東方異形機械《トウホウイギョウキカイ》 作:GUM【グム】
___<pm 15:35>人里 茶屋
「…ふぅ、相変わらずここのお茶ときんつばは美味しいな」
「本当ー。お茶も美味しいけどお菓子も美味しいね」
「お団子もおいしい」
「…」
俺達は今、茶屋という飲食店で日本の菓子、「和菓子」を摂食している。
…どうでもいいがこの椅子の形状、何か良いな。
長いベンチのような椅子に赤い布が敷かれており、ゆったりできる。
それでもって、
小傘は「水羊羹」、すばめは「三色団子」、慧音は「きんつば」、
そして俺は「羊羹」を頼んだ。
ヴェーダの情報曰く、羊羹とは小豆を主とした
「水羊羹」は、普通の羊羹より水分が多いらしい。
見ている限りでは柔らかく、それなりの弾力があるようだ。
「三色団子」はその名の通り上からピンク・白・緑色の餅を串に刺した菓子。
ピンクはよく分からないが、白は普通の餅、緑は何かの草を練りこんだ物か。
「きんつば」は恐らく小麦粉かと思われる生地で餡を包んだものだろう。
表面を軽く焼いており、堅い外側と滑らかな中側の食感の差が楽しめそうだ。
「羊羹」は「水羊羹」とは違いしっかりと固めてあり、柔らかさはそれほどない。
餡のどっしりとした甘みは少々重いものがあるが、これをしっかり受け止めるのが
この店の名を冠している日本茶だ。
餡の甘みを洗い流してくれると同時に僅かに余韻を残す所なんか泣けてくる。
どうやらこの飲み物は随分懐が深いようだ。
煎餅のような塩味のものから、羊羹の重みのある甘いものまで。
オールマイティに難なく受け止める。
しかも、一言に「茶」と言っても色々あるようだ。
以前に霖之助に茶を馳走になった時は香ばしい穀物の香りが、
霊夢が出してくれたのは後味がサッパリする爽やかな香りが、
そして今飲んでいるのは奥深い甘みのある上品でいい香りが。
どれも美味かったが、確かに味が違った。
何という奥の深み…しかもこれはまだ菓子レベルだ。
本物の食事が楽しみで狂っちまいそうだぜェ…!!
「…なぁ、アルケー…さっきから小刻みに震えてるが大丈夫か?」
「あ、なんだか縁側がカタカタ揺れてると思ったらアルくんだったの…」
「わわ、お茶こぼれそう…」
「…ハッ!?…すまねェ。あんまり美味ェんで…」
しまった、分析に夢中で周りを気にしてなかった。
「あはは、アルくんは食べる事になると夢中になっちゃうからねー」
「ふふ、気に入ってくれたか?
ここの茶屋はお茶も菓子も美味しいので評判なんだ」
「どォりで。
これでもう不味い羊羹が食えねェぜ」
「それはそれで、損…かな」
「あァ、質の良いモンばっか食ってたらいいことねェだろうなァ」
それからもう1皿羊羹を追加注文した。
「美味い」っていう感情はいいモンだなァ…。
___<pm 15:50>茶屋
「…成る程、それでこの里に来ようとしたのか」
「あァ。…今思えば大概の事の原因は俺だなァ。気をつけねェと…」
茶を飲み終え、慧音に俺のことを詳しく話した。
色々と力になってくれるらしい。有難ェ話だ。
あと、すばめは食べたら眠くなってきたらしく、
今は小傘の膝枕で寝ている。
「…それとよォ…慧音、聞きてェ事があるんだが」
「ん?何だい?」
「…ちょっと耳貸してくれ。大きい声で言って良いモンかどうか分からん」
「…分かった」
コソッ
「…慧音、お前…タダの人間じゃねェ…よな?」
「…やはりバレた、か。
そのことなら心配いらないよ、里の皆は理解してくれてる。
その通りだよアルケー。私は妖怪だ」
「妖怪、か…」
「えぇっ!?わちきと同じ!?」
「ああ。私は会った時に分かったけどな」
「うぅ~…わちきもまだまだだね…」
「能力は「歴史を食べる程度の能力」。といっても本当に食べる訳ではなくて
「隠す」と言った方が的確かもしれないけど…」
「オイちょっと待てェ、能力って何だァ?」
急に何の抵抗も無く能力なんて言われても。
「ん?小傘、君の能力はまだ使ってないのか?」
「え、えへへー…わちきの能力は「人を驚かせる程度の能力」なんだけどー…」
「何だ、まだ驚かしてなかったのか?」
「それより前にわちきが驚かされっぱなしだよ…」
「能力ねェ…魔理沙が箒で飛んでたのも能力か…?」
「何だ、魔理沙に会ったのか?」
「あん?魔理沙を知ってんのか?」
「ああ、前に戦ったことがあるよ。
負けてしまったけどね」
「アイツは何の能力を持ってんだ?」
「「魔法を使う程度の能力」。彼女はいわゆる魔法使いというものだよ」
「ほォー…色々あんだなァ…。
そんで慧音、お前のその…「歴史を食べる程度の能力」だったか。
それァ具体的にどういうモンなんだァ?あ、なるべく簡単に頼む」
「簡単に言うと…そうだな、本当に簡略化してしまうと、
「物事に関することがらを認識できなくさせる」…といった所かな?」
「物事に関することがらを認識できなくさせる…??どういうこと?」
「あー…分かったような分からんような。
さっき「隠す」って言ってたのはそういう事と解釈していいのか?」
「…うん、そうだな。自分の能力ながら説明が難しいな…」
「ま、また今度でいいよ!ね!」
「あァ、正直理解しきれる気がしねェ」
「そうか。正直助かったよ」
「少しづつ理解していきゃいい。…何も、別に急ぐこたァねェんだからな」
「…いい考え方だな。急ぐ事はない…か。そうだな」
「妖怪ってのァ寿命がえらい長ェって聞いてる。
そんなんであくせくしても勿体無ェって。
折角こんな良いところに生きてんだ、のんびり生きてこうぜ」
「すごいねアルくん、ロボットとは思えない考え方!」
「…なんかけなしてねェか?その言い方」
「ロボット…そういえばアルケー、君はそのままの身体でいいのか?」
「ンー…別に今はいい。というか何とかなんのか?」
「河童に見せたら喜んで直してくれるかもしれないが?」
「…なーんか胡散臭ェんだよなァー…。まァ考えとくから、その時にはまた話す」
「そうか。いつでも言ってくれよ」
「おォ。
…喋って喉渇いた。何処に喉あんのか知らねェが。
おーい、茶もう一杯くれねェかー」
<はーい!少しお待ちをー!
「…あはははっ!」
「…ふふっ」
「あん?何だァ二人して急に」
「いや、アルくんってなんかふわふわしてるね」
「ああ、見た目は少し怖いが、一緒にいると和むな」
「だからは見た目は余計だっての…」ハァ
「悪い悪い、つい言ってしまうんだよ」
「でも間違いじゃないんだよねー…」
「…まァなァ」
「なに、大丈夫さ。皆話してみたら気付くだろう」
「そうだね。皆いい人だもんね
…こうして、なんでもねェ会話をする。
無駄な事かと思ってたが…
いい気分だねェ、実に。
「アンタ!「アルケーガンダム」ッ!?」
「!?」
俺の名前を知ってる…?
しかも…何か聞き覚えがある声…
「その機体ってことは…アイツは!?」
「その前に…アナタ誰?それが分からない事には何も言えないよ」
「アンタには言ってないわ!そこの「アルケーガンダム」に用があんのよっ!!」
「アルケーを知っている…?どういうことだ?」
…ヴェーダのデータ内に記録がある。
ソレスタル…ビーイン…グ…所属…、んん!?
<全員戦死>…?
…チーム・トリニティの三人兄妹の末妹…
「ネーナ…トリニティ…?」
コイツも俺と同じ成り行きか?
11話 おわり
まァた新しいモノを出してしまった。
アルケーガンダムだけどサーシェスじゃない。
どうなるネーナ。どうなるアルケー。