Fate/Hero Order   作:九十九猿

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ようやく冬木の最終話!


1-9 焼却

「これでミッションは終了とします。あの水晶体、この特異点が生まれた原因を回収しましょう」

 

金色に輝くそれ、魔術師として初心者の俺が見ても分かるほどの、濃密な魔力を発していた。

 

「って、もう強制退去かよ!」

 

見ると、クーフーリンの姿が消えかかっていた。周囲からも地響きがなり、この特異点が消滅に向かっていることを示していた。

 

「あばよ!次があればランサーとして呼んでくれよな!」

 

そう言って消えていくクーフーリン。ランサーとしての彼にも会ってみたいものだ。

 

「水晶体至急回収しま___え?」

 

マシュが固まったのを見て、彼女の視線の先に焦点を合わせる___そこには何故かここにはいないはずのレフ教授がいた。

 

「レフ教授!?」

 

「なんだって!?そこにレフ教授がいるのか?!」

 

「うん?その声はロマに君かな?すぐに管制室に来てほしいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね。まったく、どいつもこいつも統率の取れてないクズばかりで吐き気が止まらないな」

 

驚きの声を上げるドクター、俺も驚いている。が、あれはレフ教授ではあるが、俺の知ってる彼では無い。と、頭で警笛を鳴らしていた。

 

「レフ!生きていたのね!私予想外の事ばかりで頭がどうにかなりそうだった!でもいいの、貴方がいればどうにかなるわよね!」

 

「やあ、オルガ。元気そうで何よりだ。君も大変だったようだね」

 

レフ教授に近づいて行く所長。頭では相変わらず警笛が鳴り止まない。けども、アレがセイバーよりヤバいと感じてしまった。セイバー戦の疲れ、更にレフ教授のプレッシャーで身体が動かない。

 

「マスター、彼は君の知り合いか…?」

 

怪訝そうな顔で聞いてくるエミヤ。

 

「うん…だけど彼は何かが違うし、とてもヤバいような気がする」

 

「確かにアレはヤバいな…同調、開始(トレース・オン)_____っな!?所長、彼から離れろ!奴は人間じゃ無い!!」

 

恐らく魔術を使って調べたのだろうか。だがアレが敵対すべきものだと分かったのなら、容赦はしない___が、状況はそれどころじゃなかった。

 

「いや___いや、いや、いや!!助けて、誰か助けてよ!わた、わたし、まだこんなところで死にたくない!!」

 

例の水晶体を持って嗤いながら、所長を見るレフ教授。所長はカルデアと時空が繋がって、カルデアスに触れようとしていた。何が危険であるのかなんて、急にここに飛ばされた俺には分からない。けども、彼女の騒ぎようからして、とてもヤバイのだろう。助けらければ…

 

「エミヤ!レフ教授からあの水晶体を弓で射って!マシュは射って撃ち落としたものを回収!」

 

そう指示して、エミヤを見る。だが彼の手は両方使い物にならない位に傷ついていた。

 

「エミヤ…出来る…?」

 

急なことで周りに目が回らず指示してしまって、彼の手が傷ついていたことを忘れていた。彼は今弓を射れるだろうか___

そんな心配をした時、彼は俺を安心させるように言った。

 

「なに、手が使え無い程度関係ないさ」

 

そう俺に優しく言った後、真剣な顔になってレフ教授の方を向いた。

 

同調、開始(トレース・オン)

 

痛哭の幻奏(フェイルノート)

 

放たれた不可視の矢は水晶体に当たる。嗤っていたレフ教授の手から弾き落とされ、カルデアと繋がっていた穴が閉じる。マシュが水晶体を回収し、エミヤが落ちて行く彼女を救う。

 

「きゃっ!?」

「大丈夫かい、所長?」

 

「えぇ…」

 

「ふん…今更救った所でなんになるというのか、彼女の肉体は死んでいるのだから」

 

彼は不機嫌そうに呟く。

 

「さて、この特異点も消滅が近いので自己紹介をしておこう。私はレフ・ライノール・フラウロス。貴様達人類を処理するために遣わされた、2015年担当だ。カルデアは用済みだ。お前達人類は、この時点で滅んでいる」

 

「レフ教授…いや、レフ・ライノール・フラウロス。それはどういう意味ですか?2017年が見えないことに関係があると?」

 

「関係では無い、もう既に終わってしまった事実ということだ。未来は焼却され、カルデアの外はこの冬木と同じような光景になっているだろう」

 

「通信機器の故障ではなく、そもそも受け取る相手がいないということだったのですね…」

 

「ふん、やはり貴様は小賢しいな。真っ先に殺しておけなかったのが悔やまれるよ。おっと、そろそろこの特異点も限界か。ではさらばだロマ二、マシュ、そこの弓兵、48人目の適正者、そして死の運命を待つしか無い愚かなオルガよ」

 

突如地響きが大きくなり、地割が起き始める。

 

「地下空洞が崩れるぞ!」

 

「ドクター、至急レイシフトを…」

 

そう言いかけて、マシュが口をつぐむ。所長のことをどうしようか迷ったのだろう。

 

「私はいいわよ…あなた達にカルデアスで死に続けるのを助けて貰ったし…」

 

悲しそうに呟く所長。今回ばかりはどうにかならないのだろうか…

 

「いや、まだ手はある」

 

そう言ったのはエミヤだった。

 

「まだ所長の魂は生きている。聖杯を使って、肉体の修復は難しいだろうが、代わりの身体を作ることは可能だろう」

 

「そうか!その手があった!ならエミヤ君早速実行に移してくれ、僕はレイシフトの準備をするから!」

 

「承った!」

 

そう言って、エミヤの手に握られた聖杯の金色の輝きを最後に俺の意識は途絶えた。




聖杯といえど、過程をスキップするだけなので、死者の蘇生は不可能だろう、ということでこういう描写に。
橙子さんが人間と全く同じ人形を作れるので、聖杯でもできるだろうし、彼女もそういう感じの肉体で蘇生した、という認識でお願いします
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