『ならば、良いことを教えよう』
『かつて、この地――日本には“塩田剛三”という高名な武術家が居た』
『ある時、弟子が彼に“武術の極意”を問いかけると、こう答えたそうだ』
『“ ”、と』
明零の意識は、そこで覚醒した。
自分が“願い”によって得た力は、“その為”にあると……!
「ウォーミングアップは、終了です!!」
奇跡の復活を果たした明零は、
再び怪獣――『高菜舞桜』と激突。
全身の力を込めて、飛びかかってくる舞桜に対し、
明零は、相手の力を跳ね返す技――『化勁』を用いて、舞桜の両肩を吹き飛ばす!
大ダメージを負い、困惑する舞桜。
だが、戦意は衰えない。
顔中にある多数の複眼から、レーザー光線を放つ!
「ミャオッミャオッ、ミャオン!!」
猫の物真似をする明零。
そして、猫そのものの、軽快なステップで、
レーザーを全て回避するのだった。
FILE #77
中堅戦 4/4(決着)
激闘を繰り広げる明零と舞桜。
背中の突起物をミサイルのように飛ばし、
使い魔を大量に生み出し、
百目からレーザー光線を放つ……
相変わらず凶悪な攻撃を仕掛けてくる舞桜。
だが、明零は、攻撃を全て回避。
更に、機転を利かして、使い魔を次々と撃破していく。
苛立ちと、焦りを募らせていく舞桜。
魔法で、巨大な尻尾を分裂させて、畳み掛けてくるが、
<無駄です。あなたの攻撃には、さっきみたいな精細さが、感じられない>
<大ざっぱに振り回しているだけ。パターンはもう、読めました>
もはや、舞桜の攻撃は、明零に“一切”通用しなかった。
舞桜は狼狽。
明零に恐れをなし、足を後退させる。
<私の“勝ち”です>
勝利の宣言と同時に、
トドメのワンインチパンチが、舞桜に放たれる!
同時に――
明零の意識が、舞桜の精神の中へと入り込む。
そこで、彼女は、舞桜のことを理解するのだった。
彼女の絶望。
そして、“願い”で得た強大な力の秘密を――
だが、それは所詮、与えられただけの力。
明零の“力”とは、決定的に違う。
明零のように、自らの努力で得たものじゃない。
明零のように、弱さを克服して、手に入れたものじゃない。
憂
怪獣の姿の裏に隠された、舞桜の葛藤――
<高菜舞桜さん、あなたは凄い人でした>
<わたしが今まで戦ってきた誰よりも強く、大きい人でした。正直に言うと、負けるかもって、本気で思っちゃいました>
<ありがとうございます。舞桜さん>
<あなたのおかげで、わたしはもっと、前に進むことができました。武術の極意に、近づくことができました。だから、これからは、もっと、
だが、それを知っても。
明零は彼女を受け止めて、自分の素直な言葉を送るのだった。
明零の固有魔法。
それは、“自分の気持ちを相手に届ける”こと。
師の教えであり、【武術の極意】。
明零はそれこそが、自らの魔法の使うべき時だと、学ぶのであった。
結果は崙 明零の勝利。
チーム赤竜隊、2勝!
FILE #78
副将戦 1/3
『羅 子静 vs 宮根
羅 子静は非常に恵まれた肉体の持ち主で、体術も優れている。
しかし、メンタルが弱く、姉弟子の豪杏にも不安に思われていた。
対する宮根灼とは相性最悪であった。
“搦手”を得意とする灼。
テニスボールとラケットを使った、変化球で子静を翻弄。
だが、灼の最大の武器は、『レスバトル』!
戦う相手のことを、入念に調べ上げて、
ウィークポイントとなりそうな点を、ねちねちと執拗に言葉攻めする!
子静は、年の離れた実姉のことがコンプレックスだった。
蒼海幇・最高幹部衆『五強聖』の一人、
羅 神翔(ルオ=シェンフェイ)老師。
自分よりも遥かに優れた武術家である、姉のことが。
――――自分の事しか見えていない。故に、貴女は、“未熟者”なのです。
――――足手纏いは、必要有りません。
灼の言葉攻めに、メンタルを乱された子静は、
FILE #79
副将戦 2/3
「どうして歴戦の武術家であるあなたが、大した実績も無いテニスプレイヤーの私に、こうも完封されてしまうのか?」
「すべては“ここ”で決まる。“ここ”が強い人、余裕がある人は、何したって勝てるんです。逆に“ここ”が弱い人は、何したってダメ!」
「ほんとーにコンプレックスなんですねー。反射神経イカレてますし、さっきも、掴もうとしたのは良かったけど、ハズレちゃいましたからねー」
灼の執拗な言葉攻めは続く。
子静はトラウマを次々と掘り起こされ、メンタルはボロボロ。
それでも、なんとか対抗しようと足掻くが……
『狙ったところに当てる魔球』
『消える魔球』
『避ける魔球』
これら三種の変化球に全く対応できず、追い詰められてしまう。
子静は姉や周りと比べて、才能が無かった。
修行でも一人だけ、遅れを取っていた。
だから、必死に努力してカバーしようとした。
しかし、
「おやめなさい」
「貴女に、中国武術は向いていない」
「才無き者が、道を無理に歩もうとする姿は、見苦しいものです」
「だから、おやめなさい」
「全て、無駄なのです。貴女の才能では。いくら、どうやっても」
自分には、何もできない――
かつて言われた、姉・神翔の指摘。
“最大のトラウマ”を思い出してしまい、
子静は試合中にも構わず、慟哭を挙げる。
「その様子だと――――お姉さんに見捨てられちゃったんですね」
そして、追い打ちをかけるように、
灼の言葉攻めが、子静のメンタルを完全に“破壊”したのであった。
FILE #80
副将戦 3/3(決着)
メンタルがボロボロとなり、
泣きながら立ち尽くす子静。
これでは、試合続行は不可能。
つまり、灼の勝利は確実。
観客の誰もが子静の事を諦めたその時、
「子静、ガンバレ~~~!!!」
いろはだけは。
ただ一人、子静を応援し続けたのであった。
「ここに子静さんのお姉ちゃんがいたら、そう言ってた筈です!」
「バカなことヲ!! そんな事は絶対二有り得なイ!! 姉さんは私を捨てたんだ! 何をしても無駄だって!」
最初は応援を拒絶する子静。
しかし……、
「お姉ちゃんを馬鹿にしないでください!!」
いろはの怒りと共に吐き出された言葉。
そして、
必死に声を枯らして応援し続けるいろはの姿を見て、
子静は、姉・神翔のことを思い出すのだった。
『姉如きの為に貴女は自分の人生を諦めるのですか?』
『正直になりなさい。馬鹿にされて嫌だと思ったでしょう。悔しいと思ったでしょう。 だったら耐える必要などありません。貴女を馬鹿にした連中など、貴女がぶちのめしてやればいい』
『貴女は恵まれた体格と、強力な腕力がある。それを自分を示す為に使わずに、いつ使うのですか?』
神翔は鬼のように厳しかったが、
同時に妹・子静のことを凄く心配していた。
子静は気づく。
姉は自分が『無能だから、突き放した』のではなく、
『一番才能を買っていたから、いつも応援してくれた』のだと。
「ガンバレ子静!!!
負けるな子静!!!
立ち上がれ!!!
貴女を馬鹿にした奴なんて、ぶっとばせー!!!」
いろはの応援を背に受け、子静は泣くのを止めた。
そして、“覚醒”する!
鍛え上げられた肉体をフル活用し、反撃する子静。
搦手を次々と打ち破り、灼をフルボッコしていく!
とっておきの『爆弾入りテニスボール』を投げ返され、
場外に吹き飛ばされた灼。
だが灼は、起死回生の一手――
固有魔法『リプレイ』を発動する!
それは、
『自分が不利になった試合に関してのみ、一度だけ“やり直し”ができる』
というもの……
時間が巻き戻り、副将戦が、最初からやり直しに。
『リプレイ』前の記憶を継承してるのは灼のみ……
つまり有利な状態からリスタートである。
灼は、頭の中で作戦を練るが……
「先手必勝!!」
子静が飛び掛かり、腹部に一撃。
灼が崩れ落ちる。
「……………もう二度と、心は折らせナイ……」
ありえないことに、
子静もまた、記憶を継承していた?のであった。
またも、子静の勝利が確定、と思いきや……
灼が落としたテニスボールを、踏ん付けてしまう子静。
バランスを崩して、転んだ先にあったのは……
灼がこっそり用意していた『爆弾入りのテニスボール』!
それが顔面に直撃して大爆発!
場外まで、吹き飛ばされてしまう子静。
「……ふふふ……心に余裕が有っても……“慢心”は……禁物ってね……」
灼がそう言って、なんとか立ち上がったことで、勝敗は確定。
チーム竜ケ崎、2勝!
FILE #81
大将戦 1/4
『洪 梅華 vs 竜宮綾濃』
洪 梅華は、魔法少女だが、家族持ちのママ(25)である。
実娘の
まさに侍そのものの雰囲気と、
武術の達人らしい迫力に、圧倒されるいろはと鶴乃だったが、
フランクに冗談を言ったり、花織やななかを心配し、気遣う姿を見て、
二人は、親近感を覚えるのであった。
「梅華先生と花織さんの存在は、私達魔法少女にとっての“希望”となりえるでしょうね」
「組織の名誉や武術家のプライドの為ではなく、近しい人達の為に全力で戦い抜く。あの方の姿勢は、お二人にとって、良い勉強になるはずです」
そして、ななかの言葉を受け、
いろはは、梅華を全力で応援することを誓うのだった。
FILE #82
大将戦 2/4
「中国武術家と一手交えるは、武道の誉れ」
「参られよ」
両チーム大将同士の試合が遂に始まる。
逆刃刀による必殺の“居合抜き”で攻める梅華。
だが、直撃の寸前、綾濃の姿が消える。
直後、強烈な蹴りが梅華の頭部を狙う!
綾濃の奇怪な武術による、カウンター技に翻弄される梅華。
だが……
「恐らくは――――“忍法”」
梅華は、綾濃の動きを観察して、武術の正体を見破るのだった。
竜宮家は、忍者の祖――『山の民』の末裔。
故に、長い山暮らしで培った“強靭な脚力”が、綾濃の強さの軸。
うっかり地雷を踏み綾濃を本気にさせてしまう梅華。
トドメを刺すべく、攻撃を仕掛ける綾濃に対し、
――――梅華ちゃん。どうして刀に鞘があるか、分かりますか?
――――刀の真髄は、力を隠すこと。殺すことではありませんよ。
梅華は武術の師でもある義姉・
鄭 咲蘭(チャン=シャオラン)の教えを思い出す。
目を閉じて、綾濃の殺気を察知。
頸部に迫る“蹴り”を捉えると、
回避と同時に、綾濃の足を、手刀で叩き折る!
「“木化け”、破れたり」
軸足の
だが、綾濃の真骨頂は、ここからであった……。
FILE #83
大将戦 3/4
脇差を抜き、『柳生新陰流』の構えを取る綾濃。
奇策で梅華の虚を突くと、柳生流必殺剣・『逆風の太刀』を仕掛ける。
どうにか回避する梅華も、
奇策を使って、綾濃の虚を突き、居合抜きを仕掛ける。
兵は“詭道”なり。
故に剣士とは詭道を邁進する者……
武術は本来、人殺しの技能。
つまり、侍同士の戦いに、正攻法は無用。
故に、高度な“化かし合い”で互いに翻弄し合うのが常道。
だが、綾濃がここで、固有魔法を用いたことで、状況は一変する。
『居所的に天気を操れる』綾濃。
【二ノ太刀・“雨”】
【一ノ太刀・“月”】
天気の力を応用した剣技で、梅華を追い詰める。
そして、
【三ノ太刀・雷】
稲妻を脇差に纏わせた、必殺の居合抜きで、勝負を仕掛ける。
対する梅華も、必殺秘剣・迅雷斬りで対抗する!
激突。
衝突の瞬間、大爆発が発生し、二人の姿が見えなくなった。
FILE #84
大将戦 4/4(決着)
煙が晴れると、二人は立っていた。
お互い、衝撃で刀を失い、ギリギリで立っている状態。
だが、闘志は衰えず。
二人は、己の拳を武器に、真正面からぶつかり合うのだった。
古流武術の秘技「裏当て」で、仕留めに掛かる綾濃。
対する梅華も、できる限りの武術を駆使して、反撃!
……やがて、二人の戦いは、
凄惨な殴り合いそのものと化した。
もはや、侍としての矜持も忘れ、ただ勝利を得る為に、互いの体を打ち続けるのみ。
頭突きで拳を破壊された綾濃が、大きな隙を見せる。
今だ。
梅華は、トドメを刺すべく、心臓に向けて拳を打つ。
だが、拳が当たる寸前に、梅華は思い出してしまう。
過去の記憶。
過酷な環境で生き、奪わなければ生きていけなかった、子供の頃を。
そして、
自らの過ち――“人殺し”の記憶を。
梅華の拳は止まった。
同時に戦意も喪失。
反撃に転じた綾濃の「裏当て」が決まり、梅華の体が崩れる。
勝敗が決した――――かに見えた。
「いいえ。…………私の“敗け”です」
なんと、綾濃は勝利を否定し、敗北を宣言する。
梅華は惜しまずに言う。
「
「子供達の前で、大人が間違ってはいけない。わたしはもう、二度と間違いたく無い」
剣士とは“詭”道たるもの。
しかし、“鬼”道に踏み入ってはならない――
綾濃にトドメを刺す直前で、梅華は“侍の矜持”を思い出していたのだった。
「……自分の立場を忘れなかった貴女こそ……真の武術家です」
一線を越える前に、踏み止まれた梅華。
一線を越えてしまった綾濃。
「故に改めて申し上げます。――――私の“完敗”です」
綾濃は、欲求に負けた自分の心の弱さを恥じ、
そして、欲求に抗った梅華の心の強さに敬意を示すため、
自らの敗北を願い出たのだった。
チーム赤竜隊 3勝!
FILE #85
「おめでとう! お母さん、かっこよかったよ!」
「うん、ありがとう!」
祭りの終了後、いろははは、梅華の娘・花織と話していた。
彼女の姿が妹・“うい”と重なって見えたいろはは、
つい、寂しくなって、
祭りの観客たちの中からういの姿を探し求めてしまう。
だが、彼女が発見したのは……
自分の両親を拉致した張本人……
サンシャイングループ代表・日秀源道であった!
神社裏の林道で、源道を追い詰めるいろは。
両親を攫った理由を問うも、彼は知らぬ顔で、はぐらかす。
源道が両親を攫ったという、“証拠”は無い。
だから、何を言っても無駄だと。
苛立ちを募らせながら、いろはは問う。
なぜ、両親が攫われたのか?
それに対し、源道は「ゲーム理論」だと答える。
つまり、
・真犯人の目的は「環いろは」である。
・いろはは、悲しみと怒りを“力”に変える人間。
・両親を攫うこと=いろはにとっての大きな悲しみ=大きな成長の糧となる。
・いずれ成長したいろはが、自分の前に現れることを期待している。
だが、それを聞いたいろはは憤慨。
なぜ、彼らの為に、自分が全てを奪われなければならないのか。
「待ってくださいっ! せめて、お父さんとお母さんの居場所を教えてください!!」
「私は犯人ではない。知らんよ」
最後まで白を切ったまま、
去り行く源道の背中に。
「かえせよ」
殺意を込めた、いろはの矢が迫る。
FILE #86
怒りが頂点に達し、源道の殺害を試みるいろは。
だが、失敗に終わる。
「
「動いたら、『神楽』が頭をミンチにするぞ」
日秀源道の護衛を務める魔法少女達、
【コルボー】と【神楽】によって!
コルボーに右手を踏みにじられ、
神楽からは、ガトリングガンを頭に突き付けられ脅される。
絶対絶命の危機。
だが、そこでいろはを助けたのが、「フェリシア」と「まさら」であった!
拘束から解放されたいろは。
日秀源道は、護衛二人を呼び戻して、その場から去ろうとする。
彼の背中に向けて、いろはは、訴える。
「こんなの、冗談じゃない……!」
「あなたのこと、絶対許しませんから……!」
「いつか、思い知らせてやりますから……!」
「大切なものを奪われた悲しみと、今、味わった苦しみを……!!」
「いつか、あなたに……っ!!」
「私は朝ヶ谷
「はあ、はじめまして……」
源道が去ったあと、いろはたちの前に現れたのは、謎の怪しい老婆……
ではなく、
「神浜市長、夕霧青佐よ!」
なんと、青佐であった。
実は、いろはを助けるために、フェリシアとまさらを向かわせたのも、
彼女であった。
源道が悪いとはいえ、殺人を犯そうとしていたのは事実。
いろはは、申し訳ない気持ちで、青佐に謝るが……
「貴女のその怒りは、当然よ。でも……爆発させるのは、今じゃ無いわ」
「いつか、“然るべき時”がきたら、思いっきりぶつけてやりなさい。ぶちのめしてやるつもりでね!」
「それまでは、必死に耐えて、堪えて、前を向いて、積み重ねていきなさい。いいわね!」
青佐はそういって、いろはを勇気づけたのだった。
「オレを雇ったジジイ。多分、アイツだよ」
そして、フェリシアの方も、
『七海やちよ暗殺計画』を企て、
自分を実行役として雇ったのが、日秀源道であることに、勘付くのだった。
「よもや……貴方程の御方に、我が護衛を担って頂けるとは思いもよりませんでしたな……」
一方。
一人、林道の暗闇に立つ源道の前に、一人の少女が姿を現す。
“
『490』と同じく、彼女の“助手”の一人。
「『896』――――“無限”を冠する御方よ」
FILE #86.5
工匠大祭。
最後の催し。
チーム赤竜隊(蒼海幇)vsチーム竜ケ崎……
試合結果は、3対2で、チーム赤竜隊の勝利!
チーム竜ケ崎には、罰ゲームが課されることに……!
樹里が大ゴキブリとかKBGとか呼ばれていたせいで、
ゴキブリのコスプレをさせられて、観客の前に晒される
チーム竜ケ崎の皆さん。
全員、屈辱と恥辱を死ぬほど味わう羽目に。
だが、
イライラが頂点に達した大ゴキブリ大場樹里が、
八坂おけらに、喧嘩を吹っ掛ける。
「ちくしょうふざけやがって!! 今すぐウェr」「ああ~~~~ん!!?」
「え、いやだから、ウェr」
「ああ~~~~ん!!?」
「あの……ウェr」
「あああ~~~~~ん!!!??」
「ウe」
「ああああ~~~~~ん!!!!????」
が、逆に威圧されてしまい……
「ウエエエエエエエエエエエエン!! 覚えてろよおおおおおおお!!!!」
自分達の敗北を悟った樹里は、
ゴキブリ姿の手下with先生と共に、情けなく退散したのであった……。
以上、工匠大祭編でした。
本来の予定ではフェリシア編で、第一部終了の筈だったのですが、
バトル書きたい欲求が出てしまい、急遽、生み出された番外編的エピソードです。
色んなオリキャラが登場しましたが、2部以降も活躍させたいな……。