Fate/Hero Order   作:九十九猿

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久しぶりの投稿ですね、何してたかっていうと勉強とかのリアルに追われてたのと、普通に遊んでました(
これを書き始めて、更にエミヤが推しになったので、聖杯捧げ中。


第2章 邪竜百年戦争オルレアン
2-1 目覚め


意識を取り戻したら周りはまた冬木だった。相変わらず燃える街、焼け崩れるビル、赤黒く染まった空。違うことといえば、異形の姿が一切無いことだろうか。何故か俺はこの状況を他人事のように思えた。

 

暑い。苦しい。誰か助けて。

 

その感情は感じるのに、俺自身は何も感じていない。そんな不思議な感覚だった。しばらくして、この身体が自分のものでなく、自分の意思で動かせないことに気づく。ここで俺は今夢を見ている、とようやく気づいた。

 

そこから景色は巡る巡る変わっていった。差し伸べられた知らないおじさんの手、病院、新しい家。まるで自分はこの男の子の中に入って、彼の人生の重要な場所だけスライドショーで見ているような感じだ。その中でとある場面で景色が止まる。それは男の子とおじさんが縁側で2人喋っている様子だった。

 

「………子供の頃、僕は正義の味方に憧れてた」

 

「なんだよそれ。憧れてたって、諦めたのかよ」

 

「うん、残念ながらね。ヒーローは期間限定で、オトナになると名乗るのが難しくなるんだ。そんなコト、もっと早くに気がつけばよかった」

 

「そっか、それじゃ仕方ないな」

 

「そうだね、本当に、しょうがない」

 

「うん、しょうがないから俺が代わりになってやるよ。爺さんはオトナだからもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ。まかせろって、爺さんの夢は」

 

「そうか。ああ______安心した」

 

そうして彼は生き絶えた。ここでようやく気づく、これはエミヤの記憶なのだと。そして、きっとこれが彼の原点なのだろうと。どんなにその理想が借り物でも、偽善でも、エミヤ(正義の味方)の原点なのだろう。彼はその願いの偽善さ故に苦しんだのかもしれない。でも、きっと、その願いは美しく、正しいのだ。人を助けたい、と思う気持ちが間違っているはずがないのだから。

俺はこれを見て追い風に吹かれたような気になった。やるしかなかったからやった戦いでも、人を死なせてはいけない、人類を救わないといけない、と義務感で戦った先程の戦いは、間違っていないのだ。

 

何の覚悟もない。何の才能もない。何の資格もない。

 

それが今の俺。

 

運が良かったから勝った。味方が強かったから勝った。

 

それだけかもしれない。

 

けど、マシュに、エミヤに、カルデアの皆に、両親に、友人に、生きて欲しい!そして、自分もまた生きたい!とだけ思って戦った戦い自体は間違ってなかったのだろう。

 

少し不安だったのだ。集められた才能のある人達がいなくなって、自分なんかがこんな重要な場で戦っていて良いのだろうかと。でも、大切なのは心だ、と彼の記憶を見て思えた。少なくとも今、これから戦う覚悟は出来た。

 

そして、夢が終わり、目が覚める。

 

 

「やぁ、起きたかい?マスター」

 

「おはようエミヤ、無事帰って来れたんだね」

 

「あぁ、無事所長も生還できた。冬木の地からは全員生還だよマスター」

 

ほっとする。最後所長を救ったのはエミヤだとしても、所長が死んでいたら彼女を救えずに、自分だけが生き残った罪悪感を感じていたかもしれない。

 

「さて、軽食を置いて私は退出するとしよう。後は2人でゆっくりしたまえ」

 

そう言って、サンドイッチを置いて出て行くエミヤ。誰が入ってくるのだろうか、と一瞬考えてしまったが、そんな思考を続けさせずに、声が響く。

 

「先輩!!」

 

「おはようマシュ。お互い生き残れて良かった」

 

ふとそんな言葉が出た。マシュを守りたい、と思っていた張り詰めた心がふと緩んだのかもしれない。

 

「そうですね、先輩!そして、まずは朝食をどうぞ。エミヤ先輩が置いていったサンドイッチをお食べになってください。栄養補給は大切ですからね」

 

サンドイッチを食べながら、マシュと何気ない会話を続ける。何気なく、当たり前のような会話、それが今はとても幸せなことのように思える。そして、丁度食べ終わった頃、また誰かが入ってきた。

 

「おはよう、初めまして、藤丸君。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。気軽にダヴィンチちゃん、とでも呼んでくれたまえ」

 

「えっと…ダヴィンチって、男じゃありませんでしたっけ…?」

 

ふとそんな言葉が出てしまう。言ってから、冬木のアーサー王を思い出し、彼女も史実が異なっていだのだろうか、なんて思っ______

 

「そうだよ、私は男さ。でも英霊になる時に折角だから、最高の美、モナリザの姿になったのさ!」

 

えっと…話についていけない。色々ぶっ飛び過ぎて、少しの間呆然としてしまう。そこでマシュが助け舟を出してくれた。

 

「えっと、ダヴィンチちゃんは、先輩のバイタルチェックに来たのですよね?」

 

「そう、その通り。既に他の3人のチェックは終えてるからね。マシュは健康そのもので、所長は聖杯で体を作られたからか、マスター適性を得ていたこと以外は異常なし。エミヤ君は冬木の大聖杯を使った後から、体に何か異物が入っているように感じたけど、彼が問題ない、と言っていたし、恐らく大丈夫なんだろう」

「で、だ。ようやく目覚めた所悪いけど、付き合ってもらうよ。君に異常があったら私達もとても困るからね」

 

「分かりました、よろしくお願いします」

 

「そんなに固くならなくて良いってば、もっと気軽に話してくれて構わないよ?」

 

「えっと、じゃあよろしく、ダヴィンチちゃん」

 

「素直でよろしい。それではバイタルチェックの時間だ、マシュは出て行ってくれ」

 

「分かりました」

 

ダヴィンチちゃんは見た目は女性そのものなので、服を脱ぐことに若干の羞恥はあったけど、順調にチェックは終わり、異常がなかったそうだ。

 

「これでよし、と。藤丸君落ち着いたら管制室にきたまえ、ロマ二がこれからのことについて話があるってさ」




少し補足、1話の序章では、切嗣の「生きていてくれてありがとう」の言葉がエミヤの始まりの言葉、と書いてますが、あの時点で『エミヤ』として生き始めたのだとは思ってますが、この話のシーンでは彼が『正義の味方としてのエミヤ』としての原点だと思ってます。私の描写能力不足ですいません。
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