転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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満身創痍の遊海 治療と決闘 そして…

 気がつくと俺はベットに寝ていた…医者に鎮静剤を打たれたあとまた寝てしまったようだ。

「お目覚めですか?マスター…」

俺の傍らにはアヤカが浮いていた。 

「マスターこのたびは本当にすいませんでした!」

アヤカは俺に謝罪してきた、なにかされただろうか?

「わたしはマスターのパートナーなのにマスターが無理をしている事に気付けなかった…、本当ならわたしがマスターの事を護らなければならないのに…、これじゃあ精霊失格です!」

そう言うとアヤカのコアから一筋の水が流れ落ちる…泣いているのだろうか。

「アヤカ…気にするな!もしお前があの少女の事を教えてくれなければ被害がもっと大きくなっていたかもしれない、それを俺の体一つで済んだんだ!成果はあったよ!」

「しかし…」

「だから気にするなって!そうだ、あの少女は?」

「あっマスターの助けた女の子ですね!まだ隣の病室で寝ています、処置をしないとしばらくは目覚めないでしょう…」

 

 

「結局暴走の原因はなんだったんだ?」

「はい、体をスキャンした結果と推測を合わせたものなのですが。まず本人の名前はともかくあの肉体はマスターの記憶にある「間桐 桜」のものでした、そして魂のスキャン、マスターとの比較によりやはり彼女は『転生者』でした。」

やっぱりか…シャドールを使っている時点でそうじゃないかと思ったけど…

「そして転生特典を一部読み込むことに成功しました。その中に『精霊のお友達』『前世のデッキ』という項目がありました、これが一つ目の原因です。彼女の精霊はおそらく『エルシャドール・ミドラーシュ』だと思われます、それが主の意志に呼応し主の体を乗っ取ったのでしょう。」

「でもなんで暴走したんだろう?」

「はい…実は彼女は精霊を『見る』力しかもっていませんでした、マスターは転生の際『精霊の力』を望まれています、これが違いです。」

「精霊の力とは前世で例えるといわゆる幽霊に干渉できる『霊能力』のようなものです、つまり彼女は見えても『干渉』できない状態だったのです。 しかしそれだけでは暴走は起きません。」

「もうひとつは『肉体』の影響です、彼女の体は『間桐 桜』そのもの、その特異性質『架空元素・虚数』まで再現されていました、本来は魂に宿るものですが管理者様が再現したのでしょう。」

「最後に彼女の心。彼女は前世にて辛い経験をしたのでしょう、その負の部分が肉体の『虚数』により増幅、そこに闇の精霊である『ミドラーシュ』が干渉したことにより暴走したと思われます。」

「…対処方法は?」

「簡単です、マスターの持つ『精霊の力』の一部を彼女に譲渡すればいいのです。」

 

「できるの…そんなこと?」

「はい!可能です、その代わりマスターの力のレベルが40から30に戻ってしまいますが。」

「わかった!すぐやろう!」

「了解しましたマスター…しかし動けますか?」

「これくらい…イタタタタ!?」

「しばらくは無理そうですね…」

全身に電流が流れたような痛みが走る、涙目である。

 

「おーい遊海起きてるか?」

とちょうどいい時に本田くんが現れる、チャンス!

「おはよう!本田くんちょうどよかった車イスを持ってきて欲しいんだけど…」

「?別にいいけど体は大丈夫なのか?」

「ああ、大丈夫だよほら!」

痛みを顔に出さず背伸びをする

「ちょっと待っててくれ、すぐ持ってくる!」

そして車イスで隣の病室へ

「これがお前が暴漢から助けた女の子か、けっこうキレイな子じゃないか」

本田くんにはそう伝わっているらしい。

俺は彼女の体に手を添える、そして

「少女に対する力の譲渡を開始します!」

俺の中の力がゴッソリ無くなっていく、そしてその力が彼女に流れ込む

「譲渡終了、あとは力が馴染めば目覚めるはずです。予定とすれば2日後位でしょうか…」

「ありがとうアヤカ…」

「おい遊海?大丈夫か?顔色悪いぜ」  

「ああ、ごめん部屋に戻ってく…ゴフッ」

「!?おい遊海!?」

意識が沈む…。

「おい!絶対安静の患者がいないぞ!?」

「探せ!?」

「…お前まさか…!?」

「すまん、嘘ついた…ゴメ…ン」

 

 

 

そして次に目が覚めると陽が沈んでいた、ベット横には居眠りをする杏子、そして体がボロボロの遊戯がいた、

あの感じは洗脳城之内とのデュエル後に訪ねてくれたのだろう。

「!遊海くん、大丈夫?」

「さっきよりはマシになった、ごめんな心配かけて…」

「大丈夫だよ、そうだ!隣の女の子も少し意識が戻って快方にむかってるって!」

「そうか…ならよかった、それより遊戯…お前もボロボロだな?火遊びして海にでも飛び込んだか?」

『なんでわかるんだ…』

「なんとなく直感だよ!」

『予知の間違いじゃないか?』

「ハハハさあね…、そろそろ帰ったらどうだ…もう面会時間も終わるぞ」

「そうだね、今日は帰るよ…杏子!起きて!」

「ん…、もうこんな時間!ごめんまたくるね!」

二人は慌ただしく帰っていった。

「アヤカ…いるか?」

「はい、マスター!」

「孔雀 舞さんの居場所を検索してくれ…!」

「…はい…マスターでも…」

「これくらいのケガで計画を諦めるわけには…行かない!」

 

そして俺は消灯後痛む体を引きずりある場所へ向かう、そこは…

 

 

 

 

 

 「城之内…あのバカ…」

アタシは今、遊戯と城之内の戦った埠頭にいる、アイツ変な洗脳に引っ掛かって遊戯と戦わされたらしい、アイツらしくない戦いかただったけど遊戯には勝った、でもその勝ちに納得せず遊戯と決勝で戦う約束をした。

アタシがここにいるのはアイツをひどい目にあわせたマリクという決闘者の痕跡を探すため…、でもなにも収穫はなかった、今日は宿に帰ろうかしら…。

 

 

「孔雀 舞さん…ですね」

声をかけられ振り返る、そこにいたのは…

「あんた…遊戯と一緒にいた…。」

「白波 遊海といいます、1日ぶりですね!」

青色の病院服に赤い防止を被った決闘者だった、でもたしか…?

「あんた、女の子助けて大怪我して入院中だったはずじゃ?」

「はい、抜け出して来ました。」

「なんで?」

「貴女とデュエルするために…!」

そう言って彼は決闘盤を構える

「貴女のパズルカード、いただきます…!」

「いい度胸じゃないか、相当無理をしてるみたいだしすぐに決着をつけてあげる!」

 

 

         「「決闘!!」」

舞LP 4000

遊海LP 4000

 

「アタシの先攻!ドロー!」

「『ハーピィレディ』を召喚!」

翼を持った女性型のモンスターが現れるATK 1300

「さらに装備魔法『サイバーボンテージ』を装備!」

ハーピィレディに鉄でできた鎧がつくATK 1800

「カードを二枚伏せてターンエンド!」

舞LP 4000 手札2 モンスター1 伏せ2魔法1

 

 

「俺のターン…ドロー!」

「手札から『汎神の帝王』を発動…手札の『再臨の帝王』を捨てて2ドロー!さらに墓地の『汎神』を除外し効果発動…デッキから三枚の『帝王』魔法罠を選び相手に公開する、その中から相手の選んだ1枚を手札に加える…」 

選んだカード

深怨✖2

烈旋

「アタシは…『烈旋』を選ぶわ!」

「『烈旋』を手札に加える、さらに手札からフィールド魔法『真帝王領域』を発動!」

周囲がギリシャ調の神殿にかわる。

「永続魔法『進撃の帝王』を発動…さらに手札から速攻魔法『帝王の烈旋』を発動…このターン生け贄召喚をするときに相手のモンスター1体生け贄にできる…!」

「なるほどね(でもアタシの伏せカードは『銀幕のミラーウォール』と『落とし穴』…しばらくは持つはず…)」

「さらに『真帝王』の効果!手札攻守2800/1000のモンスター1体のカードの星を2下げる…『天帝アイテール』を選択…」

「場の『ハーピィレディ』を生け贄に降臨せよ…『天帝アイテール』!」

ハーピィレディが破壊され天界より聖なる光を纏った帝王「天帝アイテール」が現れるATK 2800

「無駄よ!リバースカード『ビビー!』何よ!?」

「『進撃の帝王』により生け贄召喚に成功したモンスターは対象にならず破壊されない…!」

「さらに『アイテール』の特殊効果…デッキ、手札から帝王魔法罠を2種類…墓地に送り…デッキから現れろ『冥帝エレボス』!」ゴフッ

墓地に送ったカード

開岩

帝王領域

アイテールの作った門より冥界を統べる帝王「冥帝エレボス」が現れるATK 2800

「2800超えが2体!?」 

「バトル…『アイテール』でダイレクトアタック『天帝の威光』!」

「リバースカードオープン罠カード『銀幕のミラーウォール』!攻撃モンスターの攻撃力を半分に…くっ!」

ATK 2800→1400

アイテールから放たれた光が直撃する。

舞LP 4000→2600

「『エレボス』でダイレクトアタック『冥帝崩壊波』…!ズキッ」

「『ミラーウォール』で半分に…くぅっ!」

ATK 2800→1400

「エレボス」の破壊波動が直撃する。

舞LP 2600→1200

「カードを二枚伏せて…ターンエンド…、「アイテール」の効果で召喚された『エレボス』は手札に戻る…ガハッ」

遊海LP 4000

モンスター 1 伏せ2 魔法2 手札3(1枚エレボス)

 

「アタシのターン!ドロー!」

「(よし、死者蘇生を引けた!これで墓地のハーピィを蘇生して…万華鏡で手札から…)」

「スタンバイフェイズにミラーウォールを破壊!」

「アタシは『死者蘇生』を発動!ハーピィレディを復活!さらに…」

「その時リバースカードオープン!罠カード『連撃の帝王』!その効果により相手ターンに生け贄召喚をする事ができる…!!」

「なんですって!?」

「そしてこのモンスターは生け贄召喚に成功したモンスターをを生け贄にすることで1体で召喚できる…!」

「場の『アイテール』を生け贄に…現れろ炎の帝王!『爆炎帝テスタロス』!」

「アイテール」が炎に包まれ、その炎の中から『テスタロス』が現れるATK 2800

「『テスタロス』の効果…!相手の手札を確認し1枚捨てる、モンスターカードの場合その星✖200のダメージを与える!」

「…アタシの手札には星6の『ハーピィレディ三姉妹』がいるわ…アタシの負けね…」

舞 1200→0

遊海 WIN!

 

 

「はい…アタシのパズルカードとレアカードよ」 

「ありがとう…ございま…す。ぐっ!」

カードを受け取った遊海は膝をつく、よく見れば体中包帯だらけで血が滲んでいる

「アンタ…よくそんな体で決闘を…」

「約束が…ありますから…、城之内さんと戦うという約束が…!」

そう言うと遊海は立ち上がりふらふらと歩き出す。

「どこに行くんだい?」

「病院に戻ります、ギリギリまで体を休ませないと…」

「…送ってくよ…後ろに乗りな!」

「ははっ…ありがとうございます…正直…げんか…いで…」

遊海は倒れこむ

「ちょっと遊海!?」

 

その後、舞によって無事に病院へ戻された遊海へは先生の雷とアヤカの突進が待っていたがそこは割愛する。

 

 

 

 

翌日朝9時、バトルシティ予選最終日…遊海はベットにて体を休めていた。あと数時間後バトルシティの決勝が始まるまで少しでも体を回復させるために…。

コンコンコン

「はい、…どうぞ!」

「しっ…失礼します!」

そこにいたのは「間桐 桜」によく似た少女…春風 翠だった。

「白波…遊海さんですよね…」

「ああ、そうだよ!元気になってよかったね『翠』ちゃん」

「えっ、なんで名前を?」

「夢の中で会ったじゃないか!」

「えっ!あれ本当にあったことなんですか!?」

「うんそうだよ翠ちゃん」

「…本当にすいませんでした…」

翠は頭を下げる。

「私のためにそんな怪我をさせてしまって…」

「いいんだよ、同郷のよしみじゃないか」

「へっ?」

「俺もなんだよ『転生者』!」

「え~~~!!!?」

「し~!病院ではお静かに!」

「す、すいません…。」

 

 

そして俺と翠が話しているうちにどうやら同じ原因で転生したということがわかった。

「階段から落ちて胸に鉄棒って痛くなかったですか?」

「いまに比べれば全然だよ、それよりも看板に潰されるのもだいぶ痛いと思うけど」

「いえ、私は一瞬でしたからこう「グシャ!」と」

「まあそれならよかった、でもまさか同じタイミングで死ぬなんてな~」

「はい、5月12日の11時22分だなんて思いもしませんでした…フフ『いい夫婦』なんちゃってテヘ」

「しかし神様も迷惑なことしてくれたよな…」

「まあいいじゃないですか!そのうっかりのおかげで転生してこうして出会えたのですから…」

 

       『『ハクション!!?』』

 

…どこかからくしゃみが聞こえたような?

「でも今回のことどうお詫びしていいか…」

しょんぼりとする翠、う~ん、そうだ!

「なら罪滅ぼしと思って少し手伝ってくれないか?」

「はい?」

「俺はこれから退院してバトルシティ決勝へ向かうつもりなんだ、でもまだ体が思いどうりに動かない…だから車イスをおす俺の『足』の替わりになって欲しいのだけど…どうかな?」

「私は構わないですけど遊海さん絶対安静ですよね…どうやって退院するんですか?」

「ん?真正面から」

「へっ?」

 

         ~1時間後~

 

 

「…本当に退院できちゃいました。」

「なっ!言ったとおりだろ?」

タネは簡単、アヤカ・ミレニアムモードに催眠術を先生や看護婦達にかけてもらっただけだ、それにより「おれは完治した」と認識させて正面から退院したのだ。

「さあ、行こう決戦の舞台へ!」

 


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