東方異形機械《トウホウイギョウキカイ》   作:GUM【グム】

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最近サブタイトルが遠まわしすぎる気がします…。


14話 「アタマ」ノ「ココロ」

 

 

 

 

___<am 5:40>稗田家

 

 

 

 

チュンチュン…

 

 

 

「…ん、もう空が明るくなってきた…一晩中居たのか。

阿求にどえれェ悪い事したなァ」

 

 

 

幻想郷縁起から目を離し、窓の外を見る。

 

既に人は何人か出ており、家先の掃除をしたりと朝から活発的である。

 

 

遠くはやっぱりよく見えないが、山に朝日が差し込んで何とも言えない美しさだ。

「桜」と思われる桃の色彩が見られる為、季節が春だとようやく認識できた。

 

 

 

「…春眠暁を覚えず、てのァここの住人にゃ関係ない話だな」ガタッ

 

 

今手に持っていた幻想郷縁起を巻き直し、もとあった棚に直す。

 

 

 

「阿求はー…ん、何だ?こんなところで寝てんのか」

 

 

壁にもたれかかって座りながら、穏やかな寝息を立てている。

俺がいつまで経っても帰ろうとしねェからずっとここにいて寝ちまったのか。

 

 

 

「…申し訳ねェな…。何か詫びてェが…お」

 

 

ふと、まだ墨が入った硯に立てかけられた筆が視界に留まった。

 

 

 

「…やってみるか、紙は…これとかは表だけの使い古しだし大丈夫か」

 

 

机の前に座り、紙を机の上にのせて筆をとり、筆に墨を含ませる。

そして墨が垂れないようにゆっくりと動かし、紙の上にそっと乗せた。

 

 

上手く書けるかどうか分からんが、意思を伝えるにはコレしかない。

 

 

 

 

 

 

 

「…ふゥ、書けた。緊張すんなァこれ。

コレをココに置いとけば起きた時に気付くだろ」

 

 

紙を阿求の前あたりの机に置く。

起きた時に真っ先に目に入るはずだ。

 

 

 

 

 

『…ご主人?そろそろお帰りになられてはいかがです?』

 

 

「おゥ!?」バッ

 

 

『わっ、そ、そんなに警戒されなくても…。』

 

 

「…あァ、リトルか。急に出てくんな…。一応喋んのは初めてなんだし」

 

 

見れば見るほど面妖な奴だな。

俺も人のこと言えねェが…。

 

 

 

『これは失礼しました。記憶をご一緒してるとつい。

…しかし、まさか一晩中お帰りにならないとは。

小傘さんとすばめさんが随分心配していましたよ?

ネーナさんは何てことない様子でしたが、寝付くまで終始そわそわしていました。

 

というか、ご主人もそれは記憶共有うんぬん以前に

お分かりになっていたと思いますが…。』

 

 

「いや、分かってるんだがよォ…。あんまり興味深いもんでなァ」

 

 

『確かに内容は私も興味をそそられましたが…。それにしても、まさかご主人が

筆で執筆をされるとは想像もつきませんでした。しかも大層ご丁寧な字で。』

 

 

「稗田家の文字を真似てみた。この一族の文字は読みやすくていい」

 

 

『人の文字はそうそう真似ることはできないと思いますが…。

ご流石の学習力といったところでしょうね。』

 

 

「皮肉かそりゃァ。てかお前もじゃねェか、どうせ読んだ内容全部覚えてるんだろ?」

 

 

『えぇ、まあ。学習するのが売りですからね。』

 

 

「早速そういう言い回しを覚える…まァいいが。

それじゃそろそろお邪魔するか…悪かったな阿求」

 

 

「スースー」

 

 

『…熟睡していますね。』

 

 

「あんな格好でよく寝れるな…。春先はまだ冷える、この布かけとくか」バサッ

 

 

左手の布をとり、阿求の膝元にかける。これで少しはマシな筈だ。

 

 

『よろしいのですか?』

 

 

「構いやしねェ、どうせ気休めでしかねェしな。じゃ、出るか」

 

 

 

 

ガラガラ…

 

ピシャン

 

 

 

 

 

戸を開けると、朝日が目に差し込む。眩しさはないが、暖かさはしっかり感じた。

 

 

『人間の方にはこの気候はさぞや心地いいのでしょうね。

この私でも温もりを感じるほどです。』

 

 

「あァ、春うららかって奴かァ。…あ、帰り道わかんねェ」

 

 

『…問題ございません、私が記憶しています。付いてきて下さい。』フワッ

 

 

 

 

「…オイ、なんだ今の目は」

 

 

『いえ別に。深い意味はありません。』

 

 

 

 

モノアイの形状が一瞬変化した気がする。

しかも俺を見下すような…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___<am 6:00>アルケー宅

 

 

 

 

ガラガラ

「ただいまァーっと」

 

 

 

シーン

 

 

 

当然ながら返事はない。そりゃそうだ、まだ朝は早い。

 

 

 

『どうされます?まだ皆さんが起きるまで時間がありそうですが。』

 

 

「そうだなァ…バスターソード素振りでもしてくるか。鈍っちまいそうだ」

 

 

『了解しました。それでは私は家に残っておきます。』

 

 

「おう、皆が起きたら軽く説明しといてくれ」

 

 

『はい。…しかし、ご主人からもきちんと仰って下さいよ?』

 

 

「わーってる。それじゃな」

 

 

『全く…。行ってらっしゃいませ。』

 

 

 

 

カラカラ

ピシャン

 

 

 

『本当、世話の焼けるご主人様ですね。

…それでは皆さんが起きるまでお掃除でもしていましょうか。』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スタスタ

 

 

 

 

_「よう、アルケー!早いねぇ!散歩かい?」

 

 

「お、蕎麦屋の親父。おはようさん。んー、大体そんなもんかねェ」

 

 

 

スタスタ

 

 

 

_「お、アルケーじゃねぇか。この油揚げ食うか?作りたてだぜ」

 

 

「豆腐屋の親父さんか。有難く頂くぜ…うん、美味ェ」

 

 

 

スタスタ

 

 

 

_「あら、アルケーさん。昨日はどうもすいません、ウチの子が…」

 

 

「あー、気にしなくていい。俺はもう気にしてねェからな。

…その代わり、慧音センセの怖ェ怖ェお仕置きが待ってるかもだがね…」

 

 

 

 

 

 

 

…何か俺、随分馴染んでんなァ。

いい事だけど…。ここの人らは逞しいねェ。

 

 

 

 

 

 

 

 

___<am 6:40>里の入り口付近

 

 

 

 

 

ブンッ

ブンッ

 

 

「…999っ…1000っ!!」ブゥンッ

 

 

 

 

バスターソードは俺の身長よりもデカい。

俺の身長…というより足から右肩のウィングまでの高さは推測260cmほど。

しかしバスターソードは310cm近くある。

 

臨時ホルダーを作っておいたのは正解だった。

もしコレがなかったら必然的に手に装備する形になるが…。

それじゃ邪魔だし、何より不便だ。

 

 

 

それに、質量が大きいということは比例して重量も大きい。

 

 

俺の専用武器だろうから別に持つのは酷じゃねェが、

片手となるとなかなか辛いものがある。

 

「疲労」があるのは博麗神社の石段を登った時に実感したが、

こうも明確に「しんどい」と感じるとは…。

おかげでたかが1000回の素振りに随分労力を費やしてしまった。

 

 

 

 

「ハァ…ハァ…。もっと鍛えねェとな…、今の俺にゃ「慣れ」もある筈だからな…」

 

 

ザクッ

ドサッ

 

 

 

バスターソードを地面に突き刺し、へたり込む。

するととたんに眠気が襲ってきた。

ま、寝てないんだし当たり前か。

 

 

 

「…ちょっと寝るか」

 

 

 

―スリープモード起動―

 

―体内アラームをam 7:00に設定―

 

―GNW-20000 スリープに入ります―

 

 

 

 

キュイイイイイイイイイイイイイイン………

カクッ

 

 

「…クカー…クカー…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『………あ、ご主人がお眠りになったようですね。

少し無防備すぎるような気も致しますが…、まぁ、大丈夫でしょう。

昨晩から一睡もされてないようですし、仕方ありませんね。』

 

 

 

 

あらかた家の掃除も終わり、持っていた…と言うよりは、

「実体刃の間と間に引っ掛けていた」箒を壁に立てかけた。

 

 

『皆さんまだよく眠っていますし…。少し、考えさせてもらいましょう。』

 

 

 

カシャン

 

 

独り言を終えてモノアイの展開部分を元に戻し、壁際に寄って床につく。

 

 

 

 

 

 

 

まず、自分の立場から。

 

 

 

 

私が「生まれた」のを確認したのは、ちょうどご主人が目覚められた時。

 

そのときは自分が何なのかさえ「理解」できず、ご主人にご命令を受けた時も

ほかのファングと同じような動きしかできなかった。

 

 

ご主人のファング用コンテナに接続されていれば

ヴェーダとのアクセスが可能だった為、

そこで必要最低限の知識や言語を学習・記憶。喋ることは出来なかったけど

コンテナ内で直に接続されていたためご主人との意思疎通は安易だった。

 

しかし、「外に出たい」と考えてはいたが、一言も述べたつもりはない。

どうしてご主人は私の「感情」に気付かれたのだろう…。

 

 

 

私とご主人の記憶はリンクしているが、あくまでもそれは「記憶」のみ。

その瞬間に考えている事はお互い分からない。

 

 

心理的な言い方をすると、

 

「頭脳」で「覚えて」いる事は分かっても、

「心」で「思って」いる事は何一つ読めないのだ。

 

 

 

あの時ご主人がリンクした記憶を見て私を外に出されたとするなら、

AIの私が持つ「感情」は、所詮ただの「記憶」の一部に過ぎないのだろうか…。

 

 

 

『ではあの時、ご主人のお考えが分からなかったのは…。

ご主人が「感情」をお持ちになっていらしたからなのでしょうか…。』

 

 

 

 

 

ご主人が幻想郷縁起をお読みになっている際、ふと気付かれたのか

阿求さんの書いたご自分の項目をご覧になった。

 

 

そこには、私が記憶している限りこんなことが書いてあった。

 

 

 

 

 

 

 

~~~~憑喪神~~~~

 

 

<外来の異形機械兵器>

アルケーガンダム~ARCHE GUNDAM~

 

 

 

能力:不明

 

危険度:低(通常時)(高{激昂時})

 

人間友好度:不明(※1)

 

主な活動場所:不明(現在)

 

 

 

 

外の世界からやってきたというロボット兵器が変化した憑喪神。

禍々しい身体つきで、長く歪な四肢を持つ。兵器だが戦いを嫌う。

腹に永久機関を持つがあんまり複雑なので割愛。(※2)

 

見た目は機械そのものだが憑喪神なのでしっかり自我がある。

性別は声から察するに男性であると見受けられるが、

判断するものが声以外ない為実質不明である。

 

 

手負いのまま幻想郷に来たようで、本人曰く

「気がつけば左手と右足がなくなっていた」らしい。現在はその姿のままである。

 

 

 

身長が非常に高く、足から頭まで九尺程度あり、

さらに彼の持つ剣(※3)は彼よりも大きく、一丈近くもある。

 

地面に刺さったこの剣を里の人間が総出で引き抜こうとしたが、

ぴくりとも動かなかったらしい。重さもでたらめである。

 

そんなとんでもない代物を彼はいつも背にかけている。

見ているこちらの腰が痛くなってきそうである。

 

 

 

ごくごく最近に現れ、現在は同じ憑喪神の多々良小傘と行動を共にしている。

事あってすでに人里を襲っているが、死者・怪我人は出していない。(※4)

それはあくまで激昂時での行動であり、普段は喋り方はやや荒いが

気さくで温厚、平和的な性格、加えて極めて博識である。

怒らせさえしなければ自然と友好的な関係を築けるだろう。

 

 

~対策~

 

 

本人も能力がわかっていない為、現在のところ目立った対策は無い。

しかし、彼を怒らせるような事はしないほうがいい。戦争嫌いでも兵器である。

特に近くにいる多々良小傘を傷つけるような事をしたら、

必然的にその大きな剣で地面ごと叩き割られる事になる。

 

普段の彼は平和主義で無益な殺生はしない。

仲良くしていた方が何十倍も良いだろう。

 

 

 

 

※1確実に良くなっていっているようである。

※2素人に理解できる内容ではなかった。河童なら分かるのだろうか?

※3切れるようには見えないが、彼の力と合わせて「叩き切る」らしい。怖い。

※4結果的には何もしていない彼らに攻撃した里の住人に負があるので

自業自得かもしれない。

 

 

 

 

 

 

…これをご覧になっているご主人の考えは、何一つ読めなかった。

それは「心」でものを思っているからなのだと思う。

 

 

これを見て、ご主人は何を「考え」られたのか。

何をお「思い」になったのか。

先ほどから、気になって仕方がない。

 

 

 

『…私も、「感情」を抱きたいものです…。…ご主人と、同じ様に…。』

 

 

 

 

 

そのまま、小傘さんが起きて話しかけてくれるまでまどろんでしまったのは内緒。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___<am 7:00>里の入り口付近

 

 

 

 

 

―設定時間になりました。アラームを起動―

 

 

 

ピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピピー

 

 

 

「うォおッ!?」ガバァッ

 

 

ピピピピピピピピピピピ…ピッ

 

―GNW-20000 覚醒を確認―

―アラーム停止―

 

 

 

 

 

……効き目抜群だな、良い意味でも悪い意味でも。

 

 

 

「…怖ェわ、これ。頭に響く…」

ズボッ

カチン

 

 

若干ふらつきながらバスターソードを直し、里に歩いていく。

 

 

 

「寝た気しねェなァ…。さァて、帰るとしますか」

 

 

……ん?

 

 

「妙だな…今一瞬リトルの考えが分かんなかったなァ。

ま、珍しがる事でもねェか。いくらAIでもアイツはアイツなんだからなァ」

 

 

 

 

一人で納得しつつ、里へ帰る。

 

今日は良い天気だがやや雲が見え、時々陽の光をさえぎる。

まァ春は天候が不安定なんだし仕方ねェ。それも風情ってもんだ、多分。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

___<同じころ>稗田家

 

 

 

 

「……ん…ふぁぁ…私いつ寝てたんだろ…。

 

…ん、この布って…アルケーさんの?」

 

 

ガタガタ

 

 

「よいしょ…かなり暖かいなぁこの布。アルケーさんに返しとかないと…

 

あれ?なんだろこれ…すごい上手な字…」

 

 

 

{夕べは遅くまで申し訳なかった。

何か侘びでもしてぇが生憎こちらには金がねぇ。

代わりといっちゃ何だが何か阿求の手伝いがしたい。

何かしら力仕事とかが要りそうな時は呼んでくれ

 

アルケー(楷書体)}

 

 

「………アルケーさんって…何者なんだろ…(微笑)」

 

 

                14話 おわり




もう滅茶苦茶。ひゃァー。


次からまた安定しだすかと。がたがたしたペースですいません…。
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