馬力 280ps
重量 1320kg
駆動方式 FR
カラー 赤と灰色のツートン
足回りとエンジンパワーのバランスを重視した一台、ボディが重量級なためブレーキの性能を上げている。
V・Racing♯18「鳴交喙(ナキイスカ)」
アキラ(あれだ!確かにあのバイクだ!)
町の商店街の端っこの寂れたビリヤード場にそのバイクはとめてあった。
水曜日の真っ昼間だってのに四台も止めてある。
黄色のペンキの剥げた木製の壁からこの店がかなり前からここで営業している事が分かる。
青く錆びた取っ手に手をかける、最初扉はギシギシと音をたてて開いたが、すぐに頭上にあったベルが可愛らしい音色を奏でた。
店内は案外暗い、カーテンを締め切っている。
入ってすぐ右にあるバーカウンターに目がいった、白髪の無愛想な店主がこちらを見つめ返す。
店主「200円30分だ...ガキには酒はおすすめできねぇな」
料金を店主に渡す、私は店を見渡しながらカウンター席に座った。
アキラ「コーラフロート、さくらんぼ付きで」
ものの10秒もしないうちに品は出てきた。
店の端の方の三人程の少年達が虫の様に台に群がっていた。
瓶に入った飲み物をラッパでも吹くかのように飲む者もいれば、ゲームに没頭する者もいる。
突然隣の席に男が座った。
クロスボウ「忠告を無視して来たのか、それともただ単に遊びに来たのか...
どっちだか知らねぇがとっとと出ていきな、ここは俺の島だ」
アキラ「店の所有権でも持ってるの?
それとアタシもうリアルで走る気無いんだわ...
アンタの忠告もそうだけど、コレにハマったってのもあるかもね」
アタシは鞄から赤いVRダイバーを引っ張り出し、少し笑顔で見せびらかす。
カウンターに[アタシの分]のVRダイバーを置くと、二つ目のVRダイバーを取り出した。
アキラ「ほらっ!これあげるよ」
クロスボウは鳩が豆鉄砲を喰らったような顔になる。
クロスボウ「は?ドユコト?」
アキラ「これならV・Racingってゲームで走りへの...欲求?を消費できるでしょ
受け取らなくてもいいからアタシと一回だけ勝負して、アンタが勝てばアタシはここには一生近づかない、それプラスアンタら四人分の代金も支払う
但しアタシが勝てばアンタは大人しくこれを受けとる、オーケー?」
クロスボウは少し面食らった様子だった。
クロスボウ「ちょっと考えさせろ
(おいおい、金無しチューボーにはびっくりするくらいビッグなチャンスじゃんよ、勝てば良いんだよなV・Racingだっけか?どんなゲームだか知らんがやってみる価値はありそうだぜ)
わかった、やろう」
アキラ「そう来なくちゃ♪
最新モデルを買ってきた意味がなくなるしね」
クロスボウ「へ?(よく見るとこのVRダイバー、Version3って書いてある)」
アキラ「それじゃ始めよっか♪」
クロスボウ「あぁ...(なんだかわかんねぇがやってみっか...軽く捻ってやるぜ)」
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クロスボウ「軽く捻られた.....」
アキラ「え?」
クロスボウ「いや、なんでもない、ボソボソ...」
アキラ(まあそりゃそうなるよね、ガチャで最初に当てたどノーマルハチロクなんて速いわけないからね~
アタシのナキイスカ(R32GTS)にかかればこんなもんよ)
ふとよこを見るとクロスボウは爪をかじりながら頭をかきむしっていた。
クロスボウ「コーナー侵入時の蛇角が広すぎる...
ギアチェンのタイミングも改善が必要か.....」
何かボソボソと呟いている。
アキラ「え、え~とアタシもうそろそろ帰ろうかな?」
クロスボウ「..ちょっと待て」
アキラ「ん?何か?」
クロスボウ「二日、いや三日後にまたここに来てくれ、リベンジしたい!」
アキラ「う、うんわかったまた来るよ」
クロスボウ「そうだ...」
クロスボウは手を差し出した。
クロスボウ「花切 矢一だお前は?」
少々戸惑いながらもアタシはその手を握る。
アキラ「朝日 明(アサヒ アキラ)
男みたいな名前なのはわかってるから言わなくていい」
クロスボウ..じゃなくて花切は少しクスっと笑う。
ヤイチ「いい名前じゃんよ、普通にカッケェ」
アタシは少し頬が熱くなるのを感じた。
いつの間にか日が落ち、夜になっていた。
家に帰ると妹が猛スピードでアタシに突進してくる。
アカリ「おかえりぃぃい♪」
アキラ「ゴハッ...み、みぞおちにヒットぉ~」
少し見下ろすと茶髪の頭部が見えた。
小6の妹明里だ、やんちゃでこの身長にしてはやけにタックルが上手い。
将来(格闘技の選手としては)有望な妹はアタシをリビングまで引っ張っていく。
どうやら夕飯はもうできていたようだ。
アカリ「お姉ちゃんなんかいいことあったの?」
夕飯を食べ終わるころ、妹はアタシに質問をした。
アキラ「ん?何で?」
アカリ「だって笑ってる顔がいつもより綺麗なんだもん」
アキラ「まあ、確かに..良いことは..あった気がする
あっそうだ!それより[太陽]完成させなきゃ」
アタシは部屋に戻ってVRダイバーを机の上に出した。
赤いVRダイバーにはVersion2という文字が掘られている。
三日後、あのビリヤード場に行くとヤイチは三日前と同じカウンター席に座ってアタシを待っていた。
ヤイチ「よお、早速始めっか」
アタシは無言で頷きVRダイバーを頭に着けた。
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場所は碓氷峠。
バトルは先行後追い式でやることになった、アタシが後ろから追う。
スタートもハンディキャップ方式でヤイチの好きなタイミングでスタートする。
車を一列に並べ、じっと待つ。
車を並べてから三十秒後、突然ハチロクのエンジンが雄叫びを上げる。
アタシもナキイスカのアクセルを床まで踏みつける。
紅(アキラ)(さ~てとどれだけ速くなったのかな?
じっくりと見物させてもらうよ)
ハチロクは右へ左へとカーブをクリアしていく、ストレートではR32に分があるようで差が詰まる。
紅(意外と速い、軽さって恐ろしいね...
それにしてもあの走り、振り回しているようでリアがなかなか破綻しない...
四輪とも使って走ってる感じ...
FRでしかもその設計の古い足でそんな風に操ったら絶対滑る!...)
右へ大きく回るヘアピン、ハチロクのブレーキランプがボウッと光る。
意外とノロくコーナーに進入するハチロク、しかし車体の向きが変わった途端にスピードが上がる。
紅(!?なに?今の...)
ハチロクに追い付こうとブレーキを残して突っ込むがもうハチロクとの距離はかなり離れていた。
紅(離された!完全に予測出来てなかった...
こっちも本腰入れてかないとあっという間にチギられる...)
その排気音から分かる通りR32には大型のタービンが取り付けられている。
エンジンもボルト一本に至るまで細かい調整がなされている、その走りはボディの赤い色も相まって勇ましさを醸し出している。
高速コーナーではやはりパワーの劣るハチロクではペースを上げることは難しい。
R32のヘッドライトがハチロクのネズミ色のボディを照らす。
ヘアピンへのブレーキング勝負を仕掛ける紅、インからギリギリのレイトブレーキングで攻める。
ハチロクはまたもやあのブレーキングでコーナーに進入する。
紅(よっしゃ!インは貰った!)
しかしハチロクがアウトからR32を押さえる様にして曲がってくる。
またハチロクが前に出てしまう。
紅(・・・なんとなく解った気がする..
何でこのハチロクがあんなスピードで曲がれるのかが
多分...アイツ、アクセル踏みっぱなしで曲がってる!)
紅(普通こういうコーナーではアンダーやオーバーを出さない為に若干アクセルを抜けぎみにしては走る
そのハチロクだからこそ出来た事なのかもしれない、非力なNAだからこそそれが出来たんだ
NAのエンジンはターボエンジンに比べればフィーリングが穏やかでアクセルを開けやすい、それに非力だからアクセルを全開にしてもパワーオーバーで滑ることもない
それならあの激しさのない突っ込みをしていたのも説明がつく
突発的な荷重移動を起こして、車体を横に向けて走らせるのではなく
しっかり車速を落としてやって、アクセルを全開で開けても乱れないようにしてんだ!)
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レイクサイドサーキット
カスミ(いつの間にか後ろに一台いる、V6の音だ..)
オーガ「.....」
カスミ(黒のR35...誰だか知らないが、鬱憤晴らしにはもってこいの相手だな...
チギられないように付いてこいよ)
ペースを上げるS13、2JZをスワップされたその車体はまるでカタパルトで弾き出されたかのようなかそくを見せる。
しかし、相手は日本が世界に誇る最速の4WDカー。
重量級ボディとアテーサET-Sを生かした瞬発力は海外のスーパーカーをも容易く圧倒する。
このレイクサイドサーキットは湖を一周するレイアウトになっている。
緩く右に回り込むカーブ、二台の化け物マシンは時速160kmを越えるスピードでそのカーブに進入する。
若干S13が前にでる。
カスミ(大したことないなその程度じゃサンゴーに乗っけられてるだけだよ)
オーガ(ほぅ、かりそめの[太陽]でも結構やるもんだな、じゃあそろそろ本気出そうかな
STEEL BLADEナンバー3の実力見せてやらぁ!)
おそらく続きがあるでしょう(天気予報風に)。
おまけ
いやー、最近りっちゃんの出番が無い!
アイツ一応主人公なんだけどなぁ~
まいっか( ̄^ ̄)
リク「よかねぇよ」
安心してください、用意してますよ(りっちゃんメインの話)
リク「えっ!?マジですか?」
そうとう後の話になってきそうだけどね、不定期だから。
劇中では夏なのに今冬っていうね、バリバリの11月だわ。
さ~てと、この太陽編の終わり方ちょっと苦くなりそうだな。
りっちゃんメインの方はギャグでも入れまくってコミカルにしようかな?
おわり