転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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第2章 破壊と再生の輪廻 ダークシグナー襲来
復活の邪神〜動き出す亡者達〜


「嫌な気配を感じる…これがダークシグナーの気配か…?」

 

遊海は痛む体をおして夜のベランダへと出ていた、痣の知らせ…そして虫の知らせとも言える胸のざわつきで落ち着かないのだ。

 

 

「…なんだろうこの感覚は…何処かで知っている気配が…」

 

《マスター大丈夫ですか?確かに闇の気配は感じますが…》

 

《ユウミ、気のせいかもしれませんが…私の故郷の闇の気配がするような…?》

 

「エジプトの?そんな事ある訳が…第一『地縛神』はインカ・アステカ神話が元の筈だし…」

 

神であるフレアは闇の気配を感じ取った…それは3000年前のエジプトで破壊を齎した『闇』と似通ったモノだった…

 

《…そうですよね、すいませんユウミ》

 

「いや、大丈夫だよフレア…俺がいる以上何かしらのイレギュラーがあってもおかしくな」

 

 

ドクン!

 

 

 

「痣が…!誰かが戦っている…遊星か!」

 

痣が痛みを発しながら輝く、そして伝わってくるイメージ…それは遊星が何処かのビルでフードの男と戦うイメージだった…。 

 

「…この戦いは遊星が勝つ筈だ、心配は無いが…」

 

《マスター、警戒を…!誰かに見られています!》

 

「ああ、殺気を感じる…!トフェニ、メガロック!家の警戒を頼む…迎撃する!」

 

《御意!》 

 

《わかった、無理するでないぞ!》

 

「できる限り努力はする!」

 

遊海は精霊アーマーを纏い飛び出した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでくれば大丈夫だな…姿を見せろ!ダークシグナー!!」

 

遊海は殺気の主を誘いながらとある公園に辿り着く…そこは二十数年前、遊海が城之内と初めてデュエルをした公園だった。

 

 

 

『ククク、潔いじゃないかメタルナイト…いや、()() ()()()!』

 

闇から湧き出るように黒いフードの男が現れる

 

「何者だ…!俺の真名を知っている奴は昔からの知り合いだけだ!」

 

『おいおい…オレ様も昔からの知り合いだろ…?忘れるなんてひどいじゃないか…!』バサッ

 

 

「貴様…どうやって戻って来やがった!」

 

 

ダークシグナーがフードを下ろす…フードの下には白い髪を逆立て、邪悪な眼差しで遊海を睨みつける青年の姿があった…

 

 

 

「バクラ…いや、大邪神ゾーク!!」

 

 

 

 

 

『フハハハハ!…「冥界の王」とか名乗る奴に蘇らせて貰ったのさ!誰かの下になるのは正直好きじゃないが…貴様らに復讐できるのなら話は別さぁ…さぁ殺し合おうぜ白波…三千年の怨みを受けてみろ!そのボロボロの身体でなぁ!!』

 

 

 

「遊戯達に手は出させない!冥界に送り返してやる!!」

 

 

 

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

 

遊海LP4000

バクラLP4000

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「『マジシャンズ・ロッド』を召喚!」

魔法使いの杖を持った影が現れる ATK1600

 

「『ロッド』が召喚に成功した時!デッキから永続魔法『黒の魔導陣』を手札に加え…発動!効果によりデッキトップ三枚を確認し…『マジシャンズ・ナビゲート』を手札に加える!カードを2枚伏せターンエンド!」

遊海LP4000

ロッド 伏せ2 手札4

 

 

 

 

 

『オレ様のターン!ドロー!』

『まずは邪魔なカードを掃除するとしようか!魔法カード「大嵐」を発動!』

 

「っ…リバースカード『マジシャンズ・ナビゲート』を発動!手札から現われよ!最上級魔術師『ブラックマジシャン』!さらにデッキから来い!魔法使いの弟子!『ブラック・マジシャン・ガール』!」

空中に描かれた魔法陣から最強の魔術師師弟が現れる ATK2500 2000

 

『ソイツらは…!チッ、まあいい…フィールド魔法「ダークサンクチュアリ」を発動!』

バクラは嫌そうに顔を歪めながらフィールド魔法を発動…周囲が気味の悪い空間に変わる  

 

『モンスターを伏せ…カードを3枚セットしてターンエンドだ!』

バクラLP4000

セットモンスター サンクチュアリ 伏せ3 手札0

 

 

 

 

「(バクラが得意なのはロック戦術…そして『ダークサンクチュアリ』という事はウィジャ盤デッキ…慎重に攻める…!)」

 

 

 

 

「俺のターン!ドロー!」

「俺は『マジシャンズロッド』を生贄に『幻想の見習い魔導師』を守備表示で召喚!」

褐色肌の見習い魔法使いが現れる DEF1700

 

「…バトル!『ブラックマジシャン』でセットモンスターを攻撃!黒・魔・導(ブラック・マジック)!」

 

『「ダークサンクチュアリ」の効果発動だ!さぁ…運命の神に祈りな!』

コインのソリッドビジョンがゆっくり落下する…

 

 

『チッ…「裏」か…まぁいい!リバースモンスターは「メタモルポット」だ!』

魔力弾が一つ目の壺を破壊する

 

『リバース効果発動!オレ様の手札は0枚…よって5枚ドローだ!』

 

「俺は手札三枚を捨てて5枚ドローする!」

 

墓地送り

マハード

マジシャンオブブラックイリュージョン

見習い魔導師

 

『そしてオレはトラップカード「死霊ゾーマ」を発動!モンスターゾーンに特殊召喚!』

骨のできた死霊が現れる ATK1800

 

「くっ…戦闘破壊したらそのモンスターの攻撃力分のダメージを受けるトラップモンスター…!俺は『おっと逃しはしないぜ!罠カード「立ちはだかる強敵」を「ゾーマ」を対象に発動だ!』しまった!攻撃強制カード!?」

 

バクラは相手に攻撃を強制させる罠カードを発動した…これにより遊海は「ダークサンクチュアリ」でダメージを受けるか「ゾーマ」の効果によるダメージを受けるかの「死の二択」を迫られる!

 

 

『さぁ…かかってこいよ「ブラックマジシャンガール」!』

《!?》

マジシャンガールの意思に関係無く杖に魔力が集中…魔力弾が放たれる!

 

『「ダークサンクチュアリ」の効果を発動!…命拾いしたなぁ「表」だ!攻撃力の半分のダメージを受けなぁ!!スピリットバーン!』

魔力弾はゾーマに直撃する直前に邪悪なバリアに反射され遊海に直撃する!

 

遊海LP4000→3000

 

「ぐあぁぁぁ…!ガハッ…!?」

闇のダメージにより遊海は吹き飛ばされ遊具の支柱に背中を打ち付ける

 

「ガッ…やっぱりサイコデュエルとは…桁違いのダメージ…ゴボッ…!」

 

『フハハハ!…弱くなったなぁ白波ィ!よくもまぁそんなボロボロの体で生きてるもんだなぁ、デュエルは続けられるか?骸骨男!』

 

「ぐっ…お前には負けるわけには行かないんだよ!クソ邪神!…コフッ…!」

遊海は支柱を支えに立ち上がる…

 

『へっ、その気概だけは認めてやるよ!オレ様はさらに罠カード「ウィジャ盤」を発動!貴様の命は残り4ターンだ!』

バクラの頭上に呪いの降霊板が現れる…現在は「D」を指し示している…

 

 

「俺はカードを2枚伏せて…ターンエンド…!」

遊海LP3000

ブラックマジシャン マジシャンガール 見習い魔導師 伏せ2 手札3

 

 

『「ウィジャ盤」と「ダークサンクチュアリ」の効果を発動!手札の「死のメッセージーE」をモンスター扱いで特殊召喚する!』

 

バクラのフィールドに青い炎に包まれた「D」の文字が現れる DEF0

 

 

 

『さぁ…何もしなくても貴様の命は残り3ターンで尽きるが…貴様は楽には死なせねぇぜ…!』

 

 

 

 

 

『オレ様のターン!ドロー!』

『「死霊騎士デスカリバーナイト」を召喚!』

馬に乗った死霊騎士が現れる ATK1700

 

『バトルだ!「ゾーマ」で「ブラックマジシャン」を攻撃!』

ゾーマがするどい爪で襲いかかるがブラックマジシャンは魔力弾でゾーマを木っ端微塵に吹き飛ばす!

 

バクラLP4000→3300

 

『ぐっ…破壊された「ゾーマ」の効果を発動!さぁ…2500のダメージを喰らいなァ!!』

霊体のゾーマが遊海を切り裂く!

 

「うぐぁぁ…!!」

 

遊海LP3000→500

 

『そしてオレは魔法カード「暗黒の扉」を発動!これでターンエンドだ!』

バクラLP3300

デスカリバーナイト メッセージE ダークサンクチュアリ 暗黒の扉 手札4

 

 

 

 

 

 

「かっ…ごほっ…!」

 

視界が赤く染まる…心臓の音は早鐘のように鳴り響き体温が下がっていく…正直ヤバイ、意識が飛びそうだ…俺の手札には奴を倒す手段がある…動け…動いてくれ…俺の身体…!

 

『ククク…なんだぁ?もうおねんねの時間か?貴様の次はそうだな…貴様の女でも狙うか?一人じゃ寂しいだろうからなぁ!ククク…アハハハ…!』

 

 

 

バキャ…

 

「させるかぁ…!!貴様は俺が…倒す!!!」

大地が砕け悲鳴をあげる…凄まじい殺気を発しながら幽鬼(遊海)が立ち上がる!

 

『ククク、魂を燃やして立ち上がるか…何処までそれが保つかな?』

 

「1ターン保てば十分だ…!覚悟しろ…バクラ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「俺のターン…ドロォォォ!!!」

「最強の魔術師弟よ!その力で全てを焼き尽くせ!!魔法カード『黒・爆・裂・破・魔・導(ブラック・バーニング・マジック)』!」

 

魔術師弟が飛び上がり杖を重ねる、そして師弟の魔力は相乗効果で何倍にも膨れ上がりバクラのフィールドを全て焼き尽くした!

 

『なんだとぉ!?』

 

「『黒爆裂破魔導』は『ブラックマジシャン』と『ブラックマジシャンガール』の魔術師弟がフィールドにいる時に使う事ができる最上位呪文!その効果は相手のフィールドを全て焼き尽くす!バトル!『ブラックマジシャン』と『マジシャンガール』でダイレクトアタック!」

《ハッ!!》

ブラックマジシャンとマジシャンガールが飛び上がり魔力を溜める!

 

「喰らえ!双・黒・魔・導(ツイン・ブラックマジック)!!」

弟子の魔力がブラックマジシャンに力を与え極大の魔力弾が放たれる! 

 

『ククク…フハハハ!!やるじゃねぇか白波!しかし戦いは始まったばっかりだ!この5000年に一度の祭りを楽しもうじゃないか!フフフ…フハハハハハ!!』

 

ズガーンッッッ!!

 

 

 

バクラLP0

 

遊海 WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様の出番は来ねぇよバクラ…とっとと冥界に還りやが…なにっ…!?」

遊海は痛む体を引き摺りながらバクラに近づく…しかしそこにあったのは無貌の人形だった…。

 

 

【ククク…じゃあな白波、まだ祭りは始まったばかりだ…決着はいづれ着けてやるよ…フフフ…フハハハ…!】

夜の公園にバクラの笑い声が響き消えていった…

 

「逃げられたか…あぐっ…!」ズシャ

力が抜け遊海は膝をつく…周囲の遊具は壊れ荒れ地となっていた…。

 

 

「遊海さん!」

 

「翠…」

荒れ地となった公園に翠が駆け込んでくる

 

「全身傷だらけ…いったい何が…!」

 

「ダークシグナーが動き出した…奴らの中にバクラ…ゾークがいた…!」

 

「なんですって…!?そんな事が…ゾークはアテムさんが完全に…!」

 

「『冥界の王』が奴を引っ張り出しやがった…!」

 

「そんな…!」

翠は顔を青褪めさせる、大邪神ゾーク・ネクロファデス…三千年前のエジプトを荒らし回り存命のアテムが命を賭けて封印した、しかし三千年後に獏良 了を媒体として暗躍…最終的にアテムの記憶世界での決戦でアテムと遊戯達仲間の結束に呼び覚まされた創造神ホルアクティにより完全に消滅した…。

 

その力はゲーム盤の上と言えど凄まじく、守護神エクゾディア・三幻神・青眼…さらに遊海の召喚したホープザライトニング・攻撃力16000相当のサイバーエンドドラゴンの攻撃を受けても立ち上がりその全てを殲滅する程の力を誇る…文字通り大邪神である。

 

 

 

「…俺のせいなのか…?イレギュラーの俺がいるから…倒さなきゃ…アイツだけは…俺…が……」バタッ

 

「ゆ…遊海さん!?しっかりしてください!遊海さん!!」

遊海は顔から地面に倒れ込む…闇のデュエルのダメージは深刻で身体中がボロボロとなっていた…。

 

その後、遊海は連絡を受けた海馬の指示によりKC傘下の病院へと搬送された…闇のゲームの舞台となった公園は「ガス爆発による事故」という形で秘匿され1週間程で元通りになった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『話が違うではないか異邦の邪神よ…白波 遊海はお前が倒すのではなかったのか?』

 

『あ〜ん?「倒す」なんて言ってないぜ蜘蛛男?』

 

『貴様…ルドガー様に向かって…!』

ここはダークシグナーの集う場所…そのテーブルには蜘蛛・猿・巨人の痣を持つダークシグナー達が1人足をテーブルに乗せ悪態をつくバクラを問い詰めていた…。

 

『オレ様は奴を「痛めつける」って言ったんだ、最終的にはオレ様が殺るさ…だがなぁ奴らに対する…()の憎しみは収まらないんだよぉ!!!』ゴゥッ!!

 

『『くっ…!』』

バクラは尋常ではない殺気を放つ…それは既に亡者である2人を畏怖させるモノだった

 

『安心しろよ…次はアイツを始末する、手をもぎ足を砕いて恐怖に歪む奴の顔を見ながらなぁ…!フフフ…フハハハ…!!』

そう言ってバクラは部屋を後にした…。

 

 

 

『既に亡者であり理から外れた身であるが1つだけ言える…奴は狂っている…!』

猿の痣を持つ男が呟く

 

『あれが古代エジプトを崩壊させた邪神か…奴ならあの者を倒すかもしれないな…』

 

『ヒャハハハ…いいじゃねぇか奴のノリ…オレも許せない奴がいるからなぁ…さぁ、始めようぜ大将?この世をぶっ壊す戦いをよぉ…!』

巨人の痣を持つ男が蜘蛛に問いかける

 

『うむ、今こそ世界を闇に沈める時だ…!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遊海さん…」

 

「………」

翠はベッドにて眠る遊海を看病する…襲撃から3日、遊海は目を覚ます事無く眠り続けている…。

 

ガラッ…

 

「翠、遊海の具合はどうだ?」

 

「海馬さん…すいません、わざわざ来て頂いて…」

 

病室に海馬が訪れる…この病院はKC傘下の病院であり…治安維持局ですら手を出せない安全地帯である…。

 

 

「遊海さんはずっと眠っています…たまに痣が光ると苦しそうな顔をするんですが…目を覚ましてくれないんです…」

 

「そうか…しかし本当なのか?あの『ゾーク』が甦ったというのは?」

 

海馬は記憶の世界でゾークと遭遇している…切り札である『究極竜』、そして遊戯との最強モンスターである『究極竜騎士』すらも跳ね除けた邪神の存在は30年以上の時が経った現在でも記憶に刻まれている…。

 

 

「はい…アヤカちゃんやフレアちゃんに確かめました…完全ではないそうですが…」

 

「…そうか、ゴドウィンめ…裏でコソコソしていると思えば…!奴はこの状況を把握しているのだろうな…!あのタヌキめ…!」

 

「海馬さん…」

 

「いくら弱体化しているとはいえ遊海は遊海だ…そのうち必ず目を覚ます、心配せずに待ってやれ…さらばだ」

 

「はい…ありがとうございます…!」

 

 

 

「ハァ…」

 

《翠姉…ちゃんとご飯食べなきゃだめだよ?ずっと遊海兄に付きっきりでまともにご飯食べてないでしょ?》

遊海の看病を続ける翠の隣にウェンが現れる、彼女の言うとおり翠はこの3日程まともな食事を摂っていなかった。

 

「ウェン…私は大丈夫、遊海さんはもっと辛い思いをしてるんだもの…それに食べなくても私は…」

 

《でも…遊海兄が起きた時翠がそんな顔じゃあ心配しちゃうよ?ほらっ!》

 

「あっ…」

ウェンが手鏡で翠の顔を映す…髪はボサボサで目元には隈が出来ていた。

 

《翠が元気なら遊海兄もきっとすぐに元気になるよ!だから一回休もうよ…ねっ?》

 

「そうね、一回家に帰りましょうか…遊海さん、また来ますから…ゆっくり休んでくださいね…」チュ

翠は遊海の頬にキスをして病院を後にした…。

 

 

 

 

 

 

 

 

「「「…」」」


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