転生して決闘の観測者〈デュエル・ゲイザー〉になった話   作:S,K

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…しまった…詰め込み過ぎた…15000字オーバーしてる…まぁいっか!


それでは最新話をどうぞ!


対決!ダークシグナー・猿〜精霊界を救え!〜

「「「ごめんなさい!!」」」

 

「お前達の気持ちはわかるけど…もう危ない事はしないでおくれよ!さぁ今日は寝なさい!」

 

「「「は〜い…」」」

 

 

 

「ジャック、白野…改めて礼を言うよ…アタシと子供達を助けてくれてありがとう…!」

 

「フン…俺はキングたる者として最善を尽くしただけだ!」

 

「いいんだよマーサ、俺もやれる事をやっただけだから…」

 

ダークシグナー達との顔合わせを終えた遊海達はマーサと子供達を送るためにマーサハウスへと戻ってきていた…。

 

 

 

 

「それでこれからどうするかだが…奴らの言っていた『宿星の地』とは何処なんだ…?」

 

「それは…旧モーメントの制御装置の事だと思います」

 

「旧モーメントの制御装置…?」

遊星の疑問に狭霧さんが答える、ゴドウィン曰く旧モーメントには4っの制御装置がありそれぞれが古代ケチュア語で「猿」「ハチドリ」「トカゲ」「巨人」のコードネームがありモーメント本体には「蜘蛛」のコードネームが付いている事…さらに遊星の持つ「スターダスト」、ジャックの「レッドデーモンズ」、アキの「ブラックローズ」、そしてダグナーであるディマクの持っていた「エンシェントフェアリー」はモーメントを制御する鍵である事が語られた…。

 

 

 

 

「既に賽は投げられています…制御装置とモーメントの位置関係はこうなっています…」

狭霧さんはサテライトの地図を広げる…サテライトの中心に旧モーメント、その四方を囲むように4機の制御装置が設置してあるようだ。

 

 

「場所がそれぞれ離れているな…」

 

「しょせんデュエルは1対1…俺は1人で行かせてもらうぞ、金魚のフンのように全員で行くのは時間の無駄だろう」

 

「そうだな…それぞれの因縁の相手は決まっている…各個撃破していこう、それに離れていてもオレ達が仲間である事は変わらない!」

ジャックの意見に遊星も賛成する。

 

 

「まずは巨人…そこには鬼柳がいるはずだ、オレが行こう…!」

遊星は巨人の制御装置へ

 

「なら私はトカゲ…ミスティのところへ行くわ!」

アキはトカゲの制御装置へ

 

「猿は…ディマク、わたしは『エンシェントフェアリードラゴン』を取り戻したい!」

 

「おれは龍可を応援する!シグナーじゃなくたっておれは龍可のヒーローなんだ!」

龍亞と龍可は猿の制御装置へ

 

「残るはハチドリ…俺が行く!」

ジャックはハチドリの制御装置へ向かう!

 

「白野さん…あなたはどうするんだ?」

遊星が俺に尋ねてくる

 

「俺はとりあえず龍可達と行こう、バクラの場所を探ってたんだが…レーダーに引っ掛からなくてな…」

 

《申し訳ありませんマスター…さっきからノイズが酷くて…》

アヤカが俺の隣に実体化する…ダークシグナーと出会った辺りからジャミングを受けているらしい

 

「白野さん…?その機械は…?」

 

「ああ…紹介がまだだったな、俺も龍可と同じで精霊が見える…まぁ俺の家族だ!みんな!出てきてくれ!」

俺の掛け声で精霊達が実体化する…ちなみに牛尾さんは気絶している…

 

 

《マスターのパートナーの彩華です!》

 

《トフェニだ、いつも主が世話になっている》

 

《フレアです!(神)鳥の精霊ですよ!》

 

《メガロックだ…白野、みんな驚いているが…よかったのか?》

 

「大丈夫だよメガロック、すぐに馴れるだろうし」

 

 

「…前に戦った時の声は気のせいじゃなかったのね…」

 

「この人は何でもアリか…」

 

「あっ!アヤカちゃん久しぶり!」

 

《お久しぶりです龍可!頑張りましょう!》

 

「牛尾君!しっかりしなさい!なさけないわよ!!」

 

「う〜ん…遊戯…罰ゲーム…ごめんなさい…」

精霊達の登場でカオスになるマーサハウスなのだった…。

 

 

 

 

 

「それでみんなに一つ伝えておく事がある、もしも白髪の髪の逆立った男…バクラに出会ったら…すぐに逃げてくれ」

 

「白野の宿星の相手…何故だ?もし出会ったのならこのジャック・アトラスが捻り潰してくれる!」

 

「そうだ白野さん、オレもジャックもダークシグナー相手に負けるつもりは…」

 

「あいつが…『決闘王』を追い詰めた決闘者だとしてもか?」

 

「「「「!?」」」」

 

遊海の言葉を聞きシグナー達は驚きをあらわにする。

 

 

「アイツが『決闘王』を…武藤 遊戯を追い詰めただと!?」

 

「しかし…『決闘王』が活躍したのは今から三十年以上も前のはず…なんでそんな奴がダークシグナーに!?」

 

「それは俺もわからない、でもアイツを倒すのは俺の役目だ…もし出会う事があったら注意してくれ!」

遊海は全員に注意を促す…バクラは何をしてくるかわからないからだ…

 

 

「白野さん、あなたはいったい何者なんだ…?」

 

「この戦いが終わったら話すよ遊星…俺の事もな…」

そしてその場は解散となる…休憩を挟み明朝…戦いへと向かう!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《マスター…》

 

「ああ…気づいてるよ、出てきたらどうですか…牛尾さん?」

 

「隠れてるつもりはなかったんだが…少し話そうぜ()() ()()()

外でDホイールの調子を確かめる遊海のところへ牛尾が訪ねてくる…他のメンバーはマーサハウスで休憩している。

 

 

「お前、この17年…ゼロリバースから何やってやがった?それにその姿…ガリガリじゃねぇか…」

 

「17年前…爆発に飲み込まれそうになったスタジアムを守って…その代償で病弱になったんです、それでまともに動けなくなって…ここまで動けるようになったのも最近で…」

 

「ネットの都市伝説…『たった1人の人間がKCスタジアムをゼロリバースから救った』…お前の事だったのか」

 

「あの場には遊戯も海馬さんも城之内さんも…俺の教え子達も居た…彼らを護りたかった、それだけですよ」

 

「なぁ白波…お前ならダークシグナーなんて瞬殺なんじゃねぇか?『失われし決闘王』のお前なら…」

 

遊海はゼロ・リバース後、表舞台から姿を消した…新たに付いた異名は『失われし決闘王』…ただ一瞬に存在した最強の称号である。

 

 

「たぶんそうですね…でも()()()()()()()()()()、彼らが成長してこそ未来を切り拓けるんです、それに"ゴホッゴホッ…!…身体が保ちませんしね…」

咳き込む遊海…その手には血が付いていた…。

 

「…そういう事か、ならオレは何も言わねぇさ…オレは車で龍可達と一緒に行動する、何かあったら頼むぜ?メタルナイト?」

 

「ええ…この命に替えてでも…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここから先、勝敗を分かつのは己の実力のみだ!」

 

 

翌朝一番…サテライト中心部へ向かう橋の前にシグナー達が揃っていた、遊星・ジャックは単独、アキは狭霧さん、龍可と龍亞は牛尾さんの車に乗り俺は車に並走する。

 

「みんな!ダークシグナーは一筋縄ではいかない相手だ!オレ達は苦戦を強いられる事になるだろう!だがその時こそ思い出してほしい!オレ達仲間の事を!オレ達は離れていても強い絆で繋がっている!」

遊星が全員を鼓舞する…

 

「みんな!必ず勝ってもう一度会おう!」

 

「互いの健闘を祈る!俺達の目指すのは勝利だけだ!!」

遊星、そしてジャックの宣言を以てサテライト…そして世界を救う戦いが始まった…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『『カー!カー!』』

 

「ひぇ〜…何なんだよこのカラス達〜…」

 

「龍亞?」

 

「ぎょえぇぇ!?」

 

「ビビリ過ぎだぞ龍亞…」

 

猿の制御装置へ向かう龍可と俺達…その前には不気味なカラス達が俺達を監視するように飛び回っていた…。

 

 

「びっくりさせないでくれよ龍可〜危うく勇気とカラスがドッキングするところだったよ〜」

 

「落ち着け龍亞、何を言ってるかわけわからなくなってるぞ…」

勇気とカラスがドッキング…出てくるのはBFだろうか…

 

 

「ごめんね龍亞…わたしが無理やり頼んだから…」

 

「何言ってるんだよ龍可!おれ達は兄妹だろ!おれは龍可をいつでも守るって決めたんだから!…そのために…!」

龍亞は持ってきたカバンを漁る

 

「ジャジャーン!デュエルディスク〜!」

 

「…龍亞が付けてどうするのよ?戦うのはわたしの役目なのよ〜?」

 

「へへっ!気合だよ気合!さぁ…かかってこいダークシグナー!!」

龍亞はデュエルディスクを付けた腕を掲げる

 

「まったく、無邪気なもんだぜ…なぁ岸波?」

 

「ええ!俺達も二人をサポートしましょう!…彼らの笑顔を守るために…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

《マスター!周囲の時空が歪み始めています、精霊界への扉が…!》

 

「…ここから先は龍可の戦いだ、大丈夫…助っ人も頼んであるから!」

アヤカが時空の変化を感じ取る…そして

 

《クリリー!!》

 

「精霊界が何かが起きてるのね…わかった!わたしを連れて行って…!」

 

 

キュピーン!

 

 

「な、なんだぁ!?」

龍可達の乗る車を閃光が包む…光が収まると龍可の姿は忽然と消えていた…。

 

 

 

「おい!?今何があった!龍可ちゃんがいねぇじゃねぇか!?」

牛尾は車を停め周囲を見回す

 

「牛尾さん、龍可は今デュエルモンスターズの『精霊界』へ向かいました…でも大丈夫です、助っ人も頼んであります」

 

「…お前が言うなら本当なんだろうな…でも一応周りを見ておこう、何か手がかりがあるかもしれねぇ」

牛尾さんは車から降り周りを探し始める…警察官の彼としては「もしも」の可能性を捨て切れないのだろう。

 

「白野!おれも探してくる!」

 

「わかった、気をつけろよ龍亞!」

そう言って龍亞も駆け出して行った

 

 

《マスター、よかったのですか?》

 

「…戦いは龍亞のために必要だ、それに俺もただ見ているだけじゃないからな…!」

 

ボウッ!

 

その時、空に猿の地上絵が浮かび上がる…どうやら始まったみたいだ!

 

 

 

 

 

 

 

龍亞Side

 

 

 

『お待ちしておりました、シグナー殿…!』

 

龍可を探していたおれに何処からか低い男の人の声が聞こえてくる、それと同時に周りに炎の壁が出てくる…もしかしておれ…龍可と間違えられちゃった!?

 

『…誰だ?お前はシグナーじゃないな?』

黒い服を着た黒い肌の人が現れる…確かディマクって名前だったな…!

「それがどうした!文句あるか!おれは龍可のお兄ちゃんだ!アイツを守るって約束した男だ!」

 

「ハァ…ハァ…!龍亞!何やってやがる!!」

 

「龍亞!…もう地上絵の中か…!」

牛尾のおっちゃんと白野がやってくる…空に浮かんだ地上絵を目印に来てくれたみたいだ

 

 

『何だ?シグナーでもないのに死にに来たのか?』

 

「…望む所だ!おれがお前を倒せば龍可は危ない目に遭わないで済むんだ!だったらおれが相手だ!」

 

『…意気だけは認めてやろう…だがシグナーで無い者が我々に勝てる訳がないだろう!』

 

「やってみなくちゃわからない!!」

おれはデュエルディスクを構える…龍可のために勝ってみせる…!

 

 

 

「キラーナックル!!」

 

 

ズゴァ!!

 

『「うわぁっ!/なにっ!?」』

 

突然強い風が吹いて地上絵の炎が2つに割れる…

 

「龍亞…決意は変わらないんだな?今なら俺が変わる事ができる…それにこのデュエルは『闇のデュエル』、ダメージは実際の痛みとして襲って来るぞ…いいのか?」

 

『…馬鹿な、闇のデュエルに介入するだと!?』

 

「白野…」

炎を通り抜けてメタルナイトの鎧を着た白野が歩いてくる…

 

 

「…このデュエルはおれがやらなきゃ駄目なんだ!おれが龍可を守るために!!」

おれは白野の目をまっすぐ見てそう伝えた

 

「…いいだろう、なら俺はサポートに回るとしよう…ダメージは俺が全て引き受ける、デュエルに集中するんだ龍亞!」

そう言うとおれの周りに薄いバリアが現れる

 

「ありがとう白野…おれ頑張る!!」

龍亞はディマクへと向き直る

 

 

『貴様がバクラの言っていたシグナーか、相当に強い力を持っているようだが…果たして身体が保つかな!』

 

「俺は闇には屈しない!龍亞の心が折れない限り…俺が膝をつく事は無い!!」

 

「おれは龍可を守るためにお前を倒す!デュエルだ!」

 

 

「『デュエル!!』」

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

『バトル!「マジシャンズエイプ」でダイレクトアタック!』

 

「うわぁぁ…あれ?そんなに痛くない…?」

デュエル序盤、マジシャンズエイプの効果「カースド・ニードル」で「マグネンU」を奪われた龍亞はダイレクトアタックを受ける…しかしダメージは受けたものの痛みは通常のデュエルレベルでしかなかった…

 

「龍亞、そのバリアがお前を守っている限りお前にくる痛みは半分以下になる…自分のデュエルで奴を倒せ!」

 

「白野…ありがとう!!ここから逆転だ!」

 

 

デュエルは進む、遊海や遊星、ボマーとの戦いを経て成長した龍亞はパワーツールドラゴンを召喚しマジシャンズエイプを撃破…ディマクに大ダメージを与える…

 

「(上手いぞ龍亞…相手の盤面をしっかり見て戦っている!成長したな…!)」

猿の地上絵を目撃し引き返してきた遊星も龍亞の成長を認める

 

 

 

『フフフ…こうこなくてはな!運命の決闘の前座としては面白くなくてはな!』

 

「前座だとぉ!?おれ達は命を懸けて戦ってるんだ!」

 

『フッ…ならば私も少し本気を出そうか!レベル-5となっている「ファイターズエイプ」にレベル2の「DTダークエイプ」をダークチューニング!』

黒い星に変化したダークエイプがファイターズエイプに食い込む!

 

-5-2=-7

 

『暗黒より生まれし者…万物を負の世界へ誘う覇者となれ!ダークシンクロ!「猿魔王ゼーマン」!』

ローブを纏った赤い毛の魔王が現れる ATK2500

 

「ダークシンクロモンスター…!何が魔王だよ!おれにだって『パワーツール』が付いてるんだ!」

 

『フッ…さらにフィールド魔法「クローザーフォレスト」を発動!』

 

「不味い!地縛神を召喚する条件が整ってしまう…!」

地縛神の強さを知る遊星は警戒を促す

 

「龍亞、耐えろよ…ここが踏ん張り所だ…!」

 

 

 

 

 

『バトル!「クローザーフォレスト」の効果で攻撃力3000となった「ゼーマン」で「パワーツール」を攻撃!』

 

「『パワーツール』は装備魔法を墓地へ送って破壊を無効にできる!」

 

『しかしダメージは受ける!喰らえ!!カースド・フレア!』

 

「うわぁぁ!」

杖から放たれた炎が龍亞に襲いかかる…しかし炎はバリアとパワーツールが盾となり威力が減衰する

 

「『パワーツール』…おれの事を守ってくれてるのか!」

 

「そうだ…龍亞、カードには決闘者の想いが宿る…その想いに必ずカードは…応えてくれる…!まだ勝ち目はある…耐えろ…龍亞…!」

 

「白野…!そうだ…おれも守るんだ!龍可の事を!!」

 

 

 

 

「来た!装備魔法『巨大化』発動!これで攻撃力は倍だ!」

 

『無駄だ、私とお前のライフは同じ…よって効果は発動しない!』

 

「しまった!いつもなら大逆転のコンボなのに…!これ以上の手はムリだよ!」

 

「「諦めるな!!」」

 

「遊星…白野…!」

 

「龍亞!さっき白野さんが言った通りだ!お前のデッキにはお前の想いを込めたカードが入っているはずだ!カードを信じろ!必ずカードは応えてくれる!!決してカード達はお前を裏切りはしない!!」

 

「遊星…わかった!『パワーツール』は装備魔法を破壊して破壊を無効にできる!その時が来るまで耐えてみせる!守備表示に変更!ターンエンド!」

 

 

 

 

『バトルだ!「ゼーマン」で「パワーツール」を攻撃!さらに永続罠「吠え猛る大地」を発動!貫通ダメージを与える!』

 

「『パワーツール』の効果!『巨大化』を墓地に送って破壊を無効にする!あっ!?」

再びゼーマンの炎がパワーツールに襲いかかる…巨大化を盾にする事で破壊を防いだがパワーツールの装甲にヒビが入る…さらに龍亞を覆うバリアの光が弱くなっていく…

 

「『パワーツール』が…傷付いてる…!?」

 

『「吠え猛る大地」は相手に効果を適用してダメージを与えた時に相手モンスターの攻守を300下げるのだ…それにそいつもそろそろ限界のようだな!』

 

「えっ…?」

 

 

ガシャン…バリ…バリバリ…

 

 

「ハァ…ハァ…まだいけるさ、舐めるなよダークシグナー…!」

 

「白野!?どうしたの!大丈夫!?」

遊海は膝をつく、鎧の端々からはスパークが起きている…そして手からは「我が身を盾に」のカードが零れ落ちた

 

『気づいていなかったようだな…その男はさっきからお前の受けるリアルダメージを全て肩代わりしていたのだ、お前の受けた痛みが少ないのはその為…気楽なものだな自分がどれだけ護られているかも知らないで…』

 

「そんな…!?白野!しっかりして白野!!」

 

「龍亞…心配するな、お前はまっすぐ前を見ろ…戦いは続いてる…!」

 

「白野…(『パワーツール』も白野も…ボロボロになりながらおれを守ってくれてる…ならそれに応えなくちゃダメだ!)…おれだってどんなにボロボロになったって戦ってみせる…おれが龍可を守るんだ!!」

 

 

 

「『パワーツール』に装備魔法『ダブルツールD&C』を装備して攻撃力を1000アップ!そして『ゼーマン』に攻撃!クラフティ・ブレイク!」

 

『相討ち狙い…いや…!?』

 

「そうさ!『パワーツール』は装備魔法を墓地に送って破壊を無効にできる!いっけぇぇぇ!!」

パワーツールによるドリルの一撃がゼーマンを粉砕する!

 

「やったな龍亞!」

 

「うん!これならいける!!」

 

『フッ…甘いぞ!トラップカード「ダークマター」を発動!デッキトップのカード2枚をモンスター扱いでセットする!』

 

「龍亞!守りを固めろ!来るぞ!」

 

 

 

『さぁ…2体のセットモンスター、そして精霊の魂を生贄に降臨せよ!「地縛神Cusillu」』

数多の精霊の魂を生贄に巨大な猿の地縛神クシルが顕現する…!

 

「龍亞!気をつけるんだ!『地縛神』は直接攻撃してくるぞ!!」

 

『そうだ、さらにあらゆる魔法・罠の効果を受け付けない!』

 

「そんな…!」

 

『神々の戦いに土足で踏み込んだ己を呪うがいい!「クシル」でダイレクトアタック!』

 

「負けるもんか!装備魔法『パワー・コンバーター』を墓地に送って『パワーツール』の攻撃力をエンドフェイズまで0にしてその分攻撃力を回復する!」

巨大な手が龍亞と遊海に迫る…!

 

「龍亞!離れてろ!!…精霊アーマー・リミッター解除…キラーナックル・オーバーロードォォォ!!」

 

クシルの手、そして遊海の拳が激突…大爆発が起きる!

 

「うわぁぁぁ!!?」

 

 

 

 

「うっ…イテテテ…ハッ!白野は!?」

龍亞は全身傷だらけになりながら立ち上がる、既にバリアは無くなっている…

 

 

『…まさか「地縛神」に拳一つで立ち向かうとは…見事だ、貴様がダークシグナーであればよかったのにな…』

 

「…残念だが俺は二度と闇に墜ちる事は無い…悲しむ人が…いるからな…!」

 

「「「白野!!」」」

遊海は拳一つでクシルの一撃を受け止めた…その代わり鎧は砕け、足は地面にめり込み埋まっている

 

 

「龍亞…すまん、手助けできるのはここまでだ…後は…」ガクッ

遊海は立ったまま意識を失う…龍亞に希望を託して…

 

 

「白野!白野!!…おれは負けられない!白野の為に!龍可を守る為に…負けられないんだぁぁ!!」

龍亞は魂の叫びをあげる、その想いが届いたのか…一筋の閃光が龍亞の隣に落下する!

 

『なんだと…!?』

 

「あれは…!」

 

「お帰り…龍可…!」

 

「ただいま、龍亞…遅くなってごめんなさい…!」

 

精霊界からついに龍可が帰還した!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

龍可Side@精霊界

 

 

 

「ハァハァ…行き止まり…!どうしよう…!?」

 

 

わたしはクリボンに導かれて精霊達の世界へとやってきていた、でも精霊界では不思議な事が起きていた…

 

階段を登るボール

 

木にくっつく落ち葉

 

逆さに流れる川

 

そして町があるのに姿が見えない精霊達…キーメイスや踊る妖精はいたけどすぐに逃げてしまった…でもその理由はすぐにわかった…

 

 

『精霊ノ匂イスル…!』

 

『精霊ドコダ!』

 

サテライトにで見た霧が町に入って来る、それと一緒に怖い目をした猿の兵士達がやってきた…そして…

 

『女イタ!精霊ノ匂イスル!』

 

『捕マエロ!!』

 

「見つかっちゃった…!逃げなきゃ!」

 

《クリクリ…クリリーン!!》

 

《ヒヒィーン!!》

 

「クリボン!サンライトユニコーン!!」

デッキからわたしの精霊達が飛び出してくる、わたしを逃がそうとしてくれている!

 

『イタ!精霊イタ!!』

 

『マイナスにナレ〜!!』 バリバリバリ

 

「だめ…やめてぇぇ!!」

猿の兵士は手に持った杖から魔法を放つ…それはクリボン達に直撃する!

 

《クリリー!!?》 カチーン

 

《ヒーン!?》カチーン

 

「ああ…そんな…!?」

 

魔法に当たったクリボンや精霊達は石版に封印されてしまった…

 

『ドーダ?マイナスにナッタ気分は?』

 

『次、オ前ノ番!』

 

「みんな…ごめん!必ず助けるから…!!」

わたしはその場から逃げ出した…。

 

 

……

 

 

『女ドコダ?』

 

『近ク居ル…探セ!』

 

猿達の声が聞こえてくる、目の前は高い壁…わたしじゃ越えられない…!

 

 

カタン!

 

《お嬢さん!こっちじゃ!早く来い!》

 

「あっ!」

 

 

 

《ふぅ〜…行ったようじゃの!》

 

「ありがとう、おかげで助かったわ…」

 

わたしは間一髪のところで大きな帽子を被った男の子に助けられた…近くには猿達はいないらしい…

 

 

《お嬢さん…人間の世界から来なさったな?やれやれ…こんな女の子がたった1人で精霊界に迷い込むとは…儂がいなかったらどうなっていたと思っておる!》

 

「な…なによ!お姉さんにむかってそれはないんじゃないの!あなただって子供じゃない!」

ついカチンとなって男の子に言い返してしまう…わたしより小さい男の子にこんなに言われたら黙っていられないわ!

 

《儂は子供ではない!こんなナリじゃが立派な爺さんじゃよ…儂はトルンカ、よろしくな嬢ちゃん…とにかく場所を変えよう、あの猿共に見つかる前に…!》

 

「えっ…嘘でしょ…!?」

 

とりあえずわたし達はその場から離れる…人って見た目じゃわからないわね…。

 

 

 

 

 

 

《かくかくしかじか…まぁこんな感じじゃ…》

 

「精霊界でそんな事が…」

 

わたしは今とある家に隠れながら精霊界に起きている事態をトルンカに聞いていた…。

平和だった精霊界に「ゼーマン」という猿の魔王と兵士達が現れて「カースドニードル」という杖を使って精霊達を捕まえ始めた事…

 

「ゼーマン」の目的はこの世界全てを「マイナス化」する事…「カースドニードル」は強いマイナスエネルギーで時間すら巻き戻してしまう事…

 

トルンカ達「魔法使い族」の精霊は何とか精霊狩りから逃れたもののマイナス化の影響で子供になってしまった事…このままでは精霊界がなくなってしまう…!

 

 

「ねぇ…トルンカ、『レグルス』って精霊の事を知らないかしら?」

 

《むっ?何故お主がレグルス殿の名前を知っておるんじゃ?》

 

「わたし…『エンシェント・フェアリー』を助けに精霊界に来たの、それで『レグルス』が彼女を助ける方法を知ってるらしくて…」

 

《お主まさか…!ちょいと右腕を見せてくれるか?》

 

「ええ…いいわよ」

龍可は袖を捲る…そこには赤い竜の腕の形をした痣があった…

 

 

《やはりシグナーだったか…しかし今、レグルス殿に会いに行くのはオススメできんのう…》

 

「えっ…どうして!?」

 

《レグルス殿は近くのボヤールの森に住んでおる、しかし最近様子がおかしいのじゃ…近づく者に見境なく襲いかかってくる、もしかしたら「エンシェントフェアリー」様を守りきれなかった無念からヤケになっているのかもしれん…》

トルンカは顔を曇らせながら話す…

 

「…レグルスはその森にいるのね…トルンカ!お願い!その森に連れて行って!」

 

《待ちなさいお嬢さん!今は危険だと言ったじゃろう!》

 

「わたしは止まってられないの…エンシェントフェアリーとクリボン達を助けなきゃならないの!お願い!!」

龍可はトルンカの手を握り、頼み込む…

 

《しょうがないのう…案内しよう!》

トルンカは悩んだ末に龍可を案内する事を決意する…それは彼女に期待したからだ…彼女がこの世界を救ってくれる事を…

 

「ありがとうトルンカ!行きましょう!」

 

《待ちなさい龍可!今不用意に外に出たら…!》

 

ガチャ

 

『アッ…』

 

「《あっ…》」

扉を開けた龍可とたまたま通りかかった猿兵士の目が合う…

 

『女ト精霊ガイタゾ!!』

 

『捕マエロ!!』

 

「《うわぁぁぁ!!!》」

龍可とトルンカは急いで逃げ出した…。

 

 

 

『『マテ〜!!』』

 

「きゃああ!どうしよう!?」

 

《嬢ちゃん!何をしておるんじゃ〜!!》

 

「ご、ごめんなさ〜い!!」

2人は逃げ続ける…その後ろにはたくさんの兵士達が迫っていた

 

「トルンカって魔法使いなんだよね!魔法使えないの〜!?」

 

《スマン!この身体じゃ無理なんじゃ〜!!》

 

「そんなー!…あっ…!」

 

《しまった!行き止まりじゃ!走るコースを間違えた!!》

 

「そんなぁ〜!?」

 

『追イ詰メタ…観念シロ…』

 

『ゼーマン様ノタメ…全テをマイナスに!』

龍可達は壁際に追い詰められる…!

 

 

《嬢ちゃん…森はここから今、太陽がある方向じゃ…儂が隙を作る!精一杯走るのじゃ!》

 

「ダメよトルンカ!それじゃああなたが!」

 

《龍可ちゃん…君の肩、いや痣に精霊界の存亡が掛かっておる!あとは頼んだぞ…!》

トルンカは前に出る

 

《スゥ…や〜い!や〜い!当てられるものなら当ててみろ!》

 

『餓鬼ガ!オ前モマイナスにナレ!』

杖に魔力が貯まる…!

 

「トルンカ!ダメぇぇ!!」

 

 

 

 

 

「融合召喚!来い『ワイルド・ジャギーマン』!サル共を吹っ飛ばせ!インフィニティ・エッジ・スライサー!」

 

《ハアッ!》

 

『ナ、ナンダト〜!ウギャアアアア!!』

 

 

 

 

「えっ…!?」

 

《な、なんじゃ…!?》

それは一瞬の事だった、龍可達の頭上から金のバイザーを着けた戦士が現れ…周囲にいた猿達を全て打ち倒したのだ…。

 

 

「よっと…!2人とも無事か?」

家の屋根から赤い制服のような服を着た男が飛び降りてくる…

 

「助けてくれてありがとう…あなたは…?」

 

「オレか?オレは遊城 十代!遊…じゃなかった、白野先生から君を助けるように言われてきた決闘者さ!」

戦士を従えた男…十代はそう名乗りをあげた…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そうか、精霊界でそんな事が…」

 

「ええ、それでエンシェントフェアリーを助けるためにレグルスに力を借りに行くの!」

龍可は十代に今の状況を説明する

 

「なら早速森に行こう、早くしないと大変な事になりそうだ…!」

 

「うん!…そういえば十代さんって白野さんと知り合いなの?」

 

「ああ!先生から精霊界に危機が迫ってるから手を貸してほしいって頼まれたんだ、ついでに白野先生はオレのアカデミア時代の寮長で…オレの命の恩人なんだよ」

 

「そうなんだ…」

 

《…なぁ、十代といったかの?ちょっと聞いていいか?》

 

「ん?なんだ?」

トルンカが十代に問いかける

 

《お主…「覇王」ではないか?》

 

「!?…よく気づいたな…ああ、オレは覇王の力を持ってるぜ」

 

「覇王…?トルンカ、覇王って何…?」

 

《覇王とは…精霊界に昔から伝わる伝説の「優しき闇を統べる者」の事じゃ、確か二十年程前に復活してとある世界を支配しかけたというが…まさかお主がのぉ…しかしお前が仲間なら千人力じゃ!エンシェントフェアリー様も救えるかもしれん!急いで森に向かおう!》

 

「ああ!案内を頼むぜ!トルンカ!…の前に…」

十代はしゃがみ込み地面に落ちたカースドニードルを拾い上げる…

 

「これを1本ずつ持って行こう…何かの役にたつかもしれないからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

《ここがボガールの森じゃ、気をつけるんじゃぞ?さっきも言ったとおりレグルス殿は冷静さを失っておる…》

 

1時間程歩いて森に到着した、町とは違い穏やかな空気が流れている…

 

「スゥ…レグルスー!何処にいるのー!お話ししましょ〜!!

 

 

《わぁ〜!バカバカ!何をしておる!?襲われたらどうするんじゃ!!》

龍可は森に向かって呼びかける…その声は森に響きわたった

 

「大丈夫よ!ちゃんと話せばわかってくれるわ!」

 

「ああ、話す事がデュエルの次に分かり合う事ができる事だ!それに…来たみたいだぜ!」

 

《グルルル…人間共、この森に何用だ!》

十代の言葉と共に鎧を纏い額に角を生やした獅子が現れる、その体はボロボロでこちらを睨みつけている

 

「あなたがレグルスなのね…そんなにボロボロになって…怖がらないでわたしはあなたを傷付けたりしな…」

 

《GUooooo!!!》

 

「《ひゃっ!?》」

レグルスは咆哮する…その迫力に龍可とトルンカは飛び上がってしまう

 

《レグルス殿!お、落ち着いてくだされ!この娘はエンシェントフェアリー様を助ける為に世界を渡って来たのです!》

 

《なんだとぉ…!》

 

「そうなの…だから安心してほ」

 

《クズ野郎ォがぁ!!!》

レグルスは龍可達を怒鳴りつける…その瞳には怒りが宿っている…!

 

「レグルス!落ち着いて!わたし、エンシェントフェアリーと約束したの!精霊界を護るって!」

 

《フフフ…やはりそうか、貴様らは私を捕まえエンシェントフェアリー様の力を悪用しようと言うのだな!ここで引き裂いてくれるわ!!》

 

「レグルス!ちょっと待って!わたしは…!」

 

「龍可!レグルスの後ろ足を見ろ!それが原因だ!」

 

「えっ…あ!カースドニードル!!」

 

《まさか…レグルス様は中途半端にマイナスに…!?》

十代に言われてレグルスを見る…彼の後ろ足にはカースドニードルが突き刺さっていた…。

 

「あれが原因だろうな…おそらくレグルスには龍可の言葉が逆の意味に聞こえていたんだ…」

十代の言う通りレグルスには龍可達のセリフがこのように聞こえていた…

 

 

 

「あなたがレグルスなのね…そんなにボロボロになって…怖がらないでわたしはあなたを傷付けたりしない」→「お前がレグルスか、ボロボロの貴様など敵ではない!さぁ貴様を捕らえてやる!」

 

 

《レグルス殿!お、落ち着いてくだされ!この娘はエンシェントフェアリー様を助ける為に世界を渡って来たのです!》→《レグルス!貴様を捕らえエンシェントフェアリーの力を使い精霊界を支配してくれる!》

 

なお龍可達の姿も異形の怪物に見えている…

 

 

 

 

「いったいどうすればいいの…!?」

 

《フッ…簡単な事だよ小娘、奴の杖にお前達の杖をぶつければいいのさ!》

 

「きゃ…!?あ、あなたは…?」

龍可の隣に異形の女性?型の精霊が現れる

 

「こらユベル!勝手に出てくるなよ!龍可がびっくりしてるじゃないか!悪いな龍可…コイツはオレのパートナーのユベルだ!」

 

《別にいいじゃないか十代…さぁ来るよ!》

 

《精霊界を荒らす者に鉄槌を!グオォォ!!》

しびれを切らしたレグルスが飛びかかってくる!

 

 

 

「遊海先生直伝!鉄・拳・聖・裁!!」

 

 

 

《なにっ!?ギャン!?》

瞳をオッドアイに変化させた十代の拳がレグルスの鼻っ柱を捉え弾き飛ばす!

 

「今だ!」

 

《まかせろ!!そぉい!!》

 

ガキーン!!

トルンカのカースドニードルがレグルスの足に刺さるカースドニードルに直撃する…そして強い光を放ちカースドニードルが対消滅する…

 

 

《う、ううむ…私は守らねば…この世界を…!》

頭を振ってレグルスが立ち上がる…

 

「レグルス!話を聞いて!わたしは龍可!エンシェントフェアリーを助けにきたの!これが証拠よ!」

龍可はシグナーの痣を見せる…

 

《むっ…まさしくシグナーの印!…どうかご無礼をお許しください、シグナーの少女よ…あなたの到着を心待ちにしていました…!》

 

「レグルス…!よかった…!」

龍可はレグルスに抱き着いた…。

 

 

 

 

《そういえば十代…何故カースドニードル同士をぶつけろと?》

 

「ん?簡単な算数の話だよ、プラスにマイナスをかけるとマイナスになるけど…マイナスにマイナスをかけたらプラスになる…カースドニードルはマイナスエネルギーの塊なんだろ?なら同じ事ができると思ったんだ!」

 

《なるほどのぉ…お主意外に頭がいいのぉ…》

 

「へへっ、ありがとよトルンカ!(まぁ実際は遊海先生に聞いてたんだけどな…)」

 

 

 

 

 

「精霊界の危機?いったい何が…」

 

『「地縛神」っていう三幻魔に匹敵する邪神達が目覚めたんだ…そのうちの1体が精霊界の精霊達を生贄に復活しようとしてる…さらに精霊界にそいつらを倒せる竜が封印されてる、その竜を助けようとある少女が精霊界に行こうとしてるんだ…そのサポートを頼みたい!』

 

「そういう事か…、わかった!アカデミアの遺跡から精霊界に向かうぜ!」

 

『すまないな十代…俺も別の邪神を相手にしなくちゃならないんだ…コフッ…精霊界にはおそらく「マイナスエネルギー」が充満してる…マイナスエネルギーとそれをコントロールする杖に気をつけてくれ!』

 

「わかった!先生も無理しないでくれよ?ただでさえ身体がボロボロなんだから…」

 

『ああ、善処するさ…じゃあな十代!頼んだぞ!』

 

 

 

 

 

 

「(遊海先生…17年前の借りは返せた…かな?)」

 

「十代さん!ごめんなさい!出発します!龍亞…お兄ちゃんが現実世界で戦ってるの!早く戻らないと…!」

 

「わかった!目的地は城だな?早速行こう!レグルス!案内頼むぜ!」

 

《了解した!行くぞ十代殿!》

レグルスは龍可とトルンカを背に乗せ走り出した…十代も走ってそれを追う!

 

 

「えっ!?十代さん速くない!?」

 

「身体を鍛えてるからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【おのれぇ…エンシェントフェアリーめ…抵抗しおって…!これではディマク様のお役にたてんではないか!!】

ゼーマンは城の玉座で苛ついていた…彼の目的はこの世界をマイナス化し地縛神の生贄を確保する事…しかしそれにはエンシェントフェアリーのマイナス化が必要であり…それは難航していた。

 

【ならばこの世界のマイナス化を先に進めるまで!】

ゼーマンは立ち上がり魔法陣を起動する…

 

 

 

ゴゴゴ…

 

【むっ…地震か?いや…違うな…】

広間が少し揺れはじめる…それは地震ではない

 

ゴゴゴ…ガガガ…ギュイイン!!

 

【な、なんだと〜!?】

広間の地面から巨大なドリルを持った戦士が飛び出す!

 

 

「今だ!行け!『グランネオス』!『レグルス』!」

 

《ハアッ!》

 

《ゼーマン!覚悟!!》

 

【馬鹿な!どうやってここに…!ウギャアアアア!!?】

城の近くまで来た龍可達はグランネオスの力を使い地下から城に侵入…一気に玉座まで襲撃をかけたのだ!

 

【がっ…これで済むと思うなよ…我が倒れてもマイナスの呪いはディマク様の元に送られるの…だ…】

そこまで伝えゼーマンは力尽きた…それとともに猿兵士達も消滅していく…。

 

 

「ガッチャ!魔王退治達成だぜ!」

 

《フン、覇王である十代がいるのに魔王を名乗るなんて烏滸がましい…さっさと消えなよ!》

 

 

「やったねレグルス!」

 

「ありがとう龍可、十代…2人のおかげでゼーマンを倒す事が出来た!これでエンシェントフェアリー様を開放できる!」

 

《それに儂も元の姿に戻れたぞ!ありがとうよ!》

 

「「えっ!?誰!?」」

 

《儂じゃよ儂!トルンカじゃ!》

トルンカの正体…それはブラックマジシャンの最終進化体…「黒衣の大賢者」だったのだ…

 

「…本当にお爺さんだったんだ…」

 

《ホッホッ…これで精霊界も平和…ってなんじゃ!?》

 

ゴゴゴゴゴゴ…

城全体が鳴動し始める

 

《まさかゼーマンが倒れた事で城が壊れようとしてるのでは!?》

 

「全員避難だ!」

十代達は急いで城から飛び出した!

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハアッ…ハアッ…あっ!空を見て!!地上絵が!」

 

「あれは…ナスカで消えた猿の地上絵!あれが邪神なのか!?」

城から脱出した龍可達が見たもの…それは空に浮かぶ地上絵、そしてそれに吸い込まれる数多の精霊達だった…

 

《しまった…間に合わなかったのか…!うおっ!?身体が浮いて…!》

 

「ネオス!トルンカとレグルスを!」

 

《わかった!》

覇王の力を開放した十代はバリアを張りトルンカ達を救出する…

 

「どうしよう…!地縛神が目覚めようとしてる!」

 

 

 

龍可…!

 

 

 

「…まさか龍亞がピンチなの!?」

龍可の頭に兄の龍亞の声が響く

 

「龍可!急いで人間界に戻るんだ!これを!」

十代は2枚のカードを龍可に手渡す

 

「このカードは?」

 

「元の世界に戻ったらそれを先生に渡してくれ!あの人絶対にボロボロになってるから!それで治療できる!」

 

《なら儂の魔法で龍可ちゃんを送り届けよう!準備はいいか?》

トルンカが杖を構える

「うん!」

 

 

《頼んだぞ龍可、地縛神を倒してこの世界を救ってくれ!》

 

《私はエンシェントフェアリー様の封印を解く!そちらは頼みます!》

 

「龍可!()()()()によろしく伝えてくれ!また会いに行くからって!」

 

「えっ…遊海…?」

 

「あっ…やべ…!?」

困った顔の十代の顔を最後に龍可の視界は光に包まれる…そして彼女は人間界に帰還した…。

 

 

 

Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「龍可!やっと戻ってきた…!」

 

「龍亞…ごめん!こんなにボロボロになってまで…!」

龍可は龍亞の体を支える…全身に切り傷がありその姿は痛々しい…

 

「…白野がおれを守ってくれたんだ、白野が守ってくれなかったらおれ…もっとボロボロになってた…!」

 

「えっ…あ…!?白野さん!!」

龍亞の後ろのクレーターに足を膝下まで埋めた白野が気絶している…よく見ると右腕はひしゃげ、全身から血を流している

 

「龍可…おれは龍可のヒーロー失格だ…龍可が戻ってくるまでに奴を倒そうとしたけど無理だった…、それに白野がいなきゃおれ…!」

 

「龍亞…そんな事ないよ!龍亞はわたしだけのヒーロー!白野さんもきっとそんな龍亞を助けたいから手伝ってくれたの!そんな顔してたら白野さんに怒られちゃうよ!!」

 

「龍可…ありがとう…!」

 

『フッフッフッ…ついに役者が揃ったか!地縛神の生贄になってもらうぞ!シグナーの娘!』

ディマクが龍可に声をかける…その声色はシグナーを倒せる喜びに満ちていた

 

「わたしは許さない!精霊達を傷つけ…わたしの大事な人達を傷つけたあなたを!!龍亞のデュエルはわたしが引き継ぐ!決着をつけましょう!!」

残りライフ400…そこから龍可はデュエルを引き継いだ

 

 

『フフフ…燃えカス程度のライフでも神への貢ぎ物には充分だ!さてそんな少女に敬意を表しとっておきの精霊を見せてやろう!永続罠「呪縛牢」を発動!エクストラデッキの「エンシェントフェアリードラゴン」を召喚条件を無視して守備表示で特殊召喚!』

ディマクの場に囚われたエンシェントフェアリーが現れる

 

「エンシェントフェアリー!!」

 

『フフフ…如何かな!我が虜となった竜の姿は!』

 

「許さない!絶対にエンシェントフェアリーを助けてみせる!わたしは『パワーツール』に装備魔法『集中防御盾』を装備!このカードの効果でわたしは『パワーツール』との戦闘以外のダメージを受けない!…この盾が龍亞と白野の想いと一緒にわたしを守ってくれる!」

 

 

『フッ…そんなオモチャのドラゴンなど「クシル」で叩き壊してやる!行け!「クシル」!!』

クシルの拳が龍可達に迫る…!

 

「今よ!速攻魔法『リミッター解除』!『パワーツール』の攻撃力を倍にする!お願い!地縛神を倒して!クラフティ・ブレイク!!」

 

『倍だと!?』

パワーツールがクシルを押し返す!

 

『ぐぬぬ…神に歯向かう不届き者め!だが「クシル」は自分フィールドのモンスターをリリースし戦闘破壊を無効にしお前達のライフを半分にする!「エンシェントフェアリードラゴン」をリリース!神の裁きを受けよ!』

エンシェントフェアリーが粒子に変わる…そしてクシルは地面に腕を叩きつけ…凄まじいエネルギーが龍可に迫る…!

 

 

 

《鳴動富嶽!》

 

ゴゴン!

 

 

『なんだと…!?精霊がシグナーの娘を…!』

 

「メガロック!!」

 

龍可の前にメガロックドラゴンが実体化し闇のエネルギーを防ぐ!

 

《無事だな龍可、龍亞?ギリギリセーフだったな白野》  

 

「ああ、ありがとうメガロック…助かったぜ…子供達が頑張ってるのに俺が寝てる訳にはいかないからな…!」

 

「白野さん!大丈夫なの!?」

遊海は目を覚ます…体はボロボロだがその目は敵を見据えている…

 

「ああ…しかし今がチャンスだ龍可…!『エンシェントフェアリー』を助けだせ!」

 

「ええ!これで本当の戦いができる!リバース罠『リスペクト・シンクロン』を発動!カード効果で相手のシンクロモンスターが墓地に送られた時、そのモンスターをわたしのフィールドに特殊召喚する!返してもらうわ!わたしの親友を!戻ってきて!『エンシェントフェアリードラゴン』!!」

 

『なっ…しまった!?』

龍可のフィールドに鎖で縛られたエンシェントフェアリーが現れる…そして…

 

《エンシェントフェアリー様!今お助けいたします!!》

 

バキーン!!

 

龍可のデッキから現れたレグルスがエンシェントフェアリーの鎖を噛み千切る…これにより永き封印から妖精竜が解き放たれた!

 

 

「やったぜ龍可!」

 

「うん…!やっと会えたね!エンシェントフェアリー!」

 

《ありがとう龍可…遠い日の約束を忘れないでくれた事…心より感謝します!本当にありがとう…!》

エンシェントフェアリーは約束を守ってくれた龍可にお礼を言う

 

「やったなエンシェントフェアリー、約束は果たした…龍可の事は頼むぜ?」

 

《ええ、精霊に愛されし者よ…私は龍可を守る盾となり剣となり彼女を守りましょう!》

 

 

 

「あれが龍可ちゃんのドラゴン…大した子だぜまったく…!」

牛尾は龍可の事を称賛する…弱冠11才の子供が目の前の邪神に臆する事なく戦いを挑み、親友たるドラゴンを助け出した…普通の子供にはできない事だろう

 

「ああ…だが勝負はまだ終わっていない…!」

 

遊星は油断なくフィールドを見つめる…ディマクの場には高攻撃力の「クシル」、さらに貫通ダメージを与える「吠え猛る大地」がある…次のターンで突破できなければ残りライフ200の龍可達は敗北してしまう…!

 

 

 

 

 

『私はこれでターンエンドだ、しかし「リミッター解除」のコストで「パワーツールドラゴン」は破壊される!』

 

「『パワーツール』は装備魔法を墓地に送って破壊を無効にできる!…お願い龍亞、力を貸して!」

 

「うん!おれ達のラストターンだ!」

龍亞と龍可はデッキトップに指をかける

 

 

「「おれ達(わたし達)のターン!ドロー!!」」

 

「『エンシェントフェアリー』の効果発動!フィールド魔法を破壊して1000ライフを回復する!」

《閉ざされし森よ!消え去りなさい!》

 

『しまった!』

エンシェントフェアリーから放たれた波動がクローザーフォレストを破壊し龍可達に祝福を与える!

 

「上手いぞ!フィールド魔法が無ければ『地縛神』の効果は無効になる!」

オリジナルの地縛神はOCGのカードと違いフィールド魔法が無くなると効果が無効になりエンドフェイズに自壊する効果を持っている…つまり今ならばクシルに攻撃を当てる事ができる!

 

「装備魔法『ロケットパイルダー』を『パワーツール』に、『Pain to Power』を『エンシェントフェアリー』にそれぞれ装備!バトルよ!『パワーツール』で『クシル』に攻撃!クラフティ・ロケット!!」

ロケットを装備したパワーツールがクシルに突撃する!

 

『血迷ったか!攻撃力で劣る「パワーツールドラゴン」で攻撃するだと!?』

 

 

「それはどうかしら!(かな!)」

 

『なにっ!?』

 

「『ロケットパイルダー』の効果で『パワーツール』は破壊されないんだ!」

 

「そして相手モンスターがその戦闘で破壊されなかった時!『パワーツール』の攻撃力分相手の攻撃力を下げるのよ!」

 

『なんだと!?』

クシルはパワーツールの攻撃を受け止める…しかし胸に大穴が空き、威圧感が小さくなる!

 

「そして『ペイントゥパワー』はこのターンわたし達が受けた戦闘ダメージ分攻撃力をアップする!わたし達の痛みを力に変えて…『エンシェントフェアリードラゴン』で『クシル』を攻撃!エターナルサンシャイン!!」

《精霊界を侵す邪神よ!消え去りなさい!!》

 

エンシェントフェアリーから聖なる光が放たれフィールドを包み込んだ…

 

『そんな…そんな馬鹿なぁぁぁ!!?』

 

 

ディマクLP0

 

龍亞&龍可 WIN!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やったな龍可!」

 

「ありがとう龍亞!白野さん!2人のおかげよ!これで精霊達も…!」

 

「2人とも!後ろだ!!」

 

「えっ…げげっ!?」

デュエルが終わり喜ぶ2人に遊海が注意を促す…そこにはボロボロになりながらも近づいてくるディマクの姿があった

 

 

『うぅ…おのれ、こんなところで負けるとは…!ルドガー様…お許しを…!』

 

「く、来るな!龍可!逃げ…」

 

「龍亞!龍可!」ガシッ

遊星が二人を抱えディマクから離れる!

 

『ダークシグナー…に…栄光…あ…レ…』サラサラサラ…ボフン

ディマクの身体が灰となり崩れ去る…これが闇のゲームの末路である…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大丈夫か?白野さん、酷い怪我だ…」

 

「イテテ…流石に闇のゲームは身体にクるな…翠がいてくれれば治るんだが…」

 

「ボロボロになりすぎだぜアンタ…」

どうにか遊星達に掘り出してもらった遊海は地面に横たわっていた…この状態ではDホイールの運転も難しいだろう…

 

 

「あっ…そうだ!十代さんから預かったカードがあるんだ!」

 

「十代…?まさかバトルシティレジェンドのファイナリストの遊城 十代か!?なんでそんな人と会ってるんだよ龍可ちゃん!?」

牛尾は驚愕する…十代は常に世界を巡り中々逢えない人物だからだ…

 

「えっ…精霊界でその人に助けてもらったの…そんなにすごい人だったんだ…、えっと…これだ!『ギフトカード』!…あっ!?」

龍可の手から『ギフトカード』が飛ばされ遊海の身体に舞い落ちる…すると遊海の身体が暖かい光に包まれ傷が癒えていく…

 

 

 

 

 

「十代の奴…こんな事もできるようになったのか、あいつも成長してるな…」

遊海は体を起こす、その体は傷が無くなり元の状態に戻っていた。

 

 

「ありがとう龍可、そっちも大変だったろう?」

 

「うん、でもトルンカやレグルス…十代さんが手伝ってくれたからエンシェントフェアリーを助けられたの!」

 

《龍可、龍亞、白野…本当にありがとう、囚われた精霊達も無事に精霊界に戻る事ができました…》

エンシェントフェアリーとレグルスが実体化する

 

「あれ…ソリッドビジョンの故障…じゃないよな…アハハ…ハハ…う〜ん…」バタ

 

「牛尾さん…ドンマイです、あとで慣れやすい精霊召喚しますから…」

 

「まったく…これだから大人は…」

遊海と龍亞は呆れている…

 

「『エンシェントフェアリードラゴン』…オレ達と一緒にダークシグナーと戦ってくれるのか?」

遊星がエンシェントフェアリーに問いかける

 

《ええ、もちろんです!冥界の王がこの世界を支配すれば精霊界にも再び危機が訪れるでしょう…私も5000年の時を越え共に戦いましょう、例えこの身が滅びようとも…》

 

《このレグルスもエンシェントフェアリー様と共に力になりましょう!》

そう言うと2体は光に包まれる…そして龍可の手にレグルスとエンシェントフェアリーのカードが収まった…。

 

 

「よし…とりあえずモーメントの制御装置を作動させよう…龍可、『エンシェントフェアリー』のカードを貸してくれ」

 

「うん!遊星お願い!」

遊星達は猿の塔の中に入る…そして塔の中央部の石版にエンシェントフェアリーのカードを填める…

 

 

ウィィィン…ゴゴゴ…!

 

石版が発光し塔が揺れはじめる!

 

「2人共!脱出だ!」

エンシェントフェアリーのカードを外し遊星達は脱出する…その直後、猿の制御塔は地面へと消えていった…。

 

 

「これで残る制御装置は3つ…今度はオレの番だ!鬼柳 京介!お前のいる巨人の塔へ!」

 

「遊星…お前はアイツを倒す事ができるのか?…迷いは晴れたか?」

 

「白野さん…オレはまだ決められていません、でも鬼柳を救う為に全力を尽くします!」

遊星は遊海を見てそう答えた、その瞳はまっすぐ前を向いていた…

 

「そうか…ならその決意を邪魔させる訳にはいかないな!!」ゴウッ!

遊海はクリフォートの鎧を纏い遊星に殴りかかる!

 

「なっ!?白野さん!?」

 

 

ガキィィン!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「不意打ちとは…ふざけた真似をするんだな…バクラ!!」

 

 

 

「えっ…!?」

 

『チッ…ディアバウンドの透過能力を見抜きやがったか、仕留めたと思ったんだがなぁ!』

 

遊海の拳は遊星の顔の横をすり抜け…遊星の首に牙を伸ばしたディアバウンドの蛇の牙を圧し折った…

 

「一旦下がるぞ遊星!」

遊海は遊星を抱え後ろに跳躍する…

 

 

 

 

「遊星!大丈夫!?」

 

「精霊が襲ってきたの…!?」

 

「ああ…オレは無事だ、気配にまったく気が付かなかった…!」

龍亞達が駆け寄ってきて遊星の無事を確認する…。

 

 

『フハハハ…さぁ、決着をつけようぜ遊海…!』

ディアバウンドの後ろからバクラが姿を現す…

 

「白野さん…奴が…!」

 

「ああ…そうだ、奴がバクラ…いや、3000年前のエジプトを荒らし回った大邪神…ゾーク・ネクロファデスだ…!」

 

 

この戦いにおけるイレギュラー対イレギュラーの戦いが幕を上げる!

 


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