よっちゃんがいけない!   作:梨善

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今回も私の自己満です。
よろしくお願いします。


その7

「リリー!」

 

ああ、またあの堕天使がニッコリした笑顔で私のことを呼んでる。

 

「何?よっちゃん」

 

私はあまり彼女の好奇心に触れないように素っ気ない感じで応える。

 

「ねぇねぇ、リリー。今日は放課後空いてる?」

「放課後?えーっと、特に何も無いかな」

 

その答えを聞くとよっちゃんはさらに笑顔を輝かせる。

 

「じゃあ、今日泊まりに行っていい!?」

 

唐突な申し出に少しびっくりする。

 

「随分急だね・・・。私は大丈夫だけど・・・」

「ホント!?わーい!」

 

1人で盛り上がっている善子ちゃん。私はOKを出したのだが、お母さんの許可は貰っていない。

 

「ま、待って。お母さんの許可を貰ってないから」

「ああ。それなら大丈夫よ」

「へ?」

「ま・・・、じゃなくてお母さんに頼んでリリーのお母さんに聞いてもらってOK貰ってるから」

「えぇ・・・」

 

どうやら計画的犯行だったようだ。

 

「だから今朝、朝練の時に荷物が多かったのね・・・」

「おっ泊まり♪リリーとお泊まりー♪」

 

喜んでいるのは十分に分かったけど、まだお昼休みなのだからいくらなんでも早すぎる。

・・・けど楽しみなのは私も同じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後、一緒にバスに乗って私の家に。

玄関を開けるなりよっちゃんは楽しそうな声でお邪魔しまーす!と挨拶をする。

 

「おかえりなさい。善子ちゃんもいらっしゃい」

 

お母さんがエプロン姿のまま出迎えてくれた。

いい匂いもしているし、夕飯がもう少しで出来上がる頃かもしれない。

 

「はい!急な申し出に応えてもらってありがとうございます」

「あら。かしこまらなくてもいいのに。いつも梨子がお世話になって」

「いえいえ。梨子先輩にはよく面倒を見てもらってとても感謝してます!」

 

丁寧な挨拶をするよっちゃん。

基本的には善い子なのでこういう時は堕天使が一切顔を出さない。

借りてきた猫は大人しいかもしれないが、借りてきた堕天使はただの礼儀の善い子だ。

 

「うふふ。そうなのね。自分の家だと思ってゆっくりしていってね」

「はい!」

 

なんというかよっちゃんは未だに分からないことばかりで困ってしまうのも本音だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、よっちゃん」

「何よ」

「寝ないの?」

 

夜もだいぶ深まり、眠気がじわじわ押し寄せて来るが、よっちゃんは寝ようとする気配がない。

 

「明日も学校だよ・・・。お布団持ってくるからもう寝よ?」

「だめ。あと少しだけ」

 

と、このように断固として寝ようとしないのだ。

 

「もう・・・。私は寝るよ?」

「だめよ。それは絶対にだめ」

「なんでぇ・・・」

 

もう少しで日付が変わるって言うのに・・・。

 

「もう少し。そろそろ・・・」

 

頻りに時計を気に始めるよっちゃん。

一体どうしたというのだろう。

 

「よし。リリー」

「なぁに?」

「誕生日おめでとう!」

「ふぇ?」

 

誕生日。そう言われてカレンダーを確認すると9月19日になっていた。

 

「あ、本当だ・・・。最近忙しくて忘れてた」

「いつも遊んでくれるし、付き合ってくれるリリーだから1番に言いたかったの。それにほら」

 

よっちゃんは自分のスマホを私に見せる。

 

「みんな、同じなのよ」

 

画面に写っているのはAqoursのグループチャット。みんな私へ誕生日おめでとう、とメッセージを送っている。

 

「そっか。そうなんだ。嬉しい・・・」

 

今までこんな風に仲良くなった友達もいなくて初めてお祝いをされた。

あまりの嬉しさに涙が出そうになる。

 

「ちょっ。泣くことないじゃないのよ」

「ごめん・・・。けど・・・」

「もう。世話の焼ける先輩ね」

 

そう言ってよっちゃんは私を抱きしめる。

 

「よ、よっちゃん!?」

「産まれてきてくれて。私と出逢ってくれてありがとう」

「・・・うん。うん!」

 

少し恥ずかしいけど今はこの嬉しさと、温かさに身を委ねることにしよう。

今日だけは許されるでしょ?

 

よっちゃんが。みんながいけない!




誕生日のお祝いは大事なんです。
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