東方異形機械《トウホウイギョウキカイ》 作:GUM【グム】
もはや何も言いますまい…ではどうぞ
___<pm 10:30>どこかの森の中
「あー?「俺」ってMSじゃなかったかー?」
とりあえず辺りを見回す。どっかの森か。
その時気づいたが、左手が肩からなくなっていた。
右手は普通にあったが。
しかもなぜかGNバスターソードがソードモード状で装備されている。
「ずいぶんと妙ちくりんなカッコだな…で、ココは?」
しかしうっそうと茂ってんな。視界が悪くて仕方ねぇ。
まァ木に腰かけてるからだろうがな。
…?
「視界」が悪い?
しかも木に腰掛けるぅ?
「…あン?今の俺の全長ってどのくらいだ?
ま、どう考えても縮んでるなァ。この辺の木より小せぇみてェだが…」
何とも今更だが、確かめるために右足を上げて立ち上がろうとした。
が…立てない。
当たり前だ、右足が膝関節の下から無くなってるんだからな。
「あらァ!?」
体重のバランスを崩してハデにコケる。
その時額を強く打っちまった。
…って…
「~~~~~!??!?
痛ェェェェェェェェ~~~!!!!」
何だコレ!?デコが刺されたみてェだぞ!?
MSに感覚ってあるのかァァアアア!?
そうして俺は謎の感覚にしばらく悶絶していた…。
___<pm 11:10>所在地変わらず
「ゼーッ、ゼーッ、ゼーッ…何だったんだよもォ…。」
ようやく落ち着いてきたので、一旦状況整理をする。
「俺の名前は…GNW-20000 アルケーガンダム。
アリー・アル・サーシェス用に製造された特別機体…だったか。
んー…自分の事はこの位しか分かんねぇな。記憶も全くないし…
…ところがギッチョン、なんだこの状況はァ?
どう考えても人なんざ乗れるサイズじゃねぇし、
肝心のサーシェスって奴もいねぇみたいだし、
左手もねぇし右足もねぇし。
あと多分…これ左のアイセンサー死んでるな。何も見えやしねェ。
後ォ、GNドライヴは…」
GNドライヴが正常に動作するか確認してみる。
キュィィィィイイイイイイイインッ
モーターの回転音と共に真っ赤なGN粒子が散布される。
どうやら問題ねェみたいだな。助かった…
「ともかくゥ、何でか知らんが俺はココに来ちまったって事かァ。
GNドライヴとバスターソードがあるから何とかなるだろォ…
…もう今日は寝るかァ…
…寝るって何なんだろうな…?」
未だ分からない奇妙な感覚にとらわれつつも、俺は木の根に頭を乗せ、
GNドライヴの運転を緩和させた。
蟲の声を聞いてるうちに、「意識」がだんだん遠くなっていった。
___<am 6:30>所在地変わらず
「…朝か?ココ薄暗ェからあんま分からねェな…」
GNドライヴを通常動作に設定し、
むくり、と上体を起こす。といっても、俺の場合上体と言えるのか怪しいがな。
とりあえずこの右足をどうにかしねぇとな…。
「んー…なんか手ごろな棒…おっ」
GNドライヴの出力を上げ、ふわふわと宙に浮いた状態で
その辺りをうろうろしてると、真っ直ぐで丈夫そうな枝がある木を見つけた。
「拝借しますよォーッと」
右手で根元からへし折る。なかなか力はあるらしいな。
「これをこうして…と。よし、これでまァ歩けはするだろ」
右足の途中でねじ折れたような膝関節の下部に木の棒をその木に付いていた
これまた丈夫そうなツルで巻きつけ、きつく縛っておいた。
膝関節そのものは問題なく動くため、とりあえずはこれが足の代わりになるだろ。
「あとは左手だが…コイツはどうしようもねェな…。
ファングがあればいいんだが…
……あ、ファング確認してなかったな。どらどら。行けェファング!」
とりあえず意味なく掛け声を言いつつファングを展開してみる。
しかし、出てきたファングは5基だけ。
「ありゃァ、随分減ってるな。まァ、あるだけマシか…。
後はバスターソードか。とりあえず撃ってみっかァ」
右手に接続されたGNバスターソードをライフルモードに展開、
出力をやや下げて太めの木を狙い…発射した。
バシュンッ!
バキィッ
メリメリメリメリィ…ズズゥン
「…発射は可能、威力も十分か。上出来じゃねェの」
ファングを戻し、ソードモードに展開し直してGNドライヴの出力をまた少し下げて足を地に付ける。
んでもって数歩歩いたり走ったりしてみる。よし、問題ねェな。
「いやー、足っていいねェ。俺の足って武器みてェなもんだけど」
しばらく右足(仮)の感覚をつかんだり、左足の爪先ビームサーベルを
パタパタ展開したりと、あまり有意義ではない時間を過ごした。
___<am 10:00>森上空
「…ますます何処なんだか、ここはァ」
そろそろ移動したほうがいいかと思い、GNドライヴの出力をやや高めにし、
さっきまでいた森から垂直に飛び上がってみた。
しかし、よくわからない。
森の前あたりに建物が見えるような気がするが、いかんせん目が片方壊れて見えないためよく認識できない。
「…ま、いいか。気のせいだったらそれはそれでまたウロウロすりゃァいいだろ」
とにかく、その建物と思われる所を目指し、上空を移動し始めた。
___<am 10:30>森の前の「建物」
「…。」
気のせいじゃなかったらしい。
屋根は青い「瓦」で敷き詰められており、
壁は木でできていて「漆くい」が塗られている。
建物の周りには何だかよく分からんものが散乱してやがる。
どうやら東洋風の建物のようだ。つくづくヴェーダってのは偉大なモンだな。
なんでもデータ内にインプットされてる。
ま、今は完全にシャットアウトされてるみてェだが。何となくそう感じる。
しかし…何だよ瓦って。初めて聞いたぞ。自分で言ったのに。
「あん?コレ看板か…。えェとこれは漢字だったな…。
…「こう…りん…どう」って読むのか?
とりあえず入ってみっか…邪魔するぜェー」ガチャ
戸を開ける。このままだと戸の上の壁に顔がぶつかるので
背を曲げながら中に入る。
どうやら俺の身長は220cmぐらいらしい。随分縮んじまったなァオイ。
中には外以上によく分からないものがそこかしこにあり、
なんか薄暗い。しかし、嫌いじゃない雰囲気だ。
物珍しくて中をキョロキョロ見回してると、奥から一人の男が歩いてきた。
眼鏡をかけており、白髪。俺を見て少し驚いたようだ。
そしてやや間があって男が口を開いた。
「…あー、いらっしゃい。
ずいぶんと妙な形の妖怪だねぇ、手負いのようだし。
とりあえず、その武器…かな?それはそこに置いといてもらえると有難いかな」
「…妖怪?何だそりゃァ?」
バスターソードを外し、指差された店の壁に立てかけつつ尋ねてみた。
「おや、そんななりでも喋れるのかい。ますます妙だね。
どうやら君はただの妖怪じゃないみたいだね」
「あー、自分でも妙だとは思うがねェ。てか妖怪じゃねェよ俺は。
…でさァ、アンタ誰だ?」
軽くなった右手で頭を掻きながら男に問いかける。
男は一呼吸置いて、
「森近霖之助。ここの店主だよ」
そう答えた。
1話 おわり
こーりんです。ハイ。なんでこんな滑らかに打ち解けてるんだろうね。
なんともシュールな光景ですね、左手がなくて右足が木の棒のアルケーとこーりんが
話してるって。
ではでは次もお楽しみに~