『統計学と”魔法使い”という生物』著:A.L 作:クローン少女
地球外生命体の主人公が、将来的に魔法族と魔法を科学的根拠に基づいて説明しようと奔走するお話です。
ですが、主人公自身、”生物兵器”と呼ばれるような特殊な人種です。
同級生で親友である『闇の帝王』の最終兵器として暗躍することになります。
その過程で多くの命を殺めていくことと思います。
※宇宙に関することと、グリンデルバルドに関しては捏造多め
01 拾った少女
酷い嵐が吹き荒れる丘に、魔法使いの大きな城はひっそりと佇んでいた。
城の窓に人気はなく、ホールと思しき場所以外灯りはついていない。
だが、周りに繁茂している樹木はきちんと手入れが施され、中庭には不気味なほど赤い薔薇が生い茂っていた。
途端、パッと空が白く光った。バリバリと空気を切り裂く音があたりに響き渡り、この城の屋敷僕は恐ろしさに思わず首を縮めた。
それとほぼ同時に、水浸しの石畳を歩く足音が聞こえた。
この城の主人が帰ってきたのだ。
屋敷僕はキッチンから慌てて姿くらましをし、玄関ホールへと主人を出迎えに行った。この屋敷の僕は一人だけだった。
「ご主人様、お帰りなさいませ」
バタンと乱暴に戸が開け放たれて、背の高い男が城に足を踏み入れた。男はすぐに戸を閉めたが、玄関ホールに雨が吹き込んで床は濡れてしまった。
それを杖一振りで乾かすと、男は屋敷僕に目をやった。
「ああ、ただいま。ニーリー、至急湯船にお湯をためてくれ」
男は黒いローブの中に、もぞもぞと動くなにか抱えているようだった。
屋敷僕はそれを不思議そうに見つめながら、ひやりとした外気に身を震わせて返事をした。
「はい、ご主人様」
くるりと屋敷僕の姿が消えると、男はローブの中で抱えていたものを慎重に床におろした。
ローブから出てきたのは、ずぶ濡れの小さな少女だった。
その少女はゾッとするほど鮮やかな青髪を持っていたが、男はたいして気にしていないようであった。
「気分はどうだ」
男はそう言って少女の顔を覗き込んだ。しかし、少女は冷え切った紫色の唇を固く閉ざし、焦点の合わない金色の瞳を開けたたまま、ガタガタと震えているだけだった。それを見た男は少女の小さな手を取った。死人のように冷たい。
「‥‥ひどく冷えている。すぐに体を温めよう」
自分と少女の服を魔法で乾かすと少女を再び抱き上げ、男は浴室へと向かった。
・・・・・・・・・・・
身体を温め、新しい服を着せてやり、温かい食事を少女に出したところで、ゲラート・グリンデルバルドは目の前の光景に呆気にとられていた。
先ほどの死人のような様子はどこかえ消え失せ、少女は出された食べ物を素手で掴み、がつがつと頬張っている。よほど、飢えていたのだろう。少女はかなり痩せていた。
「‥‥腹が空いていたのか?」
「‥‥‥‥」
その言葉に反応するでもなく、少女は黙々と口に食べ物を押し込んでいく。
グリンデルバルドは若干薄くなった金髪を掻き上げてため息をつくと、気を取り直したようにその長い足を組みなおした。
「‥‥まあいい」
よくはない。よくはないのだ。
彼はこの少女が一体何者なのか分からないのだから。
少女は、彼がつい先ほど程拾った。人身売買が行われる建物の最奥部屋だった。頑丈そうな狭いゲージにその少女は枷を付けられ、押し込まれていたのだ。
その隣の部屋には6人ほど、捕まったばかりの魔法使いの子供と小さな魔法生物がたくさん放り込まれていたが、ゲージに入れられていたのは別の部屋のその少女だけだった。
彼が人身売買組織の人間を全員殺して部屋に現れたとき、子供たちは助けを彼に求め、彼もすぐに子供らを解放した。魔法生物はすぐに建物の外に逃がした。外はマグル界だったが彼にはどうでもいいことだった。
彼は人さらいに攫われた魔法使いの子供を助けに来てたのだ。どうせ、ジリ貧の魔法使いがマグルにでも売り飛ばすつもりだったのだろう、と彼はそう考えていた。
が、その少女を”Attention"と書かれた部屋で見つけたとき、彼の中でその説は憶測にすぎなくなった。少女のゲージには”ソースォードのハート種族、貴重なため高値で売りつけること”と書かれたラベルが貼ってあった。
暗闇に浮かび上がる、人間にしては鮮やかすぎる青毛。そして、空を見つめる光り輝く金色の瞳。
十分、七変化だとも考えられる。だが、彼にはそのラベルの記述が気になっていた。
が、少女は言葉を喋らない。意思疎通ができないのだ。
グリンデルバルドには、今すぐ彼女の素性を知る手段がなかった。
「‥‥せめて、言葉が通じればいいのだがな」
そう言ってグリンデルバルドが席を立とうとしたときだった。
ゴクリと食べ物を飲み込み、少女は頬にクリームをつけたままもごもごと口を動かした。
「....Danke, hat gut geschmeckt.」
ドイツ語だった。グリンデルバルドは驚いてすぐさまドイツ語で聞き返した。
「ドイツ語を喋れるのか?」
「‥‥ちょっと」
少女は慣れない口調でそう言い、今度は焦点の定まった目でグリンデルバルドを見返した。
「お前はドイツ人か?」
少女は横に首を振った。
「では、何人なんだ」
「‥‥」
「それとも魔法使いか?」
「‥‥?」
彼は再びため息をついた。この少女とまともなコミュニケーションは望めないそうにない。たとえ言葉が通じても、だ。
「もういい、今日は寝ろ。お前に部屋を与える。ついてこい」
立ち上がって手招きすれば、少女は椅子から降りて素直に彼についてきた。
彼は少女を小さな部屋に連れて行くと、問答なしにベットに寝かせ、自分は書斎の方へと戻っていった。
最初の方のお話をあんまり書いてないんです。賢者の石あたりは書いているんですけどね(笑)
日によって書きたいものが変わっちゃいます。
それにしても、なんだか文章が読みにくい‥‥。文才ある方は羨ましい限りです。