やっぱ趣味が小説執筆ってそういうの便利よね、傍から見たら真面目に板書取ってるように見えるんだもんwww
「よ、よろしくね・・・ミネルバさん」
ミネルバの身に纏う雰囲気を本能的に悟ったのか、ターナは握手を求めておずおずと手を差し出した。
それを慣れたものと苦笑しながらミネルバはターナの差し出した手を握り返した。
「敬称は不要です、ターナ殿。あなたはこれから、私の師なのです。師であるあなたが弟子になる私に敬称を付け、敬語を使っていたら他のファミリアのものに示しがつかないでしょう」
「そ、そう。分かったわ、ミネルバ」
話してみると以外と気さくなもので、先程のは気のせいだと割りきって、ミネルバの申し出を聞き入れた。
「ねぇミネルバ、貴女はどうして冒険者になろうと思ったの?エフラムはさっさと戦い始めちゃって何も聞いてないって・・・」
「あの時は驚きました。エフラム殿が気を出すと、有象無象が散っていきましたから……おっと、私が冒険者になった理由ですか……」
ミネルバは表情を曇らせ、俯いてしまう。
「あなたが話したくなければ構わないわ。訳ありの冒険者なんてたくさんいるもの」
「いいえ、話したくないわけではないのです。ただ、私が話すことによってあなた方を私の私情に巻き込んでしまう恐れがあります・・・あなた方は皆優しすぎますから……」
冒険者がダンジョン内で接触することは基本的にタブーとされており、すべての冒険者にとっての不文律だ。
しかし、彼ら『ナーガ・ファミリアの』眷属たちはその不文律を平気で破り、彼らの手の届く範囲で助けられるものはすべて助けてしまうのだ。
「まぁその分皆苛烈さもすごいんだけどね……」
そして同時に、彼らは自分たちのファミリアの者を害するものは容赦せずに殲滅するのだ。たとえそれが他ファミリアの冒険者であっても、躊躇せずに手をかける。
それは幼いチキとミルラであっても例外ではない。彼女たちの場合はその身を竜に変えて戦う分、寧ろ過激だ。
「……隣国のラキア王国に新しい王子が踏襲したのはご存知ですよね?」
「ええ、前王子であるマリウス・ウィクトリクス・ラキア王子に一人の冒険者が挑み、そして勝利した。確か名前は……ミシェイル王子」
「彼は元はオラリオの冒険者でした。所属ファミリアこそ無名で、彼自身もレベルは高くありません……いいえ、それは昔の話ですね。彼の今のレベルは6、ラキア王国唯一の第一級冒険者です。どのようにしてそのレベルにまで至ったかは残念ながら分かりません」
残念ながら……?と思いながらも、ターナはミネルバの話に合わせ、相槌を打ちながら、
「それまでは小競り合い程度だったものが、彼が王子に就任してからオラリオ侵攻に来ると、彼一人に『ガネーシャ・ファミリア』の冒険者たちが一掃されてしまったわね」
「そして彼がオラリオからラキア王国に行く際に、彼は自分の妹を、一緒に行くことを嫌がっていたあの子を無理矢理連れて行ってしまったのです」
「あの子……?ねぇミネルバ、貴方どうしてそこまでミシェイル王子に詳しいの?」
「……彼は、ミシェイルは私の実の兄です、そして妹、マリアが彼に連れていかれてしまいました」
「ど、どうして……?彼の目的は一体何なの……?」
酷く狼狽しながら、ターナはミネルバの話の続きを待った。これ以上踏み込んでいいものなのかどうかと、あやふやな直感を信じて。
「ミシェイルの目的は、自分の国を手に入れることです。ですから、ラキア王国は都合がいいのでしょう。ラキア王国を治めている『アレス・ファミリア』の冒険者たちは精々レベル2程度。そして国王は愚王だと言われています。統一するのに苦労することはないのでしょう」
「国を手に入れる?それで一体……」
「その先にどうしたいかは知りませんが、兄は私たちの父親を、ラキアに行く直前に殺しているのです」
「そんな……!どうして!?」
「私たちの父親は厳格でした。ですが同時にとても優しかった。兄には父の優しさが伝わらなかったのでしょう。厳しくしていたのは、私たちを大事に思ってくれてのことでしたから」
俯きながらミネルバは淡々と話を続け、ターナの表情を窺うことはしない。そしてターナも、俯いている峰るあの表情を窺うことはできない。
「私は兄から妹を、マリアを救い出したいのです。そのために私は強くならなければなりません」
すべてを話し終えミネルバはようやく顔を上げた。そして一番最初にその視界に入って来たのは、涙をぼろぼろとその瞳からこぼしているターナの顔だった。
驚愕の表情を浮かべているミネルバへとターナは抱き着き、背中に手を回しながらすすり泣いている。突然のことで、ミネルバはどうしていいのかが分からない。
「……ありがとう、話してくれて……グスッ……絶対に助けよう、私も協力するから、頑張って強くなろうね……!」
「……本当に貴方方は、いいえ、貴女は、優しすぎます……」
ターナの背中へと手を回したミネルバの瞳からも、一筋の雫が零れ落ちた。
* * * * * * * * * *
ミネルバ Level1
力:26 I
耐久:23 I
器用:15 I
敏捷:13 I
魔力:0 I
≪スキル≫
【飛竜との絆】
・飛竜を調教できる可能性を秘めている
≪魔法≫
【】
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「断る!」
「あのなぁ……」
アイクとワユが二人、中庭で向かい合っている。アイクの方は若干の呆れを表情に浮かべ、ワユは憤怒とまではいかないが、怒っているように見える。
「だから、二週間後の小さめの遠征に向けて、一度はダンジョンに潜っておいた方が良いだろう」
「それだったら、二週間ずっと大将と戦っていた方が絶対いいって!」
「というか、なぜ大将なんだ?ここの大将はマルスだろ」
「うーん……団長は団長、大将は大将って感じがするんだよね。駄目かな?」
「駄目ではないが、ややこしくないのか?まあ呼び名など好きにすればいい。なぜ俺と戦うことに拘る?」
アイクが分からないのはそこなのだ。別に四六時中ダンジョンに潜ると言っているわけではない。一日二日、ダンジョンに実際に行ってダンジョンの地形を確認し、危険性などを実地で説明するつもりなのだ。
アイクは実際に見て確かめさせってではないと教えることができない。戦闘も、どこが悪いなどを指摘するわけではなく、実際に戦ってどこが悪かったかを考えさせる、体で覚える典型的なタイプなのだ。
「だってダンジョンでモンスター倒すよりも、大将と戦っていた方が強くなれるでしょ?」
「そうだな、ダンジョンの浅層でモンスターを倒して手に入る経験値よりも、俺と戦った方がはるかに高位の経験値が手に入り、成長を増進させる、或いはレベルアップも可能かもしれんが」
「別に手っ取り早くレベルアップしようだなんて思ってないよ?むしろレベルなんてじっくり上げていけばいいでしょ?そうじゃなくて、大将と戦いたいんだよ、理屈じゃなくて」
ワユの支離滅裂な暴論に思わずため息を付き、こめかみを指で押さえる。こういった動作をすることが非常に稀なのだが、ワユの言葉に思わず眉を顰めてしまった。
「ならば、一日のうちの半日でも良い、ダンジョンに行く。これ以上の譲歩はせん。そのかわり、残りの日にち全てお前との鍛錬に当ててやる。これでどうだ?」
「むぅ……」
「ダンジョンでは一人の判断ミスが命取りになりかねん。一人で潜るのも勝手だが、最初は五人で潜るんだ。少しは周りのことも考えてやれ」
「分かった……じゃあ早速、始めよっか!」
「切り替えの速さには感心するな。だが、それは良い事だ」
アイクとワユが双方向かい合い、模擬剣を構え、ワユが一気に距離を詰め剣を振り下ろし、アイクがその剣を受け止める。
模擬剣同士がぶつかり合う音が中庭に響き渡った。
* * * * * * * * * *
ワユ Level1
力:29 I
耐久:35 I
器用:25 I
敏捷:30 I
魔力:0 I
≪スキル≫
【待ち伏せ】
・先手を取りやすい
・対人の時のみ有効、モンスターの場合無効
≪魔法≫
【】
ワユのパラが高めなのはアイクとの特訓(スパルタ)の為