東方異形機械《トウホウイギョウキカイ》   作:GUM【グム】

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17話 「ただいま」

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺の生き甲斐を邪魔するってんならァ!テメェを切り刻むまでよォ!!」

 

 

 

「……っ!アルくん…わちきが分かってないの…!?」

 

 

 

 

相も変わらない紫色の目で小傘を刃物のように鋭く睨み付けるアルケー。

 

 

小傘はその圧倒的なまでの威圧感の前にたじろぐ。

しかし、アルケーを掴む腕は緩まない。

 

 

 

「離さないよ!絶対に離さない!!」

 

 

 

「戯言をォ…!テメェ一人で俺に勝てるわきゃねェだろォが!!

下らねェ戦いくれェ無駄なモンなんざねェんだよォォォ!!」

 

 

 

常にその狂気による重圧を撒き散らすアルケー。

しかし、今の小傘にはその重圧は通用しなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「(なんだろう…さっきからアルくん、戦い戦いって…。

 

 

 

 

もしかして…

 

 

 

「アルくん」がおかしくなっちゃったんじゃ、ない?)」

 

 

 

 

 

 

ぽつりと浮かんだ、単純な疑問。

しかし、それは小傘にとっては大きな「確信」となった。

 

 

 

 

 

 

「そうか…そうだよ、「アルくん」がこんな酷いことをするわけない」

 

 

 

 

 

 

 

「わちきを守ってくれたアルくんが…」

 

 

 

 

 

「わちきを抱きしめてくれたアルくんが…!」

 

 

 

 

 

 

 

「わちきの頭を撫でてくれるアルくんが…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「わちきの…わちきの大好きなアルくんが!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小傘の目に、もう涙はなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チィッ!何訳わかんねェ事言ってやがる!いい加減離れやがれェ!!」バッ

 

 

 

「きゃあっ!」

 

 

 

 

 

腕を大きく振りかぶり、しがみつく小傘を振り払う。

その動作には一寸の躊躇いもない。

 

 

 

 

 

 

振り払われた小傘は地に踏ん張り、真っ直ぐにアルケーを見つめる。

 

 

 

 

 

 

「…わかったよ、アルくん。待っててね。わちきが今、助けてあげるから!」

 

 

 

 

 

その赤と青の瞳には、涙の代わりに「覚悟」があった。

 

 

 

 

 

 

 

「ケッ!何の話か知らねェが…テメェに何ができるってんだァ!」

 

 

 

 

 

白狼に仕掛けたような、力を込めた蹴りを放つアルケー。

これでダメージを与え、その後相手を甚振るつもりだったのだろう。

 

 

 

 

しかし、その脚は空を切った。

 

 

 

 

 

「あァ!?避けやがったかァ!?」

 

 

 

 

 

 

姿勢の関係からおもむろに空を見上げる。

そこにはふわふわと宙に浮かぶ小傘の姿があった。

 

 

 

 

 

 

 

「黙ってたけど、わちきも空を飛べるんだよ!」

 

 

 

 

 

「へッ!それがどうしたってんだァ!

一回避けただけで勝った気になってんじゃねェぞォ!!」

 

 

 

 

 

アルケーのGNドライヴから赤い粒子が散布され、勢いよく飛び上がる。

 

 

 

「今度こそォ!逃がさねェェェェ!!」

 

 

 

 

飛行しながら小傘目掛けて腕を伸ばす。

しかし小傘の妙な癖のある避け方に翻弄され、腕も脚も触れることはない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

空中に上がって数十分、

 

 

 

 

 

「ちょこまか逃げ回りやがってェ…!!

こうなったら全力でテメェを潰してやらァァァ!!」ガキィンッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

アルケーは痺れを切らし、バスターソードを手に取り、展開した。

ソードの展開部分からは血を訪仏とさせる真っ赤な粒子が漏れ出している。

 

 

 

 

「うぅ…!」

 

 

 

その迫力に思わず身を引きそうになる小傘。

しかし、瞳に宿る「覚悟」は堅く、その身は動かなかった。

 

 

 

 

 

 

 

「これでお陀仏ってなァ!!フハハハハハハハァァ!!」

 

 

 

 

 

 

バスターソードを小傘目掛け大きく振りおろす。

狂った笑い声を上げるその様子は、まさしく異形の怪物。

 

 

 

 

 

 

 

「…今だ!!」

 

 

シュバッ

 

 

 

 

 

 

「んッ…なァァ!?」

 

 

 

 

刹那、小傘は急上昇する。

無論、計画性の欠片もないアルケーの攻撃は当たらない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「傘符……『大粒の涙雨』ッ……!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

「宣言」と共に一枚の紙…スペルカードを取り出す。

 

 

 

 

 

その瞬間、小傘の持つ唐傘から色とりどりの光球「弾幕」が無数に飛び出す。

 

 

 

それはまさしく雨の如くアルケーに降り注いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ…この程度でどうにかなる訳ねェだろうがッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

顔に手をかざし、弾幕を防ぐ。

 

 

 

 

動きは止められたが、ダメージは無いに等しい。

そう考えたアルケーは再びソードを構え、切りかかろうとかざした手をどける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

するとそこには。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんねアルくん!ちょっと痛いかもしれないけど…!!

 

 

 

 

 

 

私も、アルくんを守ること、伝えるよ!!全身全霊で!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

自身の本体である唐傘を大きく振り下ろそうとしている小傘の姿があった。

対象は真上…アルケーの、頭頂部である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な……何ィ………ッ!!?」

 

 

 

 

 

動揺のあまり、防御の構えが一瞬だけ遅れる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く…ク…………!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルくん!お願い…!戻ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「クソッタレがァアアアアアアァァァアァアァァァァァァアァアアアアァ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドッゴオォァァァァァァァァ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

BERSERKER (ALI AL-SAACHEZ) MODE breakdown―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガシャンッ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…   ……

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ン…声…か…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…!…  …!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何か…変な気分だなァ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…ン!……ル…!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺」ァ…何、してたんだっけか…?

 

 

 

 

 

 

 

 

何か急に変な野郎の声が聞こえて……そっから記憶がねェ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…くん! ……!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……あァ、そうだったなァ。

 

まずは最初にゃァ、帰らなきゃならねェな…

 

 

 

 

 

俺の、たったひとつの「居場所」に、なァ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………小傘…………。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え……アル、くん?」

 

 

 

 

 

 

「………ただいま」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…あ……あ………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルくぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!!!」ガバァッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おォ…熱烈な出迎え、有難な」

 

 

 

 

「よかった゛、よ゛かったよぉぉ゛ぉ…いつもの゛アル゛くん゛だよぉ…!」

 

 

 

「俺ァいつでも俺だ…またお前を泣かせちまったな。ご免なァ…」ナデナデ

 

 

 

「う゛ぇぇぇぇぇ゛ぇぇ゛ぇぇぇぇ…………ア゛ルくん…アルくぅん……!」ギューッ

 

 

 

「大丈夫だァ…「俺」は、ここにいるからな…」ギュ…

 

 

 

「うぇえぇぇ……ひっく゛……アルくん……」

 

 

 

「ああ、何だ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……おかえりっ……!」ニコ

 

 

 

「………ああ…ただいま」ニカ

 

 

 

 

 




このアルケー書いてて嫌いになりそうでした(唐突)



あえて私からは何も言わないことにします。


何でって?だって次話が苦しくなるもの…




それでは!
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