7月。
この月はAqoursメンバー、いや、私にとって大事な月だ。
7月の13日。
この日は仲良しの後輩、よっちゃんの誕生日なのだから。
「うーん。善子ちゃん、どんなの貰ったら喜んでくれるかなー?」
学校の休憩時間。いつものように私と千歌ちゃんと曜ちゃんは机を囲んでおしゃべりしていた。
そんな千歌ちゃんが机に突っ伏して唸っている。
「梨子ちゃん、善子ちゃんと仲良しでしょ?何かいい案無い?」
千歌ちゃんは子犬のような目で私を見て、助けを乞う。
「私に聞いても意味無いよ。千歌ちゃんが自分で選んだものじゃないとよっちゃんも喜んでくれないよ」
「うっ・・・。そうかもしれないけど、浮かばないんだもん!よーちゃんはどう?」
「私も決まってないであります!」
ビシッ!と敬礼をする曜ちゃん。
それは自信満々に言うセリフじゃないと思う・・・。
「よーちゃんもかー!梨子ちゃぁん・・・」
やっぱり千歌ちゃんは私から案を聞き出したいようだ。
「だーめ。ちなみに私はもう決めてるよ」
「流石梨子ちゃん。上級リトルデーモンは伊達じゃないね!」
曜ちゃんがよく分からない煽て方をする。
「リトルデーモンになった覚えはないよぉ。とにかくまだ1週間はあるからゆっくり決めるといいと思うよ」
2人は難しい顔をして考え始めるのだった。
「全く!なんでヨハネが掃除しないといけないのよ!今日はヨハネの降臨祭なのよ!」
むきーっ!と怒りながらよっちゃんは部室の後片付けをしていた。
「仕方ないよ。ジャンケンで負けちゃったんだから」
今私たちはよっちゃんのお誕生日会の後片付けをしている。
「なんであの時、ヨハネはチョキを出してしまったのかしら・・・。リリーと私以外みんなグーだったのは世界の陰謀だったというの!?」
私とよっちゃんはジャンケンで負け、2人で片付けることになっていた。
「そんなわけないよ・・・。ほら、早く片付けちゃおう?」
「分かってるわよー。これ、そっち」
よっちゃんはキレイな紙皿を私に渡す。
「私が食べたものや汚れた方を片付けようか?」
「いいわよ。どっちも変わらないわ。と、こんなものね。あ、そうだ。リリーに貰ったプレゼント開けてもいい?」
よっちゃんは目を輝かせながら私の渡した手のひらサイズの小さな箱を取り出す。
「い、いいけどあまり期待しないでね・・・?」
「リリーに貰ったものならなんでも嬉しいわ!」
「そ、そうなんだ・・・。なら、いいよ・・・?」
「ホント!?では早速!」
目の前でプレゼントを開けられるって言うのは存外恥ずかしいものだと知らされた。でも、嬉しそうなよっちゃんが見れるならこの恥ずかしさも悪くはないかも・・・。
「おお・・・。これは・・・!」
「どう、かな?よっちゃんに似合うかなって思って選んだんだけど・・・」
私が渡したのは月のネックレス。よっちゃんは堕天使を自称しているだけあって夜のイメージが強い。沼津の小物屋さんでこれを見つけた時にピン、ときて選んだ物だ。
「すっごく可愛い!これ、付けて!」
よっちゃんははしゃぎながらネックレスを私に渡して、振り返る。
「はいはい。じゃあ、少し髪上げて」
「ん」
髪を上げて覗かせたよっちゃんのうなじは白く、とても綺麗で。思わず生唾を飲み込んでしまった。
って!なにそんな変態みたいなこと考えて・・・!
「リリー?まだー?」
よっちゃんの声でハッ、とした私は顔を振り、ネックレスをかけてあげる。
「はい、かけたよ。・・・うん!とっても似合ってる!」
やっぱり見立て通りにそのネックレスはよっちゃんに似合っていた。
「えへへ。リリー、ありがと!」
「うん!さ、行こっ。みんな待ってるよ」
「・・・待ってる?」
私の言葉によっちゃんは首を傾げる。
「ふふっ。行けば分かるよ」
外では鞠莉さんの用意した車が待っていて、お誕生日会の二次会が始まる。
よっちゃんがどんな反応するか楽しみだ。
「よっちゃん、早くしないといけないよ!」
やっぱりこの2人だったんだよなぁ・・・。