V・Racing   作:海苔 green helmet

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V・Racing番外編[SPEED LOVER&HAPPY DEAD]

        SPEED LOVER

 

 私はずっと前から自分の人生を、私自身即ち泉田 心音の人生を嫌っていた。

 何故自分がこんな仕打ちを受けるのか、何故自分にばかり不幸が降りかかるのか分からない....

 

 あの不快な奴等にもこの気持ちをわからせてやりたかったものだ。

 

 憎い、鬱陶しい、消してしまいたい、消えてしまいたい。

 こんな感情を抱いても、抱くだけで何も行動出来ない。いや、行動していない。

 

 一人散らかった自室に閉じ籠り、何も考えない。

 前を向いてしまったら未来が待っている。絶対に先の事など考えたくない。何故ならそこに光が見えないからだ。真っ暗な闇、照らす手段は無い。

 

 まるで行き場の無い怒り、悲しみという名の弾丸を持って、だだっ広い砂漠のど真ん中につっ立って居るような。

 憂さ晴らしに発砲することも出来ずただ立っているだけだ。

 

 砂漠にも安らぐ場所くらいは存在している。オアシスとまでは言いわない、だけど渇きを癒すには最適だ。

 

 VRダイバーを使って渇いた心に水を撒くのだ。

 

 そこでは私はスターになれた。鮮やかに煌めく星に。

 ネココネルは私の憧れであり、理想であり、私自身である。

 S2000のコックピットに座っている時、私はとても満たされた気分になっている。

 

 アクセルを踏み込めば恍惚状態に陥る。そう、私はスピードに恋をしている。

 きっとあの人への恋心など届くはずもない、だから私はスピードに恋をすることにしたのだ。

 ゲーム内で知り合ったあの人にも恋をしているがそれは私より速いからだ。そしてこのゲームの世界で一番速いと信じている。

 

 私はまた眼鏡を外してVRダイバーを手に持つ、この深い沼に浸かることにした.......

 

 [ ピンポーン!]

 

 家の呼び鈴の音で空想から引き剥がされる。

 

 [ ピンポーン!]

 

 母は出掛けているようだ....しんどい。ただでさ他人と会話をするのが嫌なのに、この格好で、この猫の肉球柄のパジャマ姿で出迎えるなど....

 

 泉田「はぁあ"~....いま行きまーすっ」

 

 玄関に立ってドアを開けると外から声が聞こえてきた。その声はやけに聞き覚えがあった。

 

 リク「すみませーん、泉田 心音さんいらっしゃいますか?」

 

 この絶妙に気の抜けた、しかし何処かほんの僅かに暖かみのある声。

 

 小学生の頃...いや、ついこの間....

 そこに立っていたのは正にその人物であった。

 前話した時より少しばかり大人びているが、小学校の頃私を助けてくれたあの人だった。

 そしてその仕草や表情の作り方は毎晩のようにゲームで会っているあの人だった。

 

 私はそのショックのせいで受け答えは機械のようになり、相手が何を話しているのかが全く頭に入ってこなかった。

 そうこうしている内にその人物は帰っていってしまった。

 残されたPTAの書類を見る限りどうやら同じ学校に入っていたようだ。

 始めに入った学校でまた虐めをうけて転校してきたものの、学校に行く気になれず入学から二週間が経過しようとしていた。その矢先まさかこんな事実に気がつこうとは。

 

 心の奥、何処からか声が聞こえてくる。

 

 [彼と話してみれば?]

 

 正直ゾッとした。学校は私にとって地獄でしかない。

 

 [今度の学校には一度も行ったことがないでしょ]

 

 私はその声を無視して自室へ行く。

 床に置きっぱなしにしたVRダイバーを拾い上げそれを.....装着せず机に置く。

 

 度胸もなければやる気も無い。だが、欲がそこにはあったのだ。

 彼の事をまた見たい、彼とまた会ってみたい、出来ればちゃんと会話をしたい。

 そんな欲望がゆっくりと、しかし確実に私を動かした。

 

 部屋の様子を見渡して目当ての物を探す。

 10分かかったが脱ぎ捨てた服の山から通学用の鞄を発掘できた。

 鞄に教科書や筆箱等を詰め込む、とうとう準備が完了してしまう。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 足取りは若干重かった。だけど無視して歩いた。

 

 驚くことに彼とは同じクラスだった・・・。

 

 それどころかすぐ前の席が彼の席だったのだ!

 あとは話しかけるだけだったのだけど、緊張と臆病が足枷となって話しかけられない。

 とうとう放課後までストーカーをしていただけになってしまった。

 

 失望。私の頭の中は臆病な自分への罵倒と失望の言葉が飛び交っていた。

 

 もう帰ろうと思い廊下を歩いていると、彼、戸頭さんを見つける。

 戸頭さんは何か考え事しているようだった。

 今度こそ話しかけようと口を開きかけた直後、左後方から何か柔らかい物がかすめてく。

 

 ミドリ「あっごめん!ぶつかった!」

 

 一瞬何にぶつかったのかわからなかったが、その人の体型を見てピンときた。とにかくデカかった。

 最初に胸部に目が行った、次に全体的な曲線の美しいシルエット。そして顔。ファッション誌のモデル、それも表紙を飾っていても不思議ではない程の美しさだった。

 

 とにかくデカ..美しいその人は戸頭さんの背後に忍び寄る。

 戸頭さんが視線を感じたのか振り返るとと同時に死角に隠れ、回り込む。(この時私は何故か近くの柱の影に隠れてしまっていた)

 そして戸頭さんが前に向き直るといきなり鳩尾に軽いパンチをくり出した。

 

 その後二人は何か会話をしながら何処かへ行ってしまった。

 呆気なく全てが終わった気がした。

 

 泉田(何?あれ?........何?あの、ノリ?......彼女?年上の彼女?)

 

 何も考えたくなくなった。だが自然とあの先輩と自分のスペックを比べてしまっていた。

 

 泉田(私よりもコミュ力がある、私よりも可愛い。)

 

 脳の中でひしめき合っていた自分への失望と罵倒は消え去った。その代わり絶望が脳内を占領した。

 

 私はその場に立ち尽くしていた、その後どれくらい時間が経ったのか覚えていない。いつの間にか夕方になってしまっていた。

 フラフラと魂が抜けた足取りで廊下を歩いていく。

 [家に帰ろう、家に帰ってまたスピードに恋をしよう。果てなくアクセル踏んで、心地よいGに抱かれて引きこもろう。]そんなことを考えていた。

 

 階段に差し掛かるが、あの先輩と戸頭さんが二人でデートをしている状況が頭の中を駆け巡っていて、周囲の状況に気を配れていなかった。

 

 段を踏み外してまった。バランスを崩し、落ちる。

 

 リク「危ないっ!」

 

 落ちる寸前、肩と二の腕を捕まれ後ろに引き戻された。

 

 リク「ふん!あ~やっぱだめだぁ~!」

 

 しかし、勢い余って今度は後ろに倒れてしまう。

 私はうつ伏せで彼の上に、彼は仰向けで私の下に。

 

 近すぎる、余りにも近すぎる。そして迷惑をかけてしまった。彼は目を瞑っていたが、恥ずかしくて仕方がなかった。穴があるなら入りたい。

 そんな事を思っていると戸頭さんが口を開いた。

 

 リク「大丈夫?怪我とかは..な...い....でぇ....しょうか?」

 

 

 二人は目が合った。じっくりと互いの目を見つめ合った。二人の心境はシンクロしていた。驚き半分、魅了半分。

 

 

 泉田「えっ?あっ!あぁっ~!ごめんなさい!だ、だだだ大丈夫ですか!?お怪我とかそういうものワワワ!」

 リク「い、いえ、とりあえずなんともありません」

 

 私はサッと体を起こし、少し距離を置く。

 持っていた使い捨てマスクを着けて、真っ赤になっているであろう顔を誤魔化した。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 今日は普段より荒い運転をしていた。

 

 あんなに呆気なくそして情けなく終わるとは、途中に絶望、最後に恥....振りきってしまおう..

 

 これは忘れる為の行為だ。全て、そう全てを忘れる為にアクセルを蹴飛ばすように開ける、忘れる為にリアタイヤを滑らせる。忘れる為に、忘れようとする為に。切り離して振り切って自分が誰かも忘れよう。

 

 サーキットを駆けるその速さは光の如く、力強さはニトロの爆発の様に。その走りは泉田が出せる実力の限界ギリギリのラインを通っていた。

 カーブの縁石をバンパーがかすめ、車体の周りを轟風が抜けていき、シャーシとGTウィングは軋みエンジンはVTECサウンドを奏でる。

 

 だがそんな走りも長く続く筈もなくタイヤが音を上げてしまう。

 あっという間にスピン、反応が遅れ行動が間に合わなず高めの縁石に乗り上げる。

 

 腹下をかすった音が車内に響く。

 

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 ネココネル「コンチワ~」

 

 ネココネル(泉田)はコウジの工場に訪れた。S2000腹下を診てもらうためだ。

 

 コウジ「おっと珍しいお客だね」

 ネココネル「ちょっと擦っちゃいました」

 コウジ「どれどれちょっと見せてみな。

 はあ、ほう、なるほどなぁ~」

 

 コウジさんはS2000の車体の下に潜り、食い入るように損傷を確認している。

 

 コウジ「こっちは問題なしだな」

 ネココネル「よかったです」

 コウジ「だがな!」

 

 突然大声を出されたもので少し驚いてしまった。

 

 コウジ「ひとつだけ心配なことがある、ここだけは見逃せない!」

 ネココネル「えっそんなに酷いところが!?」

 コウジ「あぁ、ある!それはズバリ、ネココネルちゃん君の心情だよ。

 どうした?入って来たときから暗く萎んだ顔して。そんなに落ち込んでたら豆犬が心配するぞ」

 ネココネル「えっ?豆犬ちゃんが?」

 コウジ「そう!ななんだかんだいってアイツはお前のこと好きだからな!まあそれが恋かどうかは知らんがな。おっと噂をすれば影、来たな」

 

 工場の入り口から豆犬が入ってくる。

 

 豆犬「どーもージャマするぞ。!...珍しいなここにネココネルが来るなんて」

 コウジ「よお豆犬、ん?お前もお前でなんかおかしな挙動してるな、なんかあったか?」

 豆犬「いやーそれがさ、なんつうか今日学校で四六時中誰かに見られてる気がしてさ」

 

 あぁ~私だぁ~。絶対に変態だと思われてる。

 

 コウジ「おっ?女か?」

 豆犬「いや知らん。うっ、うーんそれでまた一つ思い出した。

 今日さなんかクラスの女子にアクシデントで急接近しちゃってさ......あぁっ!もういい!話題変えるぞ、良いよな!よし変更!」

 

 えっ?何今の?なんでそこで話切ったの?

 

 コウジ「おっ!?なんだなんだ?赤面してやんのぉ!恋か?さては恋か?話せよぉ話さないとお前のこの間の...」

 豆犬「あぁもう!わかったよ!正直かなりドキッとしたよ!もういいな!?コレ一体何の拷問だよ!」

 

 この瞬間、心にかかっていた霧が晴れたような気がした。この時私は自分の人生の道行きが少し良くなった気がした。

 

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        HAPPY DEAD

 

 確信した、僕はまさに天才そのものだと。

 

 僕の母は優秀な科学者であった。自動車用のモーターとバッテリーを研究し、従来品より30%性能を向上した物を開発した。

 母と特別気があった僕は母の研究を手伝う事がよくあった。いつしか自らもモーターを設計するようになっていた。

 僕の設計したモーターは母の物より高出力で、そこに目をつけた父はそれを製作し販売することを決めた。

 幸せだった、とても幸せだった、笑顔で溢れていた。兄も姉も家族全員笑顔が絶えず幸せだった。

 

 母は優しかった。父もその優しさ惹かれたのだろう......恐らくはだが。愛があったかどうかは知らない、あってほしかったと願うことしか出来ない。

 

 母は死んだ、自殺した。

 

 結局は全て幻想に魅せられていただけだったのだ。母の幸せそうな態度や笑顔は演技、父の家族への愛も演技だったのかもしれないと疑わざるを得なかった。

 死因は過労とストレスによる自殺。少なくとも遺言には父からの陰湿な嫌がらせを受けていたという記載があった。

 よく研究室にこもっていたのはそこに居たかったからではなく、その技術力を利用しようとする者からの異常な期待からだったのかもしれない。

 その後は酷かった、この一件によって家族の間に修復しきれない亀裂が生じたのは言うまでもない。兄は強姦の容疑で捕まり、姉は窃盗容疑で投獄された。

 

 幸せは一瞬にして崩れ去り、当然僕の心も沈んでいった.....ある日天才的な奇策を思ついたのだ。

 

 僕の名は片尾 キヨシ。僕は人生で一番幸せな時期に笑い死にすることを決意した。

 誰からも理解されないだろう。おそらく一生付きまとうであろう悲しみという概念に対して、一生立ち向かうのではなく、敢えて着地点を決めそこに至るまでの期間全身全霊でもって、楽しみ、笑い、そして最後に最高の娯楽を体感し、全てを終える。

 

 その後僕は心から笑い、そして死ぬ方法を研究し始めた。

 色々な方法を模索した。ジョークや笑いガス、麻薬に至るまで試したがどれもこれも大した効果を示さなかった。

 二年後ここで一つの仮説が立つ。僕が求めていた「笑い」とは所謂「愉快さ」から生じるものではなく、ある程度の「スリル」から生じるものなのではないかというものだ。

 スリルを求めて様々な調べ物をしていた。

 スリルといえば真っ先に思いつくのは罪を犯すことだ。とりあえず他人に暴行を与えるした。

 

 スリル体感実験その一。今夜この近くの山の駐車場で暴走族同士の抗争があるらしい。そこに乱入し、何人かに対し暴行を加える。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 時計を確認すると午前零時を過ぎていた。

 傘をさして駐車場の隅に身をひそめる。ここなら街灯の光が当たらない上に駐車場全体を見渡せる。

 目標の期間に達しておらずまだ死ぬわけにはいかないので、一応それなりの装備を整えておいた。顔を隠すためのガスマスクとキャップ、転倒した時のためのレザージャケットとその下にプロテクターを着用し、手の保護と指紋を残さないようにするために軍手をはめてきた。 

 

 靴紐を縛り直していると、モーターの音とタイヤが水を切る音が聞こえてきた。

 

 ついに来た、二つ程のチームが電動バイクに跨がってぞろぞろと駐車場に集まってきた。一方のチームは七人程だったがもう一方はたった三人。明らかに不利としか取れなかった、人数差がありすぎる。

 

 予想通り三人のチームは一瞬でリンチにされてしまった。三人は七人に囲まれ殴る蹴るの猛攻を喰らっていた。

 

 キヨシ(さてとそろそろかな?)

 

 僕は傘を置き静かにその集団に近づいていていった。街頭の明かりの範囲内に入るがまだ気付かれない、七人の罵声や煽りが聞こえてくる。

 三人チームの内の一人が落としたネイルガンを拾う。ネイルガンはセンサーが外されていて、物体が接近していない状態でも釘が打てるようになっていた。

 呼吸は意外と乱れない、七人の内の一人まであと三メートル、二メートル、一メートル。腕を伸ばしてネイルガンを目の前の男の首、脊椎の辺りに照準を合わせる。

 そしてついに引き金を引いた。

 

 シュッという音と共に釘が発射され、目の前の男の首に刺さる。骨が砕ける音がし、男は前のめりにぶっ倒れる、それと同時に僕は後ろ向きに飛び上がり集団と距離を取る。

 

 七人、いや六人はあまりに突飛な出来事に動揺する。こちらが暫く様子を窺っていると二人がバットを持って襲いかかってきた。

 一人の振りかざしたバットを屈んで避け、そいつの顔に向けてネイルガンを発射する。見事命中、釘はそいつの唇を貫通し、歯茎に刺さる。

 痛みのあまりに悶絶している間にそいつの両手の指にも釘を打ち込む。

 もう一人の方も鈍器で殴りかかって来るが、歯茎に釘の刺さった方を盾にし、そいつを殴らせる。僕はもう一人の方の膝間接に向かってネイルガンを使う。

 

 キヨシ(これで三人、残り四人か....)

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 傘を片手に峠道を下る。

 いつの間にか朝日が出始めていた。

 血に染まり赤黒いドロドロだらけになったネイルガンを崖下に放り投げ、ガスマスクと軍手を外す。

 バックパックにジャケットとプロテクターとマスクと軍手を仕舞いながら数時間前のケンカの事を思い出す。

 

 正直....つまらなかった......もっと、なんというかギリギリの戦いがしたかった。ネイルガンなんて使わなければ良かったかもしれない。

 

 突然何かに躓いて危うく転びそうになった。よく見ると旧式のバイクに躓いてしまったようだ。そのバイクのことはなんかの資料で見たことがあった、何十年か前まで郵便屋のバイクとして名を馳せたホンダのカブだ。

 

 更に近くを見渡すと、もう使われなくなったバス停に一人の青年が寝そべっていた。青年は全身雨でびしょ濡れだった。

 

 僕はなんとなくその青年に話しかけた。

 

 キヨシ「タオル使うか?」

 

 青年は枯れた声を出した。

 

 青年「...使います」

 

 タオルを渡すと青年は頭と首を拭いた。

 青年は酷くやつれていた、一晩中泣いたのか目は充血し、顔は青ざめていた。

 

 キヨシ「何かあったのか、良かったら話聞こうか?」

 青年「うっ、い、いえ何て言うかその...うぅ」

 キヨシ「話すだけでも辛いなら話さなくてもいい」

 青年「いや、でも俺は....」

 キヨシ「スゥー、はぁ。じゃあ僕がいくつか質問をする。君はそれにYES or NOで答えてくれ。

 大切なものを無くした?....YESか、わかった。

 将来に行き詰まった?.....これもYESね、オーケー。

 無くしたものと将来を諦められない?....NO...そうだ、そのいきだ。世の中には諦めてしまった方が良いものもあるさ。」

 

 僕はその青年の様子から決して触れてはいけない何かを感じ取った。この青年は明らかに夢を失っている、この青年は仲間を失っている、この青年は明らかに知人の命を自分の手によって失っている。

 そしてまたもやここで一つのアイディアを思い付く。

 

 キヨシ「君さ、間接的にとはいえ...人を殺した事がある?....解らない?トラックが突っ込んで来たって....待った!ストップそこまでだ、それ以上は話すな。

 質問を変える、正直自暴自棄になってる?...YESね。

 ちょっと提案があるんだけどいいかな?

 人間目的なしに生きられないだろ、僕は君に新しい夢と新しい目的を与える。

 その代わりに....僕を殺してくれないか.....」

 

 青年は少しの動揺を見せたがゆっくりと口を開いた。

 

 青年「何があったかは聞きません、正直赤の他人が死んだところで気にはしません。

 本当に夢と目的を与えてくれるなら....それが条件と言うのなら、俺は貴方を殺せます」

 

 僕は手を差し出し握手を求める。

 

 キヨシ「片尾 キヨシだよろしく」

 

 青年「花切 矢一です」

 

 もし、僕の予想が正しければ、僕の考える自殺方法は二人いなければ成立しない。だからここで一人の人材を集めた。

 だがしかし、いざというときの為にあと二人程必要かもしれない、だが一つ確かな事がある。

 

 確実に僕という天才は最高の死へと一歩近づいたということだ。

 

 終わり

 

 


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