東方異形機械《トウホウイギョウキカイ》 作:GUM【グム】
___<pm 16:50>アルケー宅
「へぇ~、貴女お化けなの?そういうのって本当にいたんだぁ」
「正確には妖怪なんだけどね。
幻想郷には人間より多いくらいだよ」
「似たようなものよ、あっちの世界じゃ誰も信じてないし
私も信じてなかったけど…ここって不思議なところねぇ」
「…そういやネーナ、お前いつココに来た?」
「それがついさっきなのよ、気がついたらこの里の前にいたの」
「ほー…。このままどんどん幻想郷に入ってくるかもなァ。
たまったもんじゃねェが」
「いや、大抵の死者はふつう天国か地獄に行くんだよ。
だからここに来るのはほんの一部なんだ」
「成る程ね。つまりアンタよっぽどのイレギュラーだったわけかぁ」
「い、いれぎゅらー…?ネーナちゃん、何それ?」
「「変則的」って意味よ」
こんな感じで、今は借家で雑談している。慧音は用事があるとかで帰った。
先生は忙しいんだろうなァ。里のいろんな事も担ってるみてェだし。
ちなみにすばめは余程眠いのか、
今度は胡坐をかいている俺の右膝を枕代わりにして寝ている。
寝苦しそうな顔は一切しない。どうなってんだろォな、色々…。
コンコン
<すいませーん、どなたかいらっしゃいますかー
「ん?」
「お?」
「来客かな?」
「すばめが可哀相だが…しゃァねェな。小傘、すばめを」
「うん。起こさないようにゆっくり…よし、もう大丈夫だよ」
「おう、そんじゃ出てくる」
ガラガラ
「どちらさん?
ん、アンタは…」
「あ、始めまして。アルケーさん…ですよね?」
「あァ、そうだが。
それよりここで立ち話もなんだ、上がってくれェ」
「あ、ありがとうございます。
お邪魔しまーす」
~
「…いやぁ、申し訳ないです…。
急に押しかけただけじゃなくこんな美味しいお茶までご馳走になって…」
「気にすんなァ。俺も飲みたかったし」ズズー
「本当、美味しいねこのお茶…アルくんの才能を感じるよ…」
「…でもなんか悔しいわね」
「確かに…」
何でだ。
「そんで、どういったご用件だ?
まァアンタの事は慧音から聞いてるから憶測はつくんだがな」
「
「ええ、稗田家九代目の阿求です。
慧音先生に感謝ですね…話がしやすいです」
「…あァ、そういう事かァ…。
確かアンタ、代々渡って
書物を書いてるんだったか?
そこに俺らの事を載せたいから頼みに来た…そんな感じだろ?」
「そ、まさにその通りです…。
なんだか怖いですね…自分の考えが見透かされてる感じがして」
「聞いた話を纏めただけだァ。あと俺は別に構いやしねェぞ」
「私もいいわよ。書くことなんてそんなにないけど…」
「ありがとうございます。それでは私の家に移動しましょう。
いろいろお聞きしたいことがあるので…」
「分かった。
…そうだ小傘、お前はどうする?」
「んー…行きたいところだけど、すばめちゃんがこんなだからねー」
「クー…クー…」
「ぐっすりね。当分起きそうにないかも」
「うん。だからわちきは家にいるよ」
「そうか。じゃあ留守番頼むぜ」
「お願いね、小傘ちゃん」
「うー。何か子供みたい…。
それじゃ、行ってらっしゃい」
「あァ。
…っと、念のためコイツ置いていっとくぜ。
詳しいことはソイツから聞いといてくれ」パッ
「え?ちょっと…アルくん?」
「大丈夫だァ、ソレも「俺」だからなァー」
ガラガラ…
「…行っちゃった。
なんだろこれ…昨日アルくんがカンテラに火をつけてたやつ…?」
カシャン
「へっ?」
『ええ、正確には「GNファング」と申します。』フワフワ
「!?しゃ、喋ったぁ!?」
~~
「アルケー、家出る時何置いていったの?」
「あァ、ついさっき存在を知ったんだがァ…
5基のうち1基だけファングが「変形」してたんだァ」
「変形?どういうことよ?」
「これまたどういう原理か知らねェが、
ファングにモノアイがついてて
「超」が付くレベルの学習型光ニューロAIを搭載してたァ」
「光ニューロAI?
つまりファングが喋ったり考えたりするってこと?」
「まだしっかり会話してねェから分かんねェが…
なんせ「超」だ、通常の光ニューロAIの数十倍の学習力だろうな」
「なんか末恐ろしいもの持ってるわねアンタ…」
「…会話の内容がさっぱり理解できませんね…。
これは長くなりそうだなぁ」
~~
「え!?え!?あなた誰!?」
『落ち着いて下さい、その子が起きてしまいます。』
「はっ…」
「ん…すぅ…」
『よかった、目は覚めなかったようですね。』
「…あー…あなたは誰…というか何?
アルくんから出てきたみたいだけど」
『はい、私は
名称は…ええと、私の「記憶」では「Little messiah」という様ですね。』
「り、りとる…めさいあ?」
『言い難いですね、「リトル」と省略することにしましょう』
「う、うん。それで、君はどういうモノなの?」
『うーん…私にもちょっとよく分からないです。
なんせまだ「記憶」がぜんぜんありませんからね…。
ひとつ分かるのは私とご主人の記憶はリンクしているという事ですね。
一般的な知識や現状把握はご主人のヴェーダからインプットできましたけど。
しかしご主人は私をあなたの護衛用に置いていかれたみたいですが…。
私は武装面では乏しいのをお分かりなんでしょうか…。』
「そ、そうなの。大変だねいろいろ。
…それにしても妙な格好だね…。
目が一つで赤く光ってるしふわふわ浮いてるし…
あれ?この粉ってアルくんのに似てるような…」
『この目は「モノアイ」というんです。以外と視界は広いですよ。
あと私の推力はご主人と同じGN粒子を使用しているんです。』
「アルくんと似てるような似てないような。
じゃ、これからよろしくね!リトル!」
『ええ、よろしくお願いします。小傘さん。』
___<pm 17:10>稗田家
「じゃあこちらへどうぞ。
すいません、少し散らかってるけど…」
「…こりゃァたまげたァ」
「ええ…私も圧巻されちゃった…」
壁の棚一面に積まれている紙束。
「これが…幻想郷縁起」
「これからお二人にいろいろ質問をします。
その間私は執筆に取り掛かりますが、気にかけなくていいですよ」
「わかった…といっても分かるの?
固有名詞が多くなると思うけど…」
「大丈夫ですよ、そういうのも説明してもらいます」
「おいおい、また手間のかかr………」
「…よろしい、ですよね?」ニッコリ
「「!!?」」ゾクゥゥウゥゥッッ!!
「ふふ」ニコニコ
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
……何だ!?なんなんだこの殺気立った空気は!?
(おいネーナ!アイツに逆らったらヤベェ気がするんだが!?
なんか一瞬とんでもなく黒いオーラが見えた!)ヒソヒソ
(わ、私もそう思う!この子の言うことには従うようにしよ!ね!)ヒソヒソ
(それがいい!下手すりゃ大怪我レベルかもしれねェ!)
(冗談抜きでね!)
「「喜んで説明させて頂きます!!」」
「ありがとうございます~♪」
ゴゴゴゴゴ…フッ
…殺気が消えた。
この娘…タダ者じゃねェ。
~~少女質問中~~
~
「ふむふむ…なるほど。アルケーさんはもともとは兵器だったんですね。
「ツクモ…ガミ?何だソレ」
「多分今この子にこっちが質問しても答えないと思うわよ…」
「…確かに」
~
「…ネーナさん、苦労なさったんですね…。
これは書いたほうがいいでしょうか…?」
「構わないわ。「今更後悔しても遅い」もの」
「わかりました。この過去はしっかりと遺しておきます…!」
「ええ。よろしくね」
「…。」
~
「じ…じ~えぬどらいぶ?じ~えぬりゅうし…??
それに…じ~えぬばす…たー…そーど?に…べ、べ~だ?
すいません、もう少し説明を…」
「ほうれ見ろ、やっぱ分かんねェんじゃねェか」
「こんなの初めて見て分かるわけないじゃないですかー!」
「うん、確かにそうね」
「それは俺もそう思う」
~
「小傘さんの項目も書き換えておかないと…」
「なんてだ?」
「「異形の機械仕掛けの憑喪神アルケーガンダムと共に行動する」と」
「…間違ってねェ筈なのにイマイチ納得できねェ」
「でも現に異形の機械な訳だし…ねぇ?」
~
___<pm 18:20>
「…ふう、この位でいいでしょう。
お疲れ様でしたー」
「「つ…疲れたぁ(ァァァ)…」」
長い。
いくらなんでも長すぎる。
俺ァ別に大した事は無いが、ネーナは足をさするあたり痺れたんだろう。
「ネーナ、先帰っとくか?」
「足が痺れて歩けないわよ…」
「そうか。まァそうだな」
人間の仕組みってのァ理屈ではわかってもそれを感じるのは本人だから
基準が分からん。生命体でも人間じゃねェ。なんか変な感じだ。
「あぅぅ、申し訳ないです。つい長くなってしまって…」
「…見返り、要求していいか」
「ひゃい!?な、なんでしょう…?可能なことならなんでも…」
「幻想郷縁起を、見せてくれねェか」
「え?あ、ど、どうぞ!」
「何をそんなに焦ってんだ?」
見返りという言い方がおかしかったか?
「いえ…なんだか今一瞬アルケーさんの声が違ったような…!」
声?
そういや俺の発声器官って…いや、もう何も言うめェ。
「んなこたしてねェ。とにかく見返りはそれで十分だ。
じゃ、早速見せてもらうぜ」
「は、はい。ここが最初です」
「おう、それじゃしばらく邪魔する。
あと話しかけても構わねェが会話は成り立たんと思ったほうがいい」パラッ
巻紙にびっしりと字が書いてある。
…知識欲が駆り立てられるぜェ…!
「急にいきいきとしはじめましたね…」
「勉強熱心なこと…。私は痺れが治ったら帰るわ」
「あ、はい。お疲れ様です。
お茶淹れ直してきますね」トタタ
「ふー、あの子も凄いわねぇ。私達の話を残さず紙に書き写しちゃうんだから。
…あの子も、ただの人間じゃなさそうだけど…私の考えすぎかな?」
「…………」モクモク
「…真面目ねぇ、はぁ」
~
「アルくんたち遅いねー、まだ話してるのかな?」
『いえ、話は終わったみたいですよ。』
「え?わかるの?」
『記憶を共有させて頂いてますからね。一応私はご主人のご一部ですし。
…あの、すばめさん、モノアイを隠さないで。』
「あ、ご、ごめんなさい。珍しくて」
『いえ、別に咎めているわけではないのですが。
それは私の目ですので、できればご注意願いたいです。』
「わかった」
「あはは…確かに珍しいね。…あれ?じゃあアルくんは何してるの?」
『幻想郷縁起を読みふけられています。これは時間がかかりそうですね。』
「むー、しょうがないなー。」
「お腹すいたなあ…」
「すばめちゃんお昼あんなに食べたのに?」
「アルが言ってた、「育ち盛りは腹一杯食べたらいい」って」
『限度というものもありますけどね…。』
「しょうがないね、ネーナちゃんが帰ってきたら
お昼行ったあのお蕎麦屋さんに行こう」
「うん、あそこのおそばおいしい」
『ご主人も気に入られているようです。
もっとも私に「味」は分かりませんが…。』
「しだいに分かるんじゃないかな。アルくんと記憶共有してるなら尚更」
『ですね。味覚はなくても「味」は分かるようになるかもしれません。』
「うんうん。それじゃ、もうちょっと待ってよっか」
「うん」
『了解です。』
___<?>幻想郷 魔法の森
「……ふんふん、へぇ~、それは大変だったねぇ。
え?「最近は殺虫剤なんてものが出てきて困る」!?
怖いねぇ外の世界の人間も。君たち蟲は何もしてないっていうのにさ」
ガサガサガサッ
「ん?何だろ今の音…。
ねえ君、悪いけど見てきてくれないかな?
…うん、ありがとね」
ブゥーーーーーーーーン
~
ガサガサ…
「…お、れは…!」
ガサッ
「ここは…どこだ…!?
そうだ…まだ世界の歪みを絶やしてはいない…!
オレはこんなところで油を売っている場合では…ない!!」
ダダッ
バシュンッ!
キラキラキラキラ…
ブゥーーーーーーン…
ブゥンッ
~
ブーン
「あ、見てきてくれた?お疲れ様。
えーと…なになに?
…「青と白で右手に大きい剣がついた人型の機械が、
背中から薄い緑色の粉を撒きながら飛んでいった」?
へぇ…ずいぶん変てこななりだね。
どこに行ったんだろう…」
13話 おわり
GNファングにモノアイがついたらなんだかいいな、と思ったので。
Little messiahというのは直訳で「小さな救世主」という意味です。
どう救世主になるかはこれからあれこれやっていく予定です。
ちなみに性別はありません。だってAIですし…。
でも都合によっては…。