転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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注意!

この話でのみ龍可を強化します!

…ロリコンサディスト死すべし慈悲はない


妖精竜との約束〜精霊界に迫る危機〜

《遊海…遊海…》

 

 

…誰かが俺を呼んでいる、意識はあるが身体は動かない…ならば夢なのだろう…

 

 

《約束を果たして…あの子を…》

 

 

…約束…?そうか、お前は…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ…ここは…?」

 

「あ、遊海さんおはようございます!早かったですね!」

目が覚めると俺はソファで横になっていた、翠が驚いた様子で俺を見ている…。

 

「翠…大会は?」

 

「えっと…今は休憩時間です!もう少しで何か発表があるみたいですよ?」

 

「そうか…なら体調もよくなったから見に行こうか!」

 

「はい!」

 

 

 

 

 

「ん…あれって…!お〜い白野!こっちこっち〜!!」

観客席に出た俺達を誰かが呼んでいる…見るとツンツン頭のマッチョとお爺さん、あとメガネをかけた少年と共にいる龍亞と龍可の姿があった。

 

 

「おっ!龍亞じゃないか!さっきはかっこよかったぞ?変装はバレバレだったけどな!」

 

「やっぱりそうよね〜龍亞ったら…」

 

「なんだよー!代わりに出てやったのにー!!」

 

「こらこら2人共!喧嘩はよさんか!…オッホン!ワシは矢薙という者じゃ!あんた達は?」

2人の口喧嘩を宥めつつお爺さん…矢薙が話しかけてくる。

 

「俺は岸波 白野、龍亞達とは少し縁があって…隣にいるのは妻の翠です!」

 

「翠といいます!よろしくお願いします!」

 

「あなたが翠さん…綺麗…、あっ私は龍可です!よろしくお願いします!」

 

「オレは龍亞!ヨロシク!」

 

「ボクは早野 天兵です!」

 

「オレは氷室だ!立ち話もなんだ!座りなよ!兄さん顔色悪いぞ?」

 

「あはは…少し病弱でね、ありがたいです」

遊海達も客席に座る

 

「白野!見て見て!メタルナイトのサイン貰っちゃった!」

龍亞は先程の色紙を見せてくる…はしゃぎすぎだな

 

 

「よかったじゃないか!あの人みたいな立派な決闘者になれるように頑張るんだぞ!」

 

「うん!オレ頑張る!!」

 

「(クスクス…)」

メタルナイトの正体を知ってる翠は隠れて笑っていたのであった…。

 

 

 

 

 

 

『スタジアムの観客の方々にサプライズのお知らせだ!先程1回戦で負けてしまった龍可選手!なんと敗者復活戦が行われる事が決定したぞ!!』

 

「やったあ!もう一度デュエルできるぞぉ!今度は勝ってやる〜!」

 

「龍亞〜いい加減してよ〜…また負けて恥かいちゃうよー」

MCからの突然のサプライズに龍亞は浮かれている…龍可は呆れているようだ。

 

 

『敗者復活戦は敗退者の中からランダムに選ばれた!一人目は実力はゴドウィン長官お墨付き!将来有望な女の子!龍可!』

 

「は〜い!…あれっ?」

 

「えっ…?」

スタジアムの天井からスポットライトが本物の龍可を照らし出す…ゴドウィンは未だ覚醒しない龍可をシグナーとして目覚めさせるつもりだろう…

 

『そして対戦相手は…先程のデュエルで敗れたデュエルメンタリスト・フランク!!』

 

スポットライトが反対側の男を照らし出す…たしかアイツは…

……よし、介入しよう、あの顔芸は許せない…

 

 

 

「わかったわ…このデュエルだけは勝つから後はお願いね龍亞…」

龍亞と話していた龍可が立ち上がる、どうやらこのデュエルだけは龍可がやる事になったようだ…なら…

 

 

 

「(頼む…龍可に力を貸してあげてくれないか?)」

 

《…いいのですか?人目がありますが…》

 

「(ちょっとの嫌な場面を思い出したんだ…頼む

!)」

 

《(…わかりました!できるだけ正体は隠しましょう…久々に羽を伸ばしたいですし!)》

 

「(ありがとう…頼んだぞ…!)」

ある精霊と念話で許可をもらう 

 

 

「龍可!」

 

「ん?…白野どうしたの?」

 

「これをお守りにデッキに入れてくれるかい?これは俺の大切なカードなんだ、きっと龍可を守ってくれる!」

俺はカードを龍可へ手渡す…

 

「…何も描いてないカード…?」

 

「俺を信じて…頼む…!」

 

「…わかった!あとで返すね白野!」

龍可はカードをデッキに入れてステージに向かった…。

 

 

 

 

「ハ、ハクノサン?…今渡したカードって…!?」

 

「…精霊界と女の子を傷つけるデュエリストに慈悲は無い…それに彼女との約束があるからな…」

 

 

 

 

 

 

 

Side龍可

 

 

『初めまして龍可さん、よろしくお願いしますね?』 

 

チャイナ服を着た男の人が挨拶してくる…なんだろう…顔は笑ってるのに…何だか怖い…!

 

 

『このデュエルで本当の貴女を探しに行きましょう!』

 

《クリー…》

「クリボン…あなたも感じるのね…でも頑張らなくちゃ…!」

 

 

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

 

 

龍可LP4000

フランクLP4000

 

 

 

 

 

「わたしのターン!ドロー!」

「お願いね!『ジェリー・ビーンズマン』を召喚!」

剣を構えた小さな豆の戦士が現れる ATK1750

 

「ターンエンド!」

龍可LP4000

ビーンズマン 手札5

 

 

 

 

 

『ではボクのターン、ドロー!』

『「L⇔Rロールシャッハー」を召喚!』

紫色の靄のようなモンスターが現れる ATK1200

 

『ボクは手札から魔法カード「攻撃封じ」を発動、「ジェリービーンズマン」を守備表示に変更!』

ジェリービーンズマンが盾を構えてしゃがみ込む ATK1750→DEF0

 

『バトル、「ロールシャッハー」で「ビーンズマン」を攻撃!』

紫色の靄がビーンズマンを包み破壊する…

 

 

 

『龍可さん、ロールシャッハーテストという物は知っていますか?』

 

「いいえ…知らないわ?」

攻撃が終わった後にフランクさんが話しかけてくる…

 

『このテストは紙にインクを垂らしてその染みが何に見えるかでその人の不安を明らかにするテストです…ボクの「ロールシャッハー」は何にでも見えるモンスター…貴女には何が見えますか?』

 

わたしは紫色のモンスターを見つめる…するとそれは可愛い妖精のような姿に変わった…でも

 

《シャアアア!!!》

 

「きゃ…!」

妖精の顔が突然怖いモンスターになっちゃった…!

 

『このテストでは貴女が恐れているモノが判ります…貴女は妖精やカードの精霊を無意識で恐れています…』

 

「そんな事ないわ!皆わたしのお友達よ!」

 

『偽らなくて大丈夫…このデュエルでその問題を解決していきましょう…貴女は特別な人間だ、貴女の深層意識にはカードの精霊の世界に繋がる入口がある…そこから精霊世界に旅立ちましょう…!』

 

「そんな世界ある訳が…」

フランクさんは難しい話をしてくる…何だか怖い…!龍亞…助けて…!

 

 

『おっと、デュエルを再開しなければ…「ロールシャッハー」は相手モンスターを破壊した時にデッキトップを表がにします、一番上のカードを教えて頂けますか?』

 

「…『クリボン』よ…」

デッキの一番上はわたしの一番のお友達のクリボンだった…

 

 

『ほう…可愛いモンスターですね〜、もしかしてその子の声も聞こえるのでは?ボクはカードを2枚伏せてターンエンド』

フランクLP4000

ロールシャッハー 伏せ2 手札2

 

 

 

 

 

 

「天兵…白野…何だか変な感じがする…何だか怖い…!」

 

「龍亞?どうしたんだよ?」

 

「…大丈夫、龍可にはお守りを渡してある…だから大丈夫だよ」

 

「白野…」

双子故の感覚なのか、それとも内に眠るシグナーの力なのか…龍亞は龍可に迫る危険を感じているようだ、デュエルも俺の覚えている進行と変わっている…もしもの時は…!

 

 

 

 

 

「わたしのターン…ドロー!」

「『クリボン』を召喚!」

短い尻尾にリボンを付けたクリボーが現れる ATK300

 

『その時!罠カード発動!『深層へと導く光』!相手が光属性のモンスターを召喚した時、相手のデッキ上から5枚のカードを墓地に送り…6枚目を手札に加えて貰います…さぁカードを墓地に送ってください…』

 

「はい…えっと…」

 

墓地送り

妖精王オベロン

フェアリーアーチャー

踊る妖精

サニーピクシー

アーマードホワイトベアー

 

☆古の森

 

 

 

…なんだろう…眠くなってきた…

 

『さぁ…6枚目のカードは何かな?おじさんに教えてくれるかい?』

 

「…6枚目のカードは…全てをあからさまにする…争いを許さない聖地…『古の森』を発動…」

フィールドが明るい森に包まれる…それと共に龍可、そして龍亞の瞳から光が消えていく…。

 

「私は…ターンエンド…」

龍可LP4000

クリボン 古の森 手札5

そして龍可の意識は深層意識…精霊界へと墜ちていった…。

 

 

 

 

『ボクのターン、ドロー』

『彼女は無事に精霊世界へと向かったようですね…ボクは装備魔法「不死のホメオスタシス」を「クリボン」に装備、この効果により装備モンスターは戦闘では破壊されない…さらに罠カード「ゲシュタルト・トラップ」を装備カードとして「クリボン」に装備、これにより効果は無効となり攻守は0になる』

クリボンに大きな手錠が嵌められる ATK300→0

 

 

『ボクはさらに「ロールシャッハー」をリリースし…「超魔神イド」をアドバンス召喚!』

紺色のエネルギーでできたトカゲのようなモンスターが現れる ATK2200

 

『バトル!「イド」で「クリボン」を攻撃!しかし「不死のホメオスタシス」の効果で破壊はされない!』

 

「……!」

イドの尾がクリボンを弾き飛ばす!

 

龍可LP4000→1800

龍可は風圧を腕で防ぐ…しかし意識は無いようだ…

 

「…『古の森』では争いは許されない…戦闘を行なったモンスターは破壊される…」

龍可の言葉と共にイドが森の制裁を受けて破壊される

 

『ボクはこれでターンエンド、その時破壊された「イド」が墓地から特殊召喚される』

再び紺色のトカゲが現れる ATK2200

フランクLP4000

イド ホメオスタシス ゲシュタルト 手札2

 

『さぁ…龍可、痛みを味わい苦しみの中から貴女の本当の使命を思い出すのです…!』

 

 

 

 

 

「龍亞…?大丈夫か?龍亞…?」

 

「……」

 

「くっ…嫌な予感的中か…!しょうがない!」

龍亞も龍可も精神への干渉を受けてる…無事なのはわかってるけど…放ってはおけない…!

 

「翠…俺の身体を頼む…行ってくる!」

 

「…わかりました…気をつけて!」

俺はカバンから千年玉を取り出す…今いくぞ2人共…!

 

「おい…白野の兄ちゃん!それはもしや…!」

 

「千年玉よ!我が心を龍可の下へ導け…!」

そして俺を意識は深く沈んでいった…。

 

 

 

 

「わたしのターン…ドロー…」

 

『装備魔法「ホメオスタシス」の効果発動!スタンバイフェイズに装備モンスターの攻撃力が変動していた場合300ダメージを与える!』

 

龍可LP1800→1500

 

「『サンライト・ユニコーン』を召喚…」

青い鬣のユニコーンが現れる ATK1800

 

「さらに装備魔法『一角獣のホーン』を『ユニコーン』に装備…攻撃力が700アップ…」

ユニコーンの角が長くなり光を纏うATK1800→2500

 

「バトル…『ユニコーン』で『イド』を攻撃…グレースダッシュ…」

ユニコーンの突進が魔神を退ける

 

フランクLP4000→3700

 

「そして戦闘した『ユニコーン』は破壊される…そして『一角獣のホーン』はデッキトップに…」

ユニコーンが森の裁きを受け破壊される

 

「そしてメインフェイズ2で魔法カード『緊急救命』を発動…破壊されたレベル4モンスター『サンライト・ユニコーン』を特殊召喚…」

再びユニコーンが現れる ATK1800

 

「そして『ユニコーン』の効果…デッキトップを確認して装備魔法なら手札に加える…当然デッキトップは『一角獣のホーン』…手札に加えて…再び装備…」

再びユニコーンが強化される ATK1800→2500

 

「…カードを2枚伏せてターンエンド…」

 

『そのエンドフェイズに「イド」は再び蘇る…』

三度魔神が復活する ATK2200

龍可LP1500

サンライトユニコーン(ホーン装備) クリボン(ホメオスタシス・ゲシュタルト装備) 伏せ2 手札2

 

 

 

 

『ボクのターン…ドロー…』

フランクの瞳も光を失う…彼も精霊世界に迷い込んだようだ…

 

「罠カード発動『ガリトラップーピクシーの輪』、あなたは攻撃力の低い『クリボン』を攻撃対象にできない…」

 

『ボクは映像魔法「悪意の波動」を発動…効果によりボクのモンスターが戦闘で破壊される度に300ダメージを与える…バトル…「イド」で「ユニコーン」に攻撃…返り討ちになる…』

イドがユニコーンに襲いかかるが角で切り裂かれる

 

フランクLP3700→3400

 

『戦闘でモンスターが破壊されたから300ダメージを与える…』

 

龍可LP1500→1200

 

『さらに魔法カード「精神汚染」を発動…モンスターが戦闘で破壊された時に相手のカードを破壊する…「ガリトラップ」を破壊…ターンエンド…そして「イド」は蘇る…』

再び魔神が復活する ATK2200

フランクLP3400

イド ホメオスタシス ゲシュタルト 悪意 手札0

 

 

 

 

 

 

「わたしのターン…ドロー…」

 

『「ホメオスタシス」の効果を発動…300ダメージ…』

 

龍可LP1200→900

 

「…『貪欲な壺』を発動…墓地の『踊る妖精』『オベロン』『サニーピクシー』『ジェリービーンズマン』『フェアリーアーチャー』をデッキに戻して2ドロー…!!」

カードをドローした瞬間、龍可の意識が覚醒する!

 

「わたしは負けない…!精霊世界を守ってみせる!魔法カード『死者蘇生』を発動!墓地の『アーマードホワイトベア』を特殊召喚!」

鎧を着たシロクマが現れる ATK1800

 

「そして魔法カード『癒やしの風』を発動!フィールドのモンスターの数✕300のライフを回復する!900回復!」

精霊達が龍可に力を分け与える

 

龍可LP900→1800

 

「お願い…力を貸して!!召喚!!」

《キュアアアア!!》

龍可のフィールドが炎に包まれる…そして全身を炎で包んだ鳥が現れる ATK???→3900

 

「精霊世界を脅かす悪い意思よ!消え去りなさい!」

 

龍可LP1800→800

 

《キュアアアア!!!》

 

炎の鳥がイド諸共フランクを呑み込んだ…

 

 

フランクLP0

 

龍可WIN!

 

 

 

 

 

『デュエルエ〜ンド!敗者復活戦を制したのは龍可選手だ〜!!…でも最後のモンスターはなんだったのでしょう…??』

 

 

 

『あ…ああ…』バタン

フランクは酔っ払ったように地面へと倒れた…。

 

「はぁ…はぁ…ありがとう白野さん…わたし…」パタッ

 

「…お疲れ様、龍可…いいデュエルだったぞ…」

倒れかけた龍可を遊星が受け止める…龍可の異変を察知し駆けつけたのだ。

 

「遊星…わたし…棄権するわ…」

 

「…ああ、それがいい…奴も文句は言わないだろう…」

遊星はゴドウィンを睨みつけフィールドから下がっていった…そして龍可の腕には赤き竜の痣、「ドラゴン・クロー」が仄かな光を放っていた…

 

 

『フムフム……観客の皆様に残念なお知らせです!龍可選手は体調不良のため棄権しました!よって復活戦は無くなりました!!それでは今日はここまでだ!また明日!!シーユーアゲイン!!』

 

 

龍可Sideout

 

 

 

 

「ゴホッ…コフッ…なんとか…なったか…」

 

「白野さん…やりすぎです、どうしてそこまでして…!」

 

「恩人との約束を思い出してね…精霊界を救う彼女を…守ってくれって…」 

気を失った龍亞と共に医務室へ運ばれた遊海は意識を取り戻していた。

 

「なぁ…白野の兄ちゃん、さっきの金色の卵…もしかしなくても古代エジプトの『千年アイテム』じゃないかい?…いったいアンタは何者なんだ…?」

矢薙さんが話しかけてくる…彼は世界中の伝承を調べたコレクター…当然千年アイテムも知っているだろう。

 

「俺は…精霊の見えるただの決闘者ですよ、それ以外の何者でもありませんよ」

 

「ふ〜む…しかしなぁ…」

 

「矢薙の爺さん、男にゃ知られたく無い事の一つや二つあるもんだ…放っておきな」

氷室さんが矢薙さんを静止する…正直ありがたい、俺は再び意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

『モーメントがオーバーヒートした?』

 

「イエ〜ス!龍可さんのシグナー反応、そして炎の鳥!それが出てきた瞬間モーメントが緊急停止したのでーす!正体はわかりませんがあの鳥は超高エネルギーの塊でしたー!」グルグール

 

『そうですか、ありがとう阿久津君…とにかくこれでシグナーは全員覚醒しましたね…しかしあの鳥…彼女のデッキにそんなカードは無いはずですが…?』

 

報告を受けたゴドウィンは頭を捻る…イレギュラーたる6人目のシグナー…謎のモンスター、わからない事が多すぎると…

 

『あなたの仕業ですか?…岸波 白野…』

 

 

 

 

 

 

デュエル中

Side精霊世界@龍可

 

「はぁ…はぁ…森が…どうしてこんな事に…!」

わたしは精霊世界をサンライトユニコーンと共に走り抜けていた、誰かの声に導かれて森を進んでいく…でも、ある場所に近づくにつれて森が枯れていく、そしてわたしは岩山のような場所に着いた。

 

《龍可…私はここよ…ようやく来てくれた…!》

 

岩山には細い竜の絵が刻まれている…わたしはあのドラゴンの事を知っている…!

 

「エンシェント・フェアリー・ドラゴン…!」

 

《そうです龍可…思い出して…約束を…》

 

 

その時、わたしは幼い時の記憶を思い出した…。

 

大会の最中に倒れて精霊界に行った事…

 

エンシェントフェアリードラゴンと邪悪な者から精霊界を守ってほしいとお願いされた事…

 

そして…龍亞の声を言い訳に精霊界から逃げた事…怖かった、わたし一人でこの世界を守る事が怖かったから…

 

 

 

「…思い出した…わたしは約束したんだ『精霊界を守る』って…でも怖くなって逃げちゃったんだ…」

 

《龍可…でもあなたは戻って来てくれた…、この世界を守るため…龍可!後ろを!邪悪なる者が…!》

 

「えっ…!『イド』!!」

エンシェントフェアリーが注意を促す、わたしの後ろにはイド…邪悪な意思の化身が迫っていた。

 

 

『フッフッフ…まさかこのボクまでこの世界に取り込むとは…やはりお前はシグナーだ!!!』

 

「ひっ…!?まさか…この人が邪悪な意思…!?」

わたしの前に現れたイドは姿を変え対戦相手のフランクさんに変わった、でも様子がおかしい…あの人から強い闇の力を感じる…!

 

『お前の力を求めている者がいる…さぁオジサンと一緒に行こう!お前の力を正しく引き出してくれる人の下に…!!!』

 

「怖い…怖いよ!助けて!龍亞!!」

フランクさんはじりじりと近寄ってくる…怖い…!

 

(龍可…龍可…!!)

 

「はっ…!龍亞!何処なの!わたしを助けて…!!」

頭の中に龍亞の声が響く…

 

 

(龍可…約束は守らなくちゃだめだ…!龍可はオレが…()()()が絶対に守る…!だから龍可はその世界を守ってあげて…!) 

 

「龍亞…、わかった…!わたしがこの世界を守ってみせる!!」

龍可は覚悟を決めた…遠い日の約束を果たして精霊界を守ってみせると…!

 

 

『フハハハ…本当はなぁお前の力なんてどうでもいいんだ…お前や精霊の苦しむ顔が見れるならそれでいいんだょお…!!アハハハ!!』

フランクは完全に闇に呑まれる…否、ここは全てを明らかにする『古の森』…これがフランクという男の本性なのだろう…。

 

《許しません…この世界を汚す者を私は許さない…!!》ゴゴゴ…

岩に刻まれたエンシェントフェアリーのレリーフが動き出しフランクを鷲掴みにする…フランクは狂ったように笑っている…

 

「だめよ!エンシェントフェアリードラゴン!落ち着いて!このままじゃあの人が…!」

 

 

 

 

「落ち着けよ、エンシェントフェアリードラゴン…そんな奴喰ったらお腹壊すぞ?」

 

「えっ…!?」

精霊界に第三者の声が響く…

 

《…あなたは…来てくれたのですか…》

 

「当たり前だろ?3年前の約束を果たしに来た…あとは龍可に任せて休んでなよ…貴女の出番はまだ先だ」

 

《…そうですね、あとは頼みます…》

エンシェントフェアリードラゴンはフランクを離すと石版に戻っていった。

 

 

「エンシェントフェアリーの怒りが…あなたはいったい…?」

龍可は現れた人物を見る…赤い帽子に赤いジャケットを着た青年…その身体からは強い力が溢れている…

 

 

「俺は白波 遊海…『エンシェントフェアリードラゴン』からお前達の事を託されたデュエリストさ…初めまして龍可ちゃん」

 

「えっ…あの初めまして…」

 

『くっ…おのれぇ!邪魔をするなぁ!!』

フランクが立ち上がる…その眼は闖入者である男を睨みつけている…。

 

「さぁ…龍可、彼を倒す事が精霊界を救う第一歩になる、君には強力な精霊が付いてる…俺がサポートするからその力を使うんだ!」

 

「うん、わかった!ドロー!」

私はカードをドローする…すると暖かい力がわたしを包み込む…!

 

「繰り返して…『精霊は歌う…大いなる力…すべての万物を司らん…その命、その魂…そしてその骸でさえも』」

 

「精霊は歌う…大いなる力…すべての万物を司らん…その命、その魂…そしてその骸でさえも…お願い!精霊界を救う力を貸して!召喚!」

私はドローしたカード…白野さんに渡された「白紙のモンスター」を召喚する…すると

 

《キュアアアア!!》

 

「綺麗…!」

全身を炎で包んだ鳥…不死鳥のようなモンスターが現れる…  

 

 

「我が友たる不死鳥よ!邪悪なる意思を焼き払え!ゴッド・フェニックス!!」

 

《キュアアアア!!》

不死鳥はその炎をさらに強くしてイドに突撃…邪悪なる意思は焼き払われた…。

 

 

「すごい…!これが白野さんの大切なカード…!」

 

「とりあえず危機は去った…ではまた会おう龍可、俺はいつでも駆けつけるから…」 

 

「待って!あなたはいったい何者なの?」

 

「君と同じさ龍可、精霊に選ばれた…只の決闘者さ…」

 

そう言って彼は姿を消した…。

 

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

「白野さん!ありがとうございました!」

 

「ああ、龍可…無事でよかった、確かに返して貰ったよ」

 

 

医務室に龍可と遊星が訪れる…俺は彼女に渡した『ラーの翼神竜』のカードを返してもらう、なお図柄はフレアに頼んで見えなくしてもらっている…。

 

『しかし驚いた…白野さんと龍可達が知り合いだったとは…』

 

「ちょっとした縁でね…そうだ遊星も準決勝出場おめでとう!これでジャックにも近づいたな!」

 

『はい…!絶対に勝ち進んでみせます…!応援していてください!』

 

「ああ、頑張れよ!」

 

「はい!!」

遊星は部屋をあとにした…しかし龍可はまだ残っている…何か聞きたい事があるようだ。

 

「ねぇ…白野、わたしさっき不思議な人に会ったの…とても強い力を持った人…誰だかわかる?白波さんって言うだけど…」

 

「う〜ん、たぶん俺に聞くよりも本を見た方がいいな…有名な決闘者だよ…だいぶ前のね…」

 

「…わかった!調べてみる!じゃあお大事に!」

龍可も遊星に続いて部屋をあとにした…

 

 

 

 

「無理させて悪かったなフレア…」

 

《大丈夫ですよ遊海、精霊界の事は私も無関係ではありませんから…》

 

「…これで龍亞以外のシグナーは覚醒した…さて物語はどんな風に進むのかな…」

遊海は天井を見上げる…これから起きるであろう騒動を思いながら…。


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