『統計学と”魔法使い”という生物』著:A.L   作:クローン少女

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人身売買組織からグリンデルバルドが魔法使いを助けに行くときの話。
だいぶ前に書いていてPC内で迷子になっていたやつ。

後から挿入するという芸のなさをお許しください。


人買い

「うちは他の人買いとはちょいと違いましてね。丁寧に扱うんです。特別な商品ばかりですからね。その代りに値は張りますがね」

 

 

ぺちゃくちゃとよく喋る東洋人と、背の高い中年の白人は商売の話をしていた。

東洋人は白人を”旦那”と呼び、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべていたが、男は全く気にするそぶりを見せなかった。

 

―この白人、魔法使いである。懐には杖、鋭い目つきに端正な顔立ちのカリスマ的な魔法使いであった。

なぜ、そんな彼がこんな怪しい人身売買組織を訪ねたのか―。

事の発端は幼い魔法使いがとある人買い集団に攫われているらしい、という情報を闇取引で彼が耳にしたことだった。

彼は魔法が使えないマグルを激しく嫌悪していた。したがって、ことの犯人がマグルであれば制裁を加えてやろう、そう考えてここに来たのだ。

 

長い廊下を歩ききり、白い部屋に通された男は東洋人に勧められた椅子に座った。そして、ようやっと本題の話に入った。

 

 

「それで、旦那は何をお探しで?」

 

 

彼は威厳にあふれた瞳でちらりと男を見返して、足を組んだ。

 

 

「なにか特別な能力を持った人間が欲しいのだ。ここに、私に仕える優秀な人材を探しに来た」

 

「そうですか。旦那はお目が高いですねえ。うちには優秀な人材はたくさんいますとも。ですから、もっと旦那の希望を聞かなくっちゃあいけませんねえ」

 

 

東洋人の男はにやりと笑い、懐からなにやら書類を取り出した。

 

 

「お名前を伺っても?」

 

 

難色を示した客に、男はクスクスと笑った。

 

 

「ああ、旦那、ご心配なさらず。外部に情報が漏れることはありませんよ。それに、我々はお客の本名を聞きたいわけではなくってね。偽名をうかがっているんですよ」

 

「私は‥‥ジョニー・〇ップという者だ」

 

「ほう、デップの旦那っと‥‥」

 

 

そして、男は何行かさらさらと紙に書いてから顔を上げた。

 

「ご希望の年齢は?」

 

「‥‥子供がいい」

 

「ほほう、子供ですか。では、性別は?」

 

「どちらでも構わない」

 

「どちらでもよいっと・・・では、お求めになりたい具体的な能力について・・・戦闘能力、学習能力、適応能力、繁殖能力、このうちにどれを一番重視いたしますか?」

 

「‥‥戦闘能力で」

 

「では、スパイ向き、戦闘機の操作向き、対人向き、どれがよろしいですか?」

 

「対人向きで頼む」

 

「ほうほう、旦那は子供の戦闘員をお探しなんですね。では、ほかにご希望があればお聞きします」

 

「頭が悪いのは困る。頭が良すぎるのもな」

 

「なるほど、手懐けることが容易な子供が良いと、そういうことでよろしいですか?」

 

 

魔法使いは少し気を悪くしたようだった。

 

 

「子供の方が鍛えがいがあると思うが?」

 

「へえ、旦那、その通りです。」

 

 

東洋人はニヤッと笑って肩をすくめ、何枚か写真を机の上に並べた。

 

 

「見た目もかなり重要でしょう」

 

 

それは"商品”の写真だった。

 

見たことのない様々な人種が写っているそれらを彼は手に取って、次々と捲っていった。どうやら、この中には魔法使いが居ないようだ。

 

その代り、普通では考えられないような人間も写っていて、男は不審に思った。

 

 

「これらは、人造人間か?」

 

 

すると、東洋人はニヤッと笑って

 

 

「企業秘密ですよ、旦那。‥‥語らず、詮索せず、商売をする。これは闇取引のモットーじゃありません?」

 

 

そして、一つの写真を指差した。

 

 

「話を戻しましょう。‥‥こちらの少年は戦闘員として最適です。手懐けるのも容易であり、穏やかで冷静です。そして、こちらの少女もなかなかよろしいかと。無口で冷静。ナイフによる爆発的な攻撃が持ち味ですねえ。寂しがり屋なので手懐けるのもたやすいと思いますよ」

 

「‥‥なるほど」

 

「心に穴がある子供は懐柔しやすいですからねえ」

 

 

魔法使いの捲っていた手がある写真で、ピタリと止まった。

 

 

「この見た目が普通の少年は?」

 

「‥‥おっと、その商品は」

 

 

少し慌てたように東洋人は魔法使いから写真をひったくった。

 

 

「おい、なんだ?」

 

「ハハハ、旦那、すみませんねえ。忘れてください。それは、さっき買われて行っちゃいましてねえ、抜いておくのを忘れていましたよ!いやだなあ」

 

 

ケラケラと狂った笑い声を立てる東洋人を魔法使いは射るように睨んだ。この気色悪い猿頭をすぐに捻りつぶしてやりたい。

 

なんといっても、今の写真の少年は魔法使いだった可能性が高い。

 

 

「では、他の魔法族は残っているか?」

 

 

その言葉に、先ほどまで軽薄な笑みを浮かべていた東洋人の目の色が、僅かながら変化した。

 

 

「んー魔法族、ですか?ないですねー聞いたこともございません」

 

 

白々しい、と魔法使いは思った。が、極めて穏やかに言葉を続けた。

 

 

「貴様、魔法使いだろう。なぜ、同胞を売りさばくような真似をする?」

 

「はあ、魔法使いですか?私は違いますねえ」

 

「では、マグルか?」

 

「‥‥マグルとはなんでございますかね」

 

 

スッと東洋人が机の下に手をやったのを魔法使いは見逃さなかった。すかさず、ローブから杖を出し、男めがけて死の呪文を放った。

 

パンッとはじけた音がして、男は吹き飛ばされた。すると、今までどこに隠れていたのか、わらわらと似たような東洋人が溢れだし、緑色の閃光をこちらに飛ばしてきた。

 

やはり、魔法使いであったようだ。

 

魔法使いは苛立ってチッと舌打ちをすると、果敢に杖を振り、また一人、また一人と確実に屍に変えて行った。

 

えらく弱い連中らしい。簡単に杖を落として死んでしまう。

 

2分ほどで掃討は終了した。

 

アジアでは、ジリ貧の魔法使いたちが人身売買するのは普通なのか?

 

と、不可解に思いながらも、奥に居るであろう誘拐された魔法使いたちを助けるべく、魔法使いは白い部屋を後にした。

 

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