東方異形機械《トウホウイギョウキカイ》 作:GUM【グム】
___<pm 9:40>どこかの平野
「あぁーびっくりしたぁ…。急に攻撃してくるなんて酷いよぉ…」
「…あァー…すまん、悪かった」
「うん、分かってくれたならいいよ!」
元気いいな。
敵意が全く感じられないのでバスターソードをホルダーに戻す。
改めて少女の外見を確認してみる。
薄い水色の髪をショートカットにしている。
全体的に青と白を基調にした服。
靴は履かず、素足に日本の履物「
特徴的なのは左目と、肩に担いだ大きな傘だ。
この少女の全体的な印象が青なのに対し、左目だけが赤い。
たしかこの目の形状を…「オッドアイ」って言うんだったか。
傘は少女の背丈ほどあり、
奇妙なことに大きな一つの「目」と「舌」が出ていた。
…コ、コレが妖怪なのか…
「ところで…あなたはだぁれ?」
「あ、名乗んの忘れてたなァ。
俺ァアルケーガンダム。…外の世界から来た「兵器」だァ」
もうこの際、兵器だという事を積極的にさらけ出すことにした。
どうせこの娘も怖がるに決まっt「兵器!?すごーいカッコいいー!!」
…は?
「兵器って戦うためのものなんでしょ?カッコいいよ!」
「…嬢ちゃん、「戦う」ってのがどんなことか分かるか?」
「うん。「誰かを守るために身を犠牲にする事」でしょ?」
「なッ…!?」
「誰かを守るために身を犠牲にする」?
どうやったらそんな解釈ができんだァ?
…いや、一途に否定も出来ねェかもな。
その考え方は貴重な意見として覚えておこうか。
「…ハッハ…この俺がカッコいいねェ…」
「うん!凄くカッコいい!」
誰かに認められるってのァこういうことか?
妙な感覚だが…悪くねェ。むしろ心地いいな。
「そうかィ…そんでもって、嬢ちゃんは何ていうんだ?」」
「あ、まだ言ってなかったね。わちきは
「傘」の妖怪だよ。いわゆる「唐傘お化け」ってやつだね」
「あん?妖怪ィ?
どうみても可愛い女の子じゃねェの」
「可愛いだなんてそんな…きゃー///」
しまった、うっかり変なこと言っちまった。
「言葉の綾だァ。それよりどこに妖怪の要素があんだよ」
「ぶー…やっぱりさでずむだー。
この傘はわちきの身体の一部なの。
目も動くし舌も伸びるよ」
「うん、舌はさっきからうねうね動いてるから分かる。
つまり小傘が初めて会った妖怪ってっことか」
「ほえ?そうなの?」
「あァ。さっきまで博麗の神社にいたからなァ」
「うー…あそこの巫女はきらい。さでずむだもん」
「…さっきから気になってんだが、その「さでずむ」ってのは何だ」
「うー、ひどい事をしたり言ったりする人や妖怪のことだよぉー」
「成程ねェ…俺は人でも妖怪でもねェが…」
「よく考えたら…アルケーさんだっけ?
アルケーさんは何なの?ごめんね変な言い方しちゃって」
「そうだなァ…分かりやすく一言で言うと「ロボット」だなァ。
あとアルケーなんて言いにくいだろォ、好きなように呼んでくれて構わねェぜ」
「じゃあ…アルくん!
ロボットだなんて…河童が喜びそうだねぇ」
アル君て。
いや、別にいいんだけどよォ。
「とにかくここでいるのも何だし、どこか明るいところに行こう?」
「確かに暗ェしな」
「あとー…妖怪が怖いしー…」
「場合によっちゃァちゃんと守ってやるから安心しろォ」
「えっ………あ、うん……。お願いしま、す…///」
「?」
小傘の顔が赤い。
なんか変な事言ったか?俺。
ちょっとした疑問を抱きつつ、俺は小傘に着いていった。
___<pm10:30>山の麓の小屋
「…あ、ココなんかいいんじゃないかな?」
木材で簡易的に建てられた小さい小屋。
狭いって程ではない。
「見たところ誰もいねェな。
じゃァ入るか…」
「うん」
ガチャ
ギィィィィ…
「…それ程汚れてはねェな、大丈夫だろ。先入れ、小傘」
「ありがと。お邪魔しまーす」
「邪魔するぜっと…よいしょ」
頭をぶつけないようにかがみながら入る。
「えっと明かりは…あ、カンテラがある。
油は…入ってるね。火ないかな…」
カンテラ?ランプのことか。
「ちょっと貸してみな」
「あ、うん。どうするの?」
「やれるかどうか分かんねェが…そらよっと」
ファングを1基出し、最小レベルの大体1mm前後のビームサーベルを構成。
ランプの油にビームを接触させ、火をつけることに成功した。
ボゥッ
オレンジ色の火の灯りが小屋をぼんやり照らす。
こうこうと燃える火を確認し、ファングを戻した。
「アルくんすごーい!どうやったの今の?」
「…また今度な」
「ほぇ?今度?今度っていつ?」
「あー…言いにくいんだがよォ、
俺と一緒に来てくれねェか?
正直見ず知らずの
「…え。
え…ええぇぇぇぇ!?」
凄い驚かれた。
当たり前か。
「やっぱ駄目かねェ」
「い、いやいや!わちきは全然いいよ!?
ただこういうのに慣れてなくて…!
ほら、わちきってお化けだからさ、
そういう事言われたことなくてさ!
…必要とされたこと、あんましなかったからさ…」
さっきまでテンパっていたが、急に悲しげな声に切り替わった。
「わちき…もともとは捨てられた傘でね…
何日も何日も風に飛ばされてるうちに妖怪になったんだ。
そう思うと悔しくて…悲しくて…泣きそうになっちゃうの。
でも泣きたくないから明るく振る舞ってて…
でも、それでもやっぱり偶に泣いちゃう…。
アルくんと会う前も、わちきあの木の下で泣いてたの…
でも、アルくんが驚かしてくれたおかげで、泣き止めたの」
「…」
涙目になりつつ、一言一言を一生懸命話す小傘。
何故か自分を見てるようだった。
「初めてだった。わちきがほかの何かに影響されて泣き止んだの。
それまでは泣き疲れるまで泣いて…。
辛かった。胸が苦しかった。でも今は違うの。
誰かに…アルくんに必要とされたから」
「小傘……」
「勝手に湿っぽい話してごめんね?でも言いたかったから…」
ギュッ
「ふぇっ!?あ、アルくん!?」
無意識に、小傘を抱き寄せていた。
柄じゃないなんて分かってる。しかし、身体が勝手に動いていた。
この娘、心なしか俺に似ている。
どこがどう似てるのか、という説明は俺にはできない。
今の俺にはどう説明すればいいのか分からないからだ。
…ただ、俺は単純にこう思った。
『小傘を守ってやりたい』と。
そんなの俺の自己満足に過ぎねェかも知れない。
ただ、コレは俺の「本心」だ。
「小傘…小傘ァッ……!」
俺に人間らしい器官があるなら、目から涙が出てたんだろうな。
「…ヒグッ…アル…くんッ…………!!うぇぇぇぇえええ………!!」
その夜、俺は小傘が泣き疲れて寝るまで抱き合っていた。
もうこの泣き顔は見たくねェモンだ。
…しかし、寝言で時々妙な言葉が聞こえたんだがそれが気がかりだな…。
何か「アルくん…好き…」とか言ってたような。
どういう意味だァ…?
5話 おわり
爆発したまえ。
ちなみにアルケーは朴念仁です。それだけで最後らへんの
話の流れは理解できるかと…