V・Racing   作:海苔 green helmet

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 登場人物

 リク:悪役みたいな主人公。親しい人物とは基本的にタメ口で話す(物凄く口が悪い)。
 身長が低い、160cmちょうど....と本人は言っている。
 実は結構神経質で精神的な障害を抱えている。

 井根:怪しすぎる探偵。
 いつもお面姿でボイスチェンジャーで声を変えているため性別が分からない。
 実は‐‐‐‐‐‐‐‐ー。

 リョージ先生(華村 竜仕):物真似が下手(得意技ライントレース エェ...)。
 自分がこうしたいと思ったことは必ず成功させるという信念をもっている。


V・Racing♯29

 その日の夢もまた記憶の一部だった。

 

 夕日に照らされる中、汗だくの指でインターホンを押した。

 暫く経つが何の反応も無い。

 諦めてその場から離れないのはここに居る確信が有ったからだ。

 

 ドアの向こう側から足音が聞こえてく来た。

 扉が開く....

 

 この瞬間俺は変な気分になった。

 嫌な感じはしなかった、寧ろその光景をずっと見つめていたいとまで思ったかもしれない。

 

 この時中から出てきた長髪で眼鏡を掛けた女の子が何を言ったかは覚えていない、会話もした気がするが自分が何を言ったか思い出せない。

 緊張してたかもしれない、カタコトだったかもしれない。

 

 また別の記憶。

 さっきの眼鏡の娘が校内販売で並んでいるのだが、どうやら売り切れてしまったらしい、何も持たずにその場から去ろうとしている。

 

 自分が何でそんなことをしたのかわからない、自分のお金で買ったサンドイッチその娘にあげた。

 その直後は最高にダサかった、サンドイッチをその娘に渡した瞬間腹がグゥ~っと鳴ってしまったのだ。

 

 またまた別の記憶。

 眼鏡の娘と帰り道の土手沿いを歩いている。

 お互い何も喋らずにただひたすら歩いている。

 

 

 豆犬「惚れたのか?」

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 上から除いている自分そっくりな顔を殴ろうとしたが、拳が顔面をすり抜けてしまった。

 

 豆犬「流石に幻覚を殴るのは無理だろ」

 

 目脂のせいで瞼が開きにくい。

 

 リク「..め...ど....い..」

 豆犬「なんて?」

 

 寝起きで声が出しにくいが、無理やり声をはる。

 

 リク「面倒くさい...名前の表記カタカナに変えろ」

 豆犬「は?」

 リク「お前俺のアバターネームと名前が同じなだけで性格があんま似てないじゃん。

 それに読んでる方も困惑するかもだからカタカナに表記変えろ」

 マメイヌ「こう?」

 リク「ソレ(  ̄^ ̄)σ」

 

 タオルケットを押し上げながら体を起こす。

 ベッドから出て思い切りのびをする、ポキポキとどこかの関節が鳴っているのが解る。

 

 リク「さてと朝飯でも喰うか...」

 マメイヌ「待てや」

 

 マメイヌはうんざりした顔でこちらを見る。

 

 マメイヌ「さっきの質問に答えてないだろ」

 リク「答える必要も理由も義理もないからその質問には答えないよ」

 マメイヌ「何故そんなに俺の事を嫌うんだ?」

 リク「自分の事も好きになれないヤツに自分の分身を好きになれる訳ないでしょ」

 

 下の階に降りると井根が台所でベーコンエッグを作っていた。

 油の跳ねる音と香ばしい香りが食欲をそそる。

 

 リク「出来上がったらそこ空けてくれよ」

 井根「朝の挨拶にしては随分偉そうだな」

 リク「居候にしては結構な口をたたくじゃないか」

 

 ベーコンエッグが皿に盛り付けられる。

 

 井根「金が入って来ないのだから仕方ないだろう、それとこれ君の分だよ」

 リク「あっ、そうなの?なんか...ごめん」

 井根「いいよ別に気にしてない。

 さあ、冷めない内に早く食べちゃってくれ」

 リク「んじゃぁイタダキマース」

 

 目玉焼きの黄身の部分を箸で破ってそこに醤油を垂らし、醤油と黄身を混ぜ、白身にそれをつけてご飯と一緒に口の中へ入れる。

 

 井根「どう?」

 リク「え?自白剤かなんか入ってるの?」

 井根「違うよ、味だよ味!結構焼き加減には自信があるんだよぉ」

 リク「う~んいつも食ってるのとあんま違わないかな?」

 井根「...ボク的にその言葉は大分ショックだよ....」

 リク「これも全部醤油ってヤツの仕業なんだ」

 井根「なんだって!それは本当かい?」

 リク「...やっぱ読んでる人が分からないネタはやめようか......」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 同じ頃、華村 竜仕(ハナムラ リュウジ)という名の男がコーヒーを飲みながらパソコンでネットニュースに目を通していた。

 

 華村はコーヒーを飲みほし、パソコンの電源を落とし眼鏡のレンズを拭く。

 

 華村(今日は塾は休みだし、やるなら今日しかないか

 昨日のあの話を聞いて以来ずっとこの事ばかり考えてしまうな。)

 

 華村は自分の部屋を見渡す。

 金属製の棚はよく整頓され、着替えや鞄等が置いてある。

 その棚の隣には白いショーケースにはレーシングカーの写真や車のプラモデルが置いてある。

 

 華村はおもむろにプラモデルを手に取る、濃い艶消しのグリーンで塗られたリトラクタブルの車だ。

 

 華村「ふぅ..ダメだ(いくつに成ってもこの感情はどうにもならないな)

 厨ニ病みたいな感じだけどMAD DESIRE(狂った欲望)を背負った人としてこの性格には逆らえないよな。

 本当に困るんだよな~この[一度こうしたいと思ったら止まらない性格]、ホントにどうにかならないかな」

 

 プラモデルをショーケースに戻し、パソコンの電源を入れる。

 

 華村「決めた、先生は[幻]を探し出して豆犬のSAの本気を見る。

 コウジさんは言っていた、[あのSAは対幻用に作ったマシンだ]と。

 つまりあのSAは[幻]相手じゃなきゃその本領を発揮しない!...四天王をあれほど苦しめたあの伝説のマシンに対抗できるマシンが有ったのは驚いたが、先生はまだあのSAの本気を見た訳じゃないからね。

 是非とも先生のFC改造の参考したい....

 そして[幻]だが、もう見つけた。」

 

 パソコンの画面にシルバーのRX-8が映し出される。

 カーボン製のGTウィングにカナードそしてリアディフューザー、内装を取り外し軽量化したボディにロールケージが入る。

 13Bロータリーエンジンは一万まで回り、NAでありながら300馬力を叩き出す。

 

 華村「これを手に入れて..エイトのテクニックを完全にコピーした奴を相手取って戦う、早く自分のテクを試してみたくてしょうがないよ」

 

 続く

 


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