次の次の話ではレイシフトし始めると思いますので、しばしお待ちを
「ロマ二、藤丸君を連れて来たよ」
管制室には何人かのスタッフが機械の山々と向き合っている中、Dr.ロマンとマシュが待機していた。彼はこちらを気遣ってくれてか、俺を見て微笑みながらこう言った。
「ゆっくり眠れたかい?藤丸君」
「はい、おかげさまで」
「なら良い。さて、ブリーフィングを始めようか」
これからのこと、主に特異点での活動についての説明、計画がなされていく。俺に余裕が無いのと同じ様に、カルデア側も被害が大きく、かなり余裕が無いらしい。バックアップはするが、あまり期待はしないでほしい、ということだ。そして、この話の中で重要だったのは2点だ。1つ目は7つの特異点をこれから解決していくこと。最初は人理の揺らぎが少ない所を指定しているらしく、少しだけ安堵した。2つ目はその特異点での先で、特異点を形成している原因であると考えられる聖杯を回収すること。冬木の大聖杯みたいなものだろう。そして話が一段落したところで、Dr.ロマンが真面目な表情になって言葉を続ける。
「これから君が歩む道はとても辛く苦しいものになるかもしれない、地獄を見るかもしれない、それでもやってくれるかい?」
「はい!」
迷わずそう答えた。俺はマシュを、皆を守るために戦うのだ。人類も確かに重要だし、救わねば、とも思う。けれど俺にとっては身近な人が全てなのだ。その人達を守るためなら覚悟ができる。
「そうか、ありがとう」
彼も緊張していたのだろうか、少し顔を緩ませていた。
「さて、カルデア側からもささやかながら君に援助を、ということでサーヴァント召喚の資材を準備した。今所長が準備しているはずだから、私達も行こうか」
所長の姿が見えないと思ったが、彼女も見えない所で働いていたのか。司令官が働くのはどうか、と思ったが、今の彼女はマスター適性を持っている。それ故に今サーヴァント召喚という、関わりがある所で働いているのかもしれない。
管制室を出て、召喚室に向かう。そこには所長と機械に向かい合っているスタッフ、そして召喚台と思われるマシュの盾が置いてある装置が中央に位置していた。
「来たわね、藤丸達。今レオナルドから説明があったとは思うけど、ここはサーヴァント召喚の設備。今カルデアには運良くサーヴァント二騎の召喚の資材があるわ。私と貴方で一機ずつよ。私は基本的には前線に出ないけどカルデアの防衛のためと、藤丸に何か起こった時のためにレイシフト出来るために、こうなったのよ」
確かに第二陣としての役割も大切だろうし、防衛の役割も納得できるのだが__ふと思ったことが口に出ていた。
「どうして所長の立場なのに、さっきのブリーフィングに出ずにこんな所で働いてるんですか?」
所長は顔を赤くして何か言おうとしたが、それを気にせずにDr.ロマンが答える。
「あぁそれはね、所長は召喚したサーヴァントとキチンとコミュニケーションが取れるか心配で、ここで設備の準備をしたり、過去のサーヴァントの資料、例えばダ・ヴィンチちゃんが召喚された時の資料を読んでたんだって」
所長の顔が更に赤くなり、敵意を込めた目でDr.ロマンを睨む。だが彼は気づかない。最初来た時に比べれば所長も丸くなり、このようなことを言える程度にはドクターとの壁も消えたのだろう。だが____
「えぇ、そうよ。そうですとも!私はサーヴァントととコミュニケーションがキチンと取れるか不安でここにいたわよ!ロマ二、後で仕事をたっぷりそっちに振り分けるから覚悟してちょうだいね」
「うげぇ!すいませんでした、所長!」
こんなやり取りが見られる位平和なのは良いことだが、話が進まない。それを見かねたマシュが助け舟を出す。
「そろそろ召喚に移っては…?次のレイシフトまでさほど時間がありませんし」
「そうだね、マシュの言う通りだ。2人ともじゃれ合うのはそこまでにして、召喚に移るよ」
そうやってダ・ヴィンチちゃんはスタッフに指示して、トレイに乗せられている、6つの石を持って来させた。
「これがその資材だ、この盾の中に3つ放り込むと良い。こんな状況下だから、どんなサーヴァントが召喚されるか本当に分からないけど、きっと君達を害する意志を持つサーヴァントは召喚されないはずさ」
虹色に輝く石。まるで幸先の良い旅出を表しているかのようにも思える。それをトレイから取り、手に取る。
「まずは、私から行くわ」
所長が前に出る。不思議と部屋の中は沈黙に包まれ、緊張感が走る。所長が手に持った3つの石を盾に入れ、呪文を唱え出す!
「素に銀と鉄。 礎に石と契約の大公。
降り立つ風には壁を。 四方の門は閉じ、王冠より出で、王国に至る三叉路は循環せよ
閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。
繰り返すつどに五度。
ただ、満たされる刻を破却する。
____告げる。
汝の身は我が下に、我が命運は汝の剣に。
聖杯の寄るべに従い、この意、この理に従うならば応えよ
誓いを此処に。
我は常世総ての善と成る者、
我は常世総ての悪を敷く者。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ____!」
盾の中は渦巻きだし、徐々に光が盾から溢れていく。しだいに光が盾の中音に収束し、部屋の中に光が満ちた。
思わず目を瞑ってしまい、目を開けると仮面を被った長髪の女性が立っていた。
「我ら影の群れを従えた以上は勝利も必至。ご安心召されよ、マスター。百貌のハサン、只今参上した」
「ハサン…??」
ハサン、確か有名な暗殺教団だと、聞いたことがあるような気がする。ただでさえ緊張していた所長は、本物の暗殺者を引き当ててしまい、少しパニックを起こしてしまっているようだった。
「マスター、ご安心を。我らは悪属性とはいえ、マスターに歯向かったりは致しまぬ、それにこの緊急事態、一英霊として見過ごせない」
「そうね…ごめんなさい、ハサン。少し取り乱してしまったわ」
少し落ち着いたのか、所長は彼女の言葉に答えていた。
「さて、次は藤丸君だ。その前に1つ言っておくと、この人理が不安定な今は召喚自体も不安定になっている。だから、さっき所長がしたみたいな召喚詠唱はほとんど効果をなさないから、しなくて大丈夫だよ」
「ちょっと、なんでそれさっき言ってくれなかったのよー!」
所長はやっぱり、残念だけれども、この緊急事態下に、こんな平和な状況が続いてるのを少しだけ愛しく思った。
エミヤはこの時職員のために食堂をフル稼働させてます。
てか藤丸君に誰召喚させよう…参考にするので、誰召喚したい!とかあれば感想にどうぞ