Fate/Hero Order   作:九十九猿

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戦闘シーンはやはり描写が難しくて地の文を使っていますが、今回はマシュ視点です


1-6 死闘

「さて嬢ちゃん、あれがバーサーカーだ。宝具を失ったとはいえ、あの怪力から放たれる一撃をまともに食らったら、ただじゃすまない」

 

私の目の前に立つ死の権化、と言っても過言ではない位の威圧感を放っている。あれがバーサーカー、ヘラクレス。正史の聖杯戦争では11の命を持ち、12回殺さなければ死なない、真の英雄。

 

「さて、分かっちゃいると思うが嬢ちゃんが宝具を発動するまで、俺達は手を貸さない。マスターに危害が及ぶことがあったら、そこの弓兵はマスターを守るだろうが、それ以上の事はしない」

 

分かっている。その覚悟はある。私にとっては、味方であるクーフーリンさんと戦う方が酷に思えた。何故味方同士で戦わなくてはいけないのか、命のやり取りまでして。エミヤ先輩が彼を止めたことにより、選択の余地が生まれた。味方である彼と戦うか、それとも圧倒的実力差のある敵であるバーサーカーと戦うか、だ。私は後者を選んだ。その後悔はしていない。けれど、バーサーカーの目の前に立って分かる実力差。けれども、諦めてはいけない。この特異点を修復するために。マスターのために。

 

「さて、戦う覚悟はいいか?」

 

「はい!」

 

「それじゃあいくぜ、アンザス!」

 

そうやってクーフーリンさんは、バーサーカーにルーン文字を放つ。それによって彼が気づき、近くにいた私に襲いかかってきた。豪腕から放たれる一撃。盾で受け流すが、受け流しきれない。腕が痺れ、後ろに押されて下がってしまう。けれど、負けてはいけない。受け流した一瞬の隙に反撃する。相手は硬く、攻撃が入っている、という感覚はない。けれど、少しは効いているように思える。ならば攻撃を続ければ___

 

 

 

 

「見ろよ弓兵、かれこれ戦闘を始めて5分位だがどんどん嬢ちゃんの技量が上がっていく。黒化したとはいえ、相手はあのバーサーカーによくやってるぜ」

 

「そうだな、かなり不安だったが、この調子だと宝具が発動出来るのも時間の問題だろう」

 

「それにマスターの指示も更に的確になってやがる。だから、実戦が一番なんだよ」

 

「それはそうだな、だが君の方法は少し荒過ぎる。もう少し丁寧にだな…。けど、幸いにもあの2人は良いコンビだ。どんな困難も乗り越えていけそうだ」

 

 

 

 

 

戦い始めてどの位経っただろうか。5分のような気もするし、1時間のような気もする。それ位集中して戦っている。不思議と先輩の声と打ち合っている音しか聞こえない。徐々に動きが体に馴染んでいく。思い通りの動きができる。体は疲れているが、まだ気持ち燃えている。これならば____

 

溜まる疲労。安心。気の緩み。マシュの技量が上がった、それ故に生まれてしまった余裕。それらのせいで一瞬、ほんの一瞬だが、攻撃の手が止まった。瞬きをする程の間だろう、その一瞬次の攻撃へと繋がる手が止まってしまった。その一瞬の隙をヘラクレスに与えてしまったのだ。そのまま攻撃を受け流せないままくらい、後ろに飛ばされる。体勢を整えようとするマシュ。ヘラクレスを見ると、彼が今までの構えとは違う構えをしていた____。

 

「おいおいおい、ちょっとあれはやばいんじゃねぇの?宝具みたいな感じだぞ、あれ」

 

「あの構えは私の是・射殺す百頭(ナインライブズ・ブレードワークス)に似ているな…あれはヘラクレスの技術としての宝具だ。だが、あれは到底ヘラクレスの射殺す百頭(ナインライブズ)には及ばん。もしかすると黒化した影響で霊基が不安定になり、狂化が弱まって射殺す百頭擬きが使えるようになったのかもしれないな…」

 

「さて、正念場だぞ、嬢ちゃん。ここで宝具を使えなきゃそれまでだった、ってことだぜ」

 

アレをくらったら死ぬ。直感だけど、そう感じた。それ程のヤバさを感じる構え。避けるしか無い。けど、恐らく避けられない、そういう感じがする。どうやって防ぐ………

 

「マシュ!宝具を使うんだ!マシュなら出来る!」

 

パニックになった私に届く、先輩の声。冷静さを取り戻す。目の前にいるバーサーカーを見る。恐らく今私がやられたら、次は先輩だろう。一番近くにいるのは先輩だ、エミヤ先輩はいるが、間に合うかどうか分からない。なら私が先輩を守らなきゃ!!そう思うと、バーサーカーの動きに合わせて、体が勝手に動いていた。

 

「◼◼◼◼◼ーー!!!」

 

「宝具展開します!」

 

目の前に展開する大きな盾。盾はバーサーカーの猛攻を防ぐ。

 

「やった……!あれ………?」

 

疲労からか、膝をついてしまう。盾を持とうとするけど、力が入らない…、先輩を守らなきゃ____。

 

「格上相手によくやった、嬢ちゃん。後は俺たちに任せな」

 

そういって私の前に立つ2人。彼らはまるで英雄だった。

 

「マスター!指示を!」

 

「了解!クーフーリンは一旦マシュを連れて離脱、安全な場所へ!エミヤはその時間稼ぎを!」

 

「時間稼ぎか…別に倒してしまっても構わんのだろう?」

 

そう言いながらバーサーカーに向かっていくエミヤ先輩、本当に頼りになる人だ。

 

「さて、嬢ちゃん行くぞ!」

 

私を抱えながら離脱するクーフーリンさん。彼の腕の中で私はエミヤ先輩を見ていた。

 

「__同調、開始(トレース・オン)

 

「ヘラクレスを倒すならこの剣がふさわしいだろうな」

 

微笑みながら呟くエミヤ先輩。投影したのは黄金の剣。クーフーリンさんに抱きかかえられているとはいえ、見ほれてしまう程の美しさ。

 

「いくぞ、ヘラクレス!勝利すべき黄金の剣(カリバーン)!」

 

輝く黄金の光。それに直撃したバーサーカーは呻き声を上げながら、塵となって消えていった。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「嬢ちゃん、良くやったな!」

「マシュおつかれ、宝具発動出来たね!」

「お疲れ様、マシュ。ゆっくり休むと良い」

「お疲れ様よ、マシュ。貴方なら出来るって信じてたわ」

 

落ち着いて、安全な場所に移った後、笑いながら皆はそう言ってくれた。

 

「発動出来たは良いが、名前が無いのは困るよなぁ…」

 

「それなら、人理の礎(ロード・カルデアス)なんてどう?意味的にもいいんじゃない?」

 

人理の礎(ロード・カルデアス)…良いですね…」

 

「所長…たまにはかっこいい所見せますね!」

 

「たまにはって、一言余計よ、ロマン!」

 

宝具を発動できるようになり、最後のアーチャー戦と、セイバー戦に備える。ならば、彼らに今は僅かばかりの休息を____




マシュの技量が上がっていったのは、霊基が体に馴染んできたから。ヘラクレスが宝具擬きを使えたのは作中にある通りの説明だとお考えください。後者は主に書く上で必要だったから使わせました、宝具を使わないと言ったな、あれは嘘だ!(ごめんなさい)
さーて、2部配信前に書いたから、配信されたら2部思い切ってするぞぅ!
作者は他人からの評価を欲していますので、面白いと思ったら感想や評価お願いします!
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