東方異形機械《トウホウイギョウキカイ》 作:GUM【グム】
ここでの「Live」は「生きる」という意味にしてます。強引だな。
___<pm 12:20>人里
「…お前らいつまで寝てんだァ、ほら起きろ」
ポフポフ
「む?……わちきいつの間に寝て……あ、アルくん!起きてたんだ!」
「あァ、大体30分前くらいになァ。
そんでよォ、なんでこの子がココに居んだ?」
「スー…スー…」
まだ俺にしがみついて眠っている、茶髪のおかっぱ頭の少女。
まだ小さいな…。俺はこの子を殺しかけたのか…。
GNドライヴの数が違うからTRANS-AMが安定してねェのか…?
とにかくしばらくは起動を控えたほうがいいな…。
「ああ、その子はすばめちゃんって言うの。
何だかアルくんになついちゃったみたい」
「すばめか…。…はァ?懐いたァ?殺そうとした奴にかァ?」
「すばめちゃんに聞いたよ。アルくん、すばめちゃんに
「死なせないから」って言ったんだよね?」
「さァな…何せ記憶が曖昧なもんで…
あー……確か言ったようなァ……」
「…うん、言ったよ。妖怪さん」
「お?」
いつの間にか、すばめが起きていた。
「あ、おはようすばめちゃん。ぐっすり寝てたね」
「うん。妖怪さん、あったかいから」
「俺ァ妖怪さんじゃねェぞ、アルケーガンダムっていう名前がある」
「………ある、けー?」
「難しいならわちきみたいにアルくんって呼べばいいよ」
えェー。
いや、いいけどよォ…
「…アルくん…アル?」
「わ、呼び捨て。いいんじゃないかな?」
「呼びたいように呼んでくれて構わねェよ。
そんで…すばめ?いつまで俺に引っ付いてんだ?」
「…もうちょっと、このまま」ギュゥ
「あー…まァいいか」
「…いいなー(ボソッ」
さっきよりきつく抱きついてきた。寒いのか?
というか今の俺には体温もあるのか…?
というか腹減ったなー。何か摂食してェな…。
結局、すばめは小1時間ほど俺にくっついていた。
仕方ないのでそのままにしておき、すばめのことについて詳しく聞いた。
両親と死別していること、村の子から虐めに近いからかいをされたこと…
そして、初めて頭を撫でた(らしい)俺に好意を寄せたこと。
好意ねェ…こればっかりは本当に何も知らねェ。
ヴェーダの情報にもない。
「好意」って…何だろうなァ?
まァ、それが俺に向けられてるモンならいつか気付くだろ…。
しかし、すばめが懐いてくれて良かったのかもな。
トラウマを植えつけてなきゃァいいが…。
もしトラウマになってたら…俺ァこの子の顔を見ることすら許されねェ…。
___<pm 13:30>人里
__元空家(現アルケーと小傘の仮家):客間?
「こ、この度は誠に失礼なことを…」
「建前はいい。俺ァどう落とし前つけんだって聞いてんだよォ」
「うっ…も、申し訳ありません…」
「…アルくん、まだ怒ってるの?この人たちも反省してるし…」
「反省してるのは見たら分かる。ただ、謝るだけじゃ気に食わねェって話だァ。
もちろん、全面的に俺が悪い。そんなのァ分かってる。
ただ、小傘まで怪我するかもしれなかったんだァ。
最悪、すばめを殺すことになっちまったかもしれねェ。
その場合は俺が責任を取るんだがな…。」
「そ、そうだけどさ…」
「怒ったアル、やっぱりちょっと怖い…」
「あ…す、すばめちゃん…。大丈夫?」
「うん、大丈夫。
あのアルも、今はかっこよく見えるから」
「…ぅ……うん…そう…」
「…ど、どうすればお許しになられますでしょうか…?」
「…そういうのは自分らで考えるもんだと思うがねェ…。
そうだなン…じゃァ、今から…」
「い、今から…?」
「飯作ってくれェ。
腹が減ってしょうがねェ」グゥゥゥゥゥ
「へ…め…めし?
つまり料理を持ってこれば…許していただけると?」
「あァ、許すゥ。
そうだなァ…とびきり美味ェ
「……わ、分かりました!おい!蕎麦屋に行って作らせてこい!美味いのでな!」
ドタドタドタ…
「…アルくん、蕎麦なんかでよかったの?」
「俺にとって「食」は特別なもんだァ、それにかかりゃァ
あいつらの罪なんてこのレベルだろ、全員自分らの罪を痛感してるみてェだったし」
「やっぱり、アルは優しいんだ」
「優しくねェよ、現状でのケジメをつけただけだ」
「…わちきも、アルくんは優しいと思うよ」
「気のせい気のせいィ」
「………ん」スリ
「あん?どうした?急にすり寄ってきて」
「アルのあったかさ、くせになる」スリスリ
「そうかい、好きにしろォ」
「…むー…」
「…?どうした小傘?」
「何でもないー…!」プクー
「…?」
「んー……アルぅ…」スリスリ
__「お待たせしました!里で一番うまい蕎麦屋の作った4人分の特盛りかけ蕎麦です!」
「ほー、これが蕎麦か。じゃァ頂くぜ。
すばめ、ちょっとどいてな」
「わかった」
パキッ
箸を上手く使えるかどうか分からんが…確かこう持つんだったな。
まずは「出汁」と呼ばれるスープの匂いを無いはずの鼻で嗅ぐ。
…?よく分からんな。
データ上では「
海洋植物の「
こんなものでスープがとれるのか?
とりあえず…飲んでみるか。
ズズッ
「…!!」
ほのかに香るさきほどの出汁。
醤油といい感じに混ざり合い、お互いを引き立てあっている。
口の中にじんわりと染み渡ってゆくようだ。
なるほど…美味ェ。
今度は蕎麦を箸でつかみ、啜る。
ズズーッ
ズーッ
「「「「「「何処ですすった!?!?」」」」」」
どこでどこにどうやって啜ってるのかは俺にもわからない。
だが、今はそんなことはどうでもいい。重要なことじゃない。
口の中の蕎麦を咀嚼する。歯なんぞないが。
モグモグ
「…」
シコシコとしたやや弾力のある歯ごたえ。
出汁をほどほどに吸い、それでいて蕎麦の味がしっかりとする。
長すぎず、短すぎず。ちょうどいい長さに切られており、食べやすい。
そして、個人的に気に入ったのが「葉葱」。
「薬味」と呼ばれるらしい。
蕎麦と反対の歯ごたえがあり、いいアクセントだ。
…?
何だァ、どいつもこいつも俺を見て。
あァ、確か美味かったら許すって言ったんだったな…。
「最高に美味ェ。こっちが許してほしくなるレベルだァ」ズズーッ
ワァァァァァァァァァァーー!!
ヤッター!!
「!?」ズズッ
な、何だァ?
「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!ありがとうございます!!」
「い、いや…こっちこそ有難うなァ…」
「いえいえ!もったいないお言葉です!!」
「そ、そうかィ…」
「そ、それでは私らは失礼させてもらってよろしいですか!?」
「あァ、構わねェが…」
「ありがとうございます!それでは失礼します!!」
何だアイツら…皆あっちゅゥ間に帰っていったぞ。
それにしてもアイツら…俺が本気で許さないとでも思ってたのか…?
本来許してもらう立場なのは俺なのによォ…。
…
「…あの、アルくん…おそば、一口もらえない、かな…?」モジモジ
「あん?別にいいが?」ズーッ
なんでこんなくねくねしてんだコイツ。
なーんか見たことあるような…
「じ…じゃあ……
あ……あーん♥」
「…?」
小傘が口を開けて俺の方を向いた。
要約すると「食べさせてくれ」ってことなのか…?
なんとなく不安だったが待たせるわけにもいかん。
蕎麦を一口分箸でつかみ、小傘の口に近づけた。
もうそこまで熱くはないはず。
「んー…///
ぱくっ。もぐもぐ…」
「美味ェだろォ。
この蕎麦気に入ったぜ」
「…おいしい…。
…アルくんのお箸(ボソ」
「だろォ。またここの店行こうかねェ。
あ、俺金ねェやー」
「………」カッカッ
「…?オイ、いつまで箸噛んでんだ?」
「…あっ!ごめんね!ボーっとしちゃって…!!」
「いや、構わねェが…調子悪いのか?」
「い、いやいや!何でもないよ!」
「そうか。
あーぬるくなっても美味ェー」ズルズル
「か…間接…キ………はわわ///」
「……傘のお姉ちゃんも、アルのこと好き?」
「えっ!?い、いや私は…」
「じー」
「うっ…………だ、大好き……かな///」
「じゃあ、いっしょだね」ニコッ
「…うん、一緒だよ。
でもアルくんは渡さないよ!」ニコッ
「…負けない」フンス
「仲いいなァアイツら…ズズーッ
…ふィ、ごっそうさん」コトッ
7話 おわり
蕎麦は偉大なり。
ベタ惚れって素敵ですよね。