V・Racing   作:海苔 green helmet

9 / 41
 
 V・Racingの番外編です。

 ※本編での主要キャラは登場しません
 一話完結型のストーリーです

 あらすじ
 クロウミはエイトの弟子である。
 クロウミの趣味は強者潰し、プッシュバンパーを装着したFD[Violence・Violet]を駆り次々と他のマシンをスクラップへと変えていく。
 そんな中一人のドライバーが挑戦状を叩きつける...
 


 V・Racing番外編 [MAD DESIRE]

        

 

 

 

 

 

 

        MAD DESIRE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 ガードレールに激突し炎上するR34GT-R、もう何色だったか解らないくらいに黒焦げになっている。

 その光景を嘲笑い、見物するかのように停車するスミレ色のRX-7FD3S

 また一人、最速の名を目指す者が苦渋を飲まされ敗北を喫した。

 

 プレイヤー4「おい‼また一人やられたぞ...いったいこれで何人目だ」

 

 プレイヤー3「確か14人目...あとヤツが狙うとしたら、やはり抹茶ラテFCか...」

 

 プレイヤー4「あの人が俺達の最後の砦なのか...」

 

 

 

 

 V・Racing内 スパ・フランコルシャン 夜

 

 スパ・フランコルシャンに戦慄の夜が訪れる。

 

 クロウミを迎え撃とうとしてきた強者達はマシンをスクラップにされるばかりだった。

 

 

 

 

 [リョージ] 日本サーバーではかなりの有名人、白いラインの入った濃い緑色のFCを乗り回し、数多くの修羅場を潜り抜けてきた。

 そう、この男こそクロウミにあの挑戦状を叩きつけた張本人である。

 

 今、戦いの火蓋は切って落とされようとしていた。

 

 オーガ「リョージ先生もうすぐヤツが来ます」

 

 取り巻きの一人が緑色のFCに向かって囁くと、中から長身の男が出てきた。

 黒淵の眼鏡をかけ、カーキのジャケットを羽織り青と白のしま模様の入ったマフラーをしている。

 

 リョージ「わかってる、ヤツの方から連絡してきたからな」

 

 その時コースのスタートラインに一台のFDが現れた。

 証明の光がスミレ色に塗られたボディを照らす。

 

リョージ(ボディのキズが目立つな、特にフロントに付いてるプッシュバンパー...

 そのキズは勲章のつもりか?)

 

 歯を食い縛り拳を握りしめるリョージ、しかし、すぐに深呼吸をして心を落ち着ける。

 

 リョージ(興奮状態じゃマトモに走れるわけない、落ち着けオレ、落ち着くんだ‼)

 

 オーガ「リョージ先生、そろそろ車をスタートラインへ...」

 

 リョージ「あぁ、わかってるそれじゃ始めようか」

 

 二台のRX-7はスタートラインに並ぶ。

 クロウミは窓からそのポニーテール頭をつきだし、リョージに向かってヤジを飛ばす。

 

 クロウミ「おやおや~随分とスタートに着くのが遅かったねぇ、はっ!もしかして方向音痴ぃ?ハッハッハッハァァァ」

 

 リョージ「下らないジョークで場の空気を冷ますな...

 折角温めたタイヤが冷める」

 

 クロウミ「チェッ、クサレメガネが」

 

 

 

 リョージの取り巻きの一人が二台のマシンの前に出る。

 オーガがそっと手を前に出すと何処からともなくシグナルピストルが現れた。

 オーガはシグナルピストルを天高く持ち上げる。

 

 オーガ「カウントいきまーす 3... 2... 1... GO!!」

 

 激しい銃声と共に、赤い光の弾が天高く打ち上げる。

 

 

 二台のマシンは唸りを上げて、獲物を見つけた獣のようにストレートを駆け抜けて行く

 その姿を一言で表すなら猪突猛進という言葉が一番あうだろう。

 轟くエキゾースト、鳴り響くアフターファイヤ。

 パワーを底上げされた二台のRX-7は閃光の如くストレートを駆け抜ける。

 

 

 ギャラリー「二台並んでラ・ソースに突っ込んでくるぞぉ‼」

 

 

 激しいブレーキングでこのコースきっての急コーナーに飛び込んで行く二台のRX-7!

 ディスクブレーキが発熱し、赤く発光する。

 二台並んだままコーナーに入る。

 FCがイン側をキープするがFDと同じスピードでコーナーを抜ける。

 

 

 ギャラリー「今若干抹茶ラテFCが退いてなかったか?」

 

 ギャラリー2「ぶつけられないためだろ、あの進入スピードと角度じゃ、当てるのは難しいからな」

 

 

 クロウミ(そんなに警戒しなくともこんなトコじゃぶつけないよ

 ココじゃ、面白くないからねぶつけるならもっと面白い場所じゃないと

 特に後半の高速コーナーとか、あーゆーのだと面白いんだよね~、まるで車がゼンマイ仕掛けのバレリーナみたくクルクル回って最後にグシャン‼アレがたまらなく好きなんだよォ~)

 

 

 緩やかに右へ曲がるカーブに入り、アクセル全開でスパ・フランコルシャン名物のオー・ルージュへ向かう。

 このオー・ルージュは、高速S字ならではの左右のGに加え、勾配による縦Gが加わる。

 ここは特に難易度が高い、ストレートを下り、“底”から一気に駆け上がる。

 右に曲がった先は、空しか見えない。

 実は、オールージュが名物担っているのは、駆け上がるオールージュそのものではなく、その先の左コーナーが恐いのだ。

 

 リョージ(...ここからが私の本気だ‼どう付いてくる)

 

 クロウミ「ここでちょっと[名刺]でも渡しとくかな」

 

 オー・ルージュへ進入するリョージのFC

 そのとき...

 

 ゴン‼...

 

 クロウミがリョージのFCに自分のマシンを追突させる

 FCの体勢が一気に崩れる。

 

 リョージ(!...)

 

 クロウミ(ドンナモンダ!ブレーキングでフロントに荷重を掛けている時がイチバンFRは体勢が崩れやすい!

 どんなテクニックを使ってこの難しいS字でそのスライドを押さえるのか見ものダネ‼)

 

 狼煙のように上がる白煙!点滅するブレーキランプ、唸るエンジン

 FCはD1並みのドリフトでS字を駆け抜ける。

 

 クロウミ「チェ、(ナンだよ事故らねえじゃん

 まあ良いか、どうせコイツのFCのリアタイヤには完走できるほどのグリップは残されていない...

 後はじわじわと追い詰めて最後に...)プププッw」

 

 リョージ(コイツ...なるほどな、だから[失格]な訳か)

 

 オー・ルージュを無事(?)に抜けて、次に二台を待ち受けていたのはこのコースきっての超ロングストレートだった。

 

 二人はアクセルペダルを床まで踏みつけた。

 夜のサーキットにマツダの名機13B型ロータリーエンジンの甲高い咆哮が木霊する

 

 ここで二台のマシンの決定的な違いを一つ紹介しておこう。

 

 それはタービンの種類だ、クロウミのFD3Sにはツインターボが搭載されている。

 ツインターボは名前の通り二基タービンが搭載され、シングルタービン独特のターボラグと呼ばれる弱点を和らげた物である。

 

 一方、リョージのFC3Sはシングルタービンでターボラグ(ターボチャージャーが加速する際の動作の遅延のことである。 ターボチャージャーは「タービン」および「コンプレッサー」の回転によって、吸気を加速、圧縮してエンジンへ送り込む装置だが、エンジンが低回転の場合は排気ガスの量が少ないため、タービンの回転数も少なくなっている。)が発生しやすい。

 つまりフルブレーキングを行ってからコーナーの出口で二台同時にアクセルを踏むとするとターボラグの少ないFDの方が有利だ。

 

 

 

 クロウミ(峠用に組んだクロスミッションのせいでトップが伸びない、確実にギア比が合ってないな

 それに比べてFCはストレートの伸びが良い、おそらく3速辺りからワイドにしてる)

 

 リョージ(ついてくる、立ち上がり方から見ても多分あっちの方がパワー出てる

 抜くまでに至らないのはさしずめ、ギアが合わなくて最高速が出ないのだろう)

 

 クロウミ(くっくっくっ、ニヤニヤが止まらないぜ...

 このストレートの後は高速コーナーが続く、あのクサレメガネ、何個まで耐えれるかな...本気を出すのは次の第5コーナー越えてからだ‼)

 

 時速200kmを越えるスピードでブレーキングポイントに差し掛かる二台のRX-7、二人のドライバーの目にコース脇に設置された白い看板が映る。

 

 リョージ(100mボード‼ここだ!)

 

 ブレーキを踏み込み、ステアリングを右に切り込む。

 

 リョージ(この距離なら奴はアタック出来ない、さっさと低速区間を抜けて引き離すぞ!)

 

 

 

 その頃ホームストレート付近の観客席では、誰もがタブレットサイズのモニターにかぶり付くように見入っていた。

 

 白いコートを羽織った青い髪の青年が、モニターから目を話さずに、隣に座っていた黒い軍服姿の男に話しかける。

 

 オーガ「この勝負四天王の一人としてどう見ますランスさん?」

 

 ランス「さぁな、聞くところによるとあのクロウミとか言う男、エイトの弟子らしいじゃないか...

 悔しいが、私はクロウミの圧勝だと思う

 お前の意見はどうなんだ?太刀よ」

 

 オーガ「う~んボクの場合ですと、リョージ先生が勝つと思いますよ」

 

 ランス「ほぉ、それはまた何故だ?」

 

 オーガ「確かに今のこの状況、FCのタイヤ ズルズルだし、コーナーワークも若干遅れをとってますが...

 リョージ先生が恐ろしいのは、自分の限界を出しきってそれでも勝てないって時なんですよね~

 あと、あの人は僕ら全員の先生で、しかも本気で四天王狩りにいってる人ですから。

 負ける筈がありません」

 

 

 ギャラリー「なぁ、[いかれた欲望]って知ってるか?」

 

 ギャラリー2「なにそれ?新しい曲かなんかのタイトル?」

 

 ギャラリー「違うよ、聞くところによると抹茶ラテFCの口癖らしいんだ」

 

 ギャラリー2「へ~どういう意味なんだろうな

 [いかれた欲望(MAD DESIRE)]って」

 

 

 

 

 クロウミ(第9コーナーを抜けた、ここから面白くなるぞぉ(* ゚∀゚)ワクワク)

 

 リョージ(くっタイヤのチョイスを間違ったかもしれない...)

 

 二台の距離はさっきより縮まっていた

 リョージが低速区間でミスを出していまい、クロウミにチャンスを作ってしまったのだ。

 二台は次の2連コーナー(プー・オン)へ向かい坂を駆け下って行く。

 

 リョージ(・・・そろそろ何か来るな)

 

 FCのブレーキランプが点灯し、車体が左を向く...その時

 

 ゴンッ‼

 

 クロウミのFDがリョージのFCにアタックを仕掛ける、クロウミはブレーキを緩めに掛け、FCをグイグイと押して行く。

 

 リョージ(こいつっ...追突するのではなく、押すとは...R34がやられたのこういう事だったのか)

 

 FCのリヤタイヤではこのスライドを押さえ込めない

 どんどん車体が横を向いていき、そしてとうとうFCはスピン状態に陥り、360°回転しながらコースの外側に吹き飛ばされて行く。

 「終わりだ‼」とクロウミは心の中で叫ぶ...

 

         しかし

 

 FCはスピンが止まり、壁スレスレを抜けて行くと、何事も無かったかのようにノロノロと加速し始める。

 FDはFC がスピンしているうちに前に出た

 突然クロウミは背筋が凍る様な感覚に襲われる。

 

 クロウミ(おかしい...ナンだよ今の....全然笑えないよ...

 コイツ、ケタ違い過ぎるだろぉぉ

 今の今までアレを喰らってマシンが壊れなかった奴なんて居ない、確かに今回は道幅の広いサーキットだ

 いつも走ってる峠とは違うのはわかってる

 でも、あのスピードで事故らないなんて....

 ヤバすぎる)

 

 嫌な予感のしたクロウミはFCをチギろうと、[逃げ]に転ずる。

 

 リョージ(やっとマトモに走る気になったか...ではお手並み拝見といこう...四天王を越えたと言われるエイト直伝のテクが生きてると良いのだかな、じゃないと...

 また俺の[欲]が満たされないまま終わってしまう)

 

 クロウミ「((( ;゚Д゚)))ついてくる‼あんなにスピードが落ちて、しかもボロボロになっている筈のタイヤでこのペースについてくる‼

 (怖い、恐ろしい、そして何よりもムカつく‼)」

 

 クロウミは初めてバトルの相手に恐怖心を抱いた、しかしリョージは完全に落ち着いていた

 

 リョージはさっきスピンしたとは思わせない程のスピードでサーキットを駆け抜ける。

 二台のRX-7は徐々にスピードレンジを上げ、なにも見えない暗闇の中を突き進む。

 

 突然、クロウミのFDに白い煙の様なものが漂い始める、クロウミはいよいよ本気でリョージを引き離しにかかる。

 

 差が一気に広がる、もう二台の距離は車三台分も空いてしまった。

 

 リョージ「フフッ、キタキタ、キタキタキタキタァァァア‼それを待ってたんだよそれをよぉ~

 お前のその[負けない]って気迫も、[チギって見せる]って気合いも、全て俺の[いかれた欲望]の一部と化す!

 お前に勝機はない、勝つのは...

 この俺だ‼」

 

 クロウミ(ナンだ‼FCのスピードがグングン上がってる

 コーナーの脱出スピードもさっきより格段に高い!

 ワタシ...確実に煽られてる....)

 

 FCも薄い紫色のモヤを纏い始める、モヤは一瞬でドッと広がる、まるで車が燃え盛る薄紫色の炎に巻かれ、そのまま爆走しているかのようだ。

 

 二台はブランシモンを抜けて最後のバスストップシケインに突っ込んで行く。

 

 クロウミ「だぁぁァァァア!クソったれぇぇぇえ‼

 離れろぉぉぉお‼」

 

 クロウミはブレーキを力任せに踏みつける。

 FDのタイヤはロックし、そのまま一直線に壁にすっ飛ぶ。

 

 リョージ「くっ、なんだよ全然足りねぇよ...

 折角良い相手を見つけたのに...こんな中途半端な終わり方すんのかよ...」

 

 グアッシャァン‼‼

 

 FDは正面から壁に突っ込んだ

 ボンネットは蛇腹折りになり、タイヤやサスペンションは鳥の様に宙を舞った。

 スミレ色のFDは最早それが車だったとは思えないくらいにぐちゃぐちゃになってしまった。

 

 リョージはスクラップの隣に車を停めて外に出る。

 

 アナウンスが流れる

 

 「ドライバーの死亡を確認、車外へワープします」

 

 クロウミのアバターが青緑色の光に包まれて、形作られていく。

 

 しばらくするとそこには黒いタンクトップを着たポニーテールの男が立っていた。

 クロウミは自分のマシンの有り様を見るとガックリと膝を落とす。

 

 リョージ「RX-7つう車はなあ、お前にみたいな乗り方しちゃダメなんだよ

 なおさらFDは乗り手を選ぶと言われている

 他人の車にわざとぶつけて楽しんで乗るようじゃ車もお前の事が嫌いになってくる

 最後はお前がFDを[自殺]に追い込んだんだ

 そう思え...

 お前は腕はそう悪くない筈だそれなのなぜあんな走り方を...」

 

 クロウミ「・・・くだらねぇ」

 

 リョージ「ん?」

 

 クロウミは顔を真っ赤にしてわめき散らす。

 

 クロウミ「くだらねぇ....

 もうこんなくだらねぇ車なんざワタシはいらない‼

 くだらねぇクサレメガネもくだらねぇバトルも...

 もう全て嫌になった‼

 こんなゴミみたいな車捨ててやる‼乗り手を選ぶだぁ?そんな車ならもう要らねぇ!新しいのを手に入れるまでだ‼」

 

 クロウミは「ギャァァア」と発狂しながらログアウトした。

 

 リョージ「・・・はぁあともうちょいだったのに...

 最速への道ってのは、以外と長いもんだねぇ」

 

 リョージはこのゲームの中で最速を目指していた。

 [最速]それは四天王をも越え、エイトすらも倒すことを意味していた。

 そうこれこそが

        MAD DESIRE

              なのである。

 

 

 

  V・Racing番外編 [MAD DESIRE] 終

 

 

 

 とある家 

 

 ???「あ"~クソがっ‼」

 黒いタンクトップを着た女が目覚めと同時に頭に付けていたVRダイバーを壁に投げつける。

 

 クルミ「あのクサレメガネがァァァア‼」

 

 

 

 

 リョージ

 本名:華村 竜仕(ハナムラ リュウジ)

 年齢:32歳

 好物:納豆

 嫌いなもの:ニュース番組とテレビショッピング

 得意技:ライントレース

 通り名:抹茶ラテFC

 FC3S(後期)

 シングルタービン(カットバック済み)

 エキマニ交換(セラミックコーティング済み)

 社外品マフラー

 ブリッジポート

 ロールケージ、タワーバー、メンバーブレース装着

 GTウィング装着

 社外サスペンション、ブッシュ交換

 内装取り外し済み

 ホイール:ENKEI Racing RPF1

 

 

 




 
 
 いかがだったでしょうか?楽しんで頂けたでしょうか?誤字などが有りましたらご指摘お願いします。

 




 あっ、それはそうとリョージ先生のモチーフ解った人居るかな?
 モチーフは頭文字Dの高橋涼介!...ではなく
 チョロQHG2というゲームに出てきた787Bのリョージ先生です。(名前だけね)
 
 因みにV・Racingでのリョージ先生、現実では塾の教師やってますw
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。