いつもみたいな~詐欺じゃなくてマジで
「メイ、でいいかしら?これからよろしくね」
「はい、セリカ様」
「あら、様は無くてもいいのよ?」
「うーん……なんていうかお姫様みたいな雰囲気があるので、自然に着いちゃううんですよ……ダメですか?」
「あんまり様付けで呼ばれることはないから少しむず痒い所はあるけど、貴女が呼びやすいならそれでいいわ」
セリカとメイは最初からいい雰囲気だった。セリフだけを聞くと主人と従者のようだが、実態は仲のいい女と友達という雰囲気だ。
「それで、あなたは魔法が使えるのよね?なんでも、あのアイクを追い詰めたとかなんとか」
「あれは奇襲みたいなものです、二度目は通じないと思います。それに、私の魔法は威力は低いので、切り札には成り得ません」
「へえ……ねえ、貴方の魔法について教えてくれないかしら?何でも四種類の魔法を操ったって。神の恩恵を貰ったものでも魔法の数は三つが限界なのに、どういうことなのかしら?」
「あれは厳密に言えば一つの魔法なのです。私は『理魔法』と呼んでいます。『火』、『雷』、『風』、『光』、この間は使いませんでいたが『闇』。自然を司るこれら五つの理を操ることができるんです。先ほども言ったように、威力は低いので奇襲、悪くて子供騙しの手品にしかならないでしょう……」
「それは多分貴方の魔力が少ない、いいえ……低いと言った方が良いわね。『神の恩恵』を授かったものの『魔力』の成長方法、知っているかしら?」
「はい、戦闘で魔法打つことによって魔力値が上がっていくと……」
「今は威力が低くても、これからまだまだ威力は上がるわ。それにあなたには魔法の才能もあって、剣も扱える。戦闘スタイルは私と同じね」
「セリカ様も、剣と魔法を使うのですか?」
「ええ、最も私の魔法は威力が高くて効果範囲が広いから、使い勝手はあまりよくないから剣で戦うことが主体になってしまっているけど……貴方の魔法は詠唱が要らない『速効魔法』。魔法で牽制しながら敵を倒す、剣で戦いながら時節魔法でダメージを与えていくこともできるわね」
だから、と手を叩きながらにこりと微笑みながらメイの瞳を真っすぐ見据える。
「貴方の魔法はとても有能よ。決して卑下するような魔法なんかじゃないわ。私が保障する!」
「セリカ様……」
「というわけで、早速鍛錬開始ね。私は回避と受けに徹するから自由に私に攻撃して頂戴。手加減は無しでいいわ」
「……はい!」
* * * * * * * * * *
メイ Level1
力:12 I
耐久:10 I
器用:8 I
敏捷:15 I
魔力:23 I
≪スキル≫
【】
≪魔法≫
【理魔法】
・『火』、『雷』、『風』、『光』、『闇』の五つの理を操ることができる
・威力は魔力依存
* * * * * * * * * *
「あれ?昨日と違って槍が重く感じない……?」
「ええ、『神の恩恵』を授かったんだもの。例えパラメーターが全部0でも、一般人と比べるまでも無いわ」
「そうなんですか……昨日は恥ずかしかったので、少し……いえ、結構嬉しいです」
「良かったわね。それじゃ、早速始めましょう」
「よろしくお願いします、エイリークさん」
「……ねぇアメリア、もっと気さくに話さない?せっかく私たち年が近い同性なんですもの。敬語もさん付けも出来れば止してほしいの」
「分かった。よろしくね、エイリーク」
「ええ、じゃあ仕切り直して、貴方の武器は槍でいいのよね?」
「うん。私身体が小さいから、槍の長さで自分のリーチ不足を補おうと思ったんだけど……ダメかな?」
「いいえ、貴女がどの武器を扱っても、それは貴女の自由よ。自分の足りない部分を補ってくれる武器を使うのも、自分の長所を最大限生かす武器を使うのも、それは自分次第ですもの」
「そっか……良かったぁ」
胸に手を当てほっと胸を撫で下ろすアメリア。やはり昨日笑われたことを少し引き摺っているようだ。
エイリークはアメリアの肩に手を置き、自分の方へと抱き寄せ耳元に口を近づける。
「昨日兄上が言ったように、今自分が弱いことを恥じる必要は無いわ。だって、それはこれから強くなれるっていう、無限の可能性を秘めているってことじゃない。それに私はアメリアは誰よりも強くなれる素質を持っていると思うわ」
「冗談……だよね?」
「『神の恩恵』を授かったんだもの。それが全てだとは言わない、けれどそれの御陰でこれから先の可能性が広がったじゃない」
「……うん」
「だから今は弱くても、貴方は必ず強くなれる。貴方を見出したナーガ様や兄上、そして誰よりも自分自身を信じてあげてね」
そう言ってエイリークはアメリアを解放し、一歩距離を取る。アメリアは超至近距離で話しかけられた経験がないのか、顔を真っ赤にしている。
「それで、貴方の使う武器が槍で私が使う武器は剣なのだけれど――」
「もしかして、教えられない……?」
アメリアは最悪の可能性を考え、血の気が引く思いだったが、エイリークから帰ってきた答えは否定だった。
「いいえ、私の剣術は兄上から教わったの。でも兄上が使う武器は槍でしょう?だから私の剣術は剣というよりも槍に近いものなの」
「へぇ……同じ剣術って言葉でも、人によって剣術ってそれぞれ違うんだね」
「それは勿論よ。試験の時のアイクさんの戦い方見ていたわよね?あの方の剣が剛の剣だとしたら、私はどちらかと言うと柔の剣だと思っているわ。ねえ、アメリア。貴方、剣も使ってみない?今から教えるのは槍術だけれど、私の剣術は槍術を元にした剣術、私が教えてあげるから。どう?」
「うーん……余裕があったらお願いしようかな?今は片方に集中しないと着いて行けなさそうだから」
エイリークからの提案を断るアメリア。その表情はエイリークに対する申し訳ない気持ちで満ち溢れてしまっている。
しかしエイリークは笑顔でやんわりとアメリアの提案を受け入れた。
「そうね、そうしましょう。じゃあ槍を構えて、二週間でみんなと同じように戦えないといけないのだから」
「うん!」
* * * * * * * * * *
アメリア Level1
力:15 I
耐久:23 I
器用:12 I
敏捷:10 I
魔力:0 I
≪スキル≫
【】
≪魔法≫
【】
* * * * * * * * * *
「さて、では始めよう」
「よろしくお願いします……」
エフラムのやる気とは対照的な譜に気を身に纏っているネフェニー。生かし彼女がやる気がないというわけではないのだが、エフラムはおろか、誰も彼女が普段から物静かなのかは知らないのだ。
「……ネフェニー、お前体調が悪いのか?」
「い、いえ……これが普通、です……」
「そうか……体調が悪くなったらすぐに言えよ。何かできるわけではないのだが」
「ありがとう、ございます……」
「まずは二週間後の遠征を視野に入れる特訓をする、と言いたいところだがこれだけはどうしても忘れないでほしい目標があるんだ」
「それって、何ですか……?」
「アイクの弟子のあいつには負けないでくれ。あいつの弟子に負けると、俺があいつに負けているみたいになってしまうからな」
「は、はぁ……」
思っていたよりもどうでもいい理由、というよりも完全に私情なのだが。だがネフェニーも負けるというのはあまりいい気分ではないと思っていることは確かなのだ。
「お前を鍛える方法は主に二つだ。これからダンジョンに潜り続けてモンスターと戦い続けて経験値を取得するか。これはダンジョンになれるという意味でも悪くない方法だ」
「……もう一つは?」
「俺と模擬戦をすることだ。俺との模擬戦で得られる経験値はモンスターから得られる経験値よりも高位のものだ。ダンジョンに潜るよりも成長は確実に早いし、俺との戦闘はお前自身にとっても悪くないものになるはずだが……」
「何か問題がある、んですか……?」
「俺との戦闘になれてしまってダンジョンのモンスター相手にしないことで、対モンスター経験が少なくなってしまう。問題と言うほどの問題ではないが、人と戦うための立ち回りとモンスターとの立ち回りはまた違うものだ。それを踏まえて、どっちにする?」
「……エフラムさんと戦います。モンスターの方は、エフラムさんよりも弱いモンスターならどうにかなるってこと、ですよね?」
「……そうか、ならば槍を構えろ。後はお前は盾もか、これから毎日、俺との模擬戦だ」
「……はい」
試験の時は手加減してもらっていた。そしてこれからする模擬戦も手加減はしてもらえるが、手加減の度合いは確実に試験の時よりも軽い、強く感じるだろう。
それがこれから二週間続くかと思うと、若干憂鬱になるネフェニーだった。
* * * * * * * * * *
ネフェニー Level1
力:32 I
耐久:41 I
器用:25 I
敏捷:30 I
魔力:0 I
≪スキル≫
【怒り】
・自分が窮地に陥ると攻撃力上昇
≪魔法≫
【】
いやこれが後二、三回続くと考えると書いてるこっちも若干憂鬱になってくる