魔法少女いろは☆マギカ 1部 Paradise Lost   作:hidon

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2023/12/18 文章を全面的に書き直しています。



FILE #70 (改稿版)集結する百火2

 おう! みんな! 八坂のおけらさんだ!!

 今回はまずはじめに、工匠区のむかしばなしを教えてやるぞ!!

 

 

 それは神浜市がまだ『八神郡』と呼ばれていた頃――――

 

 遠ぉ~~~く遠ぉ~~~~く離れたその狐島……二つの大木が角のように立っているそこは『鬼ヶ島』と呼ばれ――――

 

 それはもう大層力強く、妖術にも秀でた赤鬼が一匹居たそうだ――――

 

 食料に困った赤鬼は、八神郡の人々を攫おうと、竜に化けた大蛇を工匠の地へ送り込んだ――――

 

 

 ……何で竜なのかって? そりゃあ竜が人々にとって神聖な生き物だからさ。

 

 

 当然、工匠に住む人々は“竜の姿をした大蛇”を崇めた――――

 

 大蛇は人々をまんまと口車に乗せ、主の待つ鬼ヶ島まで連行しようとしたんだが――――ッ!!

 

 そこであらよっと救いのヒーロー見参っ!! ワタシの御先祖様・人呼んで八坂命(ヤサカノミコト)だっ!!

 

 ご先祖様は鬼より勝る妖術で、竜の正体を暴き捕らわれた人々を解放すると――――

 

 あっと驚く摩訶不思議!!

 雲を突き破り光明と共に天より舞い降りたのは青き龍!!

 

 ご先祖様は青龍を使役して、もののみごとにアッパレ大蛇を撃退!!

 恐れを為した大蛇はスタコラサッサと鬼ヶ島に逃げちまったってワケだ!!

 

 こうして、工匠の地はご先祖様によって再び平和が訪れた!!

 

 

 ……ちなみに、この鬼ヶ島なんだが――――

 

 どうも、兵庫県の『二木市』って説が濃厚なんだよなあ――――

 

 んでよぉ、この伝説にイチャモン付けてきやがったスットコドッコイがいてな――――

 

 ……え? そいつはダレかって??

 

 確か――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そこにいたカ、美雨!」

 

 

「そーいや、ななかはどうした? 新人研修なんだから、(かしら)が直に挨拶しにくんのが筋ってもんだろ? かこもみあたらねーが?」

 

「あー……あの二人はー……」

 

「“推し活”ヨ」

 

「あーあー、ちょー人気俳優・松田裕次郎様ご降臨だったよな、たまたま」

 

「おい」

 

 おけらと話し合うあきらと美雨(メイユイ)

 誰かがなんか呼んでるが無視。

 

「ひめなとかはるんは? 新人に祭りを手伝わせてやるんだ。主催団体『お組』代表共に、こいつらを紹介してやらにゃ」

 

「打合せヨ」

 

「おいコラ」

 

 おけらと話し合うあきらと美雨(メイユイ)

 誰かがなんか呼んでるが無視。

 

「ひめな代表からは、言伝を預かってるよ。『お頭よろ☆』」

 

「ちっ、あんにゃろう。ワタシが死んだ爺さんから引き継いだ『お組』代表を押し付けた事を未だに恨んでやがるな……!!」

 

「そりゃ恨まれるよ……ひめな代表ネイルサロン創るのが夢だったんだよ……?」

 

「だって、手伝ってあげよっか☆って言われたから、つい……」

 

「人を集めるだけ集めといて、丸投げすんのはドーカと思うヨ」

 

「いや、ワリィとは思ってンだが……調整課は調整課で人間関係が複雑なんで、両立がきちぃんだよなぁ……」

 

「おーい!」

 

「……ねえ、なんかさっきから一人セリフ多くないかな?」

 

「「え?」」

 

 なんかメタなあきらのツッコミで、美雨とおけらがようやく気付く

 そういえばさっきから誰かが呼んでたような――

 二人が、振り向くと一人の赤い衣装の少女が立っていた。

 

「おっ、(ヤン)老師んとこの嬢ちゃん!」

 

豪杏(ハオジン)……」

 

「くっ! ようやく気付いたカ……」

 

 眉間の皺をぴくぴくと動かしながら。

 名を呼ばれた少女は、美雨の前に歩み寄る。

 

 彼女の名は呉 豪杏(ウー=ハオジン)と言う。

 美雨と同じく『蒼海幇』の精鋭部隊・『堕龍(デュオロン)』に属する10代メンバーの一人だ。

 

 その容姿は、実に男性的であった。

 燃える様な赤い頭髪をワイルドオールバックに決めており、顔付きは端正ながらも、小麦色に焼けた表情は固く引き締まっている。

 長袖のYシャツの上に赤いトップスのセット、丈長のスポーティチノパンといった服装で、志伸あきらよりも力強さに溢れた風貌だ。

 だが、この場に居る全員が、彼女を『少女』と見抜けたのは、確かな魔力反応を感じ取れたからだ――――

 

 豪杏(ハオジン)は初対面であろう、いろはと鶴乃には一切目をくれず、ただ美雨のみを睨み据えている。

 

「フン、新人研修なのに、責任者不在とは……『女帝様』が聞いて呆れるな」

 

「アーうるさい。今オマエと喧嘩する暇ないからとっとと失せナ」

 

 並び立つと正に正反対の二人。

 紅と蒼、炎と氷、褐色と色白、熱血と冷徹――二人の間に深い因縁がありそうなのは、言うまでもない。

 が、対抗心バチバチの豪杏に比べて、美雨はなんとまあ素っ気ない態度。絡まれるのは慣れっこな様子である。

 しっし、と蠅を追い払う仕草に、豪杏は拳をワナワナと震わせる。

 

「っ……! それで、常盤ななかはどこにいル!?」

 

「推し活」

 

 

『キャ~~~☆☆ 松田優次郎様ぁ~~~~☆☆☆』

 

 瞬間――――

 美雨の真後ろを、桃色の法被集団が通り過ぎる!!

 その先頭には、夏目かこと……

 

 

「なんか赤いのもいたようナ……?」

 

「まあ、そういう訳で。ストレス発散だから、気にするナ」

 

 豪杏はわざとらしく溜息。

 

「ハア~、全く、オマエ程の者がいながら、チームを碌に統制できていないとは……」

 

「はいはい、分かったから、さっさと仕事に戻レ」

 

「こら! 話を聞ケ!! ってか押すナ!?」

 

 

 

 

 

「えーっと、あの人は……」

 

「今回の祭りで警備を務めてくれてる赤竜隊の豪杏だ。美雨とは見ての通り、ライバルって訳だ」

 

「赤竜隊って?」

 

 いろはと鶴乃の質問に、おけらは答える。

 

 神浜市内の各町に配備された治安維持部隊は、1チームにつき、魔法少女が1~4名程である。

 (具体的に言えば、神浜町・1、慶治町・3、立政町・4、明京町・4の割合だ)

 総数は僅か12人。

 深刻な人材不足である。 

 これで約320万人もの市民の命を四六時中魔女や、魔法少女の犯罪者から守っていくのは無理な話だ。

 

 よって、神浜市政は、一人一人の練度が高く、あらゆる意味で“経験豊富”な魔法少女が集う『蒼海グループ』に、治安維持部の業務を一部委任していた。

 その要請を受けて結成された市内警備隊の一つが、豪杏(ハオジン)を筆頭とする10代の手練れ5名で結成された『赤竜隊』であった。

 彼女達は主に、明京町の警備を担当している。

 

 赤竜隊は結成されてから、チーム・アメノハバキリとは常に切磋琢磨した間柄だった。

 何せ、『全く同じ権限を持つ』魔法少女チームが町内に二つも存在しているのだ。張り合わない方が不思議である。

 (ウー) 豪杏(ハオジン)は別に常盤ななかと親密では無かったが、人々の生命を背負っているという魔法少女の誇りと、魔女や犯罪者に対する闘志が、二人の間に橋を架けていた。

 実際、両チームはお互いに牽制し、時に皮肉や小言を言い合いながらも、魔女の襲撃や魔法少女の犯罪事件が発生すると、功を競って譲らず、その結果、おびただしい戦果をあげてきたのである。

 

 明京町がつい先日、犯罪率0%を達成できた理由の一つが、“それ”であった。

 

「要するに、チームアメノハバキリのライバルチームって訳だな」

 

「「へえ……」」

 

 二人が感心していると、美雨に押し返された豪杏がこちらに歩み寄ってくる。

 

「全く、美雨とは話にならン……! おい、そこの二人!」

 

「「は、はい!?」」

 

 まさかのお声がかかり、いろはと鶴乃は同時に姿勢を正す。

 

「迷子探しを手伝ってくれないカ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「実は……我が隊の新人、伯 梓美(ボ=ズーメイ)の行方が分からなくなってしまったのダ……。少し前まで、設営を手伝っていた筈なのに……」

 

 実を言うと、この豪杏。

 美雨に探すのを手伝って欲しかったみたい。

 しかし、本人を前にして、つい、対抗心の方が燃えてしまったのだ。

 

「うわー、面倒くさい性格……」

 

「言うナ」

 

「なのに統制できてないって、美雨さんの事言えないんじゃ……?」

 

「言うナって……」

 

 呆れる鶴乃と、苦笑気味ないろはのツッコミ。

 先ほどの威勢はどこへやら、豪杏はガックシと項垂れる。

 

「でも、どこにいったんだろうねー?」

 

「おバカで喧嘩早い奴だからな……どこかで厄介事を起こしてなきゃいいガ……」

 

 鶴乃と豪杏がきょろきょろを辺りを見回した瞬間――

 

 

「そのおバカで喧嘩早いってのは、こいつか?」

 

 

 ――挑発的な、力強い声が聞こえてきた!

 全員がおっと目を向けると、黒髪ロングの、如何にも男勝りな小柄の女性を中心に据えた、6名の女性集団がずかずかと近づいてきていた。

 よっぽど、気合を入れているのだろう。全員が既に魔法少女衣装である。

 

「桃花」

 

「はい、親分」

 

 リーダー格の女性の指示に、桃花と呼ばれた黒髪黒衣の女性が答える。

 ずるずると引きずっていたそれを、豪杏達の前に投げ捨てた!

 

「なっ!? 梓美(ズーメイ)!?」

 

「きゅ~~……」

 

 それを見て豪杏はびっくり仰天!!

 両目をぐるぐるに回して気を失っている妹弟子だった!

 

「うちらに喧嘩を売るとはいい度胸してるな……! だが、ガキがオイタしたらいけないぜ……!」

 

「貴様……!」

 

 倒れた梓美を抱きかかえながら、豪杏はキッと睨みつける。

 だが、リーダー格の女性は、フン、と鼻を鳴らして敵意を一蹴すると、おけらの方へと歩みより、

 

「久しぶりだなっ!! 八坂のっ!!」

 

「なっ……、オメーはッ!!?」

 

 矛先を向けられたおけらが、リーダー格の女性と向き合った途端――――

 目を剥き出しにして、驚いた!!

 

 

 

 

 

「……誰だっけ???」

 

 

 

「「「「「だああああああああああ~~~~~!!!????」」」」」

 

 ――――が、しかし。

 予想外の言葉が返ってきて、その場にいる全員がズッコケた!!

 

 

「もーお頭ー。去年会ったでしょ??」

 

「そうだっけ? いやーすまねえすまねえ。八坂のおけらさん、毎日ハードスケジュールでてんてこまいだからよぉ。どうでもいいモンは頭からスッパリ抜けちまうんだわ!!」

 

 一早く立ち上がったあきらがツッコムと、悪びれる様子も無く、がっはっはー! 豪快に笑い飛ばすおけら。

 その言葉に、目の前で倒れた黒髪の女性がバッと立ち上がる!!

 

「オマエ……忘れたとは言わせねーっつの。この二木市の竜親分の名を」

 

 そこでおけらの頭上の電球がピカッと光った!

 手をポンッと叩いて、その名を口にする。

 

「あ、そーだそーだ。思い出したぜ。確か、おお……オオ……大………………ば?」

 

 黒髪の女性が薄い胸を張り、うんうんと頷く。

 

 

 

 

 

 

 

 

「大バカ」

 

 

 バキャッ!!

 ズッコケた拍子に黒髪の女性の頭がベンチを破壊!

 

「誰がバカだッ!? 誰がッ!?」

 

 でっかいタンコブを作った女性が、怒鳴り返すも、

 

「あれ、違ったっけ? 大ゴキブリだっけ?」

 

 おけらには こうかがないようだ……

 

「てンめぇ……今すぐウェルダンに焼いてやろうかぁ……!!」

 

 黒髪の女性の全身がメラメラと燃え上がった。

 そこで、鶴乃が駆け寄ってくる。

 

「樹里姉ー……、出会い頭にナニ恥ずかしい真似してんのさー」

 

 どうどうと黒髪の女性の肩を叩きつつ、鶴乃は宥めるようにそう言った。

 彼女の事はよく知っている。

 昔は参京区に住んでいた幼馴染で有り、今は二木市の竜ケ崎町で商業を護っているという、大庭樹里だ。

 まさかこんなところで再開できるとは思わなかったが、20代後半の癖にあんまり子供臭さが抜けて無い様子に呆れた。

 

「おー、お鶴じゃねーか!」

 

 樹里も鶴乃を見た途端、熱が引いた。顔がパアッと輝く。

 

「うん、お鶴だけど。樹里姉、あんたにはとりあえず一言言ってやりたい事が……」

 

「ニヒッ、感動の再会といきてーのは分かるが、それは後だっ!」

 

「はっ??」

 

 いや、あんな手紙は無いでしょって文句言いたかったんですけど!?

 そんな鶴乃の苛立ちなど露知らず、樹里は彼女を押しのけて、再びおけらの眼前まで歩み寄る。

 

「あんだ? ゴキ?」

 

「ゴキブリ略すなっ!! ……八坂おけら、アタシ、大庭樹里はオマエらに」

 

 

 

 

 ――――“勝負”を申し込む!!

 

 

 

 

 

 

 





※オリジナルキャラクターイメージ(カスタムキャストで作成)

・呉 豪杏(ウー=ハオジン)

【挿絵表示】


とりあえず蒼海幇さんの主だったメンバーは登場させることはできたかと。

次回投稿はしばらく間を開けます。

代わりに我らが部長の魔法少女ストーリーを書こうと考えています。
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