V・Racing   作:海苔 green helmet

17 / 41
 あの事はもう忘れてしまいたい...
 しかし、その光景は脳裏に焼き付いていてなかなか忘れる事が出来ない。
 雨の日にその花は咲いた、赤くみずみずしく、そして......もう見たくない


 キャラクター

 花切 矢一(ハナキリ ヤイチ)
 ソバカス面
 今回の主人公

 アキラ
 ワインレッドのバイクに乗った少女
 赤い物が好き
 
 明里(アカリ)
 アキラの妹

 戸頭 戮(トガシラ リク)
 ジト目で顔色が悪く、しかも今回は目の下に隈という病み上がり状態で登場する。
 あまりの脱力ぶりで回りからアホ毛に気力を吸われているのではと思われている。




WHEN THE SUN GOES DOWN
V・Racing♯16~WHEN THE SUN GOES DOWN~


     V・Racing♯16「XBOW」

 

 自分の過去を語るというのはなかなか気が進まない、しかもそれが自分にとっての黒歴史的な物なら当然だ。

 

 でもこれを語らないことには話が進まない...

 

 時は今から二年前に遡る。

 その頃僕は中学二年生で特に自分の未来がどうなろうと興味は無く、今自分が何をしているか、そして自分が過去に何をしたかに拘っていた。

 

 赤いロングマフラーを身につけヘルメット無しで夜の山道を違法な速度で突っ走る。

 その時の心境といえば最高の一言につきる。

 

 モーターを手巻きしたエレキバイクは見た目からは想像出来ない速さを見せつける。

 

 無免許運転、スピード違反、これらの問題は頭に入っていない...

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 山を降りてくると駐車場で仲間が僕を待っていた。

 

 マスク「いやーカシラやっぱ速ぇっすわ」

 

 このマスクを着けた男は桑田という、面倒だからマスクとあだ名を付けて呼ばれている(僕が付けた訳じゃない)

 

 メガネ「タイム、コンマ三秒縮まりました」

 

 出たなクールガイメガネ、こいつはストップウォッチ係、ナゼか何でもカンでも時間を計らないと気がすまないらしい。

 本名は畑山というのだが...面倒なのでメガネと呼んでいる。

 

 上から一台下りて来る。

 

 アフロ「カシラぁ、タイヤパンクしちまいましたぁ」

 

 おいアフロ、ヘルメットからモジャモジャ出てるぞ、こいつはアフロ...本名を絶対に明かそうとしない。

 本名明かさない野郎と呼ぶのは面倒なのでアフロと呼んでいる。

 

 クロスボウ「またかぁお前?

 何本目だよ、さっさと付け変えて帰るぞ」

 

 この口の周りをマフラーで隠し、ゴーグルを額まで持ち上げ、髪をオールバックでキメたクソガキこそ俺様。

 

 そう、この頃は俺様口調。

 

 クロスボウ「もうちょっと走って来るから先に[テック]行っててくれ」

 

 三人は威勢よく返事をし、先に行きつけのビリヤード場に向かった。

 

 

 

 

 俺様のバイク見た目はただのホンダのカブだ。

 当然だ、昔祖父が使ってたとかいうカブを改造してエンジンの代わりにモーターを載っけて走らせているのだから。

 

 このモーターは俺様が直接手を入れた。

 モーターのコイルを手巻きしてパワーを稼いでいる。

 

 クロスボウ(前に誰かいるぜ、面倒な事になるのは御免だ、さっさと追い越してしまおう)

 

 ゴウゴウと風が耳を引っ掻いていく、スピードが上がるのと同時に心臓の鼓動が高鳴るのを感じる。

 

 赤く流麗なバイクが目の前に姿を現す。

 

 クロスボウ(お先に失礼しやすよ)

 

 ???(なんだい?このちっこいのは...)

 

 赤いのと俺様のがすれ違う。

 

 クロスボウ(へぇカフェレーサータイプか、嫌いじゃないよ

 てかやけに細いのが乗ってんな)

 

 ???(バカみたいに伸びるスクーターだね

 !?...そういう事か、ナンバーの無い古いスクーター、そして泥よけにクロスボウのステッカー

 アンタ、[風切りのクロスボウ]だね!)

 

 クロスボウ(追いかけて来やがる...へっ、やるつもりかよ...

 じゃあチギられねぇようにしっかり付いて来いよ‼)

 

 ハンドルに付いてる(無理やり付けた)レバーを前へ押し込む、このレバーはバッテリーの電圧の大きさを変える物だ。

 

 首に巻いてあるマフラーがバタバタとやかましい音を立てる。

 

 体を大きく倒し、カーブを曲がる。

 

 クロスボウ(げえっ‼アウトからぁ!?)

 

 赤いバイクはアウトから仕掛ける。

 立ち上がり勝負、二台並ぶ、スロットル全開。

 

 クロスボウ「だあっ‼クソ‼」

 

 赤いバイクが前に出る、どうやらパワーではあっちの方が上回っているようだ。

 

 クロスボウ(よく考えろここからは先は低速コーナーが連続するセクションだ

 いくらパワーが有っても全開に出来なければ意味が無い、次の突っ込みで勝負にでる!)

 

 キツイRのヘアピンが迫る、目と鼻の先で赤いランプが光る。

 俺様はここでアウト側にボディを擦り付ける勢いでアウトインアウトの体制を作る。

 今ここで敢えてブレーキは使わない。

 このまま突っ込む。

 

 アキラ(!?自殺行為でしょ、死にたいの?)

 

 赤いバイクが視界から消える、目を瞑ってタイミングを測る。

 ...まだだ....まだためろ.........今だ‼

 

 リアのブレーキを作動させるレバーを引く、後輪が滑り出す。

 

 速度が落ち、タイヤが熱を帯びる。

 

 クロスボウ(ここからがこのバイクの本領さ、そこで指加えて見てな!)

 

 スロットルを全開にする、熱を帯びたタイヤは地面に食い付き車体を前に押し出そうする。

 しかし...

 

 クロスボウ(うわっ、ちょっ!)

 

 着地の姿勢が悪かったようだ、加速時に浮き上がった前輪が地面につくとバランスが急に崩れる。

 

 クロスボウ(あ、これ転けたな....)

 

 目の前の景色が回転し始める、ヘルメット着けとけば良かったかも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 突然肩に何かが当たる。

 

 トモユキ「いってぇ~、なにしやがんだこのクソアマが‼」

 

 どうやらミドリ先輩がトモユキ先輩を投げ飛ばしたようだ。

 そして僕も昔話の世界から戻ってきたようだ。

 

 ミドリ「はっはー!ザマァみろ!

 柔道の授業で誉めらた背負い投げキメてやったぜ」

 

 高らかすぎる笑いが耳に刺さる、マジでやめろそれ、シバくz...はいはい~戻れ戻れぇ

 ヤンキーから地味男君へ戻れぇ~

 

 ヤイチ「肩痛ぇ」

 

 ミドリ・トモユキ「サロンパス貼って寝ろスマタポポヒ‼」

 

 三連休開け、影幽霊戦から三日経った...まだあの時の感覚が抜けない気がする。

 なんだったのだろう、あの興奮は、まるで昔に戻ったみたいだった...

 これが...これこそが僕がモータースポーツから手を引けない理由なのかもしれない.....本当に情けない。

 

 考えに耽っていると部室の引戸が開いた。

 

 一瞬ゾンビが入って来たのかと思った。

 が、よく見るとリクさんのようだ。

 大分やつれている。

 

 ミドリ「り、りっちゃん...大丈夫?」

 

 リク「・・・・・絶好調ッスよぉ」

 

 リクさんは目の下に隈が出来ていた、寝不足なのだろうか?でも本人は問題無いと言っている。

 いやいや、問題しかないでしょ。

 

 トモユキ「本当に大丈夫か?フレイルで殴ったら死にそうなくらい弱ってるぞ」

 

 それは誰でも死ぬ。

 

 リク「今俺は超っっっっ清々しいンスよマジで

 肩の荷が一気にドサッて降りた感じで

 サイコウっスよぉ~」

 

 ちょっと気抜けすぎじゃないリクさん?

 

 ミドリ「ねえねえクソユキ、りっちゃん絶対アホ毛に生命力吸いとられてるよ」

 

 トモユキ「それ人魚姫(アリエル)ね」

 

 んなアホな。

 

 その時不意に窓から風が入り込む。

 リクさんの前髪が風で上にめくれる、髪が被さって見えなかった額に僕たち三人の目は釘付けになった。

 リクさんの額には何度も叩かれたような傷があった、よくみると血がまだ付いている。

 

 ミドリ「...全然大丈夫じゃないじゃん!

 どしたのそれぇ‼誰かに殴られた?

 こんな可愛い子を殴るとは何者だぁ‼

 ひょっとしてこの間一緒にいた女か?あいつか?よーしワタシがいまからそいつトコ行って言葉の暴力でボコボコにしてやる!」

 

 リクさんはちょっと驚いた様子で首を横に振りながらそれに答える。

 

 リク「えっ?あっ、これですか違いますヨーこれは誰かに殴られた訳ではなく...

 え~と、棚からフライパン取ろうとしたら鍋が落っこちて来て...へへっドジ踏んじゃいました(^∇^)

 あ、あと本当に泉田...この間一緒にいた奴は関係ないですよ安心してください」

 

 トモユキ「こ、これは問題だぞ...」

 

 リク「え、いやだからそんなに大したことないですって」

 

 トモユキ「いいや、おおありだ!

 可愛い?俺が付き合ってた頃そんなこと一言も言われなかったぞ‼」

 

 ミドリ「そりゃオマエが可愛いくないからだよ

 りっちゃんはなんとなくカワイイ要素が入ってる.....きっと立派な○の娘になるであろう(≧▽≦)/」

 

 ト・ヤ・リ「え"?」

 

 ミドリ「....何で皆ちょっと引いてるの?

 そういう趣味あってもいいでしょ?」

 

 トモユキ「いや、その、確かに人には...確かに人それぞれだけどぉ~、本人の前でそれは...」

 

 僕はもう一度リクさんの額に目をやる。

 

 ヤイチ(血か...)

 

 嫌な光景を思い出した、三日前に言われた事もだ。

 「お前は私の姉を殺した」...あの時のことは心の奥にしまっておこうと思ったが...

 やはり思い出したくないものに限ってよく覚えているようだ。

 もう何もかもから手を引く筈だった、でも...

 でもスピードは僕をそう易々と逃がしてはくれないようだ。

 スピードは麻薬みたいなものだとつくづく思う。

 例え自分が傷ついても、他人が傷ついても、速さに魅せられた奴は抜け出せない。

 その爽快感を知ったら、その疾走感を一度でも味わったら、もう戻る道はない。

 

 

 続ける

 




 今回の章はヤイッチが主人公です。

 え~と話題がない...
 今回ちょっと文字数少な目でしたね、次はもうちょい気合い入れて書きます。

 今回の章はA・Bパート構成でいこうと思っています。
 Aパートで過去編をやって、Bパートで現在に戻るみたいな。

 WHEN THE SUN GOES DOWN編終わったら次はりっちゃんの空白の三日間の話ですかね
 σ(´・ε・`*)
 え~、まぁちょくちょく番外編も挟みますのでこれからもよろしくお願いします。(*゚∀゚)ゞ


 余談
 スマタポポヒについて
 スマタポポヒって逆から読むとヒポポタマスになるんですよ、ヒポポタマスって英語でカバなんですけど...
 それを逆から言ってるってことは遠回しにバカって言っているんですよねあの二人。
 はい、それだけです、落ちなんて無いです。

 チャン チャン♪┐(´∀`)┌
 
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。