よっちゃんがいけない!   作:梨善

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よしりこお泊まりおめでとうございます!


その3

「えー、っと・・・?よっちゃん?」

「何かしら?」

 

ある日の深夜。

私はよっちゃんからお泊まりしないか?と誘われ、沼津のよっちゃんの家にお邪魔していた。

 

今、彼女の部屋に置かれているのはビデオカメラにノートパソコン。

私たちはその前に立たされている。そして恰好なのだが・・・。

 

「な、なんでこれを・・・」

 

以前よっちゃんがAqoursに入る少し前に、堕天アイドルとして一声上げようとした時のゴスロリ調の衣装だ。

 

「だって放送するのよ。当たり前じゃない」

 

よっちゃんもいつものゴスロリに黒い羽と輪っかを頭につけていた。

 

「放送は分かるよ?でもなんで私まで・・・」

「たまには刺激って必要じゃない。だからリリーはゲストよ」

「えー!?」

「リリーは最初にそれを読めばいいから。それじゃ、スタートっと」

「ま、待って!」

 

私の声は届かず、パソコンには『放送を開始します』と表示された。

一応まだカメラには映らない位置にいるため、よっちゃんが渡した紙を広げる。

 

「いい?リトルデーモン。今日は私の上級リトルデーモンをこの下界に召喚したわ。ふふっ♡そう慌てないで、リトルデーモン♡」

 

パソコンの画面に流れていくコメントを読みながらよっちゃんは視聴者を焦らす。

 

ごめんなさい。こんな地味なのが出るんです。・・・ん?コメントが流れてる、ということは沢山の人が見ているってこと?

 

少し画面を覗くと、視聴者数は結構多くて、もう少しで3桁に届こうとしていた。

 

嘘・・・、でしょ・・・?

 

「来なさい!上級リトルデーモン、リリー!」

 

私の出番が来たようだ。

だけど。

 

「む、むりぃ!!」

「はぁ!?」

 

するとよっちゃんはがっしり、と私の腕を掴み、グイグイ引っ張る。

 

「こ、この・・・!ヨハネの令に背くとは・・・。いいから来なさいリリー!」

「む、無理だよ!恥ずかしいし、私地味だから!」

「そんなこと関係ないの!せっかく会場を温めたのに!」

「いつものステージだと冷えるのにぃ・・・。なんでこんな時ばっかり・・・」

「やかましいわい!」

 

よっちゃんは私を力でカメラの前に立たせた。

 

「うぅ・・・」

 

恥ずかしくてモジモジしていると、よっちゃんが耳元で囁く。

 

「ほら、さっきの紙読んで」

「・・・うん・・・。でも、たくさんの人に見られて、恥ずかしすぎるよ・・・」

「気にしないの。・・・さあ、リトルデーモンリリー。まずは自己紹介をなさい!」

「は、はい!よ、ヨハネ様のリトルデーモンリリー。まだこの下界に降りて日の浅いデーモン・・・?」

 

渡された紙を読み上げていきながら、段々と文章が不穏な空気を帯びていく。

 

「え?私が魅力的すぎる?・・・って!よっちゃん!なんなのこれ!」

 

流石にこれ以上は恥ずかしくて読めない。

羞恥心が限界になった私はよっちゃんを問いただす。

 

「ヨハネ!最後まで読みなさいよ!それに棒読みすぎ!」

「知らないよ!こんなの読めるわけないよ!」

 

書いてある内容の続きなのだが、『愚か者♡貴方たちはヨハネ様のリトルデーモンでしょう?だけど、どうしても、と言うのなら私専用の奴隷にしてあげてもいいわ♡リリーの罪の口付け、味わってみる?♡』と、とても読めたものじゃない。

 

「いいから読むの!リトルデーモンリリー!」

「リトルデーモンになった覚えなんてないのに!」

「だぁーっ!もう!1度切るわ、リトルデーモン!」

 

よっちゃんがそう言うとパソコンの画面に『放送を終了しました』と文字が表示された。

 

「はー。よく考えたらリリーがこんなセリフ言えるわけないわよね」

 

よっちゃんは肩を落としながら呟く。

 

「むっ。その通りだけど納得いかない」

「だったらちゃんとやりなさいよー。あーあ。コメント数凄かったのに」

 

よっちゃんは今の放送で書き込まれたコメントを遡りながら読んでいく。

 

確かにコメント数が1000を超えていた。

 

「はぁ・・・。もったいないことしたなー」

 

よっちゃんは机に突っ伏し、グチグチ言っている。

そんな姿を見るとなんだか申し訳ない気持ちが溢れてくる。

 

「なんかごめんね・・・?」

「もういいわよ・・・。・・・ん?そうだわ!」

 

よっちゃんは立ち上がると嬉々とした表情で大声をあげる。

 

「リリーはこのまま待ってて!すぐ帰ってくるわ!」

「え?・・・えぇっ!?」

 

よっちゃんは堕天使衣装のままどこかへ飛び出して行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

部屋に1人残された私はよっちゃんの部屋にある漫画を読んでいた。

よっちゃんの部屋にある漫画は男の子が好きそうなバトルものばかりで、時折口にするセリフはこれらの影響だと一瞬で判断できる。

 

「はぁ・・・。遅いなぁ・・・」

 

漫画を閉じ、時計を見るとよっちゃんが出て行ってもう30分ほど経つ。

 

1冊読み終わり、次の巻に手を伸ばそうとしたその時だった。

 

「待たせたわね!」

 

バン!と荒々しく扉を開いた。ようやくよっちゃんが帰ってきた。

 

「ひっ!・・・どこ行ってたの?」

「曜の家よ!さあ、リリー!これに着替えるのです!」

「は、はぁ・・・?」

 

よっちゃんは紙袋を突き出し、私に押し付けるように渡すと、部屋から出て行った。

 

「着替えたら呼びなさいよ」

 

扉越しによっちゃんはそう言う。

 

・・・きっと、今着ているものよりはまともなはず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「き、着替えたよ・・・」

 

扉を開け、よっちゃんを呼ぶ。

 

「流石リリー!やっぱり似合ってる!」

 

よっちゃんが持ってきたのはこの前のユニット、Guilty Kissの撮影で着た衣装だ。あのパッツパッツのスパッツの。

 

「どうしてこれを?私としてはそこまで恥ずかしくないからいいけど、堕天使とは程遠いよ?」

「その衣装のリリー、かっこいいし」

「・・・もう、おだてて」

 

そんなにまっすぐ見られながら言われると、顔が赤くなってしまう。

 

「じゃあ、それでもう1回枠を開くから」

 

半分自暴自棄になりつつも、大人しくよっちゃんに付き合うことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クククッ・・・。計画通り・・・。

 

リリーはあの衣装を着ると普段の恥ずかしがり屋の顔が形を潜め、見事に堕天する。

 

この勝負、ヨハネの勝ちだわ!

 

あとは生放送を再開して心行くまで堕天放送を行えば・・・。

歴史に残ること間違いなしね!

 

おっと、生放送が始まったわね。

じゃあ、いつも通りに、っと。

 

「待たせたわね、リトルデーモンたち」

 

放送が始まるとあっという間に視聴者が100人近くまでやってくる。

それと同時に画面には私とリリーを待ち望む声。

 

ふふっ。本当にいいリトルデーモンたちだわ。

 

「焦ることはないのよ、リトルデーモン。さっきは不意に終焉がきたけれど、仕切り直してもいいかしら?」

 

コメントには了承するものが多く流れる。

 

「ありがとう。リリー!来なさい!」

 

リリーはさっきとはうって変わり、堂々とカメラの前に立つ。

 

「先程はごめんなさい。改めて自己紹介をするわ。ヨハネ様の上級リトルデーモン、リリー。リリーの罪の口付けの虜になるのは誰かしら?」

 

あ、あれ?そんなセリフ書いたっけ・・・。ま、まあいいわ!現にウケもいい!

 

「あら?まだ何もしていないのに私の虜になったリトルデーモンが多いようね?愚か者♡貴方たちはヨハネ様のリトルデーモンなのでしょう?私に現を抜かしている暇などないわ。でも、どうしてもと言うなら・・・」

 

どうしても?

な、なんなの?

 

「特別にリリーの下僕にしてあげる♡」

 

リリーは立てた人差し指を唇にあて、挑発するようにウィンクする。

 

その瞬間。圧倒的コメント弾幕で画面が埋め尽くされる。

 

こ、これがリミッターを外したリリーの真の力・・・。なんて強力なの!?

 

「あら?どうかしましたか、ヨハネ様」

「ひぅっ!?」

 

ただ役になりきったリリーに声をかけられただけだと言うのに何故か肩が跳ねた。それに変な汗が背中を伝う。

 

な、なんなの?このヨハネが恐れているというの?

 

「怯えたような顔をして・・・。大丈夫ですか?」

「な、何でもないわ!」

「・・・いいえ。少し失礼します」

 

そう言うとリリーは私の顔をじっ、と見つめる。

 

・・・こうして見るとリリーの顔って本当に綺麗・・・。じゃなくて!

 

「やっぱり顔が赤い。少し動悸も激しい・・・」

「うにゃぁ!?」

 

リリーは私の額に自分の額をくっつける。

 

「いけないわ!熱が!このリリー、全身全霊を持ってヨハネ様の介抱をいたします!」

「い、いいわよ!」

「ダメです!」

 

リリーは私を完全に狙った獲物のような目で見ていた。

 

このままではヤバい。

私の身もだし、なによりポルノ的に。

 

「安心してください、ヨハネ様。私が良くしてあげます♡体の隅々まで、ね♡」

「だぁぁぁぁぁぁああああああ!!」

 

私は全力でリリーを押し退け、放送を終了させる。

 

「もう!何をするんですか!」

 

放送が終わってもリリーはスイッチが入ったままだ。

 

「リリー!終わったから!」

「終わってません!」

「おわぁっ!?」

 

リリーは私をベッドの上に押し倒す。

 

ヤバい!本格的にヤバい!

 

「ちょっ!?冗談じゃすまないわよ!」

「大丈夫です♡すぐに気持ちよくなりますから♡」

「趣旨変わってるじゃない!?こ、この!堕天流奥義!堕天召雷覇!!」

 

これは堕天を極めた者のみ扱える一撃必殺の雷刀。

ようするに、チョップよ。

 

それをリリーの頭に当てる。

 

「痛っ!?・・・もう、何するのよっちゃん!」

「も、戻った?」

「え?何が?ていうか、なんで私よっちゃんの上に!?」

 

正気に戻ったリリーは顔を真っ赤にして慌てて飛び退く。

なんとか危機は乗り切ったようだ。

 

「そ、それより放送は?」

 

私はのんびり起き上がる。

 

「何言ってるの。リリーが暴走し始めたから止めたわよ」

「え?どういうこと?」

「覚えてないの?」

「う、うん・・・」

 

・・・これは面白いことができそうね・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「な、なにこれー!!」

 

リリーは画面を見ながら大声をあげる。

その後ろで私は必死に笑いをこらえて、その様子を見ている。

 

「こ、これ本当に私・・・?」

「そ、そうよ・・・。くっ、くくっ・・・。凄かったわよ・・・」

 

何を見せているのかというと、さっきの生放送のアーカイブだ。

 

「どう?これがリリーの真の姿なのよ!」

「う、嘘だよ・・・」

「本当よ」

「うっ・・・うぅ・・・」

 

おや?リリーのようすが・・・。

 

「よっちゃんがいけない!」

「なんでよ!?」




来月のG'sマガジン楽しみですねー。
よしりこが尊い。
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